2009年3月31日火曜日

英語だけの人々

当たり前だが、実は当たり前と考えてはいけない話がある。それは注目のG20サミットには母国語が英語の国と普段は英語を使わない国が参加する事だ。実は普段から英語だけを話す国の代表は米国と英国、それに存在感はまだ薄い豪州だけだ。(カナダは英語だけではないので除く。)言い換えるとG20のそれ以外の大多数の国は母国語を別に持つが、国際会議では英語で参加する国である。

いったい英語が世界の公用語として使われ始めたのはいつからだろうか。私自身は答えを知らない。ただ数百年に渡り英米の覇権が続いた事で、英語圏外の国も無意識に公用語として英語を受け入れてきた事は間違いない。では、誰にとっても英語が一番便利である事は承知の上で、仮に或国がそのルールに異を唱えたらどうなるかを想像してほしい。あまりの非現実性に皆が困惑する事は間違いない。だが今回のG20サミットの本質はこの仮想の困惑と大差はない。だがまだ今はソレが前面に出る事で誰かが利するわけでもない。よって声明は中身に乏しいモノで終わるだろう。

そもそも米国はモンロー主義の影響で国力が発達途上だった19世紀末までは欧州の大会議には無関心だった。そして第一次世界大戦後いきなり実質トップに躍りでた後は、言語もさることながら、西側圏内での国際会議で米国は他国の流儀や価値観を前提にする必要はなかったと考えられる。だがその米国の覇権国家として実力が衰える過程での今回の会議ではそうはいかない。ただ英語だけで事足りてきた現代米国人は、言語も含めて物事を客観的に見る癖が付いていないのが実情だ。

そんな中で米国は「成長」を会議で前面に出す。だが参加国の中には成長と社会や地球環境とのバランス、更には金融という虚構の世界に傾きすぎた事を反省し、文化や宗教を通して国家の価値観の再構築に重点を置く国も出てきている。当然オバマ政権はこの状況を判っている。だが、国内の米国人は自分の資産が減った事は自覚しても米国の国力が相対的に衰えたと自覚する機会はまだない。従って彼らには米国が会議の中心であり、その主張はこれまで他国が追随すると漠然と考えているに違いない。


ただ欧州での会議がラテン語系で行われるようになれば、米国人も「その事」に気づくだろう。英国はその可能性が笑い話ではない事に既に気づいているかもしれない。




2009年3月27日金曜日

米国の解凍

本日は金融機関のトップがホワイトハウスでオバマと会合を持つ。そこでは新しい規制についてとTARP資金(政府資金援助)の使途について、再確認がされる予定という。一方で株式は急に明るさを取り戻したかのようだが、どうやら結果そのムードは金融機関のトップを再び以前の強気姿勢に戻し始めている。

政府の資金が入っている間の報酬規制を嫌い、GSはTARPファンドを早く返したいと以前より表明しているが、先週はバンカメのケンルイス会長まで同じ事を言い始めた。そもそもGSでさえ政府保証で起債をしている身である。給料規制が厭でTARP資金を返すなら本来政府保証を起債から外すのが道理だ。またバンカメのルイス会長に至っては相変わらず信じられない。なぜなら今の状態は量的緩和を含めたFEDによる多種多様の援助で保たれているだけだ。そしてバンカメの様な銀行がGSの様な証券と同じ姿勢になった事がここまで批判されたにもかわらず、彼は特有の強気発言を取り戻した様だ。

だが政府とFEDが行った数々の救済案が、世界が米国一極支配から距離を置き始めた国際情勢の中で最後米国に何をもたらすかは全く未定である。そんな国家が背負ったリスクを無視した金融機関のトップの姿勢にオバマとガイトナーそしてバーナンケがどう対応するが見物である。ただJPのダイモン会長とバンカメのルイス会長の発言のトーンが違っている様に、これからは「慢心」が重要なファクターになろう。

ところで、一時的にせよ市場の危機感が和らいだ米国では、政治モードが金融危機からアフガニスタン、そして緊急課題としてメキシコの麻薬組織との対決になった。米国はアフガニスタンについては世界中を巻き込んだ総絵巻を練っている。本日は政権内の強硬派が誤爆が多すぎる空爆を止め、地上軍の大幅増派で対応すべきとの発言が飛び出している。オバマは政治スケジュールからも本日よりアフガニスタンについて国民に覚悟を決めさせる作業に入ると言われている。そこで彼が本気で大量の米兵をあの魔境地帯に送り込む覚悟があるか改めて注目される。

そしてより緊急なのがメキシコの麻薬組織との対決だ。これは最早や国家として対応せざるを得ない状況まで来てしまった。今の状態は昨年1年でメキシコ国内で7000人が警察及び麻薬組織との抗争で死亡。そして先週は6人のメキシコ人捜査官が殺された。またアリゾナやテキサス州のメキシコとの州境では麻薬組織の流入にからんで米国内でも誘拐や強盗が頻発し始めたという。これを受けて米国は250人の米国人特別捜査官チームを組織しメキシコに送り込んだ。だが昨日その一人が処刑スタイルで殺された。これは映画の話ではない。ヒラリーが急遽メキシコに飛んだのはそんな理由があったからである。

