2015年11月30日月曜日

混沌と混雑と日本の主張


                 国際政治は混沌


         
                シリアの戦場は混雑
          

             この最中でも日本の主張は鯨肉へ


          http://www.bbc.com/news/world-asia-34952538

昨日から日本が捕鯨を再開したことを、CBS系のニュースでは何度も報道している。敗戦後、日本が世界に向かって頑なに自己の権利を主張するのは稀。だから、国際裁判所の判決に日本が反抗した心意気を、個人的には拍手喝采したいところ。だがなぜその案件が捕鯨なのか。

日本が何かを主張すれば、日本を説得する側は代替案件で妥協することもある。だから美徳でも何も主張しないのは損だ。ただしカードは大事にしたい。その時々の国際情勢に沿った国益の優先順位を考えないといけないと思う。

例えば今、中国は尖閣の領有権を主張する。日本には味方が必要だ。南沙での中国の横暴に悩むアジア諸国の多くは今は日本の味方。でもインドネシア然り、彼らはアメリカが態度を変えればどうなるかわからない。

アメリカもいろんな駆け引きをしている。政権は国民の感情を無視できない。アメリカの若者は、誰も住んでいない尖閣の領有権より鯨の命に関心がある。そんななかで、こちらのニュースは、科学調査といいながら、実際は商業に使っている日本の不正義を言いたいようだ。

不正義?主要な西側先進国は最低でも二枚舌。民主主義や法治国家の制度を主張しながら、秘密機関には超法規的仕事をさせている。そうやって相対的な国益のゲームを延々と続けながら、決定的瞬間までは駆け引きを続けている。つまりダーティーな大人の社会。

そういう二枚舌にくらべ、日本は清廉で正直だと思う。国際社会に対しては、純真無垢な子供の良さを保っている。そして日本は世界平和にとても貢献してきた。なら少しの鯨ぐらい殺して食べてもいいはずだ。民主主義の正義を謳いながらドローンで民間人を殺す矛盾よりベター。でも現実の世界はダーティーな大人が仕切っている。

ジャパノロジー(Japanology)という言葉が示すように、欧米では若者を中心に、日本人の文化がクール(かっこいい)という感覚が生まれている。そんななか、近年日本の食文化が世界一であることに、日本人が自信を持ち始めたことがアメリカからもうかがえる。

悪いことではない。ただその前提となった世界の平和や若者のリベラル化は永続するのだろうか。もし日本がその時代の延長で捕鯨を考えるなら、これもある種の平和ボケだろう。

まあまだ国際政治は混沌。シリアの戦場は混雑している。なら直ぐには動くに動けない情勢で、もう少し平和が続くだろう。ただしTPPにはアフリカの象牙や大西洋黒マグロの保護なども入っている。個人的趣向では、鯨の尾肉より、中トロの方が大事・・



2015年11月23日月曜日

ハンガーゲーム、耐性菌と抗生物質 ( マネー原理プロから )

          

         (ハンガーゲームのブームと、貧富の差は平行している)


アメリカがイラクから去り、ISISがその半分を支配した際、イラク復興のためのアメリカが残した数ビリオンのドルは、そのまま彼らのものになった。

その後ISISは闇オイルで稼ぎ、欧米がその流れをとめても、ISISと戦っているはずの反アサドゲリラは、そのISISからオイルを買っている始末。

一方ISIS空爆に参加しているはずのサウジ、ヨルダンなどのスンニ王族諸国は、個人ベースではISISに資金援助、ISISがシーア派連合を弱体化させることを期待している。

その中でアサドのシリアを死守するプーチン。煮え切らないアメリカは、オバマが大統領の間はイランと事を構える覚悟はない。

(ISの総資産は200兆円とも・・)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3328812/On-murder-march-ISIS-Terror-expert-tells-slave-markets-summary-executions-morality-police-jihadi-group-2trillion-bank.html


稀に見る残虐性で世の中を震撼させるISIS。だが勢力は2~3万。リーダーとされるバグダディーは経歴からは小者。だから捕まえても当事のアメリカは相手にしなかった。

テロといえば、60~70年代、資本主義の成長力の裏、戦後のアンチテーゼで世の中を騒がした赤軍。そして90年代、アメリカのサウジ進出に端を発したビンラディンのテロ。これらの脅威は、そのコアを取り除くことで一定の効果があった。

