2012年3月30日金曜日

ミクロとマクロの宝くじ

明日の米国のメガミリオン(ロト宝くじ)が、ついに史上最高の500ミリオン(400億円)の大台を超えた。当たりが1枚なら独り占め。もし当たりが出なければ、総額は雪だるま式に増え、あっという間に1ビリオン(800億円)まで行くだろう。

一方米国のメガミリオンにくらべ、日本の宝くじはどこまでも日本的。人々は「ジャンボ」と言う響きに長い行列をつくり、キャリーオーバー(繰越)ができるロトが導入されても、4億円を超えると、自動的にあたりくじを増やされると聞く。ならば、宝くじまで平等を重んじるのが日本の本質である。

そんな中で、HSBC証券が出したレポートが静かな衝撃を呼んでいる。(添付資料)「失われた20年」と、世界中からバカにされた日本の成長率は、PER CAPITA(一人当たり)では、実はどこにも負けていなかった。俄かには信じられないという人もいよう。だがデフレでも人口が減れば可能だ。

問題は、これをどう考えるか。繰り返すが、日本には理想的な社会主義に近いミクロの心地よさがある。これを維持するのか、それとも米国のように社会にスプレッドを求めるのか。まずは自己解析をして方向を決めるべき。もしマクロの米国を真似するなら、早く移民制度を導入し、人口を増やすのが先だ。

ところが、今の日本は、移民は嫌だ、でも米国は追随したい・・そんな矛盾が機能するはずがない・・。

2番手のダイナミズム (真マネー原理プロから)

来日中のマークザッカーブルグに、「こういったモノを作ってくれたCEOに敬意を表したい」と、野田首相が握手するシーンがあった。どうやら野田さんはフェイスブックはパイオニアではない事を知らないようだ。フェイスブックがマイスペースの2番手だったことは、米国のその世代には常識。ザッカーブルグの成功はそのビジネスモデルである。

米国では発明家ではなく、2番手が最も成功する例はいくらでもある。最高値を更新するマクドナルド。社会的な影響力を強めるスターバックコーヒーには発明したオリジナルがいた。しかし成功したのは、ひきこもるオリジナルから発明を買収し、勇気を持って新しいビジネスモデルを確立した人達だ。

日本政府はフェイスブックで英語で外国にメッセージを発信しているという。やはりオバマ政権を真似る雰囲気。真似てもいいが、真似るだけでは日本のオリジナルは生まれない。野田さんはそこをザッカーブルグから学ぶべきだろう。

日本の復興を築いた人々は、戦争では米国に負けたが、己は米国に負けない気概を持って米国に挑んだ人々だった。だが今は国家や大企業が大人しい。一方オリジナルを武器にした中小企業やソフト分野で新しいトレンドを生みだす個人の活躍は凄い。そろそろ日本もこの層からリーダーが出るべき時だろう。

民主党には期待したが、国家でありながらヘッジファンドが仕切る市場に怯え、アイデアでオリジナルを生みだす可能性を示さないなら終わるもよし。このままでは、米国が次の米国に倒される時、日本はオロオロするだけだろう。米国では、そのダイナミズムは死んでいない事を知るべきである・・。

2012年3月28日水曜日

3月の熱狂、日産センチュリー証券コラムからの引用



                             
アメリカ新素描               3月25日作成

                  < 3月の熱狂
 
 毎年3月に米国を熱くするのは大学バスケットのトーナメントです。こちらではこの熱狂を「March madness (3月の熱狂)」と呼んでいます。主催するNCAA(全米大学体育協会)には、今年このイベントを独占放送するCBSからの放映権やチケット販売などで720億円が入ると言われています。

 米国では、マイケルジョーダンが登場する前のプロバスケット(NBA)は、人気で大学のUCLAにかなわない時代が続きました。そして90年代以降は、先行した野球の悪影響で、プロでは組合によるストが頻発しました。結果選手の給料は高騰しましたがNBAは構造的な赤字体質になってしまいました。そして今年もストライキでシーズンが短縮される悪循環になっています。

 筆者がこの「3月の熱狂」を日本に紹介するのによく用いたのが夏の甲子園でした。日本人は高校野球が大好きです。ただ日本では甲子園はNHKが独占放映しています。これほどの人気番組をNHKが放送してしまうことは、米国の常識からは大きな(広告)ビジネスチャンスを無駄にしていることになります。ただそれに違和感を感じないのが我々日本人です。       

