2010年7月2日金曜日

カッサーノ氏の悪事

昨日ワシントンではAIGの重役だったカッサーノ氏が、金融危機原因究明委員会の証人として呼ばれた。彼は有名なCDSという商品を買いまくり、300億円のボーナスとともに会社を去った。そしてリーンマンが倒産すると、AIGは彼が大量購入したCDSが致命傷となり崩壊した。

だがAIGへの債券(CDS)がそのまま債務不履行になると、第二、第三のリーマンが避けられないと言われた。そこで20兆円の血税出資と、FEDの救済パッケージでトータルでは70兆円という米国史上、いや世界史上でも恐らく最大の救済が行われたのである。だが張本人の彼は当局が「個人の責任は問わない」という判断をしたために雲がくれ。イギリスの片田舎でサイクリング三昧の後、2年を経て、終にワシントンに出廷した。

当然そこでは彼個人の責任を改めて追及する「つるしあげ」が予想された。だがそれは起きなかった。彼の反論に誰も反論しなかったのだ。彼は「私が最後まで会社に残っていれば、こんな膨大な金額をAIGが必要とする事は無かった」と反論したのである。

それはそうだ。どさくさの中、GS等のAIGの債権者の言いなりになったのは、ポールソン、バーナンケ、そしてガイトナーである。その結果が史上最大の雪だるま式AIGへの救済金額。この金額の全てをカッサーノの悪事の結果にされては彼も納得いかないだろう。つまり、金融危機でこの国は金融機関を焼け太りさせた。これが今のこの国の本質である。そしてそれがアメリカは昔の様なアメリカではなくなったという証拠なのだ。

そんな中で注目は、あの「大統領の陰謀」を暴露したワシントンポストでさえ、米国メディアの本流としての信義より、政権の片棒を担ぐだけの存在になる中、この国では「ローンリングストーン」等の新しいメディアが影響力を持ち始めた事。そしてマイケルムーアやオリバーストーンなど映画を通し、民衆が金融の実態を知る様になった。これは、この国が民主主義である以上、議員が金融救済とポピュリズムの折衷案を模索しても、先延ばししたツケはいずれは払わされると言う事である。それが資本主義の終わりであっても仕方が無い。今の相場のその重苦しい未来像を予兆している・・。 



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