65Bは10Tの0.65%。10Tの全てが株に流れることはありえないが、それでもいかにマネーの分母がいかに大きいかがわかる。日本の経済規模は米国の1/3。その日本がマネーの分母は米国と同等か、それ以上を目指すという。それがアベノミクスだ。
そのマネーが米国のように株式相場に流れる仕組みができればどうなるか。考えるまでもない。日経平均の2万円、3万円の復活の話。論理的には絵空事ではない。
ところでこのマネーの分母(ここではM0~M2)は The lender of last resort(最後の貸し手)という称号を持つ中央銀行の特権だ。ただ金融が物々交換の手段から信用創造へ変貌してからは、この秩序を守ることは覇権国家の中央銀行の責任でもあった。
だから中央銀行は相応のゴールドを保有し、システムを担保した。逆に言うと、覇権国家の中央銀行が相応のゴールドを維持できなくなった時、役割を次の覇権国家に渡すことが必然だった。
これをひっくり返したのがニクソン。彼は米国と中国・台湾の関係をひっくり返し、ソ連との冷戦では自分がソ連に出向き、緊張を和らげ、ベトナムからも手を引いた。(こうみると、誰が米国の覇権維持に貢献したかは明白である)
ちょうどこの頃、現在世界最大のヘッジファンドブリッジウォーターの創設者のレイダリオは、地元のカレッジを卒業し、ニューヨーク証券取引所で丁稚奉公(フロアーアシスタント)をしていた。
そしてニクソンショックで先輩が暴落を心配するなか、実際は4日間の大暴騰となり、その時初めて株の本質に触れたと回顧している。(ALL WEATHER LETTER)
こうみると現在の金融政策の起点はニクソンだと思う。ただし金本位を止めた後も、FEDは最後の貸し手として金融の秩序の維持に最大の重点を置いていた。だからボルカーはあそこまで批難されても、インフレ退治を優先した。
このボルカーとグリーンスパン時代、我々は市場と金融の基礎を経験した。そのため金融危機後の5年間のあまりのFED変貌ぶりに、一部はゴールドへの回帰を叫ぶようになった。これが5年間のゴールドブーム。
しかし変貌が肯定化されると恐怖心はやわらぐ。それどころか、今この中央銀行の変貌は新しいルネサンスだという。
特にバーナンキしか知らない世代は、今がルネサンスだと聞いてわくわくしている。ただソレを信じられない人も多い。ゴールドはこの心理戦に直面している。だから株式と相反するのだ。
このまま中央銀行が緩和策に突き進んでも、国力の相対関係で米国の優位性は変らないので、アップダウンはあっても株は順繰りで上昇する。直ぐに構造が崩壊するイメージはない。ただ残った悪いシナリオは二つ。
まず中央銀行が緊縮へ回帰すること。オバマ政権は二期目の安定期に入った。どうやらバーナンキの次はイエレンの可能性が高い。それは超緩和策の禅定を意味する。ただ何らかの理由でFEDが緊縮へ戻れば今の護送船団は崩壊する。
我々甘やかされた戦後世代が自分から苦難の道を選ぶとは思えない。よってFEDが緊縮へ回帰することは想定していない。では別の悪いシナリオとはなんだ。ヒントは旧約聖書だと思う。
旧約聖書では、アダムから数えて数々の苦難の道を歩んだ人間は、ゆとりができると酒池肉林の世界に落ちた。神は人間を懲らしめるため大洪水を起こした。謙虚だったノア一族は助かったが大勢が死んだ。これを日本の土地バブル崩壊、アメリカの住宅バブル崩壊としよう。
そして旧約聖書では、時がたつと、人間は大洪水の反省を忘れ、今度は神に挑戦するようになったという。人間は考えた。もし人間が神と同等の力を持てばもう怖い物はない。そこで人間は神のところまで達する塔を造り始めた。
順調に高くなる塔。人間は神に近づいたとまた浮かれた。そしてその様子を見ていた神は人間にある物を与えた。言葉だという。すると、塔はあっけなく崩れた・・。
今市場ではバーナンキ議長は神のように崇められている。では今の中央銀行主導の株式相場は新しい金融ルネッサンスの始まりか。それとも、旧約聖書で人間がノア大洪水と、バベルの塔崩壊までの間に味わったユーホリアか。
そういえばイタリアでルネッサンスが起きた理由は、東西南北の文化が融合したコンスタンチノープル抜きには語れない。ただその時、中国から欧州にもたらされたもの中にペスト菌があった。ルネサンス期の人間社会は実は悲惨なことが多かったのだ。
個人的には、北朝鮮のミサイルより、中国のインフルエンザや公害のほうが怖い・・
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