2013年2月11日月曜日

未来の解析シリーズ1 始まったヘッジファンドの喧騒

エイクマン氏
アイカーン氏 


これまで未来は予想するものだと考えてきた。しかしこれからは予想はするのではなく、解析することにした。未来を解析?言葉では意味不明だが、それは今でこそ世界最大のヘッジファンドになったブリッジウオーターのレイダリオのオリジナルの考え方に共感したからだ。

全天候型といわれる彼のファンドマネジメントは他のヘッジファンドとくらべても異質。他のファンドは手法は様々だが、膨大な調査を経て、何かを予想し、それに賭ける。当たれば大きいが外れることもある。一方でレイダリオのアプローチはまさに全天候型。それゆえ彼のファンドが爆発的な成績を上げた実績はない。にもかかわらず、1987年にわずか5ミリオンだった彼の運用資産は今は135ビリオンになった。(27000倍)。一体どういうことだろう。その世界をのぞく前に今の雰囲気を確認したい。

まず、先々週CNBCで著名なヘッジファンド同士が、番組の中で罵り合いをするという前代未聞の事件がおきた。そのヘッジファンドとは、ビルエイクマンとカールアイカーンである。

エイクマンはハーバード出身で非常に紳士的な雰囲気を持った投資家である。フィランソロフィーにも積極的であり、実態はともかく、これまでマネーに対する品の悪さ(無意味な表現であるは承知)が話題になることはなかった。

事件は彼が空売りをしているハーバライフ社について、電話でCNBCのインタビューを受けている最中に起きた。突然アイカーンが同局に電話をかけ、エイクマンを罵りだしたのだ。それはテーマとは無関係の彼の生い立ちなど感情的なものから始まり、(二人ともNYのユダヤ系)過去の投資での手の内まで暴露してしまった。

アイカーンの永年の実績は40代のエイクマンなどお呼びではない。古くはなRJRナビスコなど、この40年に米国で起こった大型のM&Aには殆どかかわっていた。その意味ではトレーダーというより、どちらかというと、あの横井英樹を数倍の規模した人のイメージである。

これまで二人は共同で相場を仕掛けることもあれば、敵対することもあった。最近では百貨店のJCペニー株を買い支えるエイクマンに対し、同社をバラバラにしたいアイカーンが対立しているのは知れ渡っていた。そしてハーバライフに関しては、どうやら同社の不正を宣伝し、潰しにかかるアイクマンに、アイカーン氏は会社側にたって防戦していることが示唆された。

いずれにしても、過去この様な抗争はマフィアの抗争と同じく水面下で起こり、普通の人はどちらが勝ったか結果を後から知るのがほとんどだった。しかしその途中の抗争を、個人投資家も見るメディアで番組を乗っ取ってさらけ出すのは異常な光景だった。

そして先週は、アップルをめぐって、大株主のヘッジファンドの一人、デビットアイポーンが同社に優先株の発行をめぐり提訴をした。この動きはその直前にはマイケルデルがデルコンピューターの上場廃止を決めていたことに呼応するものだった。

マイケルデルは、ハワイの別荘の隣人であるハイテク専門のプライベートエクイテイーのシルバーレイク社のオーナーと共同で同社にLBO(レバレッジドバイアオウト)をかけた。世界の株が高騰している中で一体何が始まっているか。(敬称略、次回へ・・)






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