だがISは違う。ビンラディンど比べても、バグダディーにカリズマ性がないことが、逆に彼を始末してもあまり意味がないことを既に証明している。だったら末端のパリ実行犯の若者が死んでもさほど意味がない。

では究極的には、ISISとは一体なんだろう。そもそも本当にコアが存在するのか。組織としてのISISは、表向きのトップは小者、武器は旧式。だがISISを大きく見せているのは、戦っている側の本質的な問題。アラブのスンニとシーアの確執。先進国の貧富の差など、、

ISISの本質を考えたとき、個人的には近年新たな脅威になった耐性菌が思い浮かんだ。抗生物質で死滅したはず菌が耐性をもって復活する。人類の新たな脅威だという。だがその要因は菌そのものではなく、抗生物質による対処という考え方・・

先日のクローズアップ現代で、耐性菌に対抗するには、そもそも抗生物質の安易な使用を減らし、菌に耐性力を持たせないことが重要という医学からの主張があった。新しい抗生物質を見つけても、菌はかならず復活する恐れ。

文明の進歩とともに社会も人間も安易に薬を使うようになった。昨今は痛み止めだけでなく、ステロイドなどドーピングでパフォーマンスや寿命を伸ばす。

でもそれでは人間本来の免疫力は劣化し、耐性菌はどんどんしぶとくなっていく。ソレは経済も同じだと思う。(そこはある保守派に同感)実体経済を上回る膨大なマネーの役割と、そもそも膨大なマネーを感じられない矛盾。

70年代、マネーはその量的限度を定めていた縛りから解き放たれた。今はインフレ率などいう机上のequationで、膨大な流動性として存在する。ならどういう通路にせよ、ISISが耐性菌として「誰かのマネー」にアクセスするのは可能だ。

このタイミングで、FEDはリーマン以降続けてきた「コーポレート版・ヘリコプターマネー」の副作用を意識しているようだ。FEDの流動性は、大企業と資本市場のサークルにとどまったまま。

社債は新規事業の原資というより、バイバックや増配のファイナンシャルエンジニアリングに向かった。生まれた格差は社会の不満になり、何より流動性は次のボラの温床にもなっている。


 (カンニバリズム:終に利益をバイバックと増配原資が上回る。そのマネーはどこから )


http://www.reuters.com/investigates/special-report/usa-buybacks-cannibalized/#Buyback-Chart

だったら保守派の主張する「真の資本主義復活」に向け、人命を犠牲にしても、破壊と創造を断行するか。(需要が生まれる)それとも、末端までマネーを直接配り、怒りを沈め、平和を維持し、名実ともにインチキ資本主義の体裁を終わらせるか。

戦勝国で。国土の直接被害が少なかった米英の一部は前者。一方、大戦で大きな被害を受けた大陸は、英米と距離を置き、後者に傾き始めたと思う。

ここではずっとこの局面をTHIS IS ITとしてきた。そしてソレが始まった頃、どこからともなくISISが生まれた。シリアという西洋文明には特別な場所をめぐり、各国の欲望がISISを生み出し、表面は戦いながら実は助長している可能性。

そしてその結果、テロさえも今の市場では次の緩和につながるというゲーム感覚。その母体は、ハト派が多くなり、物事の平和的解決を目指しているはずの中央銀行の繰り出す流動性。

命がけのサバイバルと、そのゲームを傍観する社会の格差。金融市場には、まるで映画のハンガーゲームの世界が展開しているようだ。

      
           (米英がなぜこの位置なのか)



2015年11月17日火曜日

Night will fall

失った人命をコストと考えれば、ここからフランスは強い。逆にどんどん追い込まれそうなのは、難民で苦境に立つメルケルとドイツだろう。

人命をコストと考えるかどうかは、時代のサイクルの可能性がある。失われたモノは戻らない。ならコストをどう未来につなげるか。いつまでも感傷に浸る国と、冷徹に合理的に国益につなげる国の違いは、次の50年後にも、また大差となっているだろう・・

Night will fall (HBOドキュメンタリ映画ーから)

イギリスはこの映像を昨年まで公開しなかった。連合国の勝利が既に確定していた1945年6月、若い兵士にカメラを持たせ、ナチスのユダヤ人収容キャンプ場の開放をドキュメンタリーとして準備、監修にはあのヒッチコックを起用した鳴り物入りだったにもかかわらず・・
出演者のコメントからは、想像を絶する残酷 非人道的な映像に流石の米英も扱いに困った様子が想像される。ただし、米英がこの映像で「次」を考えていたことも事実。映像の最後、技術力では英米を上回る実力のあるドイツを(復興後)次の敵のソ連に対して有効に使う目的が示唆されている・・



2015年11月14日土曜日

日本は外国人観光客の安全確保を




             夫を支えるイギリスで生まれ育ったアサド夫人

アメリカ フランス ロシアのシリア空爆。みな表向きはISIS空爆を主張しながら、ロシアは反アサド勢力を空爆、アメリカはその反アサド勢力を応援、自分自身は中途半端だった。ならフランスは誰を空爆していたのか。少し前、ここではその情報がないとした。

もしかしたら、フランスだけ?本当にISISを空爆していたかもしれない。ただアメリカの後退、中国の台頭という歴史的変革期(今の4THターニング)をフランスがチャンスだと考えていたのは明らか。だから独自にロシアとの関係を探り、経済では中国をアメリカにぶつけ、ウクライナ問題ではロシア制裁の軽減を訴えていた。(ギリシャなどの欧州問題では、ドイツを矢面に立たせる・・)

フランスでの相次ぐテロはその代償?。少しまえ、イスラエル国防相が、「神殿の丘」を完全奪回すると漏らし、(丘にイスラエルの旗を立てる)ネタニヤフでさえたしなめたいうリポートがあった。(丘の管理はイスラムとユダヤ・キリスト社会の最後?の平和的バランス)

今回の事件ではレベルの高いVOXでさえ、ISISの犯行声明にいつもと違う違和感を示唆しているが、自分の頭の中では、ロシア飛行機墜落後、ドーピング、一転したFEDの利上げへのフリップ、そして先日紹介したビデオなど、すべてのツジツマが合ってきた。

http://www.vox.com/2015/11/14/9734794/isis-claim-paris-statement

そして早々に ローマ法王が第三次世界大戦などと発言し、イギリスがフランスを助けて戦争宣言。まるで十字軍の世紀に逆戻りしたような状況。

そんななか、見えない大きな力は、いろんな手段で先にロシアがシリアに入るのを邪魔し、ここで英仏が動けば、早晩、米国のコミットも本格的にならざるをえない状況が整ったと思う。

ではオバマ政権はどこまで自分でやるか。イランとどうしてもやりたいなら次の政権で、、、というとケリー長官の努力は時間切れの様相。

いずれにしても、フセイン・カダフィーと同じ運命になりたくなければ、アサドは早くロシアへ亡命したほうがいい。(個人的にアサド夫人のファンなので)

前述の様に、このいくさ、影で暗躍している勢力の中に、イスラエルのタカ派勢力があると個人的には考えるが(注、ユダヤ人ではない。くだらないユダヤ陰謀説は無用、ウクライナ以来、米国内のオバマ政権を支持する知的穏健派ユダヤ系と、ネタニヤフ的なタカ派イスラエル人脈の対立は顕著 )

めぐりめぐって、安倍ジャパンには、イラク戦争後と同じ追い風も考えられる。ただし債券をしこたま仕込んだ人たちは、2003年のバーショックを超えるショックに準備すべきだろう。もし金利が上がって株がビビッてしまうようでは、QE相場は、平和ボケ相場だったということ。

そして一番気になるのは、国内では十分警戒しているアメリカ人が、旅先の日本で狙われるリスク。

無事東京五輪が迎えられるかどうか。まだ磐石とはいえない・・


2015年11月10日火曜日

緊急寄稿 ゲームチェンジャー ビデオ



アンダーグランドでISISが流す首切りビデオの役割は終わった、ならメジャーなメディアがこのようなショッキングなビデオを流すのはなぜか。こんなものが流れれば、ロシアはもとより、アメリカも黙っていられない可能性。200人の子供を殺すISISは、ゲームチェンジャーの可能性、、

2015年11月9日月曜日

KKK とマフィア、どちらがお好きですか


大統領選まで1年をきった。9月末から10月にかけて、金融市場がドラギ発言やFEDの緩和継続期待で盛り上がった頃、金融・メディアを牛耳るクリントン一派が終結し、ヒラリーを磐石にした。

