2015年10月26日月曜日

人民元に逆転された日本円(SWIFT)、元祖グローバリスト ハリーホワイトの怨念? 


             プレトンウッズのケインズとホワイト(WIKI、)


今日のマンチェスターダービーは凡戦だった

2015年8月以降、SWIFTで人民元が日本円を抜いた実績。9月末、オバマ政権が人民元をSDRに加えることを条件付で承認するという方向転換。これはこの結果を受けてのものか。

http://www.swift.com/assets/swift_com/documents/news/RMB_stellar_ascension.pdf

http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-09-25/u-s-takes-step-toward-support-for-china-s-reserve-currency-bid

なら安倍さんも大変だろう。日本と日本の円をもっと世界に売り込まなければならない。

安倍さんの地球を俯瞰する外交。このタイミングは、野党の主張どおり、TPPの詳細を国会で説明するのを避けるためだと思った。でも、円と元の国際通貨としての実績の逆点は、日本としても緊急事態。首相としてじっとしていられないのも事実だろう。

それにしても、アメリカは昔の紳士的決断を後悔しているかもしれない。世銀だけでなく、IMFもアメリカがトップを握っていればよかったのだ。

敗戦国としては、まだ戦争が終わっていない1944年7月に、既にプレトンウッズでIMFと世銀の構想があったのは無念の一言。

まあアメリカの軍事力で第二世界大戦が終わったのだから、IMFも世銀も元々はアメリカのモノだった。しかし当事のアメリカは、WSの要求で世銀トップは譲らなかったが、IMFトップはヨーロッパへ人へ譲る紳士的態度をとった。

背景はプレトンウッズでは重要な立場だった二人。
一人は英国人のケインズ。そしてアメリカ側は、グローバリストの元祖で、日本にも縁の深いハリーホワイトが、アメリカのごり押しより、世界観を重視したからだといわれる。
(2011年2月10のFPプロから (Foreign policy Group)

この紳士協定が現在まで続いている。(世銀トップはアメリカ人 IMFは欧州人)ところが、現状の世界では、どうやら世銀とIMFの重要性は逆点してしまったようだ。

もともとヨーロッパの戦後復興を引き受ける目標の世銀は人員規模はIMFの5倍。しかし途中からその役割が発展途上国への援助に変わった。一応銀行なので、野放図なことはできない。

一方IMFは、ギリシャの例をみるまでもなく、BAILOUT(救済)が可能。さらにニクソンショック以降、変動相場制での国家間の攻防でキャステイングボードを握るようになってしまった。

ところが、そのトップはアメリカの意のままにならないフランス人。フランス人がトップの間に、IMFはG20レベルの国家の発言力や投票権が増した。

この事態にUNHAPPYなアメリカ議会は、2011年のIMF決定を承認していないが、世界は度重なるこの種のアメリカの態度に限界を感じ始めている(英国のAIIB参加が証明)

だから、IMFメンバーによる中国のSDR加盟の賛同は、たとえ恩あるアメリカでも、必要な抵抗であり、民主党のエリートグローバリスト集団が囲むオバマ政権は、そのあたりも考慮している。

しかし6月まではIMFスタッフに、中国元のSDR加盟は時期尚早のレポートを書かせた。ならここに来て賛成に回るのはかっこ悪い、それなりの代償の思惑があったはずだ。

個人的には、オバマと習金平会談で、アメリカは南シナ海やサイバー問題で中国の譲歩を要求したと思う。でも結果にオバマは満足していない。ただし実績で日本円よりも中国元が上回った以上、最早アメリカは反対を唱えるわけにはいかない。

日本のネトウヨ記事では、習金平に怒ったオバマが中国に何かするかもなどいう、期待も入ったような論調があった。でもあと1年しかしかないオバマと習金平では、最早立場は逆転していると思う。

もちろんアメリカが圧倒的な軍事力を前面に出すチャンスがあるなら別。しかしエリートグローバリストや、何よりオバマ本人が、そういう手段は一番嫌いだ・

元祖グローバリストのホワイトは、日本と戦争をしない方策を訴え続けた。しかしルーズベルトは受け入れなかった。そして戦後、ソ連とも「戦い」ではない関係を模索した彼は、スパイの汚名を着せられ、不可解な死を遂げた。

そして今のグローバリストたちも、ケインズと金融緩和を推進する。代表的なのはクリントン政権で中枢を担ったルービン一派。つまり財務省とGS関係者。例えば、サマーズ ガイトナー ブレイナード フロマンなど、、

9月末から10月にかけて、TPPが妥結し、オバマ政権が中国元のSDR加盟の反対を取り下げ、
ヒラリークリントンが盛り返し、そしてFEDの利上げが遠のく論調になった。これらの現象は、バラバラではなく、また偶然でもないだろう。

いずれにしても、この演出に日本の株式市場も反応している。その一方で、日本のメディアの多くは、いまだにアメリカのストラテジーを共和党の視点で伝えるトンチンカン。共和党のストラテジーを信じるなら、利上げに準備すべきだ。

日本のメディアのレベルは本当に低いのか、あるいはアメリカと安倍政権に遠慮しているのか。
メディアが、見ざる 聞かざる 言わざるなら、国民は善意とアメリカ優位の妄想の塊のまま。

この状態は、恐らく誰にとっても都合がいいのだろう・・ 


2015年10月19日月曜日

 安心の対極、 日本人と桜

(NHKスペシャル ドナルドキーンの愛した日本人より)


ラグビーワールドカップでの日本代表の試合が終わった。

10年ほど前まで、日本のラグビーは大学ラグビーが中心だったと思う。(人気で)

いわゆる伝統校を中心にしたおかしなヒエラルキー。

バブルを知るオジサンたちは、郷愁に満ちた応援をしていた。(自分もその一人だった)

その頃、世界のラグビーは別の次元だった。


見違えるような今のジャパンのラグビー。

躍動する桜のジャージーを着た外国出身の日本代表選手たち。

五郎丸選手は、大学の頃は今泉選手と同格に思えたが、

外国出身の選手との切磋琢磨で進化した今、新しい日本人として頼もしくなっていた。

日本のラグビーは、日本という国が、未来永劫生き残るためのヒントだろうか。


そんな中でNHKのドナルキーンさんの特集。

キーンさんが最初に魅了されたのは、「桜」に「はかなさ」を見出した日本人の美学。

そして、キーンさんが挙げていた日本人の特徴は、以下の五つ。


あいまい(余情)

はかなさへの共感

礼儀正しい

清潔

良く働く



こちらでアメフトの魅力も知った今、個人的にラグビーの魅力はスクラムになった。

血が混じり、優秀なコーチの元では、日本のスクラムは南アと互角、サモアを圧倒した。

ここは、キーンさんが知らない日本人の可能性だと思う。


ただその可能性は、日本が、日本人だけの世界に拘ると、また閉じてしまうだろう。

戦後、最も平和で、最も長生きになった日本社会。

最早そこには「人生ははかないもの」という前提はない。

かわりに、「安心」という言葉が支配している。

結果、

ボラが高い株式市場、

信用できないマンションの地盤、(もともとば地盤に磐石などあるのか?)

わけのわからない外国人の存在、

は、自分達の命や生活を脅かすものとして、安心とは対極の悪になっている。


なら商売は簡単かも。方向性でこんな判りやすい国家と国民はいないのだから。

老後の年金、健康、治安、外国の侵略。ちょっと不安を煽ればすぐ逆に反応する。

網を張り、待ち構えればいい。(振り込め詐欺、米国主導のTPP 日経225先物 )


