2015年11月23日月曜日

ハンガーゲーム、耐性菌と抗生物質 ( マネー原理プロから )

          

         (ハンガーゲームのブームと、貧富の差は平行している)


アメリカがイラクから去り、ISISがその半分を支配した際、イラク復興のためのアメリカが残した数ビリオンのドルは、そのまま彼らのものになった。

その後ISISは闇オイルで稼ぎ、欧米がその流れをとめても、ISISと戦っているはずの反アサドゲリラは、そのISISからオイルを買っている始末。

一方ISIS空爆に参加しているはずのサウジ、ヨルダンなどのスンニ王族諸国は、個人ベースではISISに資金援助、ISISがシーア派連合を弱体化させることを期待している。

その中でアサドのシリアを死守するプーチン。煮え切らないアメリカは、オバマが大統領の間はイランと事を構える覚悟はない。

(ISの総資産は200兆円とも・・)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3328812/On-murder-march-ISIS-Terror-expert-tells-slave-markets-summary-executions-morality-police-jihadi-group-2trillion-bank.html


稀に見る残虐性で世の中を震撼させるISIS。だが勢力は2~3万。リーダーとされるバグダディーは経歴からは小者。だから捕まえても当事のアメリカは相手にしなかった。

テロといえば、60~70年代、資本主義の成長力の裏、戦後のアンチテーゼで世の中を騒がした赤軍。そして90年代、アメリカのサウジ進出に端を発したビンラディンのテロ。これらの脅威は、そのコアを取り除くことで一定の効果があった。

だがISは違う。ビンラディンど比べても、バグダディーにカリズマ性がないことが、逆に彼を始末してもあまり意味がないことを既に証明している。だったら末端のパリ実行犯の若者が死んでもさほど意味がない。

では究極的には、ISISとは一体なんだろう。そもそも本当にコアが存在するのか。組織としてのISISは、表向きのトップは小者、武器は旧式。だがISISを大きく見せているのは、戦っている側の本質的な問題。アラブのスンニとシーアの確執。先進国の貧富の差など、、

ISISの本質を考えたとき、個人的には近年新たな脅威になった耐性菌が思い浮かんだ。抗生物質で死滅したはず菌が耐性をもって復活する。人類の新たな脅威だという。だがその要因は菌そのものではなく、抗生物質による対処という考え方・・

先日のクローズアップ現代で、耐性菌に対抗するには、そもそも抗生物質の安易な使用を減らし、菌に耐性力を持たせないことが重要という医学からの主張があった。新しい抗生物質を見つけても、菌はかならず復活する恐れ。

文明の進歩とともに社会も人間も安易に薬を使うようになった。昨今は痛み止めだけでなく、ステロイドなどドーピングでパフォーマンスや寿命を伸ばす。

でもそれでは人間本来の免疫力は劣化し、耐性菌はどんどんしぶとくなっていく。ソレは経済も同じだと思う。(そこはある保守派に同感)実体経済を上回る膨大なマネーの役割と、そもそも膨大なマネーを感じられない矛盾。

70年代、マネーはその量的限度を定めていた縛りから解き放たれた。今はインフレ率などいう机上のequationで、膨大な流動性として存在する。ならどういう通路にせよ、ISISが耐性菌として「誰かのマネー」にアクセスするのは可能だ。

このタイミングで、FEDはリーマン以降続けてきた「コーポレート版・ヘリコプターマネー」の副作用を意識しているようだ。FEDの流動性は、大企業と資本市場のサークルにとどまったまま。

社債は新規事業の原資というより、バイバックや増配のファイナンシャルエンジニアリングに向かった。生まれた格差は社会の不満になり、何より流動性は次のボラの温床にもなっている。


 (カンニバリズム:終に利益をバイバックと増配原資が上回る。そのマネーはどこから )


http://www.reuters.com/investigates/special-report/usa-buybacks-cannibalized/#Buyback-Chart

だったら保守派の主張する「真の資本主義復活」に向け、人命を犠牲にしても、破壊と創造を断行するか。(需要が生まれる)それとも、末端までマネーを直接配り、怒りを沈め、平和を維持し、名実ともにインチキ資本主義の体裁を終わらせるか。

戦勝国で。国土の直接被害が少なかった米英の一部は前者。一方、大戦で大きな被害を受けた大陸は、英米と距離を置き、後者に傾き始めたと思う。

ここではずっとこの局面をTHIS IS ITとしてきた。そしてソレが始まった頃、どこからともなくISISが生まれた。シリアという西洋文明には特別な場所をめぐり、各国の欲望がISISを生み出し、表面は戦いながら実は助長している可能性。

そしてその結果、テロさえも今の市場では次の緩和につながるというゲーム感覚。その母体は、ハト派が多くなり、物事の平和的解決を目指しているはずの中央銀行の繰り出す流動性。

命がけのサバイバルと、そのゲームを傍観する社会の格差。金融市場には、まるで映画のハンガーゲームの世界が展開しているようだ。

      
           (米英がなぜこの位置なのか)



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