2007年12月28日金曜日

年末特集2007年雑感

ところで2007年は一言ではどんな年だったか。米国の衰退、ドル安、インフレ、そして最も恐れていた住宅市場の崩壊・・。考えてみれば予想されてきた事が実際に起こり始めた年。そんな印象である。ただ言い換えるとまだそれはパニックではないと言う事の裏返し。本当に「未知との遭遇」になった場合一体どうなってしまうのか、それはまだ解らない。そこで今できる事はただ一つ。可能な限り多くのパターンを過去から学び、自分なりのイメージを準備しておく事。ただそれは一方的に送られてくる情報を整理しているだけでは限界がある。これからは老若男女を問わず、また自身のヒストリーを超えたDIMENSIONで思考する事を心がける。さすれば他人より余裕を持って金融市場の値動きも眺められる可能性が高まる。これが今年の個人的結論(雑感)だ。

豪商が存在した元禄の終焉がそうであった様に、冷戦後の世界的平和とその終焉は金融市場の多様化と信用拡大というマネーのゲーム化の終焉とも重なるかもしれない。今、平和で豊かな米国や日本では子供がWIIで戦争ゲームに熱中している。しかし実際に人が戦争で殺されている国の子供は仮にWIIがあったとしても戦争ゲームをするだろうか。マネーもそれと同じだろう。マネーがゲーム化する背景は、その絶対量の問題もさる事ながら、寧ろ平和期のVOLATILITYの欠落が刺激を求める人間の神経を麻痺させ、過度のリターンへと誘導する危険なゲームに向かわせていると考える。そしてこの20年、金融市場関係者が追い求めた市場の規制緩和や証券化金融商品の開発は言わば紳士協定が前提である事が多く、一旦その協定が崩れるとどうなるかまだ誰も想定していない。そんな中で周りの取引所関係者の多くはだからこそ取引所の会員権はこれからも上昇を続けると確信している。中には会員権の上昇益を枕にリタイアを決め込む同世代もいる。だが本当に彼らは正しいか。市場は万能ではない。その長期的メリットが短期的な政治手段に負ける事は多数決の原理からも否定できない。そしてそのリスクは静かに露見し始めており、その片鱗が現れたのはまずは銀行間の短期信用市場ではないだろうか。ただ今のところ信用不安は金融機関の間の話。これが末端の預金者に影響が出ると猶予はない。実はプレトンウッズ体制下が最も銀行倒産が少なかったという記事を最近読んだが、感情が理性に勝ると民主主義と市場原理は両立しない。もしこれが今のリスクの本質だとすると、それに対して政策金利の調節という術しか持たない中央銀行の存在は虚しい。まるでそれは自分で中毒や糖尿病を治す意思がない患者を前にした医者と同じである。

<2008年とは>
さて来年のテーマは何か。米国大統領選挙は重要だが、最早それは今年の中央競馬の様相だ。ディープインパクトのいない今年のレースは全く観なかった。こちらの大統領選も稀に見る団子レース。このままでは先週の有馬記念以上の結末の可能性もあり、現時点での予想などに意味はない。ただ次の大統領が誰になっても共通のテーマとして浮上するのはイランである。ブッシュが一定の役割の終えたイラクから撤退する日は遠くはないとみるが、これまでの様に期日が曖昧で楽観的部分撤退の予想繰り返しでは笑われるだけだ。よってその時は期日切って完全撤退を発表しなければならない。そしてそのタイミングは以前予想した様に選挙効果を考えれば民主党の攻激目標を奪った上で景気がさらに落ち込んむはずの来年初夏か。

いずれにせよ主要国にとってイランは格好の材料だ。独仏が急速に米国にすり寄ったのはブッシュ後の米国へのヘッジもさる事ながら、プーチンロシアへの恐怖の裏返しである事は明白。逆にそのプーチンはイランへの影響力行使を一層強めるだろう。そんな中でアラブ諸国は反イランで結束した様子。最近のイスラエルのシリアへの不可解な干渉(軍事行動)は互いに本気だった年初の緊張とは全く別物である。シリアの豹変は結果的にイラクに小康状態を齎し、ヒズボラやハマスを最近の紙面から追いやってしまった。これはイスラムであり、中東でもあるがアラブではないイランには相当な重圧。ただシーア派革命を起こしたイランに対するスン二派アラブ王族の結託と米国のシナリオへの便乗は合理性があるとみる。だがこれでイスラエルが自由になり、其れにビンラデインが怒ると彼の生死にかかわらず再び米国は危ない。なぜなら彼の配下の組織はアラブと米国の妥協が過ぎると事を起こす習性があるからだ。

もしかしたら最近のアラブ資本の米国への流れもこの様な妥協が前提になっているのかもしれない。だが皆でイランを包囲して締め上げる事で利益を享受するシナリオは本当に機能するのか。そんな中で米国は自ら望んではいないが、場合によって経済政策で減量的政策を強いられる可能性にも準備はしている。しかし長い間冬を経験していないキリギリスに減量をさせるのは大変だ。ダイエットの為にトレッドミルで走るのは辛い。だが景色が変わる外を走ると気分もまぎれる。仮にインフレ対応、緊縮経済で減量を図る場合はこの手法でいくしかないだろう。元々民主党はイランと折り合いが悪いが、共和党政権が続いてもイラクからから返す刀でイラン極悪説を展開して国民の再びマニピュレートする事は可能だ。政府は国民の関心を経済以外に向けさせながら、今の完全市場原理から徐々にから市場中心主義的モデルの新しいレジーム手段を考えればよい。いずれにせよ先日のブッシュのイラン挑発声明はイラク戦争前のソレと全く同じパターンを踏襲していた事に気付いた人は多いはずである。

しかしそれにしてもイランは場所が悪い。真にキリスト教文明にとっての鬼門。アレキサンダーの東進もここでまでだったがが、一旦足を踏み入れると泥沼と言わるアフガニスタンとパキスタンが隣にある。そもそも冷戦終結はレーガンとゴルバチョフの時代。だがソ連が崩壊したのは米国に屈したというより自壊。ソ連はその前に魔境のアフガニスタンで負けた事が大誤算だったはずだ。そして今その魔境に今度は米国が踏み込んでしまった。米国がソ連の轍を踏まない為にはパキスタンの安定が大前程である。

米国はフセインというパンドラの箱の紐を取り除いて代償を払った。現時点で魔境のパキスタンのパンドラの箱はムシャラフという紐で結ばれている。そして彼に替わる紐はなさそうだ。だから表向き民主主義世界のリーダーとしてポーズでブットとムシャラフを引き合わせたものの実際に其れはムシャラフへの支持率3割に対してビンラデイン支持が5割というこの国のかじ取りをムシャラフ政権の継続で乗り切る以外に手段がない事の証明でもある。今回のブット暗殺は個人的にはビンラデイン系のアルカイーダの仕業とみているがその内に解説も出よう。いずれにしても米国はムシャラフを擁護するはず。ただ本日の暗殺事件は来年の世界情勢が「風雲急を告げる」様な状況にある暗示ではないだろうか。  

皆様、よいお年をお迎えください。

2007年12月20日木曜日

民主主義は名君か

江戸時代、いくさが終わり、町人文化が発展した元禄には淀屋や紀伊国屋文左衛門といった豪商がいた。特に淀屋はシカゴに受け継がれる会員による決済制度という画期的な市場原理が存在した堂島米市場の元締めだった。だが突然徳川幕府によって追放を命じられた・・。

堺屋太一氏はこの時代の小説を沢山書いている。そして作品を通し、彼は「淀屋に落ち度はなかった。」という立場を貫いている。堺屋氏と同じ立場をとるなら徳川幕府は今のプーチン政権、そして今シベリアの何所かに抑留の憂き目にあったユーコスの創設者、コゾロコフスキーはその時の淀屋辰五郎にだぶる。

その時代は史実として飢饉などもあり、米相場が乱高下をして江戸時代の庶民が苦しんだ。ただそのコメの乱高下の元凶が先物取引でそしてその先物市場で儲けた奴は悪い、だから追放されたというなら、部分的な徳政令を配下の武士に施し、大岡越前を擁し、庶民には名君だった吉宗や幕府関係者は、世界に先駆けて市場原理を実践した大阪商人には暴君だったと言う事になる。

そんな中で米国も来年は選挙の年。だが、大統領選挙の前にここまで中間層が希薄化した米国を見るのはいつ以来か。以前より市場原理が機能する前提の一つに中間層の存在を主張してきた。なぜなら、中間層が市場原理を有効と考える限り、多数決の論理である民主主義は市場原理を守る理由が生まれるが、中間層が希薄化し、数の上で弱者が優勢となれば、多数決の民主主義は今度は市場原理を否定してもおかしくはないからだ。

ところで淀屋の権益はその後どうなったのか。解説本では住友本社や三和へ発展した鴻池などに引き継がれていった様になっているが、それらの関西勢力が引き続き中央の権力から距離を置いて「商い」をベースに発展したのに対し、幕府のお膝元江戸では三井が、そして新政権では三菱が国家権力と結合して発展した事は言うまでもない。

2007年12月17日月曜日

自然分娩

駐在として米国に赴任し最初に日米の差を感じたのは95年に長男が生まれた時だ。妻はその2年前に長女を日本で産んでいた。だが海外での出産にはそれなりの覚悟が必要だった。妻は悩んで麻酔出産を選択した。彼女が入院したのは慶応が研修生を送る医学部の名門、ノースウエスターン大学病院。そこの麻酔医は、「今どき麻酔をしないなんて野生動物の出産だ」と言い放ち、麻酔を当然の事としていた・・。

