2011年4月7日木曜日

総論賛成(財政削減)各論反対(ベネフィット削減)

震災後、日本で自民党が牙を失ったように、この2カ月存在感がなかったのが共和党。彼らは世界情勢によってリズムを失い、そんな中で「2012」が始まったので、仕方なく財政論議をぶり返している。ただ今の米国民は財政論議に興味がない。その証拠がTEAPARTYブームがどこかに行ってしまったこと。

もともと本気でTEAPARTYの本質に同調する人はこの国では少数派だった。今の米国では10の州で白人の児童生徒が少数派になり、2041年には米国全体の人口でも白人に代わりヒスパニックが最大になるといわれている。こんな状況で誰が大昔の白人の精神に同調するのか。

結局TEAPARTYブームは、金融危機後の救済から漏れた人々の怒りが捻じれた形で一時的に共和党の追い風にになっただけのこと。つまりプラカードを持ってオバマ批判をした大半は、清貧への覚悟を訴えたのではなく、自分への救済を要求していた。これがこの国の今の実情である。

そんな中で昨日ポールライアン議員は10年間で600兆円の財政削減を発表した。(米国の1年間の国家予算は300~400兆円)その中には老人・低所得者医療制度の大幅修正案も含まれる。

もともと米国民は財政削減には8割が賛成しているが、この医療制度など、既存の個々の案件になるとベネフィット削減に6割以上が反対している。つまりみんな総論賛成各論反対である。(この医療制度は昨年オバマ政権が達成した国民健康保険制度とは別)

この国民をうまくリード度し、2012年を有利に進めたい民主党とオバマ政権。このままでは彼らのペースだが、クリントンにも同様の緊縮を迫り、国民の支持を失った96年の失敗を怖がり何も出来ないベテラン議員をしり目に、ライアン氏を筆頭に若手の共和党議員は補正予算を組ませず、政府機能の停止を辞さない構えである。

ではこれで株や債券に影響が出るのか。個人的にはそれなりの影響はあとみる。共和党が意地を張れば債券にはプラスで株にはマイナス。ただ共和党が補正予算と国債発行額の上限を引き上げを認めなければ、市場では一時的米国債の利払いが滞るリスクが取りざたされよう・・。

(写真はポールライアン氏、彼は共和党の起点であるウイスコンシン州出身の下院議員。トップガンと言われる40代前半の共和党急進派)


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