       
                 
              < 帰ってきたタイガーウッズSUNDAY >
 
 
 

 ところで、今日はタイガーウッズが2年半ぶりにPGAツアーで勝利を収めました。NHKもタイガーの勝利を伝えていましたが、久しぶりに、日曜日の午後に赤黒のコントラスト(赤いシャツと黒いパンツ)が緑の芝生の上でオーラを放っていました。ただ「ショットが好調だった」との解説は少し違います。好調だったのはパットでした。

 今日のタイガーは、パットに自信を持っている雰囲気が漂っていました。その自信が、そこに至るショットにも余裕を与えていました。そういえば、スキャンダルからツアーに復帰したタイガーはずっとショットが乱れていました。その時はスキャンダルの影響だと思いましたが、実はスキャンダルの少し前からタイガーのパットは乱れがありました。

 ゴルフは相場やビジネスに通じるところが多々あると思います。その証拠にゴルフで実績を残したジャック二クラウスやアーノルドパーマー、そしてグレッグノーマンは、企業家としても大成功しています。この比率は他のスポーツとは比較になりません。
 そしてゴルフや相場では着地点から逆算が重要と言われます。その理屈は皆が知っています。しかしこの原則をどうやって実践していくか。それはあのタイガーでさえ難しいのです。

 その点で我々は前述の3人の共通点を誤解しているかもしれません。彼らはトーナメントを勝った回数が他の選手に比べて圧倒的に多いわけですが、実は惜しいところで優勝をの逃した回数も23流の選手に比べて圧倒的に多いのです。筆者は、彼らがビジネスで成功している最大の理由は、勝った経験より、寧ろ、おしいところで負けた経験からではないかと考えています。

 同じ意味で、今日のタイガーには失敗から何かを学んだ雰囲気がありました。それを感じたのが3日目(土曜日)の後半でした。この時でタイガーは3打差で首位に立っていました。そこで小さなアクシデントがおこりました。

 
 前のホールで2位の選手がバーディーをとり、2打差になった後のタイガーの一打目は、民家の庭にぶち込むOBでした。タイガーがバックスウィングから切り替えに入る瞬間、ギャラリーの中の女性が大声を出してしまったのです。集中を邪魔されたタイガーのミスショットでした。ただこの直後、筆者はタイガーが昔とは違うことを発見しました。

 そもそも絶頂期のタイガーは気性が激しい方でした。優勝した大会でもショットを邪魔された後は怒りをあらわにしていました。しかし今回のタイガーは違いました。ミスショットの直後、ギャラリーの方向を睨みましたが、次の瞬間には次のショットの準備に入っていました。この間彼は口をぎゅっと閉じていました。           

              
             < 克己心 >

 
  昨年癌で亡くなった杉原プロが「ゴルフは良いショットをしても変なところに行ってしまうことがある。だがそこから頑張るのがゴルフだ」だと言っていました。
 ゴルフは相場のマネジメントと通じるモノがあるといいましたが、一番大切なことはこの杉原プロの言葉だと思います。ただそのためには失敗から克己心を磨く必要があります。それは成功経験より、失敗から学ぶと言うことではないでしょうか。
 金融危機の前、タイガーの絶頂期は米株の絶頂期と重なっていました。ではタイガーが復活すれば相場も元に戻るのでしょうか。それは金融市場が失敗から学ぶかどうかにかかっているでしょう。                       

                                     以上
(注  克己心について)
自制(力)〉 self-control; self-restraint; self-denial (self-control や self-restraint が「外からの刺激や誘惑を無視できる能力」を意味するのに対して, self-denial は, 自分のやりたいこともあえてしない, という積極的な意味をもつ); 〈忍耐(力)〉 《形式》 stoicism.

克己心 the spirit of self-denial [self-control]

2012年3月23日金曜日

キムチとスシと美酒





バブルの頃、サントリーがホテルオークラの25周年に、ホテルの顧客限定で「The Okura25」という限定ボトルを販売した。同社として初めて著名陶芸家にボトル制作を依頼し、中身は当時のサントリーの最高峰の「ザ ウイスキー」をベースに、実はマスターの称号を持っていた佐治敬三社長本人が直々ブレンドしたものだった。

1本25万円。100本はすぐに完売した。幸運にもそのウイスキーを一口試飲した。その後ウイスキーはずいぶん試したが、今も感動を覚えている。サントリーでは18年と30年のシングルモルトの「山崎」、そして3年連続で世界1になったブレンデッドの「響き」は、日本が世界に誇る逸品である。

そのサントリーが、有田焼の人間国宝、酒井田柿右衛門のボトルで、35年の「響き」をブレンドした限定ボトルを150本売り出す。1本100万円。サントリーは2007年4月にも九谷焼のボトルで35年モノの「響き」のブレンドを100万円で販売した。その100本は完売したが、今回は150本の販売。更に強気だ。

日本にいたら買いたい。投資としても魅力。サントリーウイスキーの実力は、日本よりヨーロッパや豪州の本物志向家は知っている。(ウイスキー文化が貧弱な米国人は知らない)。そこに海外で評価が高い有田焼のボトル。日本人が買わずとも、150本は海外の業者が買ってしまうだろう。

ならば、残りの人生が何年あるかわからないなら、個人的にはまず中身を飲み干し、しばらくは人間国宝の有田焼きに市販の「響き」を入れチビチビやる。そして、金がなくなったらボトルを売る。

ところで、必然か否か、どうやらサントリーはバブルを知っている。「The Okura 25」の頃、日経平均は3万を目指し勢いを増していた。そして2007年4月に九谷焼「響き」の100万が発売されたのは、この10年で日経平均が一番高かった頃だ。(18000前後)。

つまりサントリーが超高級限定ウイスキーを出す頃がその時代のピーク。ではこの有田焼の新商品は、今回の戻り相場のピークの象徴だろうか。目先は米株の影響を受けよう。だが本質的には楽観している。

そこで聞こえてきたのが「キムチ売り・スシ買い」のコメント。ジェフリーのエコノミストによれば、家電も車も、円高で日本が苦しむ中で韓国が勢いを増した流れが転換するという。エルピーダの倒産は相場ではよくある「最後の投げ」の雰囲気を感じた。個人的にもこの意見に同意する。

ただそのためには民主党政権はぶっ壊れた方がいい。米国を追随しているだけの政権はいらない。政局が起こり、日本がマヒしている間に、世界情勢が変わっている予感がする(大統領選も含め)。その後、勝利の美酒を飲みたいものだ・・。

2012年3月21日水曜日

スポーツミーハー学






ある意味でアメリカの凄さを感じたのが、フットボールのデンバーブロンコス。本日デンバーは、フリーエージェントとなったペイトンマニングを5年契約90ミリオンで獲得した。では一体この話の何が凄いのか。

まず今年のスーパーボールは、ペイトンマニングの弟イーライがQBのNYジャイアンツが勝った。だが昨年NFLを盛り上げたのは、マニング兄弟でもなければライバルのトムブレーディー(ペイトリオッツQB)でもない。ファンを熱くさせたのはデンバーの若きQBティムティーボーだった。

ティーボーはフロリダ大でハイズマン賞を獲得しNFL入りすると、新人の2010年はプレーに粗さが目立ちレギュラーにはなれなかったものの、昨年途中からレギュラーに定着、4Qに負けている試合を逆転する試合を次々に演出し(シカゴベアーズも残り1分で10点のリードをひっくり返されて負けた)プレーオフ進出の立役者になった。

この活躍で一気に全米のシンデレラボーイになったティーボーは、オフにはあのテイラースイフトと噂が立つほど商品として価値を持った。ところが、地元のファンでなくとも、誰の目にも来シーズンのNFLの目玉の一人であるティーボーがいるデンバーがマニングを獲得したのだ。驚いた。

彼がブレーデイーと並ぶ現役最高のQBであることに異論はない。だが36歳のマニングと23歳のシンデレラボーイ。これでティーボーが放出されることは間違いなく、デンバーのファンはこの決断をどう思うだろうか。凄いとしたのは、ファンの批判やリスクを承知でマニングを獲得したチームとしてのデンバーの判断である。

どこのスポーツチームにもチームの顔がいる。だからファンも集まる。だがアメフトのQBという職業は特別なのかもしれない。「未来の顔」より、実績と経験の価値が重視された。ここは日本とは対照的だ。
最近の日本のサッカーでは若い選手ばかりが話題。レアル相手にいい仕事をしていた本田をスポーツニュースは無視した。そして実績重視のマネジメントを徹底している代表がヤンキースだ。

長い低迷から90年代後半にヤンキースは復活したが、あのチームはこの哲学が際立っている。実績の価値とミーハー現象・・マネーマネジメントが苦手な日本の庶民にも通じるテーマだろう。

2012年3月18日日曜日

死に方の権利 (真マネー原理プロから)



 HBOのスポーツ特集で、世界一の鳥人の特集があった。(写真)彼は「死ぬのは怖くないのか」と聞かれて、「普通の人は自分をクレージーだと言うが、僕にとっては、毎日6時起き、1時間電車に乗り、オフィスで10時間座り、また1時間電車に乗って家に帰る・・のを30年続けるのがクレージー・・」と言っていた。

 さて、日本で孤独死が話題だ。メディアは「セルフニグレクト」と呼んで亡くなった人を憐れんでいる。だが亡くなった人は本当に憐れんでほしいのか、疑問である。

 そもそも今の世の中には、衣食住が整った刑務所に好んで行く人がいる。その時代が過ぎた米国では、最早罪を犯しても簡単には刑務所に入れない。

 少し前、退職した警察官が、態々別の州で強盗罪を犯して刑務所に行った事が話題になった。持病を抱え破産した彼は、地元の刑務所では、病気の治療できないと知っていたという。

 人は生まれ方は選べないが死に方は自分で決める権利がある。最近ひっそりと亡くなった人の中には、自分の意思で、「助けてもらわない事を選んだ」人もいるのではないか。

 ならば、その人たちは「憐れみ」を望んでいるとは思えない。逆に、孤独に耐えられない弱い人が、彼等を自分のレベルで憐れむのはその人たちに失礼だとさえ感じる。

 武士の頃の日本はそんな国だった。日露戦争当時、日本がGDPの10倍の戦費を調達できたのは、日本が洋装した最初のアジア人だったからではない。世界を知るピーターシフ(ユダヤ人投資家)は、当時の日本の指導者が、命をかけて約束を守る武士だった事を知っていた。

 一方で今はこれだけの流動性がある。そこでは市場が大騒ぎしても、最後はギリシャですら何とかなる。ならば、モラルがある国には必ず投資家は現れる。

 日本はトリプルCの格付け会社の格づけを心配する必要はない。それよりも、世界に冠たる日本人のモラルをどう維持するか。武士でない人びとが政治をするようになった今の最大の課題だろう・・。


2012年3月16日金曜日

金融力と年金


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金融危機から4年でSPは1400を付けた。このペースなら最高値更新、SP1700説も不可能ではない。これは株を上げるが目的になったFEDの結果。このFEDの決断は、過去にとらわれない合理性と、もう一つは国民に苦境を耐える貯金がなく、こうするしかなかったという事情の結果である。ならば中途半端に貯蓄があるがゆえに原則を捨てきれない日本も、蓄えがなくなれば野に撃って出るしかない。もし日本がソレを望むなら、貯金がある間にでも、米国に習って金融の力を使うことだろう。(筆者はソレを望むべきとは考えないが)

ジェイミーダイモンのJPモルガンは、ウォール街の大手で金融危機でも唯一赤字にならなかったプライドがある。にもかかわらず政権に助けてもらいながら、高給を維持するためにリスクを取ろうとする他の金融機関と同じに扱われ、更にドットフランク法でがんじがらめにされるのが許せなかったのだろう。だからFEDの顔に泥を塗っても一発ガツンとやりたかった。その結果がSPの1400である。これも金融の力の結果だ。

ただJPモルガンとてFEDのチープマネーで傷を癒した。つまり金融のベネフィットを最大限に使った。そこは農業やメーカーではありえない。ここで増配し、株を買い戻せば、CEOとしてのジェイミーダイモンの報酬も爆発的になる。だがこの出費で体力を消耗し、そこに再び危機が襲ったらどうなるのか。昨日はTARPの救済を検証したニールボロフスキー氏 が、「銀行の増配は時期尚早」と警告を発したが、同じく慎重派の代表である債券投資家は今ポジションの下落に直面している。

このように、相場では世の中に慎重なファンドマネージャーが相場に勝てる補償はない。だがそれを素人が見抜くのは無理。 素人は肩書、まじめさ、時に勢いにに乗せらてしまう。そこは日興証券の営業マンとして、野村の兵(つわもの)を相手に同じ土俵で戦ったのでよくわかる。我々の時代の成績優秀の営業マンが、一流のファンドマネージャーになることは稀だ(ゼロとは言わないが)。だが悲しいかな、素人は営業成績一番という実績を勘違する。そのケースがAIJだ。

