デトロイトの破産を受け、俄かにシカゴの未来も騒がれ始めている。シカゴ市のバランスシートの酷さはデトロイトに劣らないからだ。ただシカゴには十分な人口があり、悲壮感はない。一方でミシンガ州はデトロイトをサポートする余裕があった。しかしイリノイ州は州として全米で最悪のバランスシート。シカゴを支える余裕はない。下手をすれば共倒れ?である・・。
この実態はここに暮らすと実感できない。シカゴは先物を中心に金融が発展し、郊外のメーカーに勤める保守派や農家は地道に生きている。表面的にはバランスが取れているのだ。だがここ何年か、バランス重視の危険も感じている。二極化の中でバランス重視は埋没するからだ。平時から乱世へ。経済では中間層が疲弊する際にそれは顕著だ。
ところで、狭いところに日本人だけが住む日本は、ブームになると、政治も相場もオセロのゲームのような展開になる。だが広大なアメリカではそうはいかない。平時はそれでいいが、国家が困窮すると、世界を巻き込む大掛かりなドクトリンでバインドする必要がある。さもないと分裂する。ではその際どこが分岐点になるのだろう。
英語でMEAN CENTERという言葉がある。これは様々なカルチャーが各地に散らばる米国の人口動態の中心という意味だ。因みに日本は岐阜県がMEAN CENTERらしいが、米国のMEAN CENTERはミズーリである。
これまでここではFRBの地区連銀本部がなぜ経済規模の小さなミズーリに二つもあるのか。(セントルイスとカンザスシティー)そしてセントルイスのバラード総裁がなぜ硬軟を繰り返すのかを触れてきた。
岐阜県が日本政治で重要かどうかはわからないが、ミズーリ州は大統領選の予備選では重要だ。ミズーリ州を勝った候補が本選で強いとされる。一口では集約できない米国全体のトレンドをミズーリの結果から判断しているのである。
なら隣接するシカゴの未来を一番感じているのは、セントルイスのバラード総裁ではないか。彼は今最も米国経済の見通しに弱気な地区連銀総裁である・・。