ところで、デリバテイブにおいてシカゴ大学とシカゴの街が果たした役割は有名。その前の債券の証券化時代に最も貢献したのはペンシルバニア大学ウオートン校で学んだ人脈にその専門家が多かったが、振り返ると、シカゴ大学やペンシルバニア大の生み出した金融の発展は出産時の麻酔のようなものだった気がする。

米国では世界から優秀な頭脳と野心が結集し、様々な分野で革新的技術が生まれた。一方で効用に浸った利用者の感覚はNO PAIN、MORE GAIN(努力や痛みが伴わない成長)が当前の如くなっている。しかしPAINが無い世界はそれ自身が健康的なのか、結局は革新技術を使う人間のバランス感覚に最後は行き着く。ただバランス感覚程曖昧ないものはない。

米国はまだ若い。個々が野心を持って成長路線を突き進んでいる。これらの個々によってこの後の米国の歴史は積み重ねられるが、総じてそんな個々は答えのない世界でバランスを保つ事は下手である。

市場では大勢が同じ方向に行きすぎると屍の山となるが、今までは群れをコントロールをする政治も、金融市場とそのかじ取るFEDとの関係はピラミッドの様に比較的安定していた。ただ最近はおかしい。勝ち負けの差が激しくなった結果、中間層が希薄した為政治は騙りを繰り返すだけ。そして最早PAINなどは絶対に受け入れられない金融市場とその参加者に対してFEDは掌握力を失っている・・。

その後、同病院でもう一人麻酔で産んだ妻は米国での麻酔出産を後輩に勧めている。そして金融を通してPAINのない世界の怖さを感じ始めている私はそれを黙って聞いているだけである・・。

2007年12月1日土曜日

田舎で暮らそう。

直近ゴールドマンサックスは不況になる可能性を40%にまで引き上げ、結果金利の見通しを引き下げた。そのGSについて、個人的には二つの顔を持っている印象だ。

表の顔は一般が理解しやすい説明で利下げ/利上げの幅の予想と景気見通しを発表する。そして裏の顔は、相当な報酬を貰いながら外部には名前が漏れない人々。そんな人はポルシェではなくホンダにのってる。そして彼らの中から将来の幹部が選ばれるが、姿はあまり漏れない・・。いずれにしても、個人的な印象では前者の予想は当たらない。つまり私にとってのNEGATIVE INDICATOR(逆張りの目安)である。

その米国ではペーパーマネーの世界から、生命の存続に必要な絶対的必需品に価値の基準が移行する過程に入った。ただペーパーマネーの世界はそれが有り余っている事もあり、絶対価値の物質への移行をまずはペーパーマネーそのものが取り込もうとした。その最初の過程が商品相場ブームであり、そして結果としての取引所の価値増大である。

そんな中、先週の日経新聞には面白い話があった。東京への人の流れ(集中)が80年代のバブルにならんだという記事である。そこで閃いたのは、今こそ田舎で暮らす時が来たという事。日本は美しい。地震は怖いがコメも十分取れて何より生命維持に必要な水と空気は心配ない。

いずれにしてもOILもGOLDも紙幣も価値を持たない世界を見つけたモノが次の時代は生き残るだろう。ただその前に混乱は必ず待っている。そろそろ田舎に目を向ける時が来ているのかもしれない・・。

2007年11月20日火曜日

仁義なき戦い

一週間遅れでNHK特集の「ヤクザマネー」を見た。感想は、こちらの金融市場は、合法である必要はなく、非合法でなければよい隙間で、ヘッジファンドとプライベートエクイティーが「シノギ」を削っているいる。一方今の日本では、この役割はヤクザが担当しているという現実である。

今の金融市場は一日10ドルを稼げば十分というインド人さえも参入できる時代になり、全体はアルゴリズムと言う電子が支配している。よってこの激しい値動きを嫌う投資家にはクレジットという桃源郷が必要だったが、其処も長期的にはなかなか儲からない事は今回明らかになっている。

ならば本当に儲ける覚悟がある「青い血の集団」は、凡人には見えないスプレッドを固める為にこのグレーゾーンで暗躍するしかない。ただグレーだから儲かるこの世界も、光が当たると終わり。一瞬のチャンスに稼ぎ切った者が勝つこの非情な世界には真に「シノギ」と言う事が似合いである。

そしてシノギと言う言葉がふさわしい人々は、日本では「ヤクザ」という人々になる・・。これが今回のNHK特集の感想である・・。

2007年11月17日土曜日

386回目のサンクスギビング

サンクスギビングが近づいている。

メイフラワー号で大陸に渡った人々が、苦難の1年目を経て、インディアンに生活の手段を教わり、2年目の冬を迎えられた事に対する「感謝の気持ち」がその起源だったのは日本でも有名。だが今の米国人はその感謝の気持ち忘れてしまったのではないだろうか。これが、その苦難の時から数えて386回目のサンクスギビングを迎える今年の私個人の印象である・・。

そもそも人が感謝の気持ちを持つためには、その前に苦難が必要である。その意味でこの国にどんな苦難があったかを戦争を通して振り返る。主だった戦争を遡ると、戦死者はイラク アフガン戦争の5000人。ベトナムが6万人。朝鮮が3.6万人。第二次世界大戦が30万人、第一次世界大戦が5.8万人、米西戦争が3000人となる。そして、米国が戦争で最大の戦死者を出した南北戦争では60万人が死んでいる。

この頃までにはポルク大統領による西部地区併合が完了しているので、インディアンに対する感謝の気持ちは実際にはなかったはず。だがこれだけの戦死者を出せば、生きている事への感謝の気持ちはあっただろう。

起源となったメイフラワー号で渡った120人は、半分がその年の冬に死んだ事からすると、米国はその歴史が始まった瞬間が最大の苦難で、その後は戦争はあったものの、徐々に苦難は和らいでいったと考えるのが妥当かもしれない

しかしそれが可能だったのは、開拓者が苦労を言い伝え、また近年ではレーガン政権までは大戦経験者が国かじを取り、苦難に対しての敬意と戒めの原則を忘れなかった事が意味があったからだと考える。しかしその後ベトナムに行かなかったクリントンが登場し、ブッシュ政権は、戦争は大好き、でも親族からは誰もイラクやアフガンの前線には行かないという人々が政権を支えた。

まあサンクスギビングが何であったがが忘れられた頃に再びその意味が問われる時代が来る・・。そんな事を感じながら今年はターキーを食べてみたい・・。

2007年11月14日水曜日

私の履歴書、懐かしきバブル

この話は以前したが、もう一度回顧したい・・。

バブルが華やかし85年、東京のホテルオークラの「平安の間」には人工の川が造られた。カーペットの上に砂利を引き、ポンプで水流を造って周りには本物の庭石が運び込まれた。そして見事な氷の彫刻が何体も運び込まれ、通常の宴会ではあまり入らない「久兵衛」や「桃花林」の屋台が何台も運び込まれた。

いったい何が始まるのか?当時東京サミットの準備で英語が出来るサービス経験者を囲い込んでいた同ホテルに、偶々職を得ていた自分には新鮮な驚きだった。そして宴会直前、集まった配膳のプロ達や派手な衣装を着たバンケットの女性達にむかい「これからホテルオークラ史上で最高額の宴会が始まる」とホテル側のベテラン黒服マネージャーは気合を入れていた。

個人的には宴会の主役に興味はなかったが、宴会の後の片付けで、ホテルの目を盗んで料理の味見をしていた経験からして、その日の料理は自分には特別な興奮だった・・。

宴会の雰囲気は異常だった。日本仏料理界の大御所ムッシュ小野が会場で料理全般に目を光らせる中、マッカーサーに対して財閥解体などの影のアドバイザーだったと言われる野田岩次郎ホテルオークラ名誉会長がまでが登場していた。(私の履歴書“野田岩次郎から”)。

宴会は、当時世界的に隆盛を極めた証券会社、野村証券の「大」田淵、「小」田淵による「会長、社長」同時就任パーテイーだった・・。

昔話はさておき、日経新聞では今「私の履歴書」をその田淵前会長が書いている。証券会社時代に感じた組織としての野村の強さは今でも新鮮だが事11日付の項は非常に面白い。なぜならそこには40年不況時の野村の話が出ているからだ。「売れるものは全て売れ」と言う決断の元、市場を無視して野村は売り続けた。そして、評価が下がりきってしまった債券は、第3者に抱えてもらったなどと田淵氏は暴露している・・。

この時の野村の行動はほめられるものではないが、それが今の野村の強さにつながった。一方、戦後日本の証券市場を支えた山一証券は、トップの義務にすでに疲弊しており、この不況で倒れてしまったのは有名である。

偶然今ウォール街でではジェンタイル的赤と、クラウド的青の「血の色」の差が今回の金融危機で浮き彫りになっている。(前者はモルガンなどの伝統的米国の金融の血統、後者はユダヤ的な金融機関)その折に、大物と言われた田淵氏が私の履歴書に登場したのは何かの因果だろうか。商品と場所の違いこそあれ、そこで紹介されている逸話は、そこで生き残る者とそうでない者との差を浮き彫りにしている事が興味深い・・。

2007年11月8日木曜日

ニュー「ニューディール政策」

最近ブッシュ政権の首脳の動向があまり話題に上らない。チェイニー副大統領等は殆どTVで見かけないが、先週のハロウィンの際にはブッシュ大統領から「彼はハロウィンでダースベイダーの仮面をかぶっていた・・」などを言われ、記者団の笑いを誘っていた。

そんな中で金融市場は金融機関を中心に荒れている。ただまだまだ株式インデックスでは5%以上の年率上昇率を維持しており、所詮はポールソン以外金融には疎いテキサス人々にとって、今の市場からのシグナルは緊急事態には程遠いのかもしれない。

そんな中今日のGMの決算は驚きだった。本業の車以外の収益源のGMACはいまどうなっているのか。決算でははっきりしない。因みに我が家の住宅ローンはGMACがアンダーライターである。今のところ金利はきちんと払っている。よって我が家のローンはサブプライムではない。だが、今後の世の動向次第でいつサブプライムになるかわからない。

その意味では、今市場はサブプライムとして組成されたモーゲージの把握にやっきになっているが、この後の問題は、今はサブプライムでない人々の債権が、今後サブプライムになってしまうかどうかである。しかしながら、このリスクに政府の関心が薄い様に感じるのは、自分自身の心配が過度なのだろうか。

そもそもこの政権ほど市場原理主義とマネタリズムを断行した政権はない。よって今起こっている事も所謂「BAD APPLE」現象であり、最後には駆逐されるべきAPPLEは市場の原理で駆逐されるので、安易に政府が手を出すべきではないというレーガン以降の共和党大原則が働いている様にも見える。

だがそこまで「市場」の機能は万能か。また人間はそれを完璧に使いこなせる程有能なのか。端的に言って今の米国の住宅市場は市場の原理にまかせたままでは絶対に救えないと個人的には考えている。痛みを伴いながらも市場原理が最後にWORKする大前提は、その主体の環境が生命で言うなら成長過程にある事が大原則ではないか。

米国自身が歴史の市場の原則に従いいずれは滅亡する事をも否定しない覚悟であれば別。だが本人が意識していないだけで、既に米国がピークを越えて長期下降トレンドに入っているならば、そこで市場原理を徹底する事は私には自殺行為に映る。

ある専門家は米国の住宅市場は史上初めて「住宅のコモディティ化」を経験したと断言する。子供の頃から「株には手を出しても小豆には手を出すな」と言われて育った。何の因果で今CBOTにいるか判らないが、大豆、コーン、小麦を横目でみながら、その値動きの激しさに観念としてこの教訓は忘れた事はない。だからこそ米国の住宅がその小豆の様な存在になった後の後始末に直面し、市場原理などと言う聞こえの良い言葉はリスクであると感じる・・。

やはり米国は今一度大恐慌の後のニューデイール政策を必要としているのではないか。しかしながら問題はその政策を断行した当時のルーズベルト政権は今はなく、その基盤となったケインズなどは死語に近い事である。

そしてその政策が必要なのは、市場原理が牙をむく前の正に今であるはず。だがブッシュ共和党政権は「政策の損切り」は容易にしないだろう。選挙対策として「イラク撤退」のカードはどこかで切られると考えるが、それよりも優先度が低くまた気付きにくいこの経済の原則論は英断の足を引っ張るだろう。

ただ、仮に来年が大統領選挙の年として、現政権が何もしないで終わったら、次の政権がFDRの様な民主党政権になったとしてもその時点で住宅市場は既に手おくれになっている事だろう・・。GOING BACK 1933・・

2007年11月1日木曜日

生き抜くためのスタンダード

80年代初頭、ホームステイ先のシドニーではアルコール中毒になった原住民のアボリジニが街中に徘徊していた。せっかくの世界の港の三大景観に選ばれたシドニーの美しさは細部では台無しだった。

彼らは当時の社会党政権の福祉政策と、最高裁の原住民に対する保証の残骸だった。本来なら彼らは原野で風から水の位置を知り、空を見て災いを避ける動物の本能を持っていた。それが福祉政策で十分な補償がされると、都会に出た彼らは本能を失いそのままゴミの様な存在になってしまったのである。

ところで、最近の日本からのニュースは名門「赤福」などの不正表示の話ばかりだ。こういう話は出始めると芋づる式に暫くは続くモノである。だが発端は中国からの輸入食品の安全性かもしれない。

不祥事は景気が後退すると、どんどん出てくる。結果企業や個人の社会的役割が終焉する事もある。よって行政は国益を加味し適宜に手加減が必要だ。一方受け手も騙した相手を非難するだけでなく、自らの眼力を反省する事も必要である。

三重県に5年住んだので赤福を食べる機会は多かった。実は当時から今回の様な操作の可能性は感じていたものの、味も、健康でも問題なかった。そもそも冷凍技術は何のためにあるのか。商売の売り文句が過ぎると懲罰対象になる。よって赤福はどこかの時点で現実に即した対応が必要だった。だが赤福だけを悪者にして終わっていいのか。

米国でも同種の話として90年代の卵がある。そのころ米国に赴任した私として最初に先輩から注意を受けたのが米国で生玉子は食べてはいけないという事。サルモレラ菌が米国の卵には多いという話からだった。だが我が家では忠告を無視し今日まで米国の普通の食料品店で買った生卵を食べ続けている。

幸い14年間一度も卵であたった事はない。無論出鱈目に食べている訳ではなく、サルモネラは卵黄より卵白に多い事から白身を外し、何よりも食べる時にはそれが古すぎないかの見極めには細心の注意を払っている。(米国の生卵の食中毒はサルモレラというより食品会社の日付の付け替えが最大の問題。最悪半年にわたって古い卵が偽りの日付で店頭に出ていた)

冒頭のアボリジニの様に、人間が本来の本能を失ってしまうパターンはまず二つ。一つは便利になった代償で、思考力や神経が退化して行く事。この経験は最近個人的にマイカー入れたGPSで、本来使わなければ迷わないはずの近隣で迷ってしまった事からも痛感した。そしてもう一つはメディアを使ったマニュピレーションである。

性善説の日本ではどうしても騙す方が悪いという結末が必要、だが自分が真贋を見極める力を持つ事に重点が変わる。勿論大半はそれが出来ない。だからこそそれが出来る人の一人勝ちの構造が生まれるのだ。

いずれにせよ、世界ではこれまでのスタンダードが行き詰まり新たな基準が生まれるかどうかの鬩ぎ合いが始まったばかり。ならば生き残る為の自ら基準と眼力は持ちたいと考えている・・。

2007年10月25日木曜日

ギリシャ哲学と儒学

そもそもイソップは古代ギリシャ人であった。彼は著名な哲学者にも影響を残したらしいが、誰でも知っている彼の寓話の一つがアリとキリギリスである。最近偶然にもこの寓話の究極的な役割を発見した。

その前に、今日発表された中古住宅の指標は悲惨だった。だがもう誰も驚かない。このままでは、自他ともにキリギリスである事を認めている米国人が「冬」を迎えるのは必定である。

米国住宅市場の権威であるシラー博士が数年前に開発したインデックスでは、2000年以降の住宅価格の上昇率は、米国は120%の上昇、英国が180%の上昇になっている。英国の方が米国より上昇した訳だが、認識してる限り英国では末端の住宅ローンで米国のサブプライムの様な欠陥品の話を聞かない。

これは、ロシアの復興やOIL資金の流入が自然と巡ってきた英国に対し、大戦後の世界経済を牽引した米国は、本来のピークの2000年前後を特殊な薬と栄養で伸ばしたためだろう。その薬の象徴がいわばサブプライムである。

面白いのは、歪みは米国では住宅と言う末端消費の牽引役がまず疲弊し、今それが金融機関のバランスシートには波及し始めたの対し、どうやら欧州(英国)は米国サブプライムという輸入商品で金融機関がおかしくなり、結果、嘗ての栄光に近づくチャンスだったはずの英国の末端も影響が出だし始めた印象がある。この顛末を欧州からみるとどうなるか。

それは、中国産のTOYも米国産のサブプライムも、似たような欠陥商品だっただけという後悔だろう。中国産単純商品と米国産開発金融商品は世界を席巻していた。言ってしまえばこれまではこの二つは世界にとって必需品だったただ共に中毒を起こした。ならば問題はこれからである。そこで冒頭のイソップの話に戻る・・。

実はこのアリとキリギリスの寓話は古代ギリシャから2000年をかけて世界に引き継がれた結末が世界と日本では違う。日本以外の結末は、夏に遊びすぎて冬の準備を怠ったキリギリスは、冬にアリに助けを求めたがむなしく断られる。よって死滅するのである。

これは米国人自身に確認したところ全員がこの認識だった。ところが、日本ではこの話の結末はアリは自らの貯えをキリギリスに分け与えキリギリスを助ける。そしてキリギリスにアリの心得を説いて聞かせ、キリギリスは考え方と生活習慣を改める決意をする・・。

確か「ウィキペデイア」では日本だけなぜこの様な結末になったかは儒教の影響だとの解説になっていた。需教の影響?日本人はこれを言われると弱い。だが儒教の発祥地中国では、もはや「性善説」では社会が動いているようには見えない。

市場原理主義が牛耳る米国スタンダードに日本の「性善説」が通用するだろうか。そもそもキリギリスはアリには絶対になれない。道徳と金融市場での勝敗の矛盾。日本はその事実さえも気付いていないのではないか・・。

2007年10月11日木曜日

脱臼社会

日本でタモリの「笑っていいとも」がまだ続いているかしらないが、同じような番組として、米国にはNBCのナイトショーとCBSのレイトショーがある。NBCはジェイレノ、CBSはデービットレターマンを擁して同じ時間帯に同じ様なショー番組で競っている。

この番組のゲストには、芸能人に混じり時よりビジネスマンや政治家も登場する。最近では有力な共和党の大統領候補者に躍り出たトンプソン氏が実質の立候補宣言をこのナイトショーでした事が話題だった。そんな中、昨晩のレイトショーに登場したのはグリーンスパン前FED議長だった。一瞬ウッディーアレンが突然老けたのかと錯覚したが、やはりグリーンスパンだった。

