2015年10月19日月曜日

 安心の対極、 日本人と桜

(NHKスペシャル ドナルドキーンの愛した日本人より)


ラグビーワールドカップでの日本代表の試合が終わった。

10年ほど前まで、日本のラグビーは大学ラグビーが中心だったと思う。(人気で)

いわゆる伝統校を中心にしたおかしなヒエラルキー。

バブルを知るオジサンたちは、郷愁に満ちた応援をしていた。(自分もその一人だった)

その頃、世界のラグビーは別の次元だった。


見違えるような今のジャパンのラグビー。

躍動する桜のジャージーを着た外国出身の日本代表選手たち。

五郎丸選手は、大学の頃は今泉選手と同格に思えたが、

外国出身の選手との切磋琢磨で進化した今、新しい日本人として頼もしくなっていた。

日本のラグビーは、日本という国が、未来永劫生き残るためのヒントだろうか。


そんな中でNHKのドナルキーンさんの特集。

キーンさんが最初に魅了されたのは、「桜」に「はかなさ」を見出した日本人の美学。

そして、キーンさんが挙げていた日本人の特徴は、以下の五つ。


あいまい(余情)

はかなさへの共感

礼儀正しい

清潔

良く働く



こちらでアメフトの魅力も知った今、個人的にラグビーの魅力はスクラムになった。

血が混じり、優秀なコーチの元では、日本のスクラムは南アと互角、サモアを圧倒した。

ここは、キーンさんが知らない日本人の可能性だと思う。


ただその可能性は、日本が、日本人だけの世界に拘ると、また閉じてしまうだろう。

戦後、最も平和で、最も長生きになった日本社会。

最早そこには「人生ははかないもの」という前提はない。

かわりに、「安心」という言葉が支配している。

結果、

ボラが高い株式市場、

信用できないマンションの地盤、(もともとば地盤に磐石などあるのか?)

わけのわからない外国人の存在、

は、自分達の命や生活を脅かすものとして、安心とは対極の悪になっている。


なら商売は簡単かも。方向性でこんな判りやすい国家と国民はいないのだから。

老後の年金、健康、治安、外国の侵略。ちょっと不安を煽ればすぐ逆に反応する。

網を張り、待ち構えればいい。(振り込め詐欺、米国主導のTPP 日経225先物 )


でも本当に、この世の中に「安心」などあるのだろうか。

個人的には、日本が貧しさや、戦争などのの悲劇と戦ってきた戦前までの時代は、

今の我々が当たり前として考える「安心」などという概念はなかったと思う。

ずっと豊かだったアメリカで生まれたキーンさんは、その時代までの日本の文化に触れた。


その意味で、現代人が、ほんとうにはかなさに魅力を感じているかに疑問。

特に大陸と繋がっていない日本は、己の安心を求めるがために、

真のリスクに気づかない罠があると思う。


シリア難民を扱ったクローズアップ現代で、二人の日本人女性の知性に触れた。

政治学者で、日本に難民を受け入れる運動をしている長有紀枝さん。

彼女は、日本がもっと難民を受け入れるべき理由は、人道的見地だけではなく、

もし災害大国の日本に何か起こった場合、日本人が難民になる事態も想定していた。

そして番組で、そういう想像力の重要性を日々のテーマで訴える国谷キャスター。

こういう人たちが活躍すれば、きっとドラルド・キーンさんも安心だろう。





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