ただこの様な米国らしい活劇的話題が出てきたという事は、暗黒の雰囲気に支配され凍りついたこの半年と比べれば米国の血流が活発になってきた証拠ともいえる。ただ株式市場は時に不思議な動きをする。3・10日前後にこのままではダウは本当に1500になってしまうかもしれないとその当時の雰囲気を述べた。しかし相場はそこから反転した。一方で本日は凍りついていた米国が解凍した雰囲気が漂っている。よって逆に株式相場は大幅下落の可能性を秘めると個人的には考えている・・。


シカゴ五輪危うし

来月IOC(国際オリンピック委員会)は2016年の夏期五輪候補地の最終視察をとしてまずシカゴ訪れる。シカゴの実行委員会はその時にオバマ大統領の強力を取り付けるためにスケジュールでワシントンに協力を要請した事が朝のニュースになっていた。ずばり、石原都知事にはいいニュースだが、今の状態ではシカゴに勝ち目はない。理由は二つ。まず金欠だ。

現在スポンサーになるべき地元の有力企業は不況でほとんどが何もできない状態。そしてその金欠はシカゴ市自身にも及び、雪の影響でボロボロになった市内の道路は予算が組めずに未だに穴だらけだ。そしてより深刻なのは市民の盛り上がりの欠如である。これはまさにWBCに対する米国人の白けムードにも似ているが、五輪に金を使うならもっと他に使うところがあるとの意見は根強い。

いずれにしてもこんな状態で視察団を市内の視察に受け入れたならば、とてもシカゴに勝ち目があるとは思えない。恐らく望みはオバマの協力だけだろう。


2009年3月26日木曜日

日本力

昨日のオバマ大統領の声明は見事な内容だった。株が上がる事と経済が正しい方向にある事を区別し、国家が繁栄するという事は金融機関がステロイドの力を借りて株価を幻想的に上昇させることではないと言い切った。

そしてその過ちをしてしまった今は時間をかけてもう一度米国を正しい方向に導く事が自分の使命であり、米国民にその目標に向かって忍耐と協力を語りかけたのである。しかし、日本人の私は感動したが、この国の反応は今ひとつである。なぜならそれは国民にとって苦しいからだ。

最早目標を失ってしまったこの国(米国)については何も言う気になれない。そんな事より日本だ。昨日も述べたが、日本の政治は指導者に恵まれなくなって久しい。また官僚も経営者も米国流を早く学んだ者が勝者として扱われる時間が長すぎた。

そんな中でWBCを優勝に導いた原監督が名言を残した。「正々堂々と世界のつわものを相手に世界一になって日本に戻ってくることができました。気力と粘りの日本力(にっぽんぢから)を見せつけて勝てたことに、監督として誇りに思う・・」

原監督は「日本力」と言う言葉を自然に使ったようだが、彼のスピーチは昨日のオバマの呼びかけに匹敵する見事なものである。この言葉が国民に届けば、様々分野で日本は復活できるだろう・・。

2009年3月25日水曜日

株は国家なり

最近見た日本のドラマでは準主役として「吉田茂」を登場させるモノが多かった。学生時代に読んだ「落日燃ゆ」はその後の人生感で多大な影響を受けた小説だったので、先週民放で放送された同番組は思わず見てしまった。また通常NHKは意図してドラマを作ると考えているので、なぜ今「白洲次郎」をやるのか。その背景を探るためにこちらも見た。

同時代なので当然だが、共に反戦の立場を貫きながら戦犯として死んだ広田弘毅と徴兵を逃れた白洲次郎の人生には正反対の結果が待っていた。ところがこの二人に同じ距離でまとわりつくのが吉田茂の存在である。吉田茂とはどういう人間だったのか。各論はともかく彼が戦後の日本の枠組み、即ちそれは現在に続く米国との関係の基礎を築いてしまった大悪人か英雄のどちらかである事は間違いない。そしてその吉田茂の大礒の邸宅が焼失した。警察では不審火の可能性もあるというが、吉田邸と前後し住友やモルガンなどの歴史的な邸宅が焼失したと聞けば、この仕事をしている人はその脈絡に気づくはずだ。これは最近ブーム?の「陰謀説」を信奉している誰かによるテロではないかと。

ところでこの種の陰謀説で必ず登場するの名前は世界的にはロスチャイルドにロックファラーだ。そしてそのような名前と日本の混乱期の実力者との関係もしばしマニアの間ではもて囃される。だが知る限りにおいて確証を証明した話は少なく、吉田茂は政治家として高所から混乱に対峙したので陰謀に直接関わる可能性は低かったはずだ。だが確かに吉田の手先だった白洲次郎はそのカッコよさのブームとは裏腹にロスチャイルドの出先だったウォーバーグに在籍した事実からもどこか胡散臭い。

そもそも私の中では白洲次郎は竹中平蔵そのものだ。彼は復興期に外貨獲得を目的に重要産業の外資への売却を試みた。石油会社を始め、新日鉄を安値で英国に売り渡す画策をした話は有名。結果論だが、新日鉄がなければ後の高度成長はどうなっていたか。この点が郵政民営化と米国債投資投資をセットで主張した竹中平蔵と重なる。そして占領下における白洲のカッコいい逸話だけ取り上げてドラマ化したNHKの意図がいぶかしく感じられる。

ただ笑い話もあった。それは吉田の孫の麻生首相の発言。首相は証券会社を「株屋」呼び、「株をやる人はどこか胡散臭い」と言ったのは傑作だった。「株屋」の自分が言うのだから間違いない。その通りである。また儒教国家の日本ではその精神が本来存続してよい。だが傑作なのは、だったら日本の首相として「株式は国家なり」が国是だった米国に追随し、その米国のためにせっせと様々な証券を購入している日本の国益はどうなるのか。麻生氏の発言は真実である一方、首相として正反対の状態に置かれてた日本に対しての認識と補足がない。これは彼がいかに何も理解していないかを証明した。いずれにしてもその日米関係の基礎が吉田茂という祖父によって構築された皮肉からもこの発言は近年稀にみる笑い話、或いは日本史上の国益のボトムの象徴となることを願う・・。


2009年3月24日火曜日

右肩下がりの民主主義

WBC で決勝に到達したのは日韓だった。そして、今回この2チームが残った理由は明確である。それは若くて良いピッチャーが大会に向けて準備したからだ。昨日日本はオズワルドを打ち崩した。ただ本来彼はもっと速い球を投げる(98マイルぐらい)。以前紹介した様に、今回米国チームに入った選手はそれなりにスピリットがある選手ばかり。だから決してオズワルドがいい加減な投球をした訳ではない。それは打たれた後の彼の表情を見れば一目瞭然だ。ただ彼もそれなりの歳。この時期での準備には限界があった。また米国以外のカリブ諸国は良い選手を入れたがお国柄か米国よりも体が鈍っていた。その点でジーターが批評した通り、若くて良いピッチャーが自主的に準備をしたアジアの2強は短期決戦で重要な投手力で抜きんでていた。

ところで良い選手がいても選手の体調が悪く本来の力が機能しないチームの監督は気の毒だ。なぜなら批判は監督が背負う。その昔、米国チームのジョンソン監督が王と前後して巨人のクリーンアップを打っていた姿を覚えている人がどれほどいるかはわからない。彼は巨人時代にデットボールに対して日本人ではありえない爆発をみせた。恐らく大リーガーとして盛り過ぎた自覚の中、当時はまだ弱小だった日本のプロ野球から死球を受ける屈辱が交錯したのだろう。しかしその彼も我儘な大リーガーの監督を長く経験する事で人相が変わり、また体も痩せた。そして今、究極のわがままをマネッジする立場なのはオバマ政権である。

個人的にはガイトナーは辞任の前に体を壊すのではないかと心配するが、そのガイトナーとオバマへの米国人の批判は衰えない。そして驚いたのは昨日の60ミニッツだ。インタビュアーとなったCBSのSTEVE KROFTは個人的に余程オバマが嫌いなのだろうか、ジャーナリストとは思えない個人的感情を隠さない質問の仕方だった。そして質問に微笑みながら淡々と答えるオバマに対して「あなたは国家がこんな時に大統領として笑っているのはパンチドランカーなのか」とまで言ったのである。今のところこの発言に対して視聴者の反応について聞いてはいない。だが自国の大統領に対しジャーナリストが面と向かって「貴方はパンチドランカー」か言い寄るのは異常だ。印象では理性が欠如していたのは明らかにKROFT氏の方だった。彼は自分がNEW YORKERである事を明確にし、金融機関に厳しいオバマの政策がNY の地盤沈下に影響しているとのバイアスの中で質問しているのは明確だった。

いずれにせよ今の米国はジャーナリストでさえこのバイアスである。そして国家全体は反金融機関へ傾斜する中でガイトナーとオバマはその両方から即効性のある政策を打ち出せと迫られている。そんな事はそもそも無理だ。そして今回も堂々巡りはまた同じ処に辿り着いた。銀行救済案は公的資金と民間資金で不良資産を買う計画だが、価格が高すぎると血税が欠損し、安すぎると金融機関は参加しない矛盾は残ったまま。そもそも収入も何もない不法労働者にさえ偽りの書類を業者が作成して支えたが住宅バブルだ。その中で生まれた商品に本来「適正価格」などがあるはずはない。

さて、その意味では今回WBCには参加しなかったが、旧ソ連や北京五輪を支えたスポーツ強制システムをそのカルチャーの中に持つロシアと中国は侮れない。この強制力を彼らが市場原理が崩壊した今の世界経済の枠組みで発揮するとどうなるか。実はBRICS台頭はこれからが本番の可能性を残す中、逆に金の魔力に嘗ての魂を抜き取られた今の米国のデモクラシーは我儘集団の足の引っ張り合いの様相である・・。

2009年3月21日土曜日

逮捕者のいない反省

民放ののトーク番組に出演したオバマ大統領に司会のジェイレノ氏(米国のタケシの様な存在)は、「AIGのボーナス返還もいいが、なぜ今回の危機でWS(ウォールストリート)から逮捕者が出ないのか」と迫った。そしてそれに対するオバマの返答からは、現在苦境を脱するために米国で行われている様々な試みの本質が見えた。

まずオバマは「数々のWSの判断は間違っていた。だが完全に違法として罰せられるものは少ない」との見解を述べた。その通り。だから今米国では大統領がトーク番組にまで出演して国民に彼らと同じ目線からの意識改革を促しているのである。ただ今回金融機関の過剰報酬に対して議会が取った対応策は、「税金で懲らしめる」という手法だった。確かにこの手法はAIGのボーナスをスムーズに回収する事と、法外な高級取りに警告を与える意味においては即効性がある。だが「税金で懲らしめる」手法が横行すると、最低限の成長に必要な健全な欲望までもが死滅した社会へますます傾斜する可能性がある。

だとするとバーナンケFEDが異常なペースでドル札を印刷している中では、仮にいつかは期待通りインフレの芽が出たとしても、それは資産価格の上昇はではなく、生活に必要な消費財の上昇だけになってしまう最悪のパターンもありうる。しかし残念ながら「健全な魂」を失った国家では最早理想的な改善策などはない事が今回米国の失敗の本質である。

いずれにしてもこの結果を見て一流の成熟国家が本来目指す姿が見えてきた。それは教育でも一時的な繁栄の手法の追及に埋没せず、いかに人間として「健全な魂」を維持するかが今後はより大事な課題となろう。


2009年3月19日木曜日

ポピュリズム(大衆迎合)の恐怖

フリーハンドのバーナンケFEDの発表に債券市場は常軌を逸した反応をみせた。そんな中AIGボーナスの一件は新たな屈折を見せ始めている。まずAIGの一件はガス抜きで終わる可能性も示唆したが、実際は逆になった。具体的には庶民には株が大暴落した以外に実態が見えなかった金融危機の背景が、AIGのボーナス調査を切欠に次々に暴かれようとしている事だ。

まず今日はAIGに投下された国税が「売国奴」のAIGのトレーデイングデスク関係者にボーナスとして支払われた事以外にドイツ銀行を通してヘッジファンドに数百億円単位で渡った事が各新聞で暴露された。ヘッジファンドは米国経済の崩壊シナリオに投資した訳だが、国民は自らが困窮する中でその血税が困窮を期待していた筋を助けるという現実を理解し始めたのだ。

その商品がCDS(保険商品)にせよ、それ事態は当然の契約の履行。だから政府や議会の関係者も仕組みを理解できた人は仕方ないと判断して次々に救済案を出した。だがここにきてその仕組みが一般庶民まで浸透すると、その事実に対して国民は理性を失いつつある。そんな中でまず慌てたのは上院金融委員長のクリスドットだ。

彼は10月の金融救済法案成立から今に至るまで、議会の中枢として救済案の全てを認めてきた立場。だが本日、彼が早くからAIGのボーナスを承知していた事が明らかになり、ドット議員はそれは財務省が決めた事を追認しただけだと財務省にすべての責任をなすりつけ始めた。一方下院で同じ立場のバーニーフランクは本日議会証言に立ったAIG会長にボーナスをもらった社員全員の名簿を提出せよと強く要求。国民に向けて点数稼ぎに成功した。だが彼はその容貌通り本当はドット議員以上のタヌキかもしれない。

そしてAIG会長はリストに載った社員とその家族の「身の安全」が現状では保障できないと情報の公開を拒否。本当に AIGの関係者の身の安全にまで話が及ぶほどの事態ならそれはただ事ではない。個人的にまだそこまで実感はないが、だが一旦民衆の感情に火がつくととんでもない事態を招く事は政治家が一番知っている。

そもそも300年前に清教徒革命を成功させ、議会政治の基を築いたはずのあのクロムウェルでさえも死後に隠された部分が明らかになると逆上した英国民によって墓を暴かれた上に遺族はギロチンにかけらた。民衆とは300年たっても恐ろしい。今の時代は命までは取られないだろうが、重鎮のクリスドットでさえ政治生命の保証はないのである。

