2013年1月25日金曜日

アーセナルオブデモクラシー(マネー原理プロから)


日本経済をめぐる議論。バブルを知るオジサンも、知らない若者も、結局どちらも正しくないだろう。なぜなら、経済はサイクルを繰り返しながら規模は常に大きくなっている。ただし80年周期の終りに来る4THターンニングは混乱になる。全員が生き残り次の周期に入れる保障はない。今は自分が経験した1~3のターニングのどこかを前提に皆が議論をしている。

そして次の周期では規模は変る。過去は大きくなってきた。そこで昨日紹介したルーズベルトの「アーセナル オブ デモクラシー」をもう一度触れる。この結果米国は圧倒的支配者となったが、この時の規模の変化は想像を超えるものだった。


まず国家予算。1940年まで米国の国家予算はミリオン単位だった。そしてその規模はGDPの4割程度に収まっていた。しかし1941年から1945年までの4年間で米国は300ビリオンの国家予算を使った。これは建国から1940年の150年間に使った国家予算の総額の2倍である。

一方米国は1900年前後には既に英国を抜き世界の超大国になっていた。それからすれば共和党の緊縮財政の主張には整合性がある。そして1940年、ルーズベルトがナチスのボートが南米に現れたという理由で徴兵令を出すまで、米国陸軍の規模は世界で30番前後だった。

伝統的に米国は海兵隊と海軍であり、南北戦争後、実質陸軍は必要なかった。しかし第二次世界大戦で米国は1000万の米国人男性を戦場に送り出し、4300万人を予備兵に登録した。


そしてこの4年間に米国は7000隻の軍船 60万台のジープ(年間15万台は現在の車の販売台数に匹敵)88万台の戦車 30万台の軍用機 2400万丁の銃器 4兆発の弾丸を生産した。

当時日本兵に支給された物資の総重量が一人平均で700グラムといわれた(食料武器を除く)。一方米兵に支給された物資の総量は一人平均4トンになった。米兵を今もGIと呼ぶのは、欧州の連合国の兵士から見ても当時の米兵の圧倒的な物資(Government Issue)に対する羨望からきているという。

この結果1939年に20%を超えていた失業率は2%以下に低下(実質ゼロ)。1939年のTAXリターンの総額が僅か4ミリオンだったのに対し、1945年のTAXリターンは42ミリオンに増加した。

そして添付チャートが示すように、GDPに対する国家予算の比率は140%まで膨れ上がったものの、国内は増税を受け入れ、何よりも戦争で荒廃したアジアと欧州に圧倒的物資を供給する役割を米国は独占。米国経済は70年代にまでに圧倒的支配力を完成させた。


では、今が新たなる周期を迎えるための4THターニングなら、今後中央銀行による「フィアットマネー オブ デモクラシー」(フィアットマネー:ゴールドなどの裏づけのない任意の国家紙幣)が、過去の常識を超えるものになっても驚く必要は無い。

つまり、今の中央銀行のバランスシート拡大議論は、井の中の蛙の議論だということ。ましてや中央銀行によるマネー供給、通貨安戦争は人を殺すためではない。逆に人類を甘やかし、生かすためのもの。結局は誰も反対できないだろう・・。と、ここまではクルグマンと同じ主張をした。

しかしこの人類に対し、神のペナルティーが待っていることもどこかで覚悟している・・。

0 件のコメント: