「House of Cards」のシリーズ3は、ケビン・スペーシー演じる主人公ウッドワード大統領(民主党)と、プーチンをモデルにしたロシア大統領のペトロフの駆け引きが重要な複線だった。
脚本時点でウクライナ問題は起きておらず、ケビンスペーシーは、中東を舞台に、節度を保った互いの中東への派兵を、米ロ国際協調の延長という政治的勝利を画策するストーリー。
ところがペトロフ大統領は、自国の兵士が攻撃された事件を、ロシア兵を大量に派兵する口実にした。ドラマでは、プーチンが自分で自国兵を犠牲にした(殺した)と、ケビンスペーシーが激怒する設定になっていた。
現実の世界では、当初、エジプト当局が否定した第三の要因によるロシア機墜落。情報が錯綜する中でプーチンはどうでるのだろう。
House of cardsを見たロシア関係者は、プーチンはあんなJolly(愉快なキャラ)ではないといったらしいが、アメリカが描くほど、個人的にプーチンを悪者には考えていないいものの、ISIS撲滅の旗頭で、ロシア軍のシリア本格投入はありえると思う。
その場合、オバマは50~200人程度の人員でどうするのか。こちらも先週情報が錯綜した。まず各放送局で、オバマは200人程度の地上軍派遣を決定と報道された。その後否定され、ホワイトハウスは、特殊部隊50人を軍事訓練のために派遣するとした。
200人程度の派遣?思わず、昨年紹介したローリングサンダー作戦が思い出されたが、いずれにしても、シリアの顛末は次の大統領が主役。もしヒラリーなら、彼女が最も尊敬する政治家がジョンソン大統領というのは、PATHにおいて因果かもしれない。(副大統領としてベトナム戦争に積極的だったジョンソンと、ベンガジからシリアにかけて武器を残してしまったヒラリー)
<参考>想定内相場とローリングサンダーの想定外
http://marukano-gb.blogspot.com/2014/05/blog-post_28.html
このように、アメリカを考える時に、ドラマと現実が入り乱れ、お互いが相手を完全に否定せず、相乗効果を生んでいる面がある。国民の知識に格差があり、スポーツも政治も経済も、ヒーローが活躍する国家の特徴だろう。
ハリウッドでは大根役者だったレーガンは。その後のアメリカの運命さえも変えた。(冷戦勝利)
30代~40代での政治的変節(民主党から共和党へ)。40代~50代での企業の成長と国民生活支配の関係の経験。(GEの専属CM俳優として、冷蔵庫などの発表会で商品販売)
そして政治家として、メッセージの伝達力で歴代大統領で最高された。結果、ゴルバチョフまで、アメリカは本気でスターウオーズ(SDI)をやる気だと思わせてしまった。
(レーガンに米国との競争を諦めたゴルバチョフは、内政改革へ舵を切り、ソ連は自壊へ・・)
そんな中、90年代に米国金利を見始め暫く経ったたころ、上院議員としてグリーンスパンを詰問するフレッドトンプソンをみて頭が混乱した。なぜ「ダイハード」や「レッドオクトバーを追へ」でアメリカの軍事顧問役の彼が上院委員会にいるのか?
トンプソンはもともとは弁護士。ウオーターゲート事件では重要な役割を担い、80年代はそのまま俳優へ。そしてアルゴアの副大統領就任に伴ったテネシー上院空席選挙で勝利。10年間上院議員を続け、引退後は再び俳優へ復帰しながら大統領選にも挑戦した。
トンプソン氏は昨日、病気で永眠した。(73歳)
いずれにしても、ビルクリントンが、95%はワシントンの事実を描いているとしたHouse of Cards。現実とドラマの境がよくわからない今の時代は、理論より、人間社会を観察したシナリオの方が、未来の予想では役に立つことが多い。その意味では必見のドラマだと思う。
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