そんな中で全ての責任を負わされる可能性が出てきたガイトナーは危ない。週初に彼が年内で財務長官を辞めるかどうかの先物が20%の確率で取引されている話をした。個人的感触ではそのプレミアムは「買い」だ。しかしだとすれば残酷だ。そもそも財務省はガイトナー以外にも7人の上級スタッフの就任に議会承認が必要な特別な役所。ところが政権発足時のバックグラウンド調査の不備が尾を引いて未だに半分のポストが埋まらない状態である。今はその空白をガイトナー人が埋めている状態であり、彼は就任以来朝は5時から出勤して夜は11時まで帰らない生活が続いていると言われている。

どこかの国でも一人が3大臣を兼ねているが、そんなガイトナーをオバマも政権を持続させる為には切らなければならない時がくるかもしれない。だがそれが政治・・。

そんなポピュリズムが台頭する中、どこまでも能天気な市場はあれ程期待したガイトナーを簡単に見捨て、今は昨年まで無能呼ばわりしたバーナンケを崇めたてている。それが市場の本質である事は言うまでもないが、だとすれば米国が正しい事をしない限りいずれはその反動がこの市場に再び襲いかかるという事である。




2009年3月18日水曜日

感動のないスポーツ(一部前項の重複)

共和党の重鎮、グラムジー上院議員が「AIG関係者は皆の前に出て土下座して謝罪しろ。こういう場合日本なら、辞任か、または自殺する」とAIGを激しく糾弾した。しかし政治家としてやややり過ぎた表現だったかもしれない。「死んで詫びろ」とまで言われたAIGに返って反撃の機会を与えてしまったようだ。いずれにしても政治家もAIG一人を悪玉に祭り上げる事で地元民に対して点数稼ぎをしているのも事実だ。ポイントはこの問題がGSなどを含めた他の金融機関に波及するかどうか。金融機関の安定化を命題として抱える政府や議会が中途半端なガス抜きを繰り返している現状では、AIG糾弾も実はショーにすぎない。言い換えると、今米国が本当に病んでいるのはそのMIND(心)だ。だが今の米国は心の問題をシステムの問題とすり替えて議論している。

ところで本日「WBC」では再び日韓戦がある。常に日韓戦は国の威信をかけた戦いとなり面白い。それに比べ、米国のWBC代表チームの存在は中途半端である事は否めない。ただしこの米国チームに一流選手がいないわけではない。全体としては超一流ではないが二流でもない印象だ。そしてこの代表チームのメンバーで気付いた事がある。それは全体が一流半流のチームでも間違いなく米国を代表する3人の選手が含まれている。そしてその3人にはある共通点があった。まずその3人とはヤンキースのDジーターとブレーブスのCジョーンズ、更にアストロズのRオズワルドである。それぞれベテランの域に入ったこの3人に共通点は、彼らは大リーグでは珍しく一つのチームにずっと所属している事。日本でも有名なDジーターはヤンキースを代表する選手。言わば大リーグの顔でもあり不思議はない。だが他の二人はなぜ一つのチームに拘るのか。確かにブレーブスとアストロズは強豪チーム。いつでも優勝を狙えるチームに属する事は重要なファクターだろう。だが彼等ならもっと高いオファーで引き抜ぬかれても不思議はなかった。今大リーグでは多くの一流選手が地元が失望してもより高いオファーがあれば簡単に移籍する時代だ。私にはこの3人が同じチームで頑張っている事と、全く金にならないWBCに彼らが参加している事は無関係とは思えない。恐らく彼には他の選手にはないスピリット(魂)が」あるのではないか。

そもそも80年に大学生で構成されたアイスホッケーの米国の五輪チームは最初はソ連のBチームにさえ敗北した。そしてアフガン侵攻を切欠に既にカーターがモスクワ五輪のボイコットを表明したにもかかわらず、ブレジネフが米国での冬季五輪に大選手団を送り込んだのはソ連の国威を米国大陸で示す事に意義を見出したからだと言われた。その中心が当時圧倒的強さを誇ったアイスホッケーのナショナルチームだ。彼らは皆が軍人の肩書を持った実質プロ集団。その赤い集団はオリンピックを盛り上げるために事前にマジソンスクエアーガーデンで行われたNHL(米国アイスホッケーリーグ)との親善試合で米国のプロ選抜チームを簡単にねじ伏せた。しかし数々の葛藤を経て成長した米国の「学生チーム」は本番で奇跡を起こした。しかしどうやって彼らは奇跡を超したのか。最早地球上のどのプロ集団からも味わう事はないと考えていた敗北の味を経験したソ連ナショナルチームの一人は「CAN NOT BE POSSIBLE」との言葉を残し米国チームの変化(成長)に驚嘆した。そして当時実況を担当し今は米国のスポーツ解説の大御所としてNBCでフットボール解説をするAL MICAELESは言った。「恐らくプロ同士では米国はソ連に勝てなかった。だが無垢で無欲の若者だからこそ奇跡がお起きたと」。

