2011年5月28日土曜日

学術と仁術

もう一度TOOBIGTOFAILを見ると、一回目は気ずかなかった点があった。まずリーマンのファルド会長は、他のウォール街のトップとは異質な点が一つあった。それは彼はリーマン一筋だったこと。コレは人材の移動が激しいウォール街では異例。彼は30年以上にわたり、リーマンの花形コースを歩んだ。そのせいか、彼はリーマンの現実を受け入れるが遅れた。

JPモルガンのダイモン会長は、CITIを非情な形で辞めさせられてから浪人し、その後にシカゴのバンクワンで出番をまった。またカミソリの異名をとったジョンマック会長も、一度モルガンスタンレーディー-ンウィッターを追われた。ブランクファイン氏に至っては、勤めていたゴールド専門の商品会社がGSに買収され、その後頭角を現してGSへのトップにまでなった人だ。この事から、会社の現実を受けいるには、挫折や会社の外にいる(いた)経験が大事ということになる。

そして意外にヒーロー扱いだったのがジョンマック氏。ガイトナーNY連銀総裁(現財務長官)に「JPと合併せよ」と脅されたが、合併するなら「株は1ドル。従業員は60%解雇」と冷たくダイモン会長に言われると、血眼になって別の合併先を探す。そして彼は三菱を引っ張ってきた事で二万人の雇用を守ったヒーローになっていた。

金融をやっている以上この国の若い金融マンがこの人たちに憧れるのは判る。だが個人的にTOOBIGTOFAILで感動する場面はなかった。それよりも感動なら「仁」だ。前シリーズに登場した緒方洪庵の言葉を先ごろNHKが紹介していた。洪庵はこの心得をドイツから学んだらしいが、「仁術」という言葉は彼のオリジナルだろう。「仁術」。この言葉がこの仕事に必要ないのが空しい・・。



医の道は己のためにあらず
人のためのみ
出世や名誉を顧みず 
自分を捨て
ただ人を救うことのみを
願いなさい

不治の病の患者に対しても
苦しみを和らげ
一日でも長くその命を保つことに努めなさい

たとえ救う事が出来ない病であっても
患者の心を癒すのが 仁術というものです

学術に励むだけでなく
患者から信頼されるように
ならねばなりません

人々から
命をゆだねられるに値する
誠実で温かい人間となりなさい

                             緒方洪庵




2011年5月27日金曜日

死と資本主義の関係





冒頭の写真の人々は今週亡くなった人たちである。

上 <Huguette Clark>

彼女をここで紹介したのは、昨年日本で高齢者の行方不明が続き、遺族の中には不正に年金を請求していた事が世間を騒がせた時だ。物悲しい日本の現実と、NYの大金持ちの老人を対比させた。

彼女は、1920年代、ロックフェラーの次に金持だったクラーク卿の一人娘、ヒューガットクラークさん。70年代に最後に姿を観られてから、40年間NYの病院で暮らし、その間は謎の会計士以外に彼女を観たという人はいなかった。5番街の豪邸とカリフォルニアの大邸宅は時価200億円。ずっと空き家状態が続いた。ところが、別の別荘とモネ(絵画)を謎の会計士が売却、それをきっかけに警察が調査に入った。本日、彼女は104歳で亡くなったらしい。

同じ日、NYでは医療制度の改革を掲げた共和党候補が予備選で敗北した。オバマの救済策に怒り、中間選挙で共和党に入れた人々が、今自分への救済を削られる話にはNOを突きつけたのだ。

これで判った。なぜ2012年の共和党候補者の顔触れが動物園の様相なのか。もともと日本の自民党と民主党に大差はなく、政党の批判やマスコミの攻撃は小沢氏や管総理の個人が好きか嫌いかを煽っているだけ。米国も、ロンポールやギングリッチを支持するセクト集団を除き、真の共和党の政策を支持する人はもういないという事だろう・・。


中 <John Delaney>

彼は、2000年以降、ブッシュ・ケリーの大統領選などのノン スポーツイベントの未来予測を先物市場で立ち上げ、新たなビジネスモデルを作ったINTRADEの創設者ジョンデイラニー氏。彼は裕福になったにもかかわらず、エベレストに挑戦し、頂上を目前に43歳で死んだ。

当然死ぬ危険性は判っていたはず、それでもリスクを選んだのはなぜか。確かなのは彼が死ねば誰かが引き継ぐ。無謀ともいえる行為の裏で、彼も「命の価値は長さではない」と割り切れる人だったのだろう。

命をかけたリスクへの挑戦が過去の米国の資本主義の発展の裏にはあった。日本でも幕末から明治にかけての黎明期を支えた武士が、命の価値をその長さで測ったとは思えない。だから日本はそこから発展したのだ。ところが、現代はそもそも「死」を前提にしていない戦後生まれの我々が市場原理や資本主義を振りかざしてきた。実はこれは矛盾だった。自身の老化と世界のパワーシフトの中、この本質に今我々は直面している。ならば今さら資本主義のルールを議論している場合ではない。もっとほかの議論があるべきであるだ・・。

下 <Mark Haines>

仕事として10年以上ほぼ毎日CNBCを見続けた。あまりにも濃い女性陣の中、マークハインズの存在が、CNBCにもジャーナリズムがあるという最後の一線だった。突然亡くなったのは衝撃。エリンバーネットも去り、CNBCは本当に動物園になってしまう予感・・。



