2011年7月2日土曜日

BIG BOY




夏のトマト栽培に挑戦して10年。ある事を発見した。日本の品種は脇芽を取れば素直に一本立ちになるが、こちらの品種は途中からどれが脇芽なのか判らなくなる品種が多い。多くは一段目の花が咲き、2段目と3段目の花が咲くころに等分に分かれてしまう。そしてそのままにしておくと花の数が多すぎ、栄養が果実にいかなくなる。どうやら旨さを追求して改良を繰り返すうち日本のトマトは日本人そのものに似てきたようだ・・。

そういえば、金融危機以降は、民主主義の形態を維持する国は、経済の衰退を迎えると右に行くか左に行くかの選択を迫られるとしてきた。その事例としてワイマール共和国を何度もとりあげた。今日のNYTの一面は体制を批判する若者のデモ行進の写真だったが、ギリシャかと思いきや英国の話だった。ワイマール憲法は優秀なドイツ人が知恵を絞って作りだした民主主義の最高傑作。ところが経済が疲弊するとドイツ人でさえヒトラーを支持するか、そうでなければ共産主義者になるかだった。やはり国が理想的にまっすぐに伸びるのは難しい。ならばギリシャでも英国でも、そしてもう少し先ではこの米国も、AUSTERITY (耐貧生活)を強制する政権に対し、政権を牛耳る金融や資本家に対し、右か左かで若い世代が暴動を起こすのは既定路線である。

そんな中で日本はまだまだ真っすぐ。若者が草食化し先進国で初めてデフレ対応国家に進化し、その上に震災まで加わった。これからは節電が美徳である。そして中国も分かれないだろう。今の共産党の支配は壊れるかもしれないが、中途半端に民主主義を導入しない覚悟があればこの国も分かれない。

まあ何が強い国で何が個人の幸せか、通り一辺倒に、民主主義だ、資本主義だと言っているのは人類が地球上の生き物として成長していない証拠。 土いじりはそれを教えてくれる・・。

(写真は米国の代表的なトマトの品種 BIG BOY)





2011年7月1日金曜日

俺の空



ヘッジファンドのオーナーの超豪邸が集まるロングアイランドのハンプトン地区。そこのATMマシーンで誰かが誰かのレシートを拾ったらしい。そしてソレをネットに投降した。レシートは、誰かが400ドルを下ろした事と手数料として2.5ドルかかった記録が残されていた。だがこれではニュースではない。実はこのレシートの持ち主は、金利が付かない個人用当座預金に100ミリオンダラーを入れていたのだ・・。


この話を聞いて思いだしたのは、70年代に密かに読んでいた本宮ひろ志の「俺の空」。そこでは旅をする主人公の安田財閥御曹司の一平が、どこでどれだけ金を使っても直ぐ彼の口座に常時100億円が補充されるシーンがあった。米国でも当座預金はそんな使い方であり資産管理の口座ではない・・。

ではこのレシートは誰が落としたのか。ネットでは持ち主はあのデービッドテッパーであるとし、CNBCもそのまま使っていた。CNBCは午後のコーナーで「彼らに課税せよ」との昨日のオバマのスピーチに則した意見を取り上げた。

そういえばテッパー氏の顔には同業のポールソン氏の様な険しささはない。どこか愛きょうがあり、彼ならレシートを落としても不思議はない。だが本人は「リーマン危機以後、一度もATMには触っていない。」と、これはこれで興味深いジョークを飛ばしていた・・。  いずれにしても、彼らには「俺の空」が続いている・・。





2011年6月30日木曜日

民主主義のゲーム 一人300万円のフルコース

それにしても民主主義とはいかに不効率か。イリノイでは過去5人の州知事のうち4人が刑務所に入る事になった。元々政治に腐敗はつきものとして、暴露された後、裁判で有罪になるケースが多発するのは中西部気質の表れだろう。昨日有罪が決まったブラゴヤビッチ前知事は、オバマの後任(上院議席)を指名する知事の権利を餌に次の選挙での資金協力を求めた話が盗聴された。誰かが意図的に盗聴したのは明らかだが、その詮議の前に有罪は決まった。