米国でも、慎重でまじめな人は、アナリストとして成功しても、実際のDEALではナイーブさが足を引っ張る事が多い。2003年の不祥事で独立系アナリストとしてSワイル会長率いるCITIのモラルを糾弾したサリークライチェク女史は一躍ヒロインになった。その後ワイル会長に請われてCITIの重役に転身した。しかし、急落するCITIで実績を残せず、知名度でバンカメでも重役でになったものの、失意のうちに業界を去った。(それでもCITIとバンカメで50ミリオンは稼いだ)。

また昨日のニューヨークタイムスに、顧客を餌食するゴールドマンの社風を暴露する公開辞表を書いたグレッグスミス氏は、セールスとしては50万ドルしか稼げなかった。ただ彼の辞表は、会社を蔑むというより、昔のゴールドマンに戻るように勧告している内容だった。つまり彼はGS思いのまじめな人だった。

このような有象無象の世界に放り出された日本の年金は赤子同然。まじめな金融マンを頼るだけではだめ。かといって運用がうまいグレーな人に金を預けるわけにはいかない。そうこうしている間に、日本の年金が欧米の金融ギャングが再び起こす次の危機に巻き込まれるのは時間の問題だ。

今日のクローズアップ現代では、年金運用に失敗した年金基金が、国から提供された部分の穴埋めに、基金を構成する中小企業に欠損金の負担を強制する構図が紹介されていた。中小企業の中には、本業とは無関係の欠損金の負担に耐えられす、廃業に追い込まれるところも出ている。

この話は酷い。運用に疎い中小企業の基金に支金を出し、運用を担当する投資顧問の観察を手抜きにした上で、欠損金の返却を強要する国にも大きな責任がある。

いずれにしても、これからはまじめでそこそこのファンドに金が集中する予感。さもなくば年金そのものをあきらめるべき。戦前はどこの国でも軍人を除けば年金は稀だった。つまり、年金の騒動は、究極的にはいまだ資本主義を掲げながら、人間そのものの新陳代謝を受け入れられない、成長が終わった先進国の戦後世代のジレンマを映し出している・・。

2012年3月14日水曜日

3月のハエ (マネー原理プロから)


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 昨日のシカゴの気温は20度を超えた。今年の冬、五大湖に張ったの氷の面積は例年の5%だった。

この80年ぶりの暖冬おかげで、週末は裏のトマト畑の土を耕すことにした。すると3月だと言うのにハエがいた。聞こえてきたラジオでは、この暖冬せいで、今年は虫などを媒介にするはやり病が大流行するかもしれないと、専門家が警告を発しているという。

自然の営みは実に奥深い。暖冬を喜べば、それは災いの前兆だったという事もある。逆に、大きな災害があり、その不幸を嘆けいた時、平時には気づかない大切な発見をすることもある。

人間社会にどれだけイージーマネーが注入されても、この感性を失いたくないものだ。理由は単純。薬で五感を失った時、生物は真のリスクを感じとる機能を失う・・。

ところで、添付はキリスト教福音派の大物パットロバートソン氏である。大統領選では福音派はサントラム氏を応援しているらしい。(サントラム氏はカトリック)

その昔、同じ「プロテスタント」がこの国に禁酒法を生んだように、福音派はこの国で最もまじめな人々というイメージ。ところが、先日ロバートソン氏は「この国はマリファナとの戦いに負けた。ならばマリファナは酒と同じ扱いにすべき・・」という衝撃的な発言をした・・・。

そもそもそも酒や麻薬は感覚を麻痺させるもの、米国の五感は大丈夫だろうか。そんな心配をよそに、今日も米国の株は堅調だった。

2009年の3月9日に米国の株はリーマンショック後の最安値を付けた。そこから米株は2倍になった。日経平均も1万の大台を回復したらしいが、大震災があったとはいえ、米株に比べその歩みはカメに等しい。

ただこの差は米国人が日本人より優れているからではない。強いて言えば、米国は国家として目的と手段が常に明確なのだ。

国家存亡の危機なら米国はなんでもする。リーマンショックの後、この国は経済が最大の課題になった。過去からすれば常軌を逸したFEDの行動は、その目的のためだった。

そういえば先週は大震災の一周忌の陰に隠れたが、3月9日は東京大空襲で最大の被害があった日だという。 

東京、広島 長崎・・、日本より人命を尊重したはず米国は、戦争を早く終結するという目的のために手段を選ばなかった。結果、米国の目的は達成され、不思議な事に、その時に日本人の中にもほっとした人が大勢いたという。