2011年5月25日水曜日

イチロー流ファインプレー

話題だった「TOO BIG TO FAIL」を観賞した。話が本当だとして重要な点を整理しておく。まず改めて2008年の金融危機の主役はリーマンでなくAIGだった事。そして英国と米国は金融危機に関して一枚岩からは程遠い関係だった事。そしてウォール街のトップは政権に救済を求めつつ、一方政権に全く敬意を払っていなかった事。(ここが日本とは違う)

映画ではバーナンケの出番は意外に少なく、ポールソンの独壇場、そこにガイトナーが絡む。まあ話題作だけに俳優の気合が入り、出来は良かった。そしてこのドラマが今一番参考になるのはこちらの金融市場関係者ではなく日本の管政権だろう。なぜなら、当時の衝撃は今の日本の震災に勝るとも劣らない。そこでもし管政権にアドバイスするなら、この金融危機でのAIG救済の道理を、震災後の東電と置き換えて政府は中央突破をはかるしかない。(恐らくそうなる)その過程でどうやって強引に結果まで持っていったか。そのお手本がこのドラマにはある。ただ観終わってふと思い出したたのは、昔イチローがどこかで言い放った言葉だ。

彼は言った、「普通の人には本当の超ファインプレーは判りません・・」ここでのファインプレーとは打球への反応ではないらしい。「次に何が起こるかの予想」。それによって守備位置を予め変えていると、丁度そこに打球が来てもプレー自体は平凡に写る。結局観客はそんな静かなファインプレーよりも派手なアクション、この映画に沿ってもっといえば、消防士が自分で火をつけ、自分で火消しの大立ちまわりを演じてヒーローにになるドラマに感動してしまうのである。

本来あの金融危機ではイチロー流のファインプレイが事前にあるべきだった。だが起こってしまったらどうするか。限られた時間の中で物事を決定するプロセスの参考がこのドラマにある。そしてAIGを救済するよりは東電を救済する方が道理にはかなう事を普通の日本人も知るべきである・・。




2011年5月24日火曜日

ブレるが負け

「鯨の町」太地町のNHK特集を観た。そして「人」はなんと愚かであるかを改めて感てしまった。ただこの場合の「人」とは登場人物ではなく自分のことだ。なぜなら、このブログでも紹介した米国人が造ったドキュメンタリー映画の「コーブ」を観た時、鯨(イルカ)漁が固有文化である事を理解した上で、それでもイルカを殺すのは止めた方がいいと思った。ところが、今回視点を太地町の暮らしの側から演出したNHK特集を観ると、止めるべきはシーシェパードだと感じてしまった・・。

情けない。なんと未熟か。こんな事ではここで相場を語る資格はない。その意味では先週紹介したHBOのTOO BIG TO FAILではいかにポールソン(財務長官)とバーナンケ(FED議長)を英雄扱いしているか興味深い。なぜならポールソンはよほど自分の描き方が気に入ったたらしく、脚本を観て自分を演じるウイリアムハートを別荘に招待して3日間も仲良く過ごしたという。(Wポスト)

そんな中で今日はイタリアの国債の格下げの可能性で株は荒れた。だが格付け機関の格付けなどはミシェランの星よりもあてにならない。あたかもそれが世界共通の真実のごとく評価するが、すべては恣意的な世界だ。そして相場での勝敗はその種の脅しに振らされた方が負けである。参考までに金融危機で有名になったCDS(破産保険)から観た国債の危険度上位を挙げておく。当然ながらここに日本の国債はない。つまり世界の投資家は日本が破産するとは思っていないのだ。

1ギリシャ  /1393 (BPS)
2ベネズエラ /1026
3ポルトガル /663
4アイルランド/662
5アルゼンチン/612
6ウクライナ /450
7レバノン  /350
8ベトナム  /305
9スペイン  /275
10クロアチア /264
11ハンガリー /260
12ルーマニア /228
13ブルガリア /203
14リトアニア /201
15イタリア  /161
16トルコ   /160
17ベルギー  /156
18カザフスタン/151
19イスラエル /147
20ポーランド /140
21ロシア   /136

一方でソブリンリスク(国家リスク)はその国の国民性が重要と考える人にはCDSは意味のない数値。例えば約束を守れなければ切腹した日本然り、同様にその土地に暮らす農耕民族のベトナムが楽天主義のスペインより上にあるのはおかしい。一方数値が高い楽天的南欧諸国(クラブメド)は、カネ余りの中で救済の枠(EU)が崩れない限りラスべガスのオッズの様なもの。更に農耕狩猟のハイブリッドの旧東欧の国民性からは、ジプシーの様なやり逃げリスクを個人的には感じる。

そして究極は米国。米国は昨年の収入が30億円のニコラスケージが20億で購入した投資様住宅の債務残高を戦略的破産を使い逃れられる国。ではこの仕組みが横行する今の米国のリスクは誰が背負っているのか。

結局金融は脅されてブレた方が負け。出来ないなら、同じテーブルで勝負してはならない・・・。



2011年5月21日土曜日

裁きの瞬間(THE JUDGEMENT DAY)



今日のNYタイムスの経済面一面には、「間違った投資を救済する資本主義」との皮肉なタイトルがあった。米国の事を言っているのかと思ったら日本の事だった。記事は東電の債務放棄を銀行に求める日本政府の姿勢の非難。バカバカしい。意見は様々だが、米国も全く同じ事をしているではないか。違いは金融危機と天災の違いだけ。米国は仕方がなかったというなら、日本の資本主義の姿を批判する事は出来ない。問題は、日本の場合、「クッション役」を強いられる銀行が米国の様な優遇をされていない事だ。邦銀はいまだバブルの責任を負わされたまま。でこれでは救済資本主義の新トレンドにも乗れない。