市場に関する話ではなかった。FED議長職を茶化した突っ込みをするレターマンに対し、その昔、議長職を「ピーナッツを食べる様なモノだ」と表現した彼が、今ではその茶化しに便乗して視聴者の笑いを誘っていたいた事には驚いた・・。

どうしてだろうか。いつの頃からかこの米国でこれはシリアスだと感じるような局面に出会わなくなった。同時多発テロ直後は緊張感があったが、その時は重苦さより、困難を乗り切ろうとする躍動感の方が今では印象に残っている。

そんな中、サブプライムに端を発した今回の住宅市場下落の話は久しぶりに重苦しい話題になるかと思われた。しかしMEDIAの扱いは、意図してか、或いはこれが自然体なのか判らないが、警告を発しているはずの前FED議長でさえエンターテイメント番組楽しんでいは違和感だ・・。

これは歓迎すべきかそうではないのか。毎日が自問自答である。だからと言って昔の様にダウをショートする元気は最早ない。一方で中間層からは悲鳴が聞こえるのに、株のインデックスが上がる表面的現象を眺めると、全体がラスベガス化したような雰囲気の中、いつか社会全体がDISLOCATIONの状態になる恐れを抱かざるをえない。

政治では民主党大統領候補者として独走態勢?との評価もあるヒラリーも、候補者として最初に打って出たメディア戦略は振り返るとやや異常だった。彼女の選挙戦は、直前に番組が終了したあの「SOPRANOS」のラストの場面を茶化したモノ。そのシーンを夫のクリントンと演じる事から始まった。自分がその番組のファンだったとは言え、次期米国大統領の候補が、マフィア番組を題材に自分を売り込む手法は、それはリベラルな民主党とはいえどこかおかしい。

カルト的な共和党ブッシュ政権も異常なら、弱者の味方を装いながら、一方で世の中を茶化しすぎる感もあるこの民主党の雰囲気はなんだ。

いずれにしても、社会の振り子が大きく振れると其処にはどうしてもDISLOCATION(脱臼)のリスクが生まれる。そう言えば、最近金融市場でもこの脱臼を使って状況解説をする人がいる。便利な言葉だ。ズバリ、今の米国の最大のリスクを端的に現わしている・。

2007年10月6日土曜日

急げ、自立

今日のWSJの一面記事はショッキングな内容である。願わくば自民党の首脳、或いは中央官庁の役人が読んでいて来たるべき「新時代」への対応策を真剣に考えてもらいたい。細部はともかくポイントは共和党員を対象としたアンケートで、10人中6人が最早自由貿易は国益にならないと考えている事が判明したのである。

この様なアンケートは嘗なら民主党の庭の話であり、共和党の庭ではアンケートの対象にさえならなかったはず。しかしやはり時代は変化してきている。変わってきているというより歴史てのサイクルが繰り返されると言った方がよいのかもしれない。いずれにしても日本は来る大統領で再び共和党の大統領が再選される願望やポジショントークに浸っている暇はない。仮に共和党が勝っても、少数の圧倒的勝ち組が大多数の負け組を生んだ事から、米国民の感情の変化は最早一時的な現象でない。

ならばいつまでも米国の寛容に頼るのは止め、直ぐに自立の為の軸を持つべきだ。そしてその際に日本最大の武器になる技術力や個人の資金力を国益の為に友好に活用する策を考えるべき。以前も触れたが米国はヘッジとしての日本の役割を手放さない。だから日本を完全に米国文化に同化させる事はせず、日本(日本人)にしかできない得意分野(例えばアリの様な貯蓄力は消費力しか持たないキリギリスは絶対に手放さない)はそのままに、自国に冬が到来したら利用するのである。

今回その現象面の一つに日興のCITI化も挙げられる。いずれにしても世界の中で自立するという戦後から先延ばしになってテーマの緊急性を改めて感じている・・。

2007年10月5日金曜日

WHO YOU WANT TO BE(ワォナビー)

先週フォーブスは世界で最も価値のあるスポーツ選手トップ10を発表した。「最も価値のある」という定義は年俸や賞金、またはCM出演料等の金銭面に社会的な影響力という付加価値まで加味して弾きだした数値らしい。

上位を紹介すると、まずドル換算で圧倒的トップは予想通りタイガーウッズの68M。そしてずっと離れた2位は18Mでべッカム。3位以下は議論の余地がありだがミケルソン、ロナウジーニョ、フェデラーと続く。注目はステロイドで汚れたイメージの野球からは誰も選ばれていない事。またバスケットでは9位にレブロンジェームズ。最後に女性では最近太り気味?で不調のシャラポアが入っていた。いずれにしても彼らの価値は庶民が彼らから感じられる夢の価値と同等ともいえるのかもしれない・・。

ところで、こちらの子供達は憧れた夢の対象としてWANT TO BEを単語として使う。内の子供が所属するサッカーチームでは大半はべッカムワォナビーである。そんな中で我々金融市場に携わる大人達はどうか。少し前に証券会社の決算が出そろった時、どんな時でも好決算を出すGSに対してCNBCのある皮肉屋ゲストが、YOU WANT TO BE GOLDMAN?(あなたはゴールドマンサックスの社員になりたいですか) OR(それとも) GOLDMAN’S CUSTOMER・・?(ゴールドマンサックスの顧客になりたいですか)というコメントをしていたのを思い出した・・。

確かにダウは新高値を更新した。しかし今の証券市場は多少の曲折はあれ、嘗ての様に、証券会社が仲介者とし存在し適度なスプレッドの中で皆がそれなりに共存した世界とは違う。一番儲かる胴元ビジネスに変貌した電子取引所にはそのWSの触手が様々な形で食い入ろうとしている。

要するに、14000を超えて高値を更新したダウが意味するものは、ラスベガスの華やかなネオンと思えばよい。ラスベガスは悪ではない。個人的には大好だ。だがこの本質を解らずして安易に参入しても結果は見えている。先日も指摘したが今この世界では時価総額最高を記録しても、僅か数か月後に倒産の危機になる第二第三のカントリーワイドがゴロゴロしているはずだ・・。

そんな中ではWSが一丸となり、参加者を守るという理想は最早有名無実化すると思うべきである。例えば6月のサブプライムにおいてもそもそも異常だった本質は別として、直接の切欠はメリルリンチがベアスターンに迫った追証であったと考える事も出来る。他のWS群が、自分に火の粉が返るかもしれない桃源郷を焙りだす事に躊躇する中、メリルは譲らなかった。結果その後で起こるべき事が起きてしまったのである・・。

この様に市場が博打化すれば見た目には派手になる。しかし其処には素人が安心して勝てるスプレッドはない。疑心暗鬼の中で、瞬間の出し抜きが勝敗を決める世界が広がるだけである。

そう言えば一昨日ダウが14000台と新高値を更新した翌日、再びメリルがWALGREEN社などを格下げした事をCNBCの解説者が非難していた。実はこんなところに次の切欠が潜んでいるのかもしれない。いずれにしても、米国は、ヘッジファンド国家のモデル化失敗し、次はラスベガス国家を目指し始めたのかもしれない・・。

2007年10月3日水曜日

最近の市況模様から 10/1

10/02より

昨日も触れたFED発表の一般家庭の富について、今日もその核心について議論が出ている。議論の核心はシンプルだ。それは「売り禁止」か「市場封鎖」と言う超法規的な処置でもない限り恐らく避けられない住宅価格の下落を、株価の上昇でサポートできるかどうかである。ただ間違えてはならないのはこの国では上がるかどうかという議論はなく、どうやったら上がるかという方法論しかない事である・・。

既に米国の株を見る上のポイント、「健全な成長の結果としての株が存在するのではなく、成長の前提として株が存在する」というスタンスはの話はした。よって共和党でも民主党でもこのスタンスは変わらない。ただそのハンドリングに差があり、今の世の中が2極化し、弱者をベースにしている民主党ではこの局面を強引に乗り切るには不安である。(ここがビルクリントン時代とヒラリーの違い)今後はこの様な政治リスクも含め、徐々にこの命題に対しての途中点が株価として評価されるだろう・・。

個人的には今のところこの試みは失敗するとみている。ただもし共和党が次の選挙に勝てば、超法規でも何でも持ち出し株価を維持させる可能性は高まる。市場はすでにギャンブル化しているがFEDが永遠にチップを供給して何らかのテーマが其処にあればゲームを永遠に続ける事は理論的には可能。ただ最後にはその膨らんだチップで何が買えるかが問題であるが・・。

10/01
CITIの3QのPROFIT WARNINGは驚きではない。よって株先は戻り基調である。問題は4Qの見通しを通常に戻るとしている事。ただこれも驚きではない。なぜならトップのプリンス会長へ株主ヘッジファンドから執拗な攻撃が続く中下手に弱気な事など言えないからだ。寧ろ本当の驚きはサブプライム以降の米国の本質に対する米国自身の認識の甘さである。中には本質の根の深さを知った上で意図的に無視しているモノもある(恐らくCITIが一番分かっている)。ただこのような姿勢はFFなどの手前の金利VOLATILITYを不安定にし、最後には他からバカにされ信用されなくなくなるリスクをはらむ。クリスマス商戦を控え、中国製TOYの流入をけん制している暇があるなら、本当は米国議会は自国の金融商品の信頼性の心配をするべきだろう・・。