一方あまり知られていないが、1942年、日本は真珠湾攻撃のあと、オレゴン州まで爆撃機を飛ばすことに成功している。

米国はこの失態を今も反省材料にしているが、その時の攻撃目標は、住宅地ではなく森林だった。そこに爆弾を落とし森林火災を起こせば、米国民に嫌戦機運が高まると期待したらしい。

結果は全ておいて殆ど成果なし(米国民の気持ちと実際の火災)。2発目は不発で、残骸は米軍に徹底的に調査された。

爆撃で市民を殺さなかった事に対し、オレゴン州は後にその日本兵に感謝状を贈った。それはそうだろう。だが、真珠湾の不意打ちで3000人の海兵隊を殺しながら、この攻撃は戦争の結果に対してどんな意味があったのだろうか。

戦争には負けたが、この日本の行動がいつか報われる日を願う。一方目的と手段を直結するためには、法律も、麻薬も、悪人も、なんでも許されるこの米国がこの後どうなるか。中間層がいなくなり、判断の軸がなくなった今こそそのリスクが問われる時が来ている・・。


2012年3月8日木曜日

ヨーダとジャバザハット 真マネー原理プロから








共和党の予備選を今朝のNHKはトップニュースで紹介した。本戦ならともなく、他国の予備選をトップニュースで扱うのは驚き。そして、トップで扱うなら、もう少し正確にすべきだった。

リポーターは、戦後オハイオを制せず大統領になった候補者はいないとしたが、それは本戦のであって予備選にの話ではない。前回オバマはオハイオでヒラリーに負けている。

更に重要な事実は、今オハイオはオバマの救済で失業率は7%台まで下がっている事。つまり、今のオハイオが語るのは、このままいけば、オバマの再選は堅いという事である・・。(ただし同州は若者の失業率は二桁)

そこで日本がアメリカを知る上で参考になるキャラクターをスターウォーズから添付した。今の民主党と共和党、それぞの支配の違いは、ヨーダとジャバザハットである。

スターウォーズでヨーダは正義だが、得体のしれない陰の力より明快なジャバザハットを好む人もいる。そしてその二つの党は実質誰に支配されているのか。それがネタニヤフに寄り添う民主党と共和党の上院のドンの写真である。

争っているサントラムもロムニーも、ともにオバマ政権のイラン政策は弱腰と非難した。彼等がイスラエル(AIPAC)へつらっているのは全く同じである。

いずれにしても厄介なのは、ロシアや中国など、相手を警戒すれば、もう少し警戒の目で分析するが、日本は過去の歴史から米国を盲信している。誰かを盲信し、頼りきっている状態では、リスク管理や危機管理をいくら議論しても、それは形式にすぎない。

日本の首相として、米国との駆け引きを試みた最後の首相はが橋本竜太郎だった。その後米国の一国支配が強まる中で(米国と)駆け引きをしないのは結果的に正解だった。だが情勢は変わった。この情勢の変化に日本はどう対応するのか・・。

一方でつながっている金融市場では否応なしポーカーゲームは始まっている。日本と米国、この異質の二つの国が同じ土俵に乗っている事は既に勝負はついているのだが、国家戦略としては完全に同化するか(小学生に道徳でポーカーを教える)さもなくば中途半端につながってはいけない。

そういえば朝のNHKのニュースで、「2チャンネル」のサイトのオーナーと言われる人のアパートが紹介された。みすぼらしいものだった。先週米国では、創業以来、8年間全く利益を出せない口コミ評価サイトの「YELPが上場したが、日本では怪しい「2チャンネル」はアメリカならビッグチャンスだったかもしれない。

今の日本では、投資家に「ハコ」を見せ、株価を吊り上げると犯罪者になる。一方明るい未来を語るのが善の米国。玉石混合は米国の本質である。ただ度が過ぎると株は調整する。昨年5月もでたらめな会社の上場が続きその後株は下がった。

このように、資本主義と民主主義の清濁を合わせ飲み、死ぬ人もいれば、生き残る人もいる。生き残った人が経験を活かして次のトレンドを作ってきたこの国の歴史がどうなるか。純粋培養の今の日本にその本質が見抜けるだろうか・・。


2012年3月6日火曜日

情けない男とふしだらな女?