そして同紙にはもう一つ興味深い記事があった。経済面ではなく一面に堂々と載った記事ではなんと明日5月21日は旧約聖書で神が人類最後の日(JUDGEMENT DAY)に指定していると信じている人々の話だった。ノアの箱舟の話も含め、此処では旧約聖書の創世記の話は何度もしたが、この人々の原書の解釈では大洪水から7000年目の明日、神は人類に同じ仕打ちをすると予告しているらしい。

そしてこのグループの主催者が冒頭の写真の老人である。このグループは昔からあり、インターネットでは明日に向かってカウントダウンをしていた。ネットで世紀末をどう迎えるかを広めるために寄付金を集めており、これまでに集まったお金は50億円以上。ただその資金はラジオなどで思想を広める広告代に消えており、この老人が詐欺をしているというわけではないという。 (http://www.familyradio.com/index2.html)

ところで、もし本当に明日が人類最後の日なら、その瞬間人は何を抱きかかえているだろうか。この仕事からは米国人は株、ユダヤ人はゴールド、アラブ人はコーラン、フランス人は女(異性)、日本人は米債、ロシア人はボッカ、ブラジル人はサッカーボール イタリア人はワイン・・・といったところ。意外に難しいのが中国人と英国人だ。思い浮かばない。

そんな中、今日のテーマを聞いて少し前にこちらで新聞記事になった「インディアンの言い伝え」を思い出した。彼らが考える世紀末、インディアンは米国大陸を振り返る。「自分たちはバッファローを追い、その肉を食べ、女性を抱き、そして眠った。そこに白人がやって来た。白人は肉を食べないのにバッファローを殺し、政府を作り、お金を持ち込み(産業を興し)我々を追いだした。だが彼らは何も残す事はなかった・・」 

米国の歴史では、西部に白人が入植を開始した18世紀中旬、僅か15年でバッファローは6000万頭が70頭にまで減ったといわれている。鉄道による物資の輸送が可能になり、バッファローの皮が東部の産業支えたのだ。だがその裏で6000万頭の命を15年で70頭にまでする破壊は凄まじい。

白人は銃で簡単に撃ち殺し、殺した後は皮を剥ぐだけで肉は食べない。神聖なバッファローの無数の死体を前にインディアンは白人を呪っただろう。 この言い伝えにはそんなインディアンの怨嗟を感じる。(このあたりを知りたければアカデミー賞になったダンス ウイズ ウルブスが良い。)

では自分は世紀末の最後に何を抱えていたいのか。実は何もイメージはないが、あの大津波から命からがら逃れた人々が、がれきの中で探しているのが家族の写真だったのがヒントかもしれない。人と動物の違い。やはり最後は人として生きた証明がほしい。

それにしても冒頭のソシエテジェネラル社のローマのお金のチャートは素晴らしい。実はローマが凄かったのは、自分は滅んでも次を生んだ事だ。ならば米国よ、自分が衰退するのが嫌だからと言って、他を世紀末に巻き込むのだけはやめてほしい・・。 



2011年5月19日木曜日

資本主義の正体、(顧客レター)




明日はLINKEDINに加え、ロシア版GOOGLEの上場もある。中国にロシア、金融に国境はないならそのうちアルカイーダも上場できるのか。ただこの背景には競争に晒され地盤沈下が激しいNYSE、またこの株の上昇とは無縁に収益が低迷した引き受け部門の焦りもあろう。つまりこれらは「資本主義の焦り」(米国)や「未熟な資本主義」(中国・ロシア)が過剰流動性の中であぶりだされている様にも見える。そして今日は債券でも100年満期の地方債が話題だった。このように、投資家が見境なくが何でも買うようになる現象をバブルと呼ぶなら今がソレ。だがこの現象をバブルと呼ぶのはおかしい。なぜなら米国は意図してバブルを起こしている。だからこの現象はバブルではないと考えるべき。

そんな中こちらではリチャードクー氏が話題。上の図は彼のモノだが、FEDがバランスシートを膨らましても、ローンとM2伸びず消費は低迷する、日本型の流動性の罠に米国もあることを紹介している。ではこんな状態で堅調なこの国のGDPはどこからくるのか。そこは米国。グラフでの実態は日本と同じでも、ギャンブルとの批判を承知で金融は殺さなかった。ただこの実利は国民全体ににいきわたっているわけではない。コレが厄介だ。米国は戦略としては今後もQEを続ける事は可能。いやソレしかない。だがその副作用の政治リスクをどうするのか。それがこれからの相場の底流。そしてこの戦略の顛末は二通りの可能性。敢えてメキシコのようになるか、さもなくば州ごとの分裂だろう。ちょうどこの先週の5月12日は南北戦争勃発から150年である。2012年後は準備が必要か。

そういえば、ブログを整理してい発見した。2006年前後、「今日の視点」では米国の住宅市場が崩壊すれば、まず「市場原理」が終わり、そして「金本位制」が復活する可能性を触れていた(ブログ参照)。自画自賛だがここまでは当たっている。そしてその後は資本主義を標榜した先進国は「マルクス」に敗北するしていた。住宅市場崩壊のWARNINGで顧客に「資本論」を送ったのはその時だった。ならばここまでは米国の属国でよかったが、これから先は復興の難題に直面する日本はどうなるのか。米国追随の先がメキシコか、純粋な社会主義国家か、今から考えておくべきだろう。どちらも嫌なら新しい価値を考えるしかない。ソレは可能。なぜなら学問として~主義が生まれたのはせいぜいこの300年の話。日本ではそのずっと前から日本人が日本人として立派にに生きていたではないか。