結局注目のCITIは結局大幅高だった。他に運用先がない中、二桁のリターンが当前の運用担当者にとって株が先に買われてしまう恐怖は本当に怖いという事。本日株はアルゴリズムがWORKする間もなく、そんな実需によるショートカバーに終始した。この様に株は再びFLY TO EQUITYの本領を発揮したが、この国の本質に変化ない。ただ雇用統計までに追加利下げを織り込み過ぎたFFの先物はある程度吐き出すだろう。そんな中でCNBCでは本日の株上昇の材料としてFEDが発表したFUNDフローから米国の一般家庭の富が最高を更新した話をしていた。ただその資料は6月30日迄の統計との事。それでは意味はない。そもそもあのカントリーワイドでさえ昨年末の分割権利落ちを考慮すれば、時価総額の最高値は今年の2月である。それから僅か半年で同社は事実上の行き詰まりに落ちた。いずれにしてもこの様なラスベガスのバカラテーブルような株式市場にFEDはチップを供給し何とかPLAYERにゲームを続けさせた。しかしサブプライム破綻で多くが家を失う現状、即ちアメリカンドリームの消滅の現実は変えられない。にもかかわらず古い資料で市場を鼓舞しているようでは株の急落は実は近いと言う事だろう・・。

2007年9月27日木曜日

二流国家の心地よさ

朝からCNBCではドル安でカナダから米国に押し寄せる買い物客の特集をしている。既にNYで買い物をする外国人旅行客のパワーは無視できない存在だが、消費シーズンに突入する中、凋落していく米国内の消費者信頼度指数と、外国人の買い物を反映した小売の数字に市場は戸惑うだろう。

さて、世界はフラットになったが、逆に先進国では国内のスプレッドが広がったというのは私の持論。GMの労働争議は「負け組」とは言わないものの、時代に取り残された人々の感情が米国の製造業のおかれている状況を納得する理性を上回っているサンプルである。

そんな中、CBS系NEWSが究極的なレポートをした。世界がフラットなった現象の代表としてインドの台頭が挙げられるが、米国からインドにアウトソースされたビジネスが、最近はインドの労働賃金が上昇し始めた事でインドから更に別の地域にアウトソースされ始めているという。そしてその地域には、メキシコ、中国に並んで米国の一部が入っている。

「米国の一部」が何処かは言及されなかった。しかしこの事は米国内のスプレッドの広がりと、世界のスプレッドの縮小のダイナミズムを実証している。この事実のトレンドの善し悪しは別に、国内のスプレッドの格差が広がる事はその国の中間層の消滅となり通常はその国の政治は不安定になる。またその様な国の通貨は経済要因を除いても本質的には売られるはず。つまり米国はこの様な二流国家になり下がるリスクを抱えながら、目先のドル安効果の利点をおっかけ始めたのである・・。

2007年9月6日木曜日

マルクス復活

ライアン前IL州知事は既に70歳を優に超えているが、80歳を目前にして、哀れにも刑務所に行かなければならない危機だ。彼が知事をして時、私自身はNYに駐在したので、彼の行政に印象はない。では彼がなぜ刑務所行きの危機なのかというと、直接の罪は知事時代に賄賂とみなされた献金数百ドルで旅行をした公務員法違反である。ただそんな石ころのような罪で起訴さてしまった背景には別の要因があった。其れは知事になる前の役職で運転免許証の発行を管理していた時に遡る。その時部下が飲酒運転などで免許停止になったトラックドライバー達から賄賂受け取っていたのだ。そして再発行を受けたそのドライバーの一人が最近少女をひき殺してしまった。そして彼のヒストリーを追及する過程で行政の管理機能の崩壊が暴かれてしまったのである。

当初、かつての部下は逮捕されたものの、既に知事を引退していたライアン氏までは法の手が伸びる様子はなかった。しかし既に始まっていた反共和党、反ブッシュの影響も手伝ったのだろう、徐々にライアン包囲網が固まり、終に昨年たかだか数百ドルの賄賂で起訴されてしまった。そして市民から選ばれた陪審員は彼に有罪を言い渡したのである。

有罪は決まったものの判事の裁量で刑期は1年程度に減刑され、また健康と高齢である事と慈悲を理由にこれまで執行の延期されてきた。だが其の猶予期間延長を巡って再び残酷にも世論が盛り上がっている・・。

4年前、ブッシュ再選が決まった時、彼はリンカーンやマッキンリーの様になるリスクがあると指摘した。その上で仮に8年の任期を全うすれば、其の後は彼の時代の「UNWIND」として、米国の社会主義化のリスクを指摘した。

その時は殆ど読者の反応はなかったが、本日ブッシュがサブプライムへの救済に直接手をつけた内容は、ゲーム社会と市場原理主義の敗者を結局は政府が救いに行くアイデアだった。くしくもこれは数週間前にエコノミスト誌が指摘した「TURN TO LEFT」そのものである。

この現象は生まれたら死ぬに近い自然の摂理の話である。ここまで過激な政策を取ったブッシュだけに、其の崩壊が始まった以上中庸などありえようがない。バフェット氏は「TEEショットで右の林に打ち込めば、次はフェアウェイを狙っても左の林に打ち込んでしまうのが素人である・・」との名言をこの春に残している。彼の言う「素人」と言うのがこの場合は民衆と考えれば、それに便乗するのが民主政治である。更に民衆をこれまでは食べられる側だった草食動物と考えれば、彼等が怒った時に制御不能になってしまうのは名著、「ソロモンの指輪」でも証明されている話である・・。

その原則を信じる私としては、ブッシュが前述の二人の共和党大統領と同じ運命ならなかったのは米国にとって幸だったのか不幸だったのかそれは歴史が後で証明するとしか言い様がない。ただ米国が世界に敷いた今の資本主義のルールをプーチン率いるロシアと、15世紀以前の姿の世界的盟主復活を目指す中国は独自に解釈するはず。

彼等は強敵だ。いずれにしても、共和党政権が終わり、民主党政権の時代に世界は悲惨な戦争になる過去のパターンだけは勘弁してもらいたい。其れでは食物ピラミッドが崩壊して無秩序の動物の世界の様ではないか。ではどうしたらよいのか。

個人的にはマルクスの資本論が読み直される時代が近いと予想する。資本論は完読してはいないが、伊藤誠氏著の「資本論を読む」は読んだ。そこでは、マルクスの意図した世界は、帝政が崩壊して共産体勢になったソ連を理想としたものではく、資本主義の成功が最初で、その後その歪が出て、社会主義、共産主義的理想に向かうとあった。

恐らく、株を根幹とする米国では起きないだろうが、他の世界ではマルクスがある程度は見直される可能性は十分あるのではないか・・。

2007年8月31日金曜日

世界を席捲する二つの毒(不良品)

NY TIMESによれば、米国の サブプライム商品で傷ついた外国の投資家を代表して、ドイツ政府の経済諮問アドバイザー兼大学教授のボフィンジャー氏は、米国と米国の金融商品を統括するSECやFEDといった管轄当局に意見の申し入れをしているとの事である。

確かに米国当局の職務能力の信頼性へ疑問は、其の商品構成もさることながら、格付け機関の無能を放置した事実から反論の余地はない。そんな中でボフィンジャー氏が改めて主張する様に、自身のFUNDINGを外国に頼っている米国としては、今後この圧力にどう反論するのか。国内の組成商品への海外投資家によるスクリーニングといった屈辱は、本当に実現すればこれまで一方的に米国から圧力が流れてきた歴史の大転換である。

しかしCNBCを見ている限り、この様な面白いNEWSは全く流さず、相変わらず米国が強気を維持する為に必要な材料だけを探すだけの偏った構成。だが外国からの干渉など全く予想しなかったはずの米国はどう反応するのか。恐らく市場の題材にはならないが中央銀行マンが集まるジャクソンホールの水面下でこの様な話題が出るに違いない。

いずれにしても、興味深いのは中国の動向だ。ご存知の通り今世界はアンチMADE IN CHINAの大合唱。そして、成長優先、利益優先で中国当局の管理機能が全く働かなかった責任を追及する急先鋒が米国議会と恐らくは次期政権の民主党である。

しかし、成長優先、利益優先で全く管轄当局が機能せずにサブプライムという毒(不良品)を世界に撒き散らした点で米国は中国と何が違うのか。中国はいずれこのレトリックを必ず切ってくるはず。いずれにしても中国製品を買うか。米国の金融商品を買うかどうかは最終的に世界の消費者と投資家の自己責任。

結局、世界はこの二つの毒(不良品)がなければ既に回っていかないレベルにあるのではないか。この現実の妥協点を巡る駆け引きが、大統領選挙を睨みながら世界のパワーゲームとしてこれから繰り広げられるのは面白そうだ。

ただ米国の優位性は続くもののあまりにも反省がないと危ない。逆に反省が過ぎて急に鬱になられても困る。そして一番困るのは朝青龍のように開き直られる事かもしれないが・・

2007年8月23日木曜日

オズの魔法使い

先週の雑誌エコノミストによれば、1977年、それまで民間エコノミストだったグリーンスパン前議長は、同誌に「絶対にやってはならない五項目」と題した論文を発表。その中で次のような項目を述べた「Don’t allow money-supply growth to spiral out of hands」(エコノミスト)。

皮肉にも、米国の住宅市場は同誌がその危うさと限界について特集を組んだ2006年7月初旬から目に見えて変調をきたし、直後バーナンケFEDは利上げを止めたものの、住宅市場は明確な回復のサインを見せることなくここに至った。そしてMOODYS ECONOMIST.COMのMARK ZANDI氏によれば今年から来年にかけて1.7Mの米国住宅がFORECLOSUREに掛けられる可能性があると指摘されている・・(NYTIMES)