ただ民主党は、この時期にヒラリーだけにしてしまうのは本当に健全だろうか。候補者が乱立する共和党とは対極の意味で、アメリカはアメリカらしくなくなってきた・・。
         
          
     (民主党はヒラリー人に集中し、もし彼女に何かあったらどうするのだろう)

そして11月、雇用統計で利上げの可能性が復活。FEDのハト派は、ずっとデータ次第といいながら、実態はマーケット次第だった言い訳が必要になる。追い風は保守派へ。     

そんななか、先週オハイオでマリファナの合法化が否決された。大統領選で最も重要なオハイオは、まだ保守的だった。この結果は共和党には朗報。

保守派にはQEのような緩和策こそが最大のドラッグ。これ以上金利ゼロのマネーでジャブジャブにされれば、誰も実体経済に貢献するリスクに挑戦しないと彼らは考える。

   http://www.economist.com/blogs/graphicdetail/2015/01/daily-chart-11? fsrc=scn%2Ftw%2Fte%2Fbl%2Fed%2Fmappingmarijuana

            
            (FEDのジャブジャブマネーはドッラグではないの?)


ところで、一般的な大統領選の解説は追々するとして、ここではKKK(Ku Klux Klan)とマフィアの関係を触れたい。背景は禁酒法をめぐる彼らの攻防が、現代のマリファナ議論の参考になるからだ。

そもそもKKKもマフィアもどちらも社会悪のイメージ。歴史的に対立してきたこの二つの組織は、二大政党制の利害構図を観る上では、興味深いサンプルでもある。

共和党的価値観を共有するKKKは、もともとは崇高な白人至上主義だった。ところが南北戦争に負けたあたりから(旧南部)リンチなど黒人に対する非合法な活動が目立つようになった。

リンカーンによって施工された人権を主張するとどうなるか。見せしめだった。黒人は仕事を求めて都会へ移動。北部がインダストリアルで発展する中、南部は取り残された。

一旦は沈静化したKKKは、20世紀初頭に復活する。背景は、NYやシカゴへなだれ込んできた新しい移民。ユダヤ人をはじめ、イタリア人 アイリッシュなどのカソリックの急増に対し、WASPたちが危機感を覚えたとされる。

結果、KKKは全米で400万人規模に膨れ上がった。こうなると最早テロ集団ではなく、米国で最大の政治集団になった。(日本原爆を落としたトルーマンはKKK) そして彼らが推し進めたのが、あの禁酒法。だがこの禁酒法が、KKKを逆に追いこむ結果となる。


禁酒法によって生まれたマフィア。マフィアは遅れてアメリカにやってきた2級市民が主役。ここは金融市場の主役と同じであることを以前紹介した。(ユダヤ人 イタリアン アイリッシュ)

参考 http://marukano-gb.blogspot.com/2014/12/blog-post_27.html

カポネも庶民に人気があったが、かっこいいスーツを着て派手にお金を使う。マフィアが主役だった狂乱の1920代、この頃ユダヤ資本の映画会社は、NYからハリウッドへ拠点を移し、リベラル派の応援をすることになる。

イタリアンマフィアは、第二次世界大戦中は民主党政権に協力し、米軍のイタリア上陸を助けた。代わりに国内では当局の目こぼしもあり、勢力を拡大した。(このあたりの民主党政権の相対的国益の判断力、いまだに日本は苦手にしている)

一方マイノリティーでも、新移民よりはアメリカの先輩になる黒人層は、リンカーン後は奴隷を解放した共和党に投票していた。だがウイルソン大統領以降、都会で暮らす黒人は次第に民主党に傾いた。最大の転機はケネディー兄弟。

彼らが民主党を現在の民主党のイメージに変えた。そしてミシシッピーバーニングで有名な黒人の人権を守る活動をしていた3人の若者が殺された事件でFBIが使ったのがマフィア。

FBIの捜査に協力しないミシシッピー州当局に業を煮やしたフーバーは、マフィアにKKKのメンバーを拷問させ、一連の事件の犯人達の連座に成功。これでKKKは完全に下火になった。

しかし現在の構成員を見ると、マフィアが5000人未満であるの対し、KKKは8000人以上。隠れKKKはかなりいるといわれ、先週アノニマスが公開したKKKリストには、3人のFBI現役職員が含まれていた。

http://www.bbc.com/news/technology-34736941
 
アノニマスの情報を信じるかどうかはともかく、ここ数年の白人警察官と黒人の対立は、アメリカにきて21年で最悪だと思う。人口動態的に完全にマイナーに追い込まれそうなKKKの母体集団が、団結を強めるのは自然だ。