そして日本が自分で信念を持って考え出した新しい仕組みには他国の揺さぶりも不要。ならばロンポールが大統領になるのが一番。そしてそれは米国が米国らしく復活する唯一の可能性である・・。






2011年5月18日水曜日

俳優の力





今から来週月曜日公開のHBOのオリジナル映画が話題になっている(写真)。タイトルは「TOO BIG  TO FAIL」。日本でも原書は翻訳されたが、2008年の金融危機の主役達を全員揃えている。特に主役どころのポールソン役のウイリアムハートやバーナンケ役のポールジアマッティは完全にハマっている。脇役もケーブルのオリジナル映画としては異例の一流どころばかり。いかにこのドラマに俳優が出たがったかが判る・・。

そういえば、この国では近代で最も評価された大統領が俳優だった。まあ民主主義ではリーダーの演技力は重要。ならば本来政治には俳優は向いていおり、その力を侮ってならないという事だ。その意味で日本では俳優が政治家になった例があまりない。「芸能人」という言葉はどこか差別的だが、日本人は実務を知る官僚出身の政治家に安心を求め、一方で既存の政治家の演出力に不満を言っている矛盾を感じる。

そして今の米国俳優の多くは民主党系。ただ共和党系でも現職の間は「隠し子を隠し通した」シュワルツネッガー然り、クリントイーストウッドの手腕も評価が高かった。そんな中、前回オバマを応援した有力な30~40代の俳優の「オバマ離れ」が激しい。その筆頭はマットデーモン。彼はイラクの大量破壊兵器をでっち上げたCIAと米国政府を現場の兵隊の立場で追及した「グリーンゾーン」でも主張を見せた。そして今、彼はウォール街の言いなりになってしまったオバマを強く批判している。

ただこの国において映画の本当の意味は自浄作用を演出することかもしれない。ウォーターゲートでの大統領の陰謀や、ケネデイー暗殺の真相においては副大統領まで犯人扱いする演出は、米国社会の矛盾を自分から曝け出す勇気を感じた。だが、冷静に考えると、「国家としての間違い」も映画にしてしまう事で、実は社会のガス抜きの効果がある事も忘れてはならない。その意味でこのHBOがどんな効果になるか。ウォール街を正すのか、あるいはこのまま許してしまうのか。注目したい。


http://www.hbo.com/movies/too-big-to-fail/index.html

http://www.hbo.com/movies/too-big-to-fail/index.html#/movies/too-big-to-fail/cast-and-crew/index.html







2011年5月17日火曜日

大統領選の甘い罠





フランスの時期大統領選で「サルコジに勝てる」と言われた国際通貨基金(IMF)のストラスカーン理事長がなんと強姦罪で捕まった。IMFの本部はワシントンDCなので、氏がNYで捕まるのは不思議はない。本日はそれに絡んで陰謀説などの噂も飛び交った。だが氏には母国で実績があるらしい。実は冒頭の魅力的な女性はカーン氏が本国で「悪さ」をした時の被害者とされている人。彼女は家族のアドバイスで告訴はしなかったが、写真は英国の高級紙ガーデイアンに掲載された。

写真はソフィーマルソーの若い時のような典型的フランス人女性の魅力を放っている。噂が事実なら、どうやらカーン氏と自分は女性の好み同じだ。ならば言う。個人的にはこの種のフランス的魅力を放つ女性を米国ではあまり観る事はない。やはり陰謀説を感じる。

さて、この国では2008年の予備選では健闘したハッカビーに続き、今日はあのDトランプも大統領選には出ないと正式に表明した。まあ元々彼が共和党で出るのは無理があった。過去一度も共和党に献金した実績がなく(Wポスト)、また彼自身は何度も戦略的破産を使い自分は生き延びた人。つまり彼はこの国の救済の仕組みを最も有効的に使った人で、その本質はバリバリの民主党である。

それがオバマの政策は米国を滅ぼすと意気込んで共和党候補として可能性を探ったわけだが、それが無理と判っても周りが騒ぐ間は無所属での出馬をちらつかせた。これは自分のブランド力の更なる向上を図ったしたたかさだった。だがもしかしたら裏目に出たかもしれない。なぜなら出馬の噂に絡み、先週NYタイムスに彼の今のビジネスモデルが暴露されしまった。

実はここでは過去何回か彼の近年のビジネスモデルを紹介している。それは彼が自分では開発投資をせず、他人にトランプの名前を貸し、ブランド料として手数料を徴収していた事。そしてこのモデルを最初に紹介したのは2008年の春だ。

当時離婚したばかりの元夫人が開発業者と組んでラスベガスにとんでもない投資をした。それを横目に彼自身は手数料ビジネスへ転換を図っていた。その時ここでは「トランプ氏は不動産市場のピークを感じている」とした。結果はその通りとなった。

彼が好きか嫌いかは別に、それ以降個人的には何度も修羅場をくぐった彼をこの国でも正しい判断ができる少数の一人として扱った。一方で彼は2010年にもまだ全く不動産に興味ないと言い続けながら自分の名前は貸し続けた。そして今、彼の名前がついた物件を買った人々が損を抱えても知らん顔だ。

これにNYタイムスがかみついた。「トランプ物件」に投資をしてしまった人の声として、パンフレットには「トランプ氏は名前を貸しているだけで、物件に投資はしていない」との注意書きはなかったと紙面で証言。これに激怒したトランプ氏はCNBCのインタビューの最中に我を失って声を荒げNYタイムスを非難した。