さて個人的に動物生態学に注目している話はしたが、経済がこうなってしまうと誰かに責任を負わせなければ収まりが付かなくなるのは集団心理学としても当然。そして矛先はまずグリーンスパンに向かった様子。だが今後はバーネンケに向かう可能性もある。そして市場は最後に自分自身を省みる事になろうが、大概その時は手遅れである。そんな中この生態学から集団心理学までを縦横無尽に駆使してこの米国の運命を変えたのがカールローブだった。そもそも彼はブッシュ個人とは30年の付き合い。94年のテキサス州知事選挙を勝利してからその再選、更には2000年はゴアに総得票での優位を奪われながらの逆転。またイラク戦争という爆弾を抱えながらもケリー候補の優柔不断さと、本質とは全く関係ない宗教的結束力という裏技で米国民を取り込んだ彼の魔法は、実質この8年の米国はブッシュというより彼の魔法の結果に支配されたといってもいいのではないか。そして彼が去った今、魔法から覚めた米国はどうなるか。皮肉だが、今こそ米国経済にはローブ氏の様な魔法使いが必要だ。

民主党は今の経済のMESSを乗り切る為にマクロでは数年前に野放図にリスクを拡大し過ぎたと散々批判こき下ろしたGSE(政府系の住宅ローン引き受け公社)に、凍る民間に変わって住宅市場の引き受け機能を再び負わせようとしている。だがそれでは所詮弱者(敗者)の心情にエネルギーを頼るだけで政策は行き当たりばったりのポピュリズムが民主党の特徴となってしまう。そんな米国に世界はこれまでと同じレートでFUNDINGを続け、またドルの価値も認めるのか。また一旦魔法が覚めた群集をコントロールするのは困難である(ソレは次の選挙で明確になる)。いずれにしても今米国が抱える本当のリスクは、レバレッジや流動性という経済の分野のシステム(機能)というより、良い意味でも悪い意味でも機能していた強権的縛り(魔法)が解ける事からの混乱と、結果としてそれが国際情勢におけるイラクに続く国内経済のCUT&RUNになる事である。イラクにしても、米国の経済の仕組みの転換(ヘッジファンド国家へ)にしても、そのCUT&RUNの責任は誰が取るのか。ソレは究極的に事態を招いた米国大統領とその政権の雇用主で在る米国民だ。だから米国は試練(責任を取る事)なしにこの苦境を脱する事はないし、またあってはいけない。たとえソレがカールローブというOZのような魔法使いが残していった運命だとしても・・。

(注)オズの魔法使い:その物語が作られた当時の米国(経済)の風刺の関係から、カールローブとOZ、またチェイニーをダースベイダーと評する風潮はこの政権の初期からあった・・。

2007年8月22日水曜日

検証、サブプライムの本質と詳細

世界を牽引した米国が、超長期の転換点を迎える中、実物経済から金融経済へ舵を切った。しかしその転換期におけるリスク管理で支障が生じ、またその問題が露呈したタイミングと政権のレームダックが重なるという不運もあり、現在金融経済(市場)の参加者が今混乱している。そこで政権は実体経済の堅調さという一旦は切り捨てた分野でこの局面の打開を図っているが、既にGDPの2割を切っている製造業の力不足と、一旦は捨てた分野に再び頼るという無理な論理を持ち出した事で、安易に利下げを求める市場とのコミュニケーションでも逆に齟齬が生まれている。

これらの負の連鎖が解決する前に仮にこの政権が時間切れ終了となれば、イラク問題でも最悪のシナリオであるCUT&RUNを米国内の構造改革にも残す事になる。そして最大の問題はサブプライムでも海外の投資家が傷ついた以上、M3の発表を止めた裏返しである真の病巣の「簿外の規模の把握」が出来ないという現状が、これまで米国を支えてきた海外からのFUNDINGの縮小という事態を行き起こす事である・・。

<詳細>
政治経済で100年間世界を牽引した米国が実体経済から、ゲーム性の高いステロイド性金融経済へ舵を切るという事は、結果的に中国やインドといった実体経済の新しい主役を演出しつつも他国にもそのゲーム経済への参加を促す事になった。そしてその過程で主役に躍り出たのがヘッジファンドとプライベートエクイテイーである。彼等は実体経済のグローバルな新陳代謝とその組み換え(M&A)に貢献、一時的に転換を促進する為の超低金利政策の受け皿になった。しかし生み出された過剰流動性はそのプールを満杯にしても収まりきれなかった。其処が満杯になると国債のイールドカーブと様々なリスクに対するプレミアムを押し潰し、やがて桃源郷と揶揄された本来特殊な人々の為の特殊な市場であるクレジット市場にまで流れ込んだ。そんな桃源郷の中の商品がサブプライムである。だがこの桃源郷にはサブプライム商品以外にも難解な英熟語が飛び交う様々な金融商品が存在する。そしてそれらの商品は構造がそもそも複雑である上に、主な参加者であるヘッジファンドやPEがレギュレーションと情報開示の縛りが少ないという特徴があった。またその同時期に時代に呼応し、グラスステイーガル法が廃止された影響も見逃せない。なぜならその縛りが撤廃された事で金融機関は構造転換のチャンスを100%享受する事が可能になり、結果、WSの1年間のボーナスの総額が数兆円と言う常識外の規模に膨れ上がる現象が起きたのである。しかし一方で世界が過剰流動性を背景に過剰利益追及と金融機関の過剰競争の連鎖に突入してしまった事に格付け機関も含めて最早誰もブレーキを掛けないという異常状態に陥った。この時点で世界経済は流動性という栄養の取りすぎが機能障害を起こし、結果必要な栄養までも取れなくなる慢性糖尿病のリスクに直面した。欧州中央銀行はその早く危険性を警鐘したものの、実質米国が引締めに転換した後の流動性供給を一手に引き受けた日銀の対応は、国内景気を理由に遅れた。いずれにしてもこの後事態が悪化すれば、ヘッジファンド国家への構造転換を促進したブッシュ政権はイラク戦争と同様の失敗をした事になろう。そしてその失敗の原因を敢えてこの段階で探るなら、やはりこの政権の性格に矛先は戻る。世界が困惑したその強権的性格はSEC長官人事(短期間に3人が交代)や、また最も重要なグリーンスパンの後任選出において多大な影響を及ぼした。この事は殆ど市場の話題にならないが、本来FEDやSECという当局がその管理責任を果たす為には真の意味での独立が重要だった。しかし当局の独立性の尊厳はテーマにはなったもののブッシュ政権の影響力下ではその機能を十分に果したとはいえず、結果、当局が全体像を掴む前にリスクが制御不能のレベルまでに拡大してしまったもしれない不安が今の混乱の本質である。

2007年8月16日木曜日

動物生態学から学ぶ。8・14の市況から

株は秋までに高値更新のチャンスはある・・。だがそのための絶対条件が経済の本質とはかけ離れたこの政府の力技である事は何度も主張してきた。その立場を取る人間にとって今回のカールローブの辞任はどう映るか。いずれにしても自分が考えているよりこの政権の末路は酷いものになる可能性ある。その場合はこの政権によってここまで来た株式市場も一蓮托生を覚悟するのが道理かもしれない・・。

ところでこのカールローブ氏 の事を数年前に「米国のラスプーチン」としてコメントした事がある。そんな中、日本でラスプーチンと言われた佐藤優氏の作品を最近立て続きに読み崩した。びっくりしたのはまずその数の多さ。この2年間に12冊も書いている。まだ半数だが、ソ連とその関連の専門家としての知識に驚嘆する一方で、時より発見する米国に対する記述のインパクトの弱さとのアンバランスには困惑する。この出版ペースの多さは、裁判では敗訴が続く氏の苦悩に、彼の知識と筆力に驚いた出版社が挙って便乗している感は否めない。だが出版社に限らず多くの著名人が田中真紀子/鈴木宗男騒動で悪役にされた彼を掌を返した様に支援している現状は、まるで動物生態学の本質そのものである。いずれにしても氏の本は今後も普通の日本人にはかなりインパクトが予想される。ただ願わくは氏には爆発的に拡大する可能性があるその影響力を上手く日本の国益の為に使って貰いたい。なぜならそもそも米国が専門でない佐藤氏が世界全体の事にコメントするのは自ずと限界があるはず。だが氏の宗教と至宝の「マルクス経済学」への古典知識に、普通の人からすれば目から鱗のようなインテリジェンスの裏話を融合すれば、世界全体の話においても素人をも翻弄する事は可能。でもそれでは彼はカールローブどころか本当にラスプーチンになってしまう。

そういえば、動物生態学の古典「ソロモンの指輪」では食物連鎖の頂点に立つ猛獣と、ハトやシカの様な食べられる側の行動パターンの違いが興味深い。狼は戦いに一旦決着が付くと、負けた狼は態と急所の首を勝者に晒す。そして勝者はそのシグナルを確認すると攻撃を止める。逆にそんなコントロールがないのが愛らしいハトやシカといった弱者。この種の動物は一旦けんかになると相手が死んでも、死体がバラバラになってもまだ攻撃を止めないとの事。これは、本来「殺される事を前提」に世の中に存在している生き物は、食物連鎖の頂点である殺す側、肉食獣に備わっている殺す事の意味とやり過ぎのリスク感覚が無い事を意味する。相場の世界でも最後に勝ち残る人はどこかにこの肉食獣の様なリスク感覚があるが、佐藤氏はその著書の中でKGBなどの特殊機関の策謀も「動物生態学」を基本にする事が多いと紹介していた。