でも本当に、この世の中に「安心」などあるのだろうか。

個人的には、日本が貧しさや、戦争などのの悲劇と戦ってきた戦前までの時代は、

今の我々が当たり前として考える「安心」などという概念はなかったと思う。

ずっと豊かだったアメリカで生まれたキーンさんは、その時代までの日本の文化に触れた。


その意味で、現代人が、ほんとうにはかなさに魅力を感じているかに疑問。

特に大陸と繋がっていない日本は、己の安心を求めるがために、

真のリスクに気づかない罠があると思う。


シリア難民を扱ったクローズアップ現代で、二人の日本人女性の知性に触れた。

政治学者で、日本に難民を受け入れる運動をしている長有紀枝さん。

彼女は、日本がもっと難民を受け入れるべき理由は、人道的見地だけではなく、

もし災害大国の日本に何か起こった場合、日本人が難民になる事態も想定していた。

そして番組で、そういう想像力の重要性を日々のテーマで訴える国谷キャスター。

こういう人たちが活躍すれば、きっとドラルド・キーンさんも安心だろう。





2015年10月11日日曜日

ドイツ変調?とフランスのしたたかさ




ここ数年、一人勝ちと揶揄されたドイツがすこし変調している。

メルケルがノーベル平和賞を逃した日、ユーロ2016予選でワールドカップ王者は格下のアイルランドにまさかの敗北。

そして、真面目な印象のドイツ人が、なぜあんな馬鹿げた経営判断をしたのかというフォルクスワーゲンの事件の背景には、日本のトヨタの存在があったという。


https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/10/07/germanys-volkswagen-the-story-of-a-car-company-and-a-nation/

ヒトラーの国策会社としてスタートしたVW社。今やベントレー ランボルギーニ ブガッティーの超高級車から、ポルシェ アウデイまで、欲しいものは何でも手に入れた?状態だったはず。



                ( VWの規模拡大はナチス・ジャーマンの勢いに匹敵?)


だが、それでもトヨタに販売台数で勝てない状態を経営陣は許せなかったらしい。このあたり、どこかドイツ人の宿命を感じる 

またこの件と無関係と思えないのが、ドイツ銀行の巨額損失。他社に先駆けて自発的に引き当てを拡大した行動を前向きという声もあるが、逆に集団訴訟が泥沼になるという声もでている。

そしてメルケル。

FEDのイエレン、IMFのラガルド、大統領を目指すヒラリーらに並び、世界で最も影響力のある女性として大量難民を受け入れたのは面目躍如だ。

ノーベル平和賞が期待されたが空振り、どうやら難民受け入れは、国内政治でのボラリスクだけが残った様子。

                                                  (STAREC.COM)


歴史的にドイツ(人)は強さが時に弱点にもなり、英仏に比べ、政治で勝ちきれなかった印象。どこか似たDNAを持つ日本は、今のドイツの変調は注視したいところだ。(参考にし、国益に活かすチャンスだと思う)

一方英米と微妙な距離を保ち、したたかに対峙するIMF長官のラガルド。今回リマでの総会での彼女の米国批判は、IMF長官というより、フランス人としての真骨頂だと思う。

    
    米国は中国がIMFで大きくなることを妨害していると堂々と批判するラガルド
    http://www.channelnewsasia.com/news/world/imf-s-credibility-at/2182556.html
    11月の総会で中国元のSDR加入の判断されることを紹介する日経
    http://www.nikkei.com/article/DGXLZO92724430R11C15A0NN1000/?dg=1

そういえば8月頃、IMFのスタッフが書いた中国通貨のSDR承認延期を示唆するレポートを、多くの日本のメディアは「IMFの決定事項」などとしていた。

立場的に反対しているアメリカのメディアでさえありえない誤報道。デタラメもいいとろで、IMFのホームページで確認できることを、そんな基本もせずに流していた・・

ここでは否定しておいたが、彼女が中国をSDRに加えることに前向きなのは自明。11月に向かい激しさを増すはずのアメリカの反対工作を彼女がどうかわすかが見ものだ。(ストラスカーン事件の再現はあるだろうか)http://marukano-gb.blogspot.com/2015/09/blog-post.html

そんな中、米ロと同時にシリア空爆に参加したフランスの動向が見えない。冷戦終了後、初めて米ロが軍事で間接的敵対行為に及ぶ可能性があるシリアで、フランスは誰を空爆しているのか(もちろん公表はISIS)

中国 ロシア ドイツを上手く利用しながら、実はアングロサクソン的な資本主義国家の衰退と、リベラル社会主義体制の浸透をじっと待っているような彼らの動向も、それはそれで、日本にはたいへん参考になるはず。

そして日本が盲目的に信じているアメリカ。まあTPPはなるようにかしならないとして、シリア問題では、そろそろ自衛隊は準備体操の時間・・  
     
         
            (ブレマーが使った風刺画)  
         
             





2015年10月6日火曜日

マネー原理プロ抜粋 黒マグロとTPPは関係あるの?