こうなると大統領選どころではない。下手をすれば集団訴訟の対象である。またそうなれば彼のブランドの象徴であるNBCとの契約さえどうなるか(APPARENTICEシリーズ)。いきなりピンチに立たされたかもしれない事を察してあの激怒になってしまったのかもしれない。

一方で先週はあのロンポール氏が再び大統領候補者として正式に立候補した(写真ボトム)。80年代にはじめて立候補して以来、確認しただけで3度目。ただこれまでの立候補がセクトを代表する位置づけだったのに対し、今回はひょっとしたらひょっとするかも。なぜなら他の候補者はみなジョークの様な顔触れで、一番まともな現インデイアナ州知事のダニエル氏が若者にインパクトがないからだ。

ではこのFED大嫌いの老人が若者に受けるのか。個人的には意外に受ける可能性を感じる。なぜなら彼はリバータリアン。リバータリアンは共和党の本流を支えるキリスト教系の厳しい戒律とも無縁。麻薬も個人の自由。また同棲愛の権利も否定しない。つまり政府の大原則は個人の権利に干渉しない。そして他国に干渉すべきでないという姿勢も徹底しており、沖縄からの米軍の帰還も大賛成だ。

一方集団で暴挙に出るリスクを判っており、彼はなぜアフガニスタンでなくイラクに侵攻するのかと、03年の議会の戦争容認に、08年の共和党の大統領立候補の中で唯一反対した(オバマと全く同じ)。そして極め付けはFEDの廃止。ただロンポールは中央銀行の機能を否定しているのではない。今のTOO BIG TO FAILを容認するFEDの在り方を否定しているだけだ。そして彼は昔からゴールドやシルバー等の商品の裏付けのないマネーに国家が依存する体制を強く批判してきた実績があり、結果としても今の世界情勢で誰が正しかったかは一目瞭然である。

こうみると、実は彼は正しい事一番言っている可能性があるが、米国の塊の世代が怠惰になり、これまで変人扱いされた面も否定できない。そんな中バーナンケFEDによって救われたのは金融市場にかかわる人間とベービーブーマー世代が中心となると、その不満を代弁しているあのローリングストーン世代がオバマへの失望の代わりに彼を支持する可能性はあるのではないか・・。



2011年5月16日月曜日

逆説のリスクオン (顧客レター)



一般的な相場の解説では、昨日(5・11)がリスクオフで、今日(5・12)がリスクオンになる。今相場はこの繰り返しをしているだけ。そしてこれまで株や商品を買う日がオンで債券を買う日がオフと皆が考えていると考えた。ところが、「リスクオン」に関して別の考え方がある事を知った。

この逆説では、商品や株を買う「リスクオン」は積極的にリスクを取りに行くという意味ではない。マネーの価値が下がる(つまりドル安)へのリスクがオンになるので、仕方なく株や商品でヘッジするという意味があること知った。なるほど本質はこちらの方が正しい。

ところで、オンの日は同時に上がる株とオイルが逆に動いた日が今年は一度だけあった。それは2月。エジプトの動乱が勃発した時だ。この時はFACEBOOKに映像が流れ、急騰するオイルを観て株が下がった。しかしその後は日本で大震災などがあり、その際も世界にあり余る金は「破壊を歓迎」する非常識をまざまざと見せつけ通常のリスクオンが復活した。

いずれにしても、定説のリスクオン・オフの言葉の使い方は今の金余りの風潮をよくあらわしている。ただ上の写真然り。ムバラク後のエジプトがセクタリアンによって支配されるとイスラエルの背中に火がつく事になる。その際は定説のリスクオンだけのプレーヤーは勝てないだろう・・。






2011年5月12日木曜日

火水木金

今日から5月末まで、米国時間の朝方、東の空には火星、水星、木星、金星が一度に集まる現象が観られるという。それも毎日少しず少しづつ形を変え、30日には離れていってしまうらしい。そして一番の驚きは、NASAによると次にこの現象がいつ起こるか判らないという事。

NASAをしてなぜ次にいつ起こるのか判らないのか。いずれにしても地震の前にはスーパームーンが現れた。皆パソコンを離れ、生きている内に観ておくべきだろう・・

<NASA YOUTUBE>

http://www.youtube.com/watch?v=__RLPmenKeo




2011年5月11日水曜日

天は味方、天は敵 (顧客レターから)







(画像は上段右から順に、2010年4月/2011年4月/2011年5月のミシシッピー川の沿岸の水没地帯拡大の様)



ちょうど半年前、中間選挙の結果が出た。事前の予想通り民主党の惨敗。そこからオバマは抜け殻のようになり、代わりにベイナー新議長が躍り出た。ところがベイナー氏は個性を出す前に埋没。共和党は選挙には勝ったが牙を失った状態になった。そしてここにきてオバマには神風が吹いた。米国はついにビンラデインを殺したのだ。それもオバマ個人の決断が正しかった事が証明される形で・・。

ここが大事。結果、民主党の総意の中で、再選体制と引き換えに埋没してしたオバマは再び就任当時のようにグリップを握りかけている(あるいはそれ以上か)。そしてここからが市場にも影響する話。グリップを握り直したオバマはドットフランク法案を含め、庶民にとって悪になる商品市場の引き締めに着手するはず。株を崩さすオイルだけを鎮静化させるのは至難の業。だが昨日のNBC/WSJの調査では、オバマの支持率は総合は50台に乗せる回復を見せたものの、経済のかじ取りで42から34への暴落している。ならばここを躊躇している場合ではない。

