2014年2月11日火曜日

サクリファイス 福祉国家の命 デンマーク編




ソチでは圧倒的に北欧の強さを見せ付けられる。ロシア人も先祖はスウェーデンあたりにいたルー族が南下したというのが有力。ならば彼らもノルマンの血を引いている。

ただギリシャ正教に支配され、超大国になってからは様々な民族が入り混じったので、今はむしろジプシー的な、スラブ系の暗い印象を強く受ける。

一方で北欧は別世界だ。中でも世界一幸福度の高い国として有名なデンマーク。老人医療も充実しているという。ただどういう治療を望むかは、お年寄り本人が決めると、どの資料でも紹介されている。

北欧の福祉国家では、福祉に力をいれる一方、場当たり的な税金の使い方はしないという。高齢者が生きるしかばねのような状態で、いつまでもベットを支配するのは当たり前ではないらしい。所得の半分以上を税金で持っていかれるのだから、国を支える納税者としては当然なのだろう。

ではそういう国で、幸せに生きるということはどういうことか。人間の話題ではないが、今WEBサイトで動物愛護団体などから非難が集まるデンマークの動物園でのビデオを見て考えた。

偶然今日のNHKニュースで、動物が足りなくなった日本各地の動物園の苦境を紹介していた。ワシントン条約のせいで、新たに象一匹を飼う購入代金が、最低でも2000万円もかかるという。

ならばなぜこの愛くるしいキリンの子供の命を救うことはできなかったのか。英仏の動物園が引継ぎを申し出て、欧州の金持ちの一人は自分が7000万円で貰い受けると懇願した。しかしデンマークの動物園はソレを断った。そして、わざわざコペンハーゲンの大衆の前で、彼を殺し、その肉をライオンの餌として与えた・・・

日本人の感覚では理解できないと思う。ではデンマーク人は残酷なのか。個人的には、この残酷なビデオが、実は世界最高の福祉国家デンマークの真髄だと思う。

コペンハーゲンの動物園が、他国の動物園の申し出断った理由は、他の動物とのバランスだ。かわいそうだからという理由だけでは妥協しなかった。そして解体するのを見世物にしたのは、命の意味を判らされるためだと思う。きっとそれはサクリファイスの重要性を教えるためではないか。

これは8~9世紀前後、キリスト教に触れる前のバイキングたちが、文明先進国のアラブ人やローマ人に、サクリファイスの儀式を見せて震撼させた逸話を彷彿させる。ただしその後キリスト教文明では、北欧はプロテスタントの本拠地になった。

昨今のアメリカの変遷の事例をみるまでもなく、このプロテスタント人口と国家財政の健全性は無関係ではないと思う。(救済が当然の南欧カソリック諸国と、財政が健全な北欧プロテスタント諸国)

一方で我々普通の日本人は、普通に 老人介護や年金などを当然のごとく主張する。でも本当は、ラッキーな時代に生まれた世代が、過去にはなかった自己主張をしているだけかもしれない。

また平和を愛しているといい戦争を否定するが、戦争が起きるか起きないかは自分だけで決めらることではない。日本史の経験で世界の現状と未来を考えても、何の保障にもならない。

いずれにしても、命を奪う行為が究極的に何を意味するのか本当は難しい問題。デンマークは、福祉は、サクリファイスの上に成り立つことを教えているのではないか。

ならば、我々が自分がいつまでも生きたいという感覚の裏返しで、或いはかわいそうという理由で、命の大切さをあたかも正しいことのように語るだけでは、これからは世界の平和に本当に貢献することも、豊かな社会を未来に残すことも、出来ないのではないか。

なぜならソレは日本が自分で決めることではなく、地球の歴史が決めることだ。ただし、それでもなるべく平和で皆が幸せの時を長くしたい。そのためには何をすべきか。そのために犠牲になる命もある。個人的にはこのビデオをみて、そう考えるしかなかった・・。

The most important factor must be that the animals are healthy physically and behaviourally and that they have a good life while they are living, whether this life is long or short. (動物園の主張)


NHKのニュースでは、動物が足りなくなった一番の理由は、狭い敷地でコストがかかりすぎるので、動物園は、動物をそのまま生かしていたら、その動物が年寄りになり、商品にならなくなったということらしい。


参考: < 犬を喰らう覚悟  アムンゼンとスコットの差 >
 
http://marukano-gb.blogspot.com/2013/02/blog-post_16.html

(尚 ここからは、筆者の趣旨に賛同する人のみ進んでください。ビジュアル注意 )





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