VIXは現状のニュートラルゾーンに達した。ここから更に売り込むのは別のフェイズ。よって株の上昇は一旦終わり、決算の様子をみて、再びどちらかへ仕掛けると観る。一方一部関係者は、今のフェーズが・・・に似ていることも意識している。とうことは・・

ところで、TPPが本当に実現すれば、個人的に効果より先に心配なのは、マグロやウナギが普通に食卓に上るかどうか・・全く語られない環境問題へのなかみ・・

http://www.nytimes.com/2015/10/06/business/environmentalists-praise-wildlife-measures-in-trans-pacific-trade-pact.html?smid=fb-share

そんななか、日本国内向けに、ずっと農産物の関税云々をいってきた安倍さん、甘利さん。ところが最後のTPP妥結の声明文では、民主主義の価値観など、貿易とは直接は関係ない崇高な言葉を羅列。(比民主義国家と貿易は可能)。

熱く貿易で国益を・・謳ってきた二人が棒読みをすることで、アメリカの意向を受けた(対中)声明文であることを隠さないところが個人的には納得。(悪い意味ではなく)

でもそのTPPも3ヶ月以内に両院を通らないと、アメリカでは法案として成立しない。事前に議会がオバマ政権に与えたファストトラックの権限は、上院のフィルバスターを防ぐ予防であり、本会議での各議員の賛成・反対は全く別の問題。

大統領選が本格化する前に・・と、やや功を焦った?オバマ/フロマンは、ファストトラックを貸与するために奔走した共和党系議員の怒りを買ってしまった。数値で妥協しすぎたのだ。怒ったタバコと医薬品業界の意向を受けた共和党議員の離反は明確。一方政権母体の民主党議員の大半は元来TPPに反対。つまり法案が通るかは全く判らない状態・・

もともとTPPは、アジアの小さな貿易協定に、強力な民間商業ロビー団体のchambers of commerceの 意向を受けたブッシュ政権が便乗してきたもの。2011年ごろ、日本ではまだ民主党政権がTPPを扱いかねていたが、安倍政権が誕生してからは、伝統的な自民党と共和党の兄弟の杯?の中、安倍自民党政権は政権基盤の日本の農家への説得を続けてきた。

ブッシュを引きついたオバマ政権は、最初の4年はTPPに殆ど触れなかった。だが再選後、憂いがなくなると、オバマを支えるエリートグローバリスト達は(フロマンから)純粋な貿易協定から、中国を念頭に、冷戦時代のNATOに匹敵するアメリカの新しいドクトリン構築としてTPPを推進してきた。
この間日本の代表的メディアはTPPの本質の変化に触れることはなく、関税の数値で安倍政権の努力が実ったという演出に筋道をつけたに過ぎない。

優秀なグローバリスト達が掲げるオバマ・ドクトリンの基本は、Engagement&Containment.対中や中東・ロシアでも、ブッシュ・チェイニーのような安易な挑発をしない(戦争はしない)。

彼らにとってTPPはまず中国をいれず、枠組みつくる。そしてそこに中国が参加せざるをえない環境をつくる。完成はその後・・だがこれからの消費力で、アメリカより数倍の可能性を持つ中国が、そのアメリカの意向にまんまと乗るとは思えない。
そして実体経済では、NATO(ここでは米国の傘下の意味)より、ワルシャワ条約(ここでは中国の意味)の恩恵で近年景気回復をしている日本がどうやって両者の間で巧妙に生き残るのか。

いずれにしても、世界が欲しがる優れたモノを造れる日本が、なぜ大国のエゴの色がついた貿易協定に入る必要があるのか。答えは簡単。真の独立国ではないからだろう。日米安保条約とはそういう条約であり、ソレを破棄できず、自分で自国を守らない国の宿命。

ただ米国のエリートグローバリスト達にとって、日本は理想の国だ。オバマ政権は日本の価値を知り、今のところ大切にしている。だが彼らはこのアメリカではマジョリティではない。事実、次の大統領候補者でその意向を引き継ぐことを明確にしている候補者は皆無。

中国嫌いのネトウヨも デモ行進している学生も、弱さは同じ。日本はこれまでその弱さが功を奏したが、そういう時代はもう直ぐ終わると思う。一方で日本には世界に誇る技術力や献身精神がある。あとはいかに駆け引きで優位に立つか。

そういう真のエリートの出現を願うばかり・・