一方でそのオバマはNYのダニエル(有名レストラン)で一人300万円の会食会を開き選挙資金を募った。そんなべらぼうな会食会 に出たのはヘッジファンドの頭目ばかり。彼らの様なヘッジファンドの多くはインサイダーにかかわっているはは常識。だが逮捕されるのは僅かである。ならばこの国では下手に政治家になって民衆のガス抜きの餌食になるよりも、多少の非合法のリスクをとってもヘッジファンドを起こして稼ぐだけ稼いでしまう方が賢い。その構造の中、大統領自身がヘッジファンドに愛想を振りまいている。

これがこの国の民主主義の実態。まあ小沢問題に時間を費やした日本のメディアはもう少しこの国の現実も紹介した方がよい。ところでその会食にはJPのジェイミーダイモン会長は出席しなかった。会長はオバマ支持者として有名だが、今回は敢えて参加しなかったとされる。背景は政権の金融機関規制に対する抗議が一般的。だが実際は会長は大統領に歯向かうほど単純ではないだろう。

恐らくダイモン会長は株主とウォール街へのポーズ。オバマもGSのブランクファインには横に座ってほしくないのは確かだが、JPを動かさなければこの国の金融が立ち行かないのは事実。要するに二人は握っているという事だ。そしてNYTによれば、会長が出席にしなかったのは、JPモルガンの会長職はNYFEDのディレクターでもあり、出席は公職法に反すると言うものだった・・。 





2011年6月29日水曜日

優雅さの裏側 (顧客レター)



黒鳥は待っているところに現れるはずもなし・・。8月3日までにDEBT CEILING(米国債発行上限枠)が引き上がらなければ、米国債でテクニカルデフォルトが起こるとして格付け機関は予防線を張っている。ただ万が一チキンゲームが想定外の状況を生んだとしても、そこにブラックスワンは来ないだろう。むしろ引き上げられた後、今ガイトナーの施している緊急処置の空白を埋めるために直ぐにも263ビリオンの発行がある可能性。そしてそこにQEが無いとしたら・・・。いずれにしても、DEBT CEILINGが引き上げられてホッとする人々が一番危ないという事だろう・・。





From: OTakizawa
Sent: Monday, June 27, 2011 8:35 AM
Subject: TAKIZAWAレター<優雅さの裏>


今年の欧州クラブチャンピオンを決めるバルセロナ対マンUの試合前、あるデータが流れた。それは欧州クラブのトップ選手が一試合で走る平均的距離。何とバルセロナの選手が他のチームを圧倒していた。

素人がサッカーの試合をテレビ中継で観ると、どうしてもボールを追っかけてしまう。そこから見えるバルセロナのパス回しは優雅そのもの。だがそれを可能にしたのは足技のまえに彼らは画面では見えないところで走っていたのだ。つまりこれもイチローの言う一流プレイということになる。

日頃子供のサッカーであちこち行くが、米国では女子サッカーの人口は膨大である。男子は中学生なると、プロになれば大金が手に入るフットボールや野球に行ってしまう一方で、女子は最後までサッカーを続ける人が多い。そしてパワーばかりが言われるが彼女たちの強さは走力である。

そういえば、競技人口の差からも日本は永遠に米国に勝てないと考えたソフトボールはエース上野の力で100年に一度の奇跡があった。しかし一人ではサッカーは勝てない。日本の女子サッカーの走力のレベルはいかに・・。




2011年6月28日火曜日

キングオブクロップ 米国の作物王 (顧客レター)


上の写真、左は今回も大統領候補に名乗りでたロンポール。そして右は去年まで下院金融委員長だったバーニーフランク。この二人はともに70年代後半~80年代前半に下院議員となり、その後長年に渡り共和党と民主党を代表して多くの政策において敵同士となった。特に金融に関して一歩も譲らず、バーニーが金融委員長だった2010年までの下院では、WSやFEDを擁護しながらドットフランク法(危機後の金融改革法案)の発起人なったバーニー議長に、FED廃止論者のロンポールが食い下がる場面がよく見られた。ただこの二人は金融に関して信念を持っているのは確かだ。

