清貧の大切さを訴える新ローマ法王。しかし巷では、中央銀行によるジャブジャブ金融政策は、新ルネサンスだという喜びが・・
http://youtu.be/VnBlPMdYv9U(ゴールドスミスとはどんな人か、わかりやすいYOUTUBE)
新ローマ法王が決まる瞬間、オフィスでは大勢がテレビに釘付けになった。シカゴの市場関係者はCBOTはアイリッシュ、CMEはイタリアンが多い。皆がテレビに集中するのは当然だった。
本日そのイタリアでは、昔の中央銀行のイタリア銀行が、儲かっていない銀行には、社員にボーナス、株主に配当を出してはいけないとの通達を出した。これを聞いて、リーマンショックでは、イタリアは自国の銀行を税金で救済しなかったことを思いだした・・。
言うまでもなくイタリアは金利で儲ける銀行業の発祥地。ちょうどその頃ルネサンスも始まった。一方で俗に言う金融システムつまり信用創造の発祥は英国が通説である。通説の一つを紹介すると、その昔英国ではゴールドスミス(が顧客に預かり証を発行していた。やがて巷では預かり証の交換が始まリ、預り証はペーパーマネーの性質をもった。その時にゴールドスミスは世界史を変える大変な事実に気付いた。それは、預かっているゴールドを超えた預かり証を発行しても誰も気付かない。それは経済活発にし、世の中のためになる。そして自分も儲かるということだった。
その後、この機能を国家に提供する銀行家が現れる。それが初期の中央銀行だ。初期の中央銀行は、先駆的民間人がその役を担った。そして彼らが巨大になり、その影響力が欧州全体を支配した頃、この国は独立した。ただし建国の父の多くが中央銀行を否定した。理由は、金融カルテルに支配された欧州を見て、そこには自由と平等、機会均等がなかったからだ。
それでも中央銀行は便利である。紆余曲折の結果、米国は中央銀行を持たないという苦難の道を選ぶ。それが1837年から1917年の米国の資本主義の黎明期。散在する地方銀行は、全米を統一する紙幣を持たない。経営は不安定、庶民は彼らが発行するペーパーマネーを信用せず、独立後もスペイン銀貨が米国の基軸通貨だった。
この間に株の暴落は10回。少し前のエコノミスト誌がこの間の帝政ロシアとアメリカの株のチャートを比較していた。ロシアに比べ低迷するこの国の株。当然だ、この時のロシアにはニコライ大帝のための中央銀行があった。
この状況を変えたのがリンカーンである。彼は地銀から健全なものを選び国営とした。そして国家が紙幣を発行し、国営に変った銀行を通してその紙幣を流通させる。この時の国家紙幣が「グリーンバック」である。重要なのはこのグリーンバックは国家債務だった事。つまりリンカーンは、無責任な信用創造をするつもりはなかった事だ。
しかし結果その後も米国は経済規模に比べ、マネーの絶対量が足りない時代が続く。そして1913年ついに米国に中央銀行が誕生する。それがFEDである。これだけ長い間マネーに対し禁欲を続けた米国である。中央銀行ができればバブルになるのは当然。それが1920年代。ただし恩恵を受けた東部東海岸と内陸部ではとてつもない経済格差が広がった。そして崩壊した・・。
マックスウエーバーが米国を評価した期間は、ちょうど米国の資本主義が発展した禁欲期間である。個人的にマネー供給するシステムの「金融」と、この国の資本主義を発展させた市場原理、つまり投資(証券)は全く別物であるという主張の根拠はここだ。
この事例からすると、ジャブジャブ金融の中では真の投資家は育たない(FEDのない時代にバンダービルド、ロックフェラー、カーネギーが登場)。ならばQEという麻薬で株が高値を更新する今はどういう時代だろう。ウォール街はこれを新ルネッサンスだという。
ルネッサンス?ならば世界から馬鹿にされながらも、税金で銀行を救済しなかったイタリアのベルルスコーニに感想を聞いてみたい。一方このルネッサンス現象を日本ではアベノミクスと言う。長い間禁欲生活をした日本。その点は今の米国とは違う。アベノミクスが真にルネサンスになりえるかどうか。それは日本が独自の道を自信を持って進めるかどうかにかかっている・・
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