2015年1月6日火曜日

経済メディアの実力



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150104/k10014412491000.html


ことしのアメリカ経済は、引き続き拡大し世界経済をけん引していく見通しで、中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が、6年以上続けている異例のゼロ金利政策をいつ解除して、利上げに踏み切るかが世界の金融市場にとって焦点の1つになります。アメリカ経済は、原油価格の急落によるガソリンの値下がりの恩恵もあって、個人消費が勢いづき、ことしは去年を上回る3%前後の経済成長で世界経済をけん引していくという予測が多くなっています。世界の金融市場にとっては、アメリカのFRBが、6年以上続けている異例のゼロ金利政策をいつ解除して、利上げに踏み切るかが最大の焦点の1つです。FRBは先月、「政策転換を始めるまで辛抱強く対応する」という新たな方針を示して利上げの模索に入ったことを表明し、イエレン議長も、ことし4月以降、景気を見極め判断することを示唆しました。金融市場では、FRBの利上げを意識したドル買いで、すでに急速な円安ドル高などが進んでいて、今後、実際に利上げに踏み切った場合、新興国からの資金の流出など不安定な動きをもたらしかねないという根強い懸念も指摘されています。このため、FRBが日本やヨーロッパに先んじて、市場への影響を抑えながら歴史的な利上げに踏み切ることができるかどうかが、世界経済の行方を左右することになりそうです。  (以上 NHKから抜粋)
日本の経済メディアは、アメリカの中央銀行の記事でずっと間違いを続けている。記事の骨子には影響はないものの、先進国で、またアメリカの友好国でこの間違いをしているのは日本ぐらい。NHKなら、この程度はご愛嬌。しかし日本のWSJを自認する日本~新聞も同じようなレベルだ。無視でもいいのだが、年初なので指摘する。
                               
まずFRBを「連邦準備理事会」と訳するなら、そのFRBは米国の中央銀行ではない。米国の中央銀行はFED:Federal Reserve Systemが正しくFRBはその一部。(稀にFederal Reserve Bankの意味で使うことがあるが、ソレも中央銀行としては間違い・・)

そして、言うまでも無く、金利政策はFRBではなくFOMCが決定。ただし、FOMCは政策決定会合と訳されるが、本当は会合というよりFEDからも独立した組織である。

FOMCは定款で毎年年初の会合で議長と副議長を選定する。(任期1年。殆ど知られていない) 慣例で議長はFRB議長が兼任するが、必ず形式的な投票をする。

一方副議長は、FRB副議長ではなく、NY連銀総裁が担当する。つまり、FOMC当日にイエレンが風邪で欠席した場合、裁量権を持つ議長役はフィッシャーではなくダッドレーNY連銀総裁だ。

NY連銀はウォール街の大銀行を株主にした民間企業。ならば、ウォール街が国家政策の重要な鍵を握ることが可能。

そして最大の間違いは、FOMCの決定は多数決であり、テクニカルにはFRBの思い通りにはならないことがありえる。そうなるとこの記事の表現は、完全に間違い・・

まあアメリカ国内でさえ、普通の人の多くはいまだグリーンスパンが議長だと思っている。よってどうでもいいのだが、先日も触れたように、アメリカが日本のような単一意思国家ではないという点をいまだに抑えていない。その曖昧さは問題だ。

経済のニュースならまだいいが、政治ならもっと深刻。いずれにしても、この程度のアメリカに対する認識で、アメリカ市場に東京市場を振り回されていることになんとも思わないなら、そこがいかにも日本的といえる。

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