2014年9月11日木曜日

9・11特別号、マネー原理プロ抜粋  重大なオバマの決断

                                     


過去、多国籍で湾岸戦争へ入ったパパブッシュ。セルビアを空爆したクリントン。不倫弾劾裁判での弁明のクリントン。9・11直後にメッセージを出したブッシュ。2003年にイラク戦争を宣言したブッシュを観てきたが、昨日のオバマのスピーチは、そのどれよりも重苦しく、アメリカの戦後の基本戦略が変わるかもしれない重大なメッセージだった。

わずか1年半前、間接的にアサド政権を攻撃したアメリカ。元々リベラルのオバマは戦争が嫌いだ。ただ国内の反イラン・親イスラエル派を抑えられず、とりあえずポーズはした。だが、直接空爆はせず、結果、共和党と民主党の両方から弱腰とたたかれた。

それから1年、攻撃する相手で全く逆のことをしなければならない事態。これだけでも前代未聞だが、ISIS撲滅宣言は、サウジの反発を覚悟しなければならない。

そもそもサウジは初代アジス・サウードがオイルを介してルーズベルトと結び、原理主義回帰を主張した三代目ファイサルがオイルショックを起こした。米国はキッシンジャーが飛んでオイルダラーの関係を築き、ファイサルが暗殺された後はずっと親米・近イスラエルとなった。(CIA説)

この表面的なサウジの親米・近イスラエルがこの30年の中東の基本として、アラブ春以降の激震に加え、シェール開発は、対抗策としてのサウジの中国等へのシフトという,近未来のオイルダラー終焉を含んでいた。

そして、ISISの掲げるワッバーフの原理主義は元々サウジの国是。テロ支援と親米の二枚舌だったサウジは、アメリカがISISに宣戦布告をした以上、親米を続ければ、自分たちがISISのターゲットになりかねない。矛先を宿敵ヨルダン等へ向けることが出来ても、ヨルダンが不安定になれば、今度はイスラエルはどうでるか。

結局、戦後から70年、平和主義が、ブーマー ジェネレーションx ミレニアルと移る過程で、先進国のリベラル化は、ワールドオーダーの多元化を促進し、ワールドオーダーの多元化は、最終的にはノーオーダー状態になる可能性が判ったといこと。ちょうど先週キッシンジャーが最新の寄稿でこのリスクを触れたが、個人的には、これがすっと主張している4THターニングの始まりだと考える。

ワールドオーダーの多元化は、中国やプーチンは虎視眈々とそのチャンスを狙うところ。米国の保守派はそうなることを恐れ、オバマも、そのリスクから(ワールドオーダーの混沌)、長年の米国の矛盾に自分で手を突っ込むことになった。

面白かったのは、スピーチ後、オバマの弱腰を攻撃してきた共和党保守のマケインやギングリッチの顔が曇っていたことだ。今回オバマは終わりを示唆していない。ISISの完全撲滅は大仕事、当然彼だけで終わらない。次の政権、その次の政権に、オバマは重大な責任を残した。これは、こういう状況にアメリカと自分を追い込んだこれまでのアメリカの矛盾に対する彼自身の怒りを感じた。ギングリッチとマケインはその意図を感じているようだった。 (マネー原理プロから)

いずれにしても、このオバマを日本が対岸の対岸の火事だと思っていると、その日本人の思惑とは逆に不幸な歴史はまたやってくるだろう。ノーベル平和賞を貰ったオバマは、ブッシュのイラク戦争には反対し、イラクとアフガンから撤退した。だが彼は大統領になる前から戦争自体は否定していない。

日本はこのアメリカと、軍事経済同盟を結んでいる重さを今一度考えるべき。日本の外では、戦争を否定しながら平和を主張することは「迷夢の酔者」。戦争はやらないにこしたことはないが、相手がいる以上、理想では安全は確保されない。

恵まれた日本の戦後世代は、自分の時代がどうだったかに関係なく、現実的なグローバル真理を次の世代に伝える責任がある。まさに自分はその恵まれた世代。時代の既得権益者で終わることは、最も非平和的で、無責任な行為だと考えている・・。


1.3m Chinese tourists visited Japan in July--a monthly record 
But 53% of Chinese expect their country to go to war with Japan (FT)      (イアン ブレマー)

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