まず本当は医者だったロンポールは、オーストリー学派の金融を学んだ後、ニクソンがドルと金の交換を停止したことから、これからは世界のマネーはペーパーゲームーなってしまうと危機感を抱き、その日に医者を辞めて政治家になる事を決断した筋金入りである。一方金融の街NY近郊のユダヤ人家庭に生まれたバーニーは、どちらと言うと場末の荒れた環境で育ちながらもハーバードの大学と大学院を苦学して卒業した庶民派であり、一方弁護士出身としてWSと妥協しながら民主党の金融政策立案の中心として君臨してきた。 

この様に、ライバルとして米国下院の顔だったこの二人は、殆ど案件で相反しながら、議会の大半が反対し、また日本人の常識からはあり得ない変わった法案に関してなぜか協調路線を取る事があった。その代表が同性愛者の権限を守る法案。自ら同性愛者なのを明らかにしているバーニーはともかく、共和党のロンポールは共和党では孤高のゲイ容認論者である。ただ彼の場合ゲイを推奨しているのではなく、リバータリアンとして個人の自由を尊重するという信念からだ。そして今、この二人が再びタッグを組んだ。 二人の対立を金融危機後からずっと紹介してきた立場としては不思議な気分だが、今ふたりはマリワナの合法化でタッグを組んだ。いわば「ロン‐フランク法案」である。(個人的仮称)

そもそもマリワナは長年米国では影のキングオブクロップ(KING OF CROPS)だった。合法化された産物ではないので農務省の出した統計はなく、民間が出した2006年の資料しかないが、当時金額ベースで米国の穀物生産高トップのコーン35ビリオンを上回るビジネスになっていたとされる。 (2006年のコーン価格はMトン当たり100ドル前後、それが現在は300ドルと3倍。一方2010年の生産高は2006年の120%なので、単純計算で今のコーンビジネスは120ビリオン。マリワナがこの金額を上回っているかは判らない。) ではなぜこれだけの規模の産物に税金がかからないのか。ロンポールとバーニーはマリワナの取り締まりを止め(ドラック全体の取り締まりコストは2兆円)、逆に合法化して税をかけろと言っているのである。

そもそも米国は1600年代初頭に、タバコ栽培を目的に移住が始まった(バージニアスリムは名残)。それから400年、今この国でタバコの役割は終わりつつある。喫煙者の永続的減少の中、1箱1000円では税収も知れている。ならば400年前のアメリカンドリームに匹敵するモノは何だ。それはマリワナ栽培かもしれない。 ここ数年この国の金融市場で起こったクレージーからすれば、全く違和感はない。ロンとバーニーの二人の金融の論客からすれば、それは米国のロールオーバーとなろう・・。


2011年6月25日土曜日

ギリシャはリーマンかGMか (顧客レター全文)

単純に言ってバーナンケはオバマに見捨てられた。ブルーンバーグが伝えたバーナンケの支持率低下は(30%)、オバマは景気刺激策をバーナンケに委ねるのは止め、自分の権限の中で実地していく自発性を目覚めさせるに十分だ。

恐らくこれが唐突な戦略備蓄オイル解放の背景だろう。つまりこれからは金融市場が期待する金融の緩和で、結局バカ高いガソリンを庶民に買わせるのではなく、逼迫していなくとも、直接石油の供給を増やし、安いガソリンヲ提供する・・これがリビアの話を今さら持ち出す不自然さを押しても、オバマ本人がやりたい救済策なのだろう。だが金融市場の緩和期待が遠くのはどうするのか。オイル先物が下がる時は株も下がる。そしてドル高になる。そこまでの策はまだ用意できていないのが実情だろう。

