2010年7月15日木曜日

C.C.O (チーフ コンフィデンス オフィサー)

日本で民主党政権が誕生してそろそろ1年。いろんなゴタゴタがあったにせよ、参議院選の結果から感じるのは日本人の余裕の限界。50年続いた自民党政権が倒れた直後の民主党に日本国民は時間を与えなかった。まあ消費税への言及が決め手というならそれだけ庶民生活が苦しい表れだろう。

ただ「貧すれば鈍する」という言葉がある。その意味で真の日本のリーダーは、国内に同じ悩みを抱える米国の要望に振り回されて自滅するのではなく、日本人が相対的に幸せになるためにこれからは何が必要か。小泉政権後は国民自身がその価値感に迷いが見られる中?リーダーは確固たるアイディアで国民を導く必要がある。

ところが、消費税の税率にせよ、財政や金融の在り方にせよ、優秀と言われる民主党の中堅が出した提言はあまりにも欧米を意識したモノ。つまり周りの目を意識したモノだ。これは実際には本国の米国にさえ存在しなかった市場原理という幽霊に脅かされた結果であり、「導き」ではない。

まあチャべス大統領になれとは言わない。だがこの期に及んで欧米のスタンダードをそのまま総理が国民に投げては消化不良は起こる。

そして国民に余裕がないのは先進国と呼ばれた国々に共通の現象だ。そんな中で国と個人に預金がない米国では、政府は手っ取り早く株を上げようとしている。だが昨年来の規制強化と反金融、反大企業の風潮の中で、政府は国民の矛盾した要望に答えを見いだせない。

そこで米国を代表する大企業のGE社のイメルト会長は大統領のオバマに提言をした。彼は米国では大統領の仕事はC.C.O.「チーフ コンフィデンス オフィサー」であるとアドバイスしたのである。直訳するなら国民に自信を与える責任者・・。いかにもイメルト会長らしい表現だ。

そして昨日ワシントンポストはそのオバマへの最新の国民評価を載せた。オバマ個人への批判は少ない。だが国民の政権への失望感は大きく、この結果からこちらでも中間選挙で民主党の敗北は確定的だ。特に今回はオバマの名前が投票用紙にはない。即ち、失望はしたものの、まだカリズマ性があり、民主党の候補者には無党派層を投票所まで動員するに足るオバマ効果が期待できないのだ。こうなると固い組織票が見込める共和党が断然有利である。

この情勢を受けて早くもウォールストリートは共和党待望論を掲げた。共和党が議会を制すれば、減税が継続され、また株価の足かせになっている規制が再び緩むはずだという根拠だ。だがそれは先日ここで紹介したイリノイの運命と同じ事を米国がたどる事に直結する。オバマはその危険性をわかっている。だから本日、彼は何があっても規制強化は断行すると宣言した。

その正論とC.C.O.の役割の両立。最後はオバマが国民を導けるかどうかであろう。




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