米国が80年代初頭の国威のどん底から立ち上がるのはこの後だ。恐らくどん底の中でこそ奇跡を起こすスピリット(魂)は生まれる。だとすればお金しか見えていない今のこの国のスポーツに感動がないのは当然かもしれない。そしてそれは80年の冬季五輪の時節とは逆に、米国の国威を低下の前触れではないだろうか。

2009年3月17日火曜日

どん底が呼んだ無欲からの奇跡

どん底からの反転。それは本当にどん底を味わいそこから這い上がった人だけが口にできる言葉かもしれないが、ざっくり振り返ると、米国が第一次世界大戦後に世界の覇権を握ってからどん底にふさわしい状況は2回あったと考えられる。最初は言うまでもなく1929~1933までの大恐慌時。そして2度目は1980~1884年のカーター政権時代ではないか。

そんな中でオバマは大恐慌を克服したフランクリンルーズベルトを目標として暫し引き合いに出す。しかし今の政権を取り巻く環境はいくつか点でカーター政権の其れにも似ている。まずカーターもオバマも民主党の予備選挙で本命を打ち破りそのままブームに乗って共和党の候補にも圧勝して大統領になった事だ。そしてその後前共和党政権から始まっていた国難に直面した事も酷似している。

カーターが破った民主党の本命とは闘病中のエドワードケネデイー上院議員である。当時のエドワードケネデイーは暗殺された二人の兄の遺志を引き継ぎ党内地盤は盤石と思われた。しかし国民にはケネディー王朝に対する嫌悪感があったのかもしれない、予想に反して無名のカーターが予備選を勝ってしまった。この点はヒラリーが党内地盤が盤石だった点に似ている。そしてカーター政権が始まるとオイルショックとベトナムからの衰退が顕著になり、更に追い打ちをかけるようにソ連のアフガン侵攻やイラン革命と大使館人質事件などの米国の威信が根底から揺らぐ事件が相次いだ。

カーター政権に原因はなかったかもしれない。だがこの逆風に対して有効な解決策を見いだせないままカーターは4年後レーガンに敗れた。そして民主党もそのまま勢いを失いクリントンが登場するまで苦難の時代に入ったのである。そして今、クリントン政権を支えた民主党の有力者達がオバマ政権に憂いを持ち始めた。このままではオバマはルーズベルトにはななれない、むしろカーター政権の轍を踏むのではないかという心配である。この心配がオバマ政権に変化をもたらした。それが先週から始まった自信回復作戦である。ただ私から見るとこの作戦では失敗の原因を完全に取り除き、反省を込めて責任を追及するといった「米国らしい」自浄作用は不完全なままである。はたしてこれで本当に希望は実現するのだろうか。

ところで、総じて国民が自信を喪失したカーター政権時代だったが実はその時代に後に米国人が奇跡と認める出来事があった。それは80年の冬季五輪での米国のアイスホッケーの金メダルである。この物語は以前も紹介したが、通常奇跡という表現を好まない米国が本当に奇跡だったと認めるにふさわしい劇的な内容である。それを達成した大学生とカリスマコーチの軌跡を追ったHBOのドキュメンタリーは素晴らしい。ここではこの時代(カーター政権)がどん底まで落ちた米国がもがき苦しみながらも好転への転換点となる無垢のヒーローの登場を孵卵器の中で育てた時代だった事が鮮明に描かれているのである。

米国の無欲な大学生が当時実質プロ集団として圧倒的世界一の実力を誇ったソ連のナショナルチームを破る。恐らく千回に一回あるかないかの出来事。結果的にこの奇跡は来る時代を予兆した。ソ連はその後アフガン戦争で疲弊、逆に米国は冷戦勝利の劇的な瞬間に向けて歩み始めた。そういえば今丁度WBCが開催されているが、WBCは金にならない。だから米国人メジャーリーガーでもこの大会に参加するのは金だけではない誇り高き選手が中心だ。(たとえばCジョーンズやジーターなど)しかしステロイドが蔓延した大リーグに慣れてしまった多くの米国人はWBCでの米国の国旗掲揚の興奮よりも派手で大味な本シーズンが始まる事を待ち望んでいる。正直残念だ。自信を失った米国がソ連に勝った大学生に歓喜し、イランで人質となった大使館職員が解放後知った出来事で最も感動した事して挙げたアイスホッケーの金メダルの感動は今やこの国では遠い昔の話になってしまった。

今回もどん底は時に避けるべきものでなく、本当は受け入れる勇気が試されるチャンスだったかもしれない・。


2009年3月14日土曜日

大本営発表

オバマ政権が変わってきた。どの様に変わってきたかというと、ズバリあの「大本営」の様になったという事だ。真珠湾はともかく、ミッドウェイ海戦以後の局地戦で劣勢になり始めた日本はその実態を隠し、敢えて楽観的観測を国民に流すことで事態の打開を図ろうとしたのがあの大本営発表である。