一方で米国はギリシャに関してはやはり楽観的。NYタイムスはギリシャは破産するにせよ、リーマン型ではなく、GM型であるとした。そういえばGMの倒産もギリシャの様に時間をかけたが、米国はそのおかげでGMの倒産直前には金融市場での連鎖は限定的となり、また政府がGM救済にテコ入れする条件も整ったので(その分トヨタが犠牲になったが)今はGMは借金を前倒しで返済し立ち直ったとしている。

ならばこの話題(ギリシャ)にも十分時間をかけたので、破産をするにせよ、ある程度準備ができているというのである。まあ世の中での存在意義の順序でいうと、

国家>>>GM>>>>>>>>>>>>証券会社>>という認識だろう。それよりも、不確定要因は米国が事実上IMFから手を引くJIM DEMINT議員の修正案。、またリッキーカンターとバイデン副大統領の協議が分裂したDEBT CEILINGが最後にどちらに転げ落ちるかであろう・・。






2011年6月23日木曜日

遠いジャクソンホール (レター全文)

ビルグロスは今日のFOMCで何も示唆が無ければ、次はジャクソンホールの会議だと言った。だがジャクソンホールはまだまだ先(8月後半)。そんな先まで次のQEのアナウンスがないなら株の戻りも限定的。来週にも安値を更新する可能性が高い。まあ今日のバーナンケのぎこちなさからすれば仕方あるまい。ところで、ぎこちなさの理由は想像するしかないが、FOMC後にCNBCに登場したグリーンスパンの前の世代のFED関係者、つまりボルカーの同僚がバーナンケを非難していたところにヒントがあるか。

2度のQEを経て、彼らが代表する高齢者の金利は減るばかりだ。一方これからの米国を支える若い世代にも希望は見えない。つまりバーナンケは金融にそそのかされて長年の研究テーマを実践をしたが、結局は喜んだのは金融市場関係者だけだったという事。この結果を受け反対派の諫言を無視できなくなったとしても自然だ。ならばQE3には更なる株の下げが必要である。 

それにしても、FEDEXの強気の根拠はどこからくるのか。メーカーの経営者も今の給料を肯定するには弱気になるわけにはかない。日本の自動車業界の強気にも違和感があるが、まさか米国を当てにしているわけでないだろう。

景気は気からとは言う。ただ今のIPOはジャンキー状態。実体経済も同じ感覚になってしまったのだろうか。だとしたら背筋が寒い。その場合はバーナンケは老人や貧乏人を気にしている場合ではなく、一刻も早く米国のメキシコ化を完成させなければならない。ソレが出来ず、途中で怖くなる事・・。これが最悪のシナリオである。

From: OTakizawa
Sent: Wednesday, June 22, 2011 1:54 PM
Subject: FW: TAKIZAWAレター2

一体何がそうさせているのか判らないが、初回と比べて議長はなぜかおどおどしている。ただ内容は全くつまらない。一方記者もオールスターの割には遠慮がち。WSJを筆頭に、エコノミストのグレッグもどうでもよい質問。そして3番にCNBCのリースマンを持ってきたのはなぜだろう。彼はトップでもよかったはず。そしてやっと核心をついたWポストのアーイン記者のインフレターゲットの質問にも、議長は明言を逃げる様な印象を残した。こんな冷めた内容ではなぜ議長の声がうわずるのか。このミステリーを残す事が今日の彼の仕事????


From: OTakizawa
Sent: Wednesday, June 22, 2011 8:38 AM
Subject: TAKIZAWAレター

シカゴに15年住んでいるが、自分の家が竜巻警報の真ん中に入ったのは初めてだった。やはり今年の米国の天候はおかしい。中西部の作物は本当に大丈夫だろうか・・。
ところで、大統領選が少しだけ面白くなった。昨日大統領候補に名乗りを挙げたハンツマン氏は、見たところ今のメンバーの中で共和党の大統領候補として必須要件を一番満たしている(出身地、経歴など)

問題はロムニーと相撃ちになってポーレンティーを助けてしまうかどうか。そして共和党内ではDEBT CEILINGで今週中に何らかの進展があるかもしれないとの事(POLITICO)