そのあたり、共和党支持者の不満を突いているのがトランプ氏。共和党のイスタブリッシュが彼をなかなか押せえられない理由は根深い。

ただ民主党も、本来民主党ではないバーニーを、民主党候補者として容認するような人材不足の露呈は、アメリカそのものが、大きく変化する可能性を示唆していると思う・・








2015年11月3日火曜日

政治の嘘とドラマの本当、、の関係

            


「House of Cards」のシリーズ3は、ケビン・スペーシー演じる主人公ウッドワード大統領(民主党)と、プーチンをモデルにしたロシア大統領のペトロフの駆け引きが重要な複線だった。

脚本時点でウクライナ問題は起きておらず、ケビンスペーシーは、中東を舞台に、節度を保った互いの中東への派兵を、米ロ国際協調の延長という政治的勝利を画策するストーリー。

ところがペトロフ大統領は、自国の兵士が攻撃された事件を、ロシア兵を大量に派兵する口実にした。ドラマでは、プーチンが自分で自国兵を犠牲にした(殺した)と、ケビンスペーシーが激怒する設定になっていた。

現実の世界では、当初、エジプト当局が否定した第三の要因によるロシア機墜落。情報が錯綜する中でプーチンはどうでるのだろう。

House of cardsを見たロシア関係者は、プーチンはあんなJolly(愉快なキャラ)ではないといったらしいが、アメリカが描くほど、個人的にプーチンを悪者には考えていないいものの、ISIS撲滅の旗頭で、ロシア軍のシリア本格投入はありえると思う。

その場合、オバマは50~200人程度の人員でどうするのか。こちらも先週情報が錯綜した。まず各放送局で、オバマは200人程度の地上軍派遣を決定と報道された。その後否定され、ホワイトハウスは、特殊部隊50人を軍事訓練のために派遣するとした。

200人程度の派遣?思わず、昨年紹介したローリングサンダー作戦が思い出されたが、いずれにしても、シリアの顛末は次の大統領が主役。もしヒラリーなら、彼女が最も尊敬する政治家がジョンソン大統領というのは、PATHにおいて因果かもしれない。(副大統領としてベトナム戦争に積極的だったジョンソンと、ベンガジからシリアにかけて武器を残してしまったヒラリー)

<参考>想定内相場とローリングサンダーの想定外 
http://marukano-gb.blogspot.com/2014/05/blog-post_28.html


このように、アメリカを考える時に、ドラマと現実が入り乱れ、お互いが相手を完全に否定せず、相乗効果を生んでいる面がある。国民の知識に格差があり、スポーツも政治も経済も、ヒーローが活躍する国家の特徴だろう。

ハリウッドでは大根役者だったレーガンはその後のアメリカの運命さえも変えた。(冷戦勝利)

30代~40代での政治的変節(民主党から共和党へ)。40代~50代での企業の成長と国民生活支配の関係の経験。(GEの専属CM俳優として、冷蔵庫などの発表会で商品販売)

そして政治家として、メッセージの伝達力で歴代大統領で最高された。結果、ゴルバチョフまで、アメリカは本気でスターウオーズ(SDI)をやる気だと思わせてしまった。
(レーガンに米国との競争を諦めたゴルバチョフは、内政改革へ舵を切り、ソ連は自壊へ・・)

そんな中、90年代に米国金利を見始め暫く経ったたころ、上院議員としてグリーンスパンを詰問するフレッドトンプソンをみて頭が混乱した。なぜ「ダイハード」や「レッドオクトバーを追へ」でアメリカの軍事顧問役の彼が上院委員会にいるのか?
         

               

トンプソンはもともとは弁護士。ウオーターゲート事件では重要な役割を担い、80年代はそのまま俳優へ。そしてアルゴアの副大統領就任に伴ったテネシー上院空席選挙で勝利。10年間上院議員を続け、引退後は再び俳優へ復帰しながら大統領選にも挑戦した。

トンプソン氏は昨日、病気で永眠した。(73歳)

いずれにしても、ビルクリントンが、95%はワシントンの事実を描いているとしたHouse of Cards。現実とドラマの境がよくわからない今の時代は、理論より、人間社会を観察したシナリオの方が、未来の予想では役に立つことが多い。その意味では必見のドラマだと思う。