恐らくこれらが先週から発動されているCMEなどの証拠金引き上げの背景。オバマは大統領に就任したばかりのころ、反金融を鮮明した彼のエネルギーは株にプラスではなかった。だが2009年の3月に民主党の総意に沿って妥協。そこからはオバマチャートは株と連動した。ではオバマ復活が市場にどんな影響を出すか。そして埋没していたベイナー氏もどうやら今日から反撃に出ている。彼はDEBT CEIELINGを脅しに使うガイトナーと対決する様相。いずれんしても、米国内でもこの見極めがポイントだろう・・。

ところで、4月はイリノイを含めた中西部から東部にかけての6州(Indiana, Ohio, Kentucky, Pennsylvania, and West Virginia)では史上最高の降水量。一方でフロリダなどの南部は4月の平均気温が更新。そして中間であるアラバマなどでは3日間で305の竜巻が発生、4月一カ月のトータルは800を超えて全米の記録を更新した。そしてテキサスは95%で乾燥が続き、テキサスより西を中心発生した山火事の面積は2000年以降最大になった・・。

ワシントンポストは、LANINAと温暖化だけにこの現象の答えを求めるのは無理・・としている科学者はコメントを掲載した。まあいざという時、科学者があまり役に立たないことは、地震を予知できなかった日本は実感している。米国が同じ目に会うのもう少し先だろうが、このニュースと農務省が発表した春小麦の作付が事前の予定の22%にしか満たない報道でCBOTの穀物は再び荒れ狂う様相。

この点にこにおいてはビンラデインでオバマに味方した天は、オバマの敵にまわっている・・。

2011年5月10日火曜日

ベストオブベスト

そういえば、オバマはビンラデインをやっつけた事を日本には連絡してこなかったと聞いた(最初の7カ国の中に含まれていない)。まあ日本は常任理事国でもなく、またドイツのようにアフガンに展開する多国籍軍に参加して50人前後の自国兵を死なせたわけでもない。だから日本が後回しになるのは当然である。

まあそんな事で日本人を一喜一憂させる日本のメデイアがあるとしたら愚か。そして米国はビンラデイン追跡に10年の歳月と1兆~3兆ドルのコストと15万人の人命を犠牲にしたといわれる。(エコノミスト誌等)この中には言いがかりだったイラク戦争のコストがどれ程含まれているのか定かではない。

だがもしそれなりに含まれるなら、オバマが日本に連絡してこなかったのは片手落。なぜなら日本はいいがかりのイラク戦争に付き合わされ、8000億円ものイラクへの債務放棄を米国から強要された。今この8000億があればどれほど東北が助かるか。それを取り上げる根性のあるメデイアは日本にないのだろうか・・。

ところで、日曜日に「60ミニッツ」に出演したオバマは、あそこにビンラデインがいるらしいという状況証拠が積み上がってからも、手段について政権内の意見の食い違いは大きかったと告白した。そして、その食い違いを越え、自分があのオペレーションを決断した最大の理由を、その場での判断を含めた実行部隊の能力を信じていたと強調した。

そもそも状況証拠は十分だったが物的証拠は無かった。では武器を持って踏み込んだら、そこにいたのがドバイのプリンスだったらどうする。その場の判断はSEALSがする事になる。オバマは曰くいわく彼らはベストオブベスト」彼はそのケースのダメージも含め、試す価値があると決めた。一方ブラックホークはまたダウンした。ただこれも「想定外として想定していた」というつまりバックアッププランがあったのだ・・。

国家のリーダーが自国の精鋭をベストオブベストと信じる事は大事だ。では日本が誇るベストオブベストは何だ。管総理がまず答えられなければならないのはそこ。もし答えられないなら造る事。それが独立国としての国策である。


<60ミニッツ>
http://www.cbsnews.com/video/watch/?id=7365396n&tag=related;photovideo

2011年5月7日土曜日

仁-JIN について


<画像は近代日本人の肖像画から引用>


今年の大河ドラマは酷い。代わりに「仁-JIN」を観ている。オリジナルの漫画は知らなかったが、勧められた前作に感動し、続編を待っていた。前作では緒方洪庵のセリフに作者の力量を感じた。そして新作では初回にあの佐久間象山を持ってくる妙を感じた。象山は長野県人にとっては地元の英雄。ただし彼が吉田松陰や勝海舟に与えた影響は一般的に知られていない。実際に残された写真の象山はとても日本人に見えないが(セム系の顔)、信州の山に囲まれて育った彼がなぜあそこまで開明的だったのか。創作ドラマとはいえ、その理由にタイムスリップを用いるとは、ストーリーの創作が中途半端な今年の大河は足元にも及ばない。

一方でこのドラマがヒットする背景には「命」をテーマにした医者と患者の物語がある事も見逃せない。震災ドキュメント然り、日本人は命の話が好きだ。そんな日本仁の気質が功を奏したドキュメンタリーをNHKが放送していた。世界的宝石盗賊団のピンクパンサーを欧州大陸まで追いかけたモノだ。欧州の警察機構が手を焼く彼らになぜNHKが近づけるのか。米国に狙われたWIKILEAKのジュリアンアサンジ氏ともNHKは対面したが、どうやら彼らは「日本人を騙す事はあっても日本人に騙される事はない」との安心感を持っているのが窺われた。