そしてカールローブ氏などの軍師が去るタイミングは、庶民に対して機能したはずの戦略の歪が露見する時と大体は同じ。通常はその策謀が暴露される前に軍師やKGB等の特殊な人は歴史では抹殺される事が多い。なぜなら恐らくその隠された事実はハトやシカの様な庶民には制御不能だからだろう。相場も然り。SPOILされた参加者のDNAは時に事実に対して想像以上に暴力的になる。よって、明日と明後日株式市場がパニックになれば、TYUは10925を試すだろう。だが、ダウが200日が割れ、指摘している様に其処でFEDが利下げでもすれば極端な反動が来る。其れも動物生態学の話である。

2007年8月11日土曜日

慢性糖尿病国家

米国での日本語放送JAPANTVでは、シカゴ時間の朝5時半からNHKBSの株式ニュースを流す。びっくりしたのは昨日の朝の内容。こちらからすればローカルニュースでしかないその番組の中でさえ来週の「15日」の事を重要日としてREMAINDしていた・・。ただこれではっきりしたのはこの局面での米株売りピークは恐らく15日前か、(月曜が危ない)或はそれが過ぎ去って油断したところを襲ってくるだろうと言う事・・。

さて、今回のFEDの流動性供給を「緊急輸血」に例える人がいるが、個人的にはそのイメージはない。「緊急輸血から金利の緊急緩和へ・・」これがパニック時の常套手段である事に変わりはないが、そもそも今回は健康な人が突然の事故で出血しているのではない。寧ろ、長すぎた甘い環境にスポイルされた市場PLAYERが大騒ぎする一方で、その本質は米国人の体型が象徴する「糖尿病」が経済に波及した様なものと考えた方が好い。そもそも米国では遺伝も含めた糖尿病は国家的大問題である。医学的臨床説明は専門家に譲るとしても、その多くは「飽食の飢餓」の別名が示す通り、栄養の取り過ぎによって本来の機能が麻痺し、逆に栄養がとれなくなる状態と認識している。そして今回の混乱の根本も流動性過多が原因のサブプライムが結果的に流動性の枯渇を呼び込んでいるのであり、そもそも金利水準の問題ではないのである。

そんな訳で昨日からの中央銀行による処置は、緊急出血に対応した輸血というより、糖尿病の患者が持ち歩いている飴玉かインスリン注射の様なイメージである。従って今後の展開はFEDと言う医者が糖尿病患者の市場にどういう治療をするか次第である。ただ9月のFF先物が織り込んでいる様に、今のPLAYERがそこまでスポイルされているなら、FEDは一旦ソレを実行するのも一考。だが利下げが糖尿病の解決にはならない事はFEDが一番認識しているはず。従ってここからのトレードの妙味はスポイルされた患者の悲鳴と医者の処方箋のズレを狙う事である。即ちFF先物かEDのPUTを買う事が個人的には最も有効とみる。また今の株式市場は大騒ぎするか、或は鬱病になっても一旦落ち着くとコロッと元気になる特徴がある。従って仮に緊急利下げがあった場合の大はしゃぎにそなえてTBONDのPUTでも仕込むべきだろう。いずれにしてもダウはまだ200日さえ試していない。次の処方箋はそこでの攻防の後にはっきりするだろう・・。

2007年8月9日木曜日

ボンズと朝青龍

ボンズが終にホームラン記録を更新した。人種差別的とも感じた誹謗中傷の後、今の米国は静かに彼を称えている。ただスポーツ番組も特集を組まず、話題としても其の日だけだったのは物悲しい。しかしこれも今の状況からはしかたがない。ブッシュがコメントした様に、全ては歴史が後から評価すると言う事だろう。一方でそんな悠長な事を言っていられないもう一つのステロイドが存在する。 ここからはその話である。

個人的にここで米国経済をステロイド経済と名づけてから5年程が経つ。そしてここ数年のいわゆる過剰流動性経済になってからは、その流動性を皿回しの皿に例える事にしてきた。ではそれだけの巨大な大皿を回してきた軸棒の動力は何だったのか。当たり前だが動力は欲望から生まれた。そもそも皿が安定的に回り続ける為には皿の大きさと動力エネルギーに絶妙なバランスが必要だ。ただ止めどなく拡大する一方と思われた皿の大きさと動力エネルギーの増幅は、投資家にリスクの再認識が起こった段階から皿の大きさはそのままに動力に問題が生じている。

結果、巨大な皿はバランスを崩して彎曲を始めているが、どうしたら元の安定的な巡航回転に戻せるのか。米国はその難局の入り口に立っている。そもそもFEDや政府関係者が現状を90年代の危機と比べてPLAY DOWNしているのは、関係者が批判するような彼等が現状認識を怠っているからではない。寧ろ逆。其のリスクを十分に警戒してきた中で、一旦バランスが崩れた以上次の利下げがどういう結果を齎すのか確信がないだけではないか。

そんな中でCNBCで利下げを高々叫んでいる人には共通の危うさを感じる。彼等は世界の中で米国がどう見られているか。イラク問題などの所業の後これからどう見られていくかと言う客観的視野には全く興味がないようだ。

この50年がそうであった様に、例えばドルの水準も米国が他国に対してエッジを握った上で水準だけを自分の都合に合わせて変動させるという単独超大国の特権が永遠に続く事に警戒心はない。何度も言うが、米国で生理的老化が始まったと時に生まれたブッシュ政権の政策履行は好い意味でも悪い意味でも凄かった。しかし最後には万物の原理には勝てない。

其の反動が始まろうとしている今、前向きではあるものの他からすれば傍若無人とも言えたこの米国の姿勢、その強気がの維持が可能かどうかが最大の焦点である。

個人的にはその結論はまだ見えないが、傍若無人が牽引した自信ほど脆いモノはない例を最近感じた。それは若貴ブームが終った後大相撲を牽引した朝青龍のあの強さと脆さの対比に似ている。仮に米国の自信が朝青龍なら、大皿の落下を防ぐ事は困難、逆にボンズの様に、静かにステロイドの使用を認めた上で批判に耐えながらも目標を完遂できれば活路は開けるのではないか・・。

2007年8月8日水曜日

WAKE UP CALL

先週末のNYTIMESの特集は、現在中国のWEB社会で起こっているといわれる現象の解説だった。そしてその内容は、WEBでは当局が其の膨大な外貨準備基金の一部をBLACK STONE株に投資した結果、早々に損が出た事を国民が嘆き、「中国人の血と汗の結晶である外貨準備金をもっと有効に使え・・」との激文が飛び交っているという事。いずれにしても僅か3Bの投資が損した程度でこの激情になると言う事は、一部で噂されている中国がサブプライムを大量に買っているとの話が本当だとすると、今の情報開示が前提の時代につい中国の政情不安までの余計な心配をしてしまう・・。

さてこの仕事について20年が経つが、今日ほど日本が哀れだった日はない。理由は読売新聞のWebに掲載された自民党の中川幹事長の言葉とされる「選挙に負けたのは日銀のせい」と言うコメント。なぜならこの様な人が幹事長をやっている政党をいつまでも第一党にしておくのは国民自身の選択の結果だからである。

そもそも日本個人の金融資産は1500兆円とも言われて久しい。にも拘らず、この金融資産の有効活用の方策も全く考えず、いたずらに米国の言う事だけを聞いて市場の米国型化だけに専念、後は円安頼みの景気刺激策しか出せなかったのはあまりにもステロタイプすぎた。

そういえば最近何かの雑誌記事で堺屋太一氏が「この金融資産をベースに金利があと2%あればいったいどれだけの利子所得が生まれたか」と述べている。確かに想定される年間30兆円の新たなる富は、90年代に乱発した総合経済対策の数回分になる。ではなぜ堺屋氏は政府の要職にあった時にこんな単純な事が実行できなかったのか。答えは簡単で米国がソレを望んでいないからだ。たとえ堺屋氏といえども自民党の政権の中では実行できない。ここが哀れだという事である・・。

一方、日本と全く逆で、SAVINGレートが「負」というこの国では、いつでも必要な時に日本の資金が使える状況にしておかなければならない。米国民は資産インフレを謳歌する一方、其の政策に必要な流動性はせっせと日本が供給している。

米国が衰退の危機に直面した今こそ、結果として実は日本自身が大変な危機だと感じている人は中川幹事長の発言をどう感じているのだろう。そんな中で旧知の証券マンから面白い話を聞いた。今の収益の主力は為替ヘッジをしていない投信だという。この商品は、現地での成長がそのまま享受できる一方、一旦円高が始まる場合のヘッジやUNWINDのリスクは最早想像不可能のレベルだという・・。

2007年8月4日土曜日

嘘とVOLAの関係

NFLの有名選手から、志願してアフガニスタンの前線に散ったP.TILMANの死体には、額に正面から撃たれた3発の傷があったという・・。

この稀代のヒーローの不可思議な死をどう説明したらよいのか。その時のブッシュ政権は困ったはずである。そんな中一昨日、民主党が仕切る議会にてこの事件の意図的情報操作の可能性を追及されたのはあのラムズフェルド。彼は顔を赤らめながら、情報伝達のミスは認めたものの、あくまでも意図的な情報操作と事実隠蔽は認めなかっ・。

有名な英語の表現に「you cannot handle the truth ]と言う表現がある。これはジャック二コルソンがトムクルーズと競演した海軍を題材にした映画で、清濁を併せ呑み、時には犯罪になる事実の隠匿を強行しても全体の統括を重んじた長官のジャック二コルソンが、自分を裁く裁判で聴衆をこの台詞で恫喝する場面が最も有名。恐らく、その時のラムズフェルドには同じ思いがあった。