まずこの二日間にCITIやバンカメの会長が「1~2月は儲かった」「追加資金は入らない」と言い始めた。この声明を聞いて最初は始まったストレステストに対し、銀行経営者が保身から強がりを言っていると考えた。しかし本日、GM(ゼネラルモータース)までも「追加資金は要らない」言い始めたのだ。このGMの声明を聞いて確信した。これはまちがいなく政権の意向である。彼らは全員が既に政府の資金が入った身。政府に言わされているのである。

先駆けはオバマ自身が昨日のビジネスフォーラムで「今の米国経済は皆が考える程実は悪くはない」と言ってのけた事だ。これまで彼は「最悪はこれから来る、だから今は頑張るしかない」と言い続けていた。ところが昨日は一転してその立場を変えたのである。

振り返るとここでダウ1500の可能性を述べた1週間前、米国市場の雰囲気は暗黒そのものだった。そしてそこまで追い込まれた米国は恐らくサマーズ経済企画庁長官が中心となり苦肉の策を出した。それがこの「大本営発表」である。繰り返すと、この大本営発表の黒幕はオバマでもガイトナー財務長官でもない。サマーズ長官の可能性が高い。

だがその内容はあまりにもお粗末だ。中央銀行がここまで金利を下げた以上、貸出金利との差からCITIやバンカメといった大手銀行でフローの利益が上がるのは当然だ。ただ今回の金融危機の本質はフローではなく不良資産である。しかしこの問題には全く改善策が見当たらない。恐らく最後は税金で処理する以外に策は無いが、今の様に逮捕者を出さずしてその案が議会を通る事はない。だからFED(中央銀行)が間もなくスタートするTALF(不良資産担保融資)で代行するのだ。この週末にバーナンケ中央銀行総裁が異例の民放テレビ番組に出演するのはその地ならしである。そしてこの大本営発表が「子供騙し」である究極的な証明はGMだ。GMが「追加資金は必要ない」と言ったのはやりすぎだった。

ではそこまでしてなぜ政府は方向性を変えたのか。一つは週末からの20カ国蔵相会議だ。これは4月の金融サミットの前哨戦。この最大の山場に向け、米国は他国に対して何としても虚勢を張る必要があったのだ。また既に承認された景気刺激策の効果を最大限引き出すためには今の株式市場の雰囲気をどうしても変える必要性がある。そこでここはオバマとガイトナーがその意見を主張するサマーズに一歩譲り、金融危機発生後からの主眼である「取り締まり」から、未来に向けての「希望」へと市場管理のギアを換えたのだろう。これが今の米国の姿である。

ただ国内の米国人以外にこの大本営発表は通用しない。従って全て知った上で世界がどこまで米国この芝居に付き合うか。それが次の相場となる。ただ個人的本音は株の戻りがあれば助かる。なぜならそこでこの国から逃げ出せるからだ。余裕のない「大本営発表」はすでに米国の負けいくさを示唆している・・。


2009年3月12日木曜日

負けない人

日本では再び北朝鮮の拉致についてのニュースが一面を飾っている。そう言えば2年ほど前にここででふれたが、米国ではキューバからの難民が命を賭けて米国までの海を渡らなくなって久しい。そしてある不謹慎な思いが頭をよぎった。資本主義がここまで残酷な側面を見せ始めると、北朝鮮の拉致という行為事態は許されず、また肉親の長年の苦痛は耐え難いとしても、被害者があちらで特権階級として恵まれているなら、今の日本は命をかけても帰国したいと感じるような素晴らしい国だろうか。

さて、米国では昨年から話題の本がますます話題になっている。NYで何不自由なく育った男性が一流大学を出てそのまま広告代理店で重役まで上り詰めた。しかし一昨年に解雇されてからは凋落の一途。一旦は何もかも失ったという。だがそこから彼はスターバックスコーヒーでアルバイトを始める事からもう一度人生をやり直す。そして生きる気力を取り戻した後で手記を本にして発表。その本に注目したトムハンクスが映画化を前提に彼から権利を買ったという・・。

そんな中でNHKも昨年「UNDEFEATED ,不屈なる者」という番組を製作し、その番組が米国では昨日放映された。そもそも「UNDEFEATED」を「不屈なる者」と訳したのはNHKとしてヒットだ。本来英語では別の意味になるが、50代半ばで会社を倒産させ、自己破産を経て60代半ばの今もでタクシー運転手として前向きに生きる主人公の男性には感動した。

NHKはこれまで国民を鼓舞するためにヒーローを取り上げたドキュメンタリーが多かった。しかし自殺者の増加が懸念される今、その視点を逆にしたのはMEDIAとして流れに沿った正しい判断だろう。いずれにしても「UNDEFEATED」を「他人に勝ち続ける人」ではなく、「自分に負けない人」と訳したコンセプトは今の相場でも重要なコンセプトである。