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ナデシコとあの最強の米国女子チームのサッカーの試合を観ながら、今年の日本アカデミーを総なめにした「八日目の蝉」を思い出していた。

ゲームは力で押し切ろうとする米国に対し、意志疎通ができたナデシコは、ワールドカップの決勝よりも美しいサッカーをしていた。

一方映画は小説であって実話ではない。まず不倫の末中絶した女性が相手の男性の赤子を母親から奪い取って育てるという情念が描かれ、その女の子が育ち、彼女も妻子ある男性の子供を身ごもってしまうストーリーが展開される。

そしてラストは、犯罪者となった育ての母の深い愛を思い出した主人公が、自分も生まれてくる子供とともに強く生きようとする日本の女性の強さが出ていた。

確かに映画は美しく秀作だった。ただ、ここで描かれる二人の女性に対し、登場する男のあまりにも情けないこと。よくここまで情けなく日本の男を描いたものだ。

一方添付の米国人女性は、先週から注目されているジョージタウンの法科学院の学生。彼女はオバマ政権が掲げる避妊薬を保険でカバーする法案を通すために民主党議会に意見を提出した。

現代の働く女性にとって、避妊薬は当然の権利との彼女の意見に対し、超保守派でならすラジオのパーソナリティーのラッシュレインバー氏が、「米国は彼女の様なふしだらな女に振り回されるべきでない」と発言。まるで彼女自身が避妊薬を欲している対象のような侮辱をした。

レインバー氏はかねてから反オバマの急先鋒。さすがにこの発言でスポンサーを大量に失ったようだ。ただ米国内の世論は分かれている。個人的には遺伝子治療に全く予算を割かなかったブッシュ政権も硬直だと感じたが、避妊薬まで保険でカバーするのは違和感である。

レインバー氏は論外としても、意外にこの問題はオバマの命取りになるかもしれない可能性を感じる。そして何よりも、米国の女性に勝ったナデシコに、この問題に対する意見を聞いていみたい・・。

2012年3月1日木曜日

リスクとクライシスの違い(真マネー原理プロから)


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ところで、AIJは設立当初からもうかっていなかったという。自分自身は63年に証券会社に入ったが、正直自分より前の世代の証券マンが設立した投資顧問には親の資金は絶対に入れない。

なぜならその前の時代は日本は上がる相場しかなかった。ましてや野村のカリスマ営業マンが始めたファンドなどは、一番危ないのは当然である。

一方その後は下がるだけの時代が続いている。これはこれで魅力ない。だが、だからと言ってあり得ない利回りを信じるのは、マネーを扱う年金担当者としてはプロとしてはあまりにお粗末。老人が振り込めサギにひっかるのと同じレベルと言わざるを得ない。

まあこれも平和ボケの日本の宿命。昨日の続きだが、相変わらずNHKは独立機関が提出した原発後の官邸の対応を報道している。そこで重要なテーマを一つ。

もし危機管理を話題にするなら、まずリスク管理と危機管理を分けて考えるべき。報道を聞くと、事が起こる前のリスク管理と、事が起こった後の危機管理が同次元で使われている。このこと自体が危機管理になっていない。

この違いは現代の市場関係者は知っている。ポートフォリオマネジメントでは、通常リスク管理に最大のケアを払う。そのために情報を収集し、組織なら活発に会議を行いシナリオをイメージする。

そして何も起こらなければOK。通常はこの繰り返し。だが一旦事が起こるとそこからは危機対応。ただし危機対応は既にダメージコントロールの段階である

ダメージコントロールで雌雄を決するのはマニュアルより担当者個人資質。日露戦争ではたまたま秋山真之や児玉源太郎という天才が作戦参謀にいて、それを実行する東郷や乃木などがいた奇跡に過ぎない。

ただ残念ながら今の日本の政治家や官僚にはこの実践経験がある人は少ない。一方米国の政権には、ゴールドマンサックス出身者など、単にポーカーのルールを知っているだけでなく、リスク管理と危機管理の組み合わせで全体のボラティリティをマネジしてきた経験者がつらなる。

もし今の日本にこの種のスキルがあるとすれば、それは銀行のポートフォリオマネージャーあたりか。前述の証券マンでもない。ならば心意気のある金融マンは、金融組織にとどまらず、国家を舞台にもっと大きな仕事をしたらどうだろうか・・。