「仁-JIN」以外にも、連休中は貧しい国で活躍する日本人医療関係者の姿が強調されていた。やはり日本人の根幹は善。そしてその象徴が皇室だろう。一方米国では善はなく、代わりに正義がはびこっている。善と正義。似ているようで逆。自分勝手な正義と自分を後回しにする善。当然この仕事(金融市場)は善は必須ではなく中途半端が一番儲からない。つまり、一般的な日本人には不向きなのが金融市場である。

ところで、最近ピンクパンサーと同じセルビア人の隣人がこの国で生きる知恵を改めて授けてくれた。先週末、庭の大木の枝を切り落とすためにHOME DEPOTからチェーンソーを借りた。レンタル料は40ドル。悪戦苦闘し、何とか枝を切り落とした筆者に彼が聞いてきた。「コレ(チェーンソー)はどうしたんだ?」「40ドルで(HOME DEPOT)で借りた」と答えると、彼は教えてくれた。「まあいいか。だが連中(セルビアの同胞にカーペンターが多い)はそんな事はしない。彼らは新品を買う、そして用が済んだら汚れを落とし、何食わぬ顔で返品する・・。これがコツだ・・」。

なるほど。数日ならレシートがあればHOMEDEPOT引き取るだろう。それが彼らのマニュアル。残念ながら思いつかなかった。「JIN-仁」を観て感動している自分の甘さを痛感した・・。






2011年5月6日金曜日

SEALSの仕事

レター3で触れたように、周りの株や穀物のトレーダーは比較的冷静。一方シルバーとゴールドはもう少し下げがあるか。いずれにしても、窺える参加者の心理から、ここから先の相場のカギは為替ではないだろうか。

http://www.reuters.com/subjects/bin-laden-compound

ところで、ビンラデインの写真についていろいろ噂が飛び交っている。上に添付したロイターには、ビンラデインと共に撃たれた3人の男性の死体が載っている。(自己責任で観賞)ビンラデインと共に死んだのは息子と仲介役、そしてその弟とされた。死体の顔はその話を裏付ける印象。この写真は現場に駆け付けたパキスタン軍関係者によって撮影されとなっているが、あの状況の中で全員が見事に一発で頭部を撃ち抜かれている。これがSEALSの仕事か。この写真からやはりビンラデインはここで撃たれ死体はSEALSに持ち去られたと診るのが正しいだろう。

ところで、今日はオバマは9/11の跡地まで出かけ遺族ともに献花をした。矢継ぎ早のセレモニーは選挙を意識しての事。ならばブッシュがこの式典へのオバマの招待を拒否したのも当然だ。だが、共和党が何をあがこうと今天はオバマに味方している。従ってオバマーチャートに連動する株の底流は盤石。つまりここの下げはQE3への必要なプロセスと考えるべし。ここから先唯一の予想外は、米国人によって米国に対して起こされる予想外。日々送られてくる共和党原理主義のメールには、オバマ再選を防ぐ手立てがない焦りがありあり。個人的には米国内にも原理主義は存在し、その中の一部のクレージーを侮ってはならないと考える。オバマはSEALSを周りに配置すべし・・。


2011年5月3日火曜日

コードネームはジェロニモ

ビンラディンとの連絡役かもしれない重要人物の存在。CIAがその人物の情報をつかんでからも長年確信には至らなかったという。だが捕縛され、今は米国の刑務所にいるビンラデインの二人の参謀が(9/11の実行を支配したシークモハメッド)、この人物を口を揃えて知らないと主張することで、CIAは彼がHVT (High Value Target)に到達するカギである確信を持ったという。そしてその人物が首都から離れていない町の奇妙な施設に出入りするのが確認されたのが昨年7月。そこから米国は周到な準備を進めてきた。その間ホワイトハウスでこの話題が議論される際オバマのスケジュールに会議内容が明記されず、オバマを含め5に程度しか知らされなかったトップシークレットで使われたビンラディンのコードネームはジェロニモだった。(ニューヨークタイムス)。

公開されたホワイトハウス内で作戦の模様を眺める面々の写真では、ヒラリーの口が開いていた。国務長官としてはやや恥ずかしい表情。この暴露と事前の徹底した秘密主義。このギャップに困惑する。まあこれも新しいメデイアの時代に向けた政権の戦略なのか。いずれにせよこれで政権が時より見せたイレギュラーな対応のすべて繋がった。パキスタンで捕まったCIAの釈放を二億払って急いだのは今回の作戦が迫っていたからだった(同紙から)。そして何よりもオバマの表情が険しかった理由がはっきりした。そしてNYタイムスは、オバマ本人が1施設空爆 2パキスタンとの合同作戦 3ヘリコプターによる米軍単独の急襲の選択肢から、3を選んだ事を伝えている。そして作戦が成功した今の米国は、オバマ賛辞に加え、ブッシュも再評価せよとの雰囲気である。

このようにJUSTICE(正義)が成されたと喜ぶ米国。ではビンラディンとは無関係のイラクに攻め入り、結果的に十万人に以上のイラク市民を殺したJUSTICEはどうなる。レーガン以後、自分で反省する事を忘れたこの国は、いずれはその正義から逃れることはできないということを忘れてる・・。



永久の自由作戦


「OPERATION ENDURING FREEDOM」直訳すると「永久の自由のための戦い」。有名ではないが実はこれがアフガン戦争の正式名である。ビンラデインの死でオバマは予定通り軍を撤退させ、米国史上最長の戦争に終結宣言を出せる。ならば政治家オバマは勝った。では米国はこの正式名の意図は達成したのか。つまりこの国は本当にこの戦争に勝ったのか。