2009年3月10日火曜日

ダウ1500の世界。

まず昨年2月に紹介したダウの8000は簡単に達成。そして次に目標にしたダウの6000台は、最早目標というより、単なる通過点の様な雰囲気だ。反転の切欠が見えない中でふとダウの1500の世界を想像した。本当にダウが1500になったら世界の流動性はどうなるのか。そういえばアフリカのナイル川支流では、乾期に干上がった川の土の中でナマズが冬眠状態で雨期を待っている映像を見た。また最近はブラジル?のある地域では乾燥した白い砂浜に雨期になると湖が発生し、その湖は海や川に繋がっていないにもかかわらず毎年小魚が泳ぐ映像も見た。なぜそんな事が起こるのか。まだ詳しくは判らないらしい。だがある専門家の想像は、親魚は毎年は卵を産んで死滅するが、卵は乾期の乾燥した砂地の中でもしっかりと生きているのではないかとしている。要するにダウが1500になる時は人間が生き物として生まれ変わる時かもしれない・・。今を生きる我々にはつらい話だが、それも摂理と考えれば悪くはない・・。

2009年3月6日金曜日

ダウの終焉。

2004年、ダウ先物を売り向かう事は無駄だと感じた。なぜなら米国のダウ工業30インデックスは常に米国を代表する銘柄を据え、その主役が変化すれば、役割を終えた銘柄は入れ替えられるからだ。だから本来は500銘柄からなるS&Pインデックスに比べ、下がりにくかったのである。そしてその銘柄選定はウォールストリートジャーナル誌が行い、その条件は1)名声2)成長性3)株主数4)業界を代表する指標性であった。またその入れ替えの結果、ダウには「一桁の銘柄はない」というのが永年の常識となっていた。ところが今は30銘柄中5銘柄が一桁である。中でもシテイーグループ バンカメ ジェネラルモータースは倒産価格とみなされ、投信信託などのファンドでは自動的に売らなければならない5ドルを割っている。

実はシティーがこうなる可能性は否定しなかったが、だがここで新たにジェネラルエレクトリックが5ドルの攻防に直面する状況を想定した事は無かった。ご存知の様に同社は1895年から始まったダウ30種インデックスの歴史で、発足から現在までただ一社だけその名をとどめている名門中の名門。米国を代表する企業を一つだけ挙げよと言われれば、それはマイクロソフトでもグーグルでもなく、やはりこの会社だった。その米国の象徴のGE(ジェネラルエレクトリック)が遂に5ドルを割る瞬間がくるかもしれない。ある意味今回の下落でこれほどシンボリック(象徴的)な出来事はない。従ってその日をX DAY とし、その前後でダウ平均の月足上の重要なサポートライン6350の攻防があれば、個人的には一旦のあく抜けを予想する。

ただ最後にダウの歴史から悪い話を一つ。大恐慌の際はダウは1929年の高値381.17から3年後の32年には41.22まで売られている。なんと1/9まで売られたのである。その比率を今回の下落にも適用すると、2年前14000台を付けたダウは1550程度が目安となる。ならば米国をいつまでも追随している日経225も同じ運命だ。日経平均の再安値の可能性が1500だと知れば、日本人はそれはそれで諦めて冬ごもりの準備を始める。だが米国は違う。米国はダウの下値の可能性が1500だと聞けばその方法が合法非合法を問わず絶対に攻撃を仕掛けるだろう・・。


2009年3月3日火曜日

魂の試練

予想された事ではあるが、株が下がり続ける事で国民のオバマ政権への不満は徐々に鬱積してきている。そんな中で政府はAIG保険への救済を全体像をベールに包んだまま続けている。単純なサブプラムよりもAIGが抱えるCDSの世界はより世間一般には判りにくい事も一因だろう。だがマスコミはAIGは本当にリーマン以上のシステムリスクを抱えているのか、抱えているならそのカウンターは誰なのかまで政府は公開すべきだといいはじめた。

こちらではAIGの代表的なカウンターとしてよくGSの名前が挙がる。仮にそうなら、給料を制限されるのは困るので救済金は早急に返すと戯けた事を言ったGSは大きな勘違いをしている事になる。思ったよりGSのCQは低いかもしれない・・。

(注)CQとはビルグロスが金融危機発生後に、これからの優秀な人材を図る指数はIQからCQの時代になると言った事に由来する。言うまでもなくCQのCはCOMMON SENSEのCだ。そもそも米国で「コモンセンス」といえば、それは思想家で建国の父の一人、トマースペインが書いた、人間のモラルを訴える事で国民に独立戦争への覚悟を促したパンフレットを指す。そしてそれは「THE AMERICAN CRISIS(アメリカの危機)」というタイトルがついており、また文章の書き出しには"These are the times that try men's souls." (今こそ人間(アメリカ)の魂が試される時だ)である。まさに今の時代そのものである。