今日の株はフセインが捕まった時に似ていた。フセインとビンラデインは一度は米国と共に戦い、そして米国によって死んだところは同じ。だがフセインとビンラデインでは信奉者が違う。生前ビンラデインは自分が米国によって死ぬ時が米国に対する全イスラムの戦いの始まりだと言い残していた。ただ一口にイスラムと言ってもトルコやインドネシアの様な(親米)民主国家もあれば、形態は民主国家でも国民の70%はブッシュよりもビンラデインが好きというパキスタンがある。ではパキスタンと動きだしたアラブはどちらへ進むのか。アメリカがもたらした自由が貧富の差なら、アラブでアメリカはイランに勝てないだろう。ビンラデインが死んで世界はどうなるのか。それが正式名が語る真の戦争の勝敗。我々がその答えを知るのはまだ先である。

そして今回の急襲劇ではクリントン政権の経験が活かされていた。ヘリコプターでの急襲はソマリアでの「ブラックホークダウン」と同じ。ただあの時指揮官は反乱軍の頭目を捕縛を命令した。陸軍デルタフォースは予定通り30分で任務を成功させた。だが捕縛した敵を輸送する際上空で待機していたヘリコプターが撃ち落とされてしまった。結果、救出する二次的任務で大勢の米兵が死んだ。その点今回は最初からビンラデインを殺すことを前提にオバマはデルタフォースよりも精鋭のSEALSを送った。先週CIA長官にペテレウス将軍が就任する事の意味を紹介した。この作戦が事前中に準備されたものであることからも、一連の米国の行動はすべて繋がっている。

ところで、連休で明るい雰囲気の日本では先週のロイヤルウデイングのドレスの記事がいまだに散見される。ならばあえて苦言を呈しよう。なぜ日本ではどこのテレビもウイリアム王子が陸軍の軍服を着た事の意味を紹介しないのか。チャールズ皇太子もダイアナ妃と結婚式では海軍の軍服を着た。つまり英国王室男子のハレは軍服。立憲君主国として英国を見習う事が多い日本だがこの点には誰も疑問を抱かない。では日本も次世代の国防では米国の様な専門の特殊部隊を持つのか。

まあ持ったところで命令を下す側が命の値段を冷静に判断できなくては意味はないが、いずれにしても今は復興で必死の日本には異次元の話。ならば個人的理想は日本が放射能から人体を守る特効薬を開発すること。そして原発は続ける。地震はまた起きる。他でも放射能が漏れるかもしれない。すると日本を怖がってテロリストは来ない(願望)。だが特効薬を持つ日本人は大丈夫。そして有益な外国人には入国の際に空港で特効薬を渡す・・。

この話を妄想としか感じないなら、いまだに憲法9条話を越えられない日本は米国から独立するなどと2度と言ってはならない。。




2011年5月1日日曜日

情念の威力(ゴシップから) 






辞書によると、情念という言葉は「理性では抑えることのできない」悲・喜・愛・憎・欲などの「強い感情」とある。あっさり系の今の日本にはなじみがないが、バーナンケスピーチが終わり、相場が一山越えた昨日は、流れていてたテレビから数々の情念を感じた。

まずロイヤルウエデイング。こちらのゴシップ記事では花嫁の母は最初から娘に王子をゲットするスキームを授けていたなどとされた。まあ事実だとすれば見事成就。あっぱれである。確かにどこか憮然としたエリザベス女王とは別に、ミドルトン母娘の表情からは、貴族特有の気品というよりは個人的には強い情念を感じた。

一方エリザベス女王も理性では測れない情念を噂されていた。式にはゴードンとブレアの元(前)首相が招待されなかった。彼らの前任のメイジャー氏とサッチャー女史(欠席)が招待された事からすれば変だ。王室関係者はメイジャー氏とサッチャーがサー・レディーの称号持つのに対し、前述の二人はまだナイトの称号を持っていない事をその理由に挙げた。だが英国でそんな説明を信じる人は少ない。

これもゴシップだが、そもそもエリザベス女王は王室に対して異例の注文を付けたブレア氏を毛嫌いしており、そんな女王の心境と、ダイアナ妃が亡くなった際、葬儀までの日程を自分の政治目的のために利用し、またその過程を本にまでしたブレア氏をウイリアム王子は「あの男は自分の結婚式に呼ばない」と決めていたとされる。ならば哀れなのはゴードン氏。彼はブレア氏を式に呼ばない理由の犠牲になったわけだが、これではまるでブレア長期政権の付けを払わされる形で短命で終わった自身の政権の悲哀と同じではないか。

これらのゴシップを信じるなら、そこから感じるのはやはり情念。そして情念の差が成績に出たと思えるのがフィギアスケートの世界選手権だ。オリンピックで宿敵キムヨナに敗れた浅田は今回も元気が無かった。一方優勝したのは安藤。芸術とアスレチズムの中間のこの競技では情念の差は大きかった。

これもゴシップだが、現コーチと恋愛関係にあり、それもあってロシアに拠点を移したとされる安藤と、どう見ても情念の対象にはなりえないコーチばかりつける浅田。昔は出来たトリプルアクセルが出来ず、苦しみながら気丈にインタビューに答える痛々しい浅田。一方でキムヨナを逆転した安藤からは「天城超え」の魔性の力を感じた。

そういえば楽天の選手が「誰かのために戦う人は強い」と言った。安藤もアスレチズムで4回転に挑戦し続けた時代を経て今がある。ならば浅田が復活するために必要なのは女としての情念。つまりその対象者かもしれない・・。