それはそうと、今日の雇用統計の結果には少し驚いている。なぜなら現状の景気下振れリスクの中、今こそ国民をあのイラク戦争でさえ正当化に導いた政権の演出力が再び必要されるはずなのだが、にも拘らず、悪い数字をそのまま出してしまうあたりはこの政権らしくない。これは、政権が今後の展開に十分自信があるのか、或はこの政権さえもいよいよ機能不能なのかよくわからない。

ところで、先進民主義国家では国民は表面的にマスコミを通じて真実の大半を知っていると思っている。だがそんな事はありえない。前述の英語表現ではないが、感情的な一般大衆が真実などを知ったら混乱を招くだけ。そもそも法治国家の法律もただの文字である。その文字の意味するところ、即ち解釈をどうスタンダードとして構築されるかで法治国家も独裁的にもまた共産的にもなれるのである。

そしてその時に重要なのは弁護士の演出力とメディア。だがソロスが指摘するように、弁護士とメディアにとって重要なのは真実ではないのかもしれない。そんな現象を心配してか、少し前のWSJに共和党親派の大学教授の調査が掲載された。

この米国でも社会主義的発想の芽がある事に驚いたが、調査は普通の米国人に「貴方の年収が$30000で、8割の社員の年収が同等の会社と、貴方の年収は$35000だが8割の社員が$40000以上を稼ぐ会社とどちらで働きたいかという質問をすると、6割以上の人が前者と答えたという・・。」

教授はこの結果が語る将来のリスクを示唆、民主党が掲げる増税と金持パージの政策が大衆の感情面と相まって経済にどんな悪影響を齎すか警告している。クレジット市場然り、いずれにしても嘘が嘘としてバレ始める時、世の中のVOLAは上昇し、流動性は心地よいバッファーから災いへと変貌する。

ベアスターン株の謎

それにしても今回の下げ相場で最大の謎は、起点となったベアスターンの株の値動き。一言で言ってこれだけの騒ぎの基点の割にはなぜ未だに100ドル以上もしているか。中小のモーゲージ関連株は一日で半分以上の時価総額を消滅するところもある中、本日は先月話題となったファンドの顧客がまずベアとその役員に対して訴訟を起こした。そして同社としては3番目となる別のヘッジファンドの大損の話が出てもまだ株は100ドル台・・。ベアとGSをふくめたWSの証券4社のボーナスはここ数年数兆円と言う信じられない水準が続いたが、このWSの4社と、世界の他の産業の全ての会社の間にはその報酬差が正当化される実力差が本当にあるのか。今WSを中心とする市場関係者はヘッドラインリスクからのVOLATILITYのマネッジに追われている。だがこのベアの株の動きが示す不可思議な感応度が個人的には最大の謎である。この事実を曖昧に考え、そして仮にソレが間違っていた場合が最大のリスクであり、この相場の難しいところだろう・・。

2007年8月2日木曜日

ピッチャーバッター

日本のスポーツNEWSをみていたら、大阪桐蔭学園の中田君と言う超高校級のスラッガーの特集をやっていた。確かにレベルの高い大阪で4番でピッチャーと言うのは凄い。ただそれが裏目に出て甲子園を逃してしまったらしいが、彼にはカブスのピッチャーで球宴にもここ数年必ず選ばれているゾンブラーノ投手の試合を是非見てほしい。
彼は現在14勝でNリーグのトップを走る。速球は松坂程度だが、体格は松坂を上回る。そして彼の特徴はなんと言ってもそのバッテイング。ピッチャーでスイッチヒッターと言うのも凄いが、ピッチャーとして当番のない日でもシカゴでのゲームにはベンチに入る事があり、そんな日チャンスに監督は迷うことなく彼をピンチヒッターとして送り出す・・。(彼は、自分が打たれたヒットよりも、自分が打ったヒットの本数が上回る試合を何試合かしている・・)
ところで常識とは何だ。ピッチャーだからバッテイングをしてはいけないないというのは常識に縛られた考え方。そもそも日本は戦後米国から様々な常識を教え込まれた。だがその米国自身は一旦目標を定めると、その目標の為のプロセスの常識は時代と共に変える柔軟性を持っている・・。早く日本も其れに気が付くべきだろう・・。

2007年7月31日火曜日

市況ファイナル追記7/26

CNBCの女性アナウンサーが今晩の上海株に米株の命運が掛かっているような発言をしていたのを聞き、思わず噴出しそうになった。この米株の命運が中国次第としたらお笑い物である。そもそもそんなに上海株が気になるならポールソンが中国に一本電話を掛ければ済む話。米株も最早インチキなら、上海株の半数以上の発行株はまだ管理株のはず。また中国は配下に国営ヘッジファンドを持つ国と聞く、即ちインチキ同士なら負けるはずがないではないか・・。いずれにしてもそのポールソンと商務長官が「異例」の明日の朝揃ってCNBCで声明を出すとの事。密かにフレッシュな流動性が次の出番を待つ出来レースとはいえ、ダウ指数が久しぶりに明確に50日を割れた本日、注意深く明日はやるべき事はやっておくと言う事だろう。

ところで個人的にも50日が割れて200日移動平均までの調整でこの株の下げは終ると考えているが、しかし恐らく今回も然り、次々に株が上がるスキームを編み出してきた米国がどこかで行き詰るとしたら、その時は「調整」ではなく「終わり」の時だろう。ただ其れはこの住宅関連問題では起こらない・・。明日を境に市場参加者は「住宅が下がれば株の上昇で補う」と言う逆説のインチキ療法を残りの時間が少なくなったこの政権が渾身の力で演出するのを目の当たりにするはず・・。そもそもコロンブスの卵ではないが、この国では株は人を幸せにするモノで不幸にするモノであってはいけない。だから株に関するルールは時代に合わせて変わるのである。大昔ならインチキだったはずルールの多くが今は立派な常識になっている・・。(その多くを人は規制緩和と呼ぶが・・)

こんな例はどうか。日本はDNAとしてはアリだったがバブル時代にキリギリスのマネをした。しかし途中で怖くなり、アリの本性が出てしまった。しかしアリとしての蓄えがあったので苦しかったが何とか10数年の冬を凌ぐ事が出来た。その点米国は元々キリギリスなのでアリにはなれない。またアリの様なデフレ対応の蓄えもない。そしてこの様な困難では篭城せずに常に打って出る・・。こんな種類は時にその強気が裏目に出て100年に一回程度は死滅の危機に瀕する可能性ある。だがまだ其れはもう少し先の事だろう。その意味では「利下げ」はFEDがそのトークを武器にする事は可能だが、実際に利下げをしたらアウト。なぜならポーカーゲーム同様、弱みを表面的に出さない事で全てを可能にしてきた成長のゲーム(資産インフレゲームといっても言いが、だから政策はコア次第という表現を用いている)が終ってしまう。その時は一気にドル防衛のダムが崩壊して、長期債、株とドルのトリプル安が起こるはず。

「金利は成長と同時に緩やかに上昇・・」この考え方が、何があっても米国経済磐石説を唱える人々の根本だが、いずれにしても明日は株が大底を確認する前にBULLSTEEPのポジションは手仕舞うべき。ご存知の様に私はSTEEP論者だが、それはBULLSTEEPではなく、BEARSTEEPが始まる「その時」を楽しみに待っているからである。但し其れはもう少し先である・・

2007年7月24日火曜日

ギルト時代とフィランソロフィー

目の前の相場への対応に疲れた時、事象から少し離れてもう少し先の時間のイメージを養う・・。その意味で日曜日のNYTIMESの記事は丁度好い気分転換になった。特集記事は米国における「ギルト時代」の主役たちと現代の「勝ち組」の比較。その代表として「ギルト時代」からは鉄鋼王のカーネギー、そして現代からはCITIグループを作ったSワイル前会長が比べられている。御存じの様にワイル会長は今はCITIグループ経営の第一線からは退き、カーネギーホールの名誉会長としてその運営に関わっている。記事の冒頭ではワイル会長の資産は$1Bを超えるが、それとは別にカーネギーホール関連とフィランソロフィー活動に既に$500Mの寄付をした事が紹介されている。

ところで今回の記事で目を引いたのは1850年から1900初頭までの「ギルト時代」に生まれた米国の資産家群を、現代の英雄のビルゲイツやバフェットの資産と特殊な計算を用いて比較している点。一部を紹介すると、圧倒的首位はやはりロックフェラーで、2位が鉄道王のバンダービルド。そしてビルゲイツが5位に入り、6位がカーネギーと続く。Hフォード等が10位前後に顔を出してバフェットは19位だった。そんな中でJPモルガンが30位前後と意外に低かったのは当時の金融業の位置付けが分かって面白い。

記事の内容は多岐に渡っている。まずはカーネギーとワイル氏の共通点として、ワイル氏が剛腕で鳴らした一方で社内のマネジメントでは非情なコストカッターだった事が、カーネギーが当時傘下の労働者の福利厚生を絞りあげた経営者として有名だった事が似ている点。一方でカーネギーは相続税に関しては政府が全額没収しても異を唱えないという稀有な立場を貫いた面に焦点を当てている。要するに、王監督の言葉である「元来ホームランは打てる人と打てない人がいる・・」ではないが、富は造れる人とそうでない人がいて、彼らの言葉を借りると「WRIGHT TIME、WRIGHT PLACE」で富を作る運命に生まれた人は、途中非道と言われても徹底的に稼ぎ切り、そして最後はそれを潔く世の中に返還するという哲学あったというのである。

その意味では記事は現代の「勝ち組」がどちらかと言うとSTOCK OPTIONなどの株とそれに付随したオマケ(時にデタラメの詐欺であっても)の効果で富を築いただけの小粒化を皮肉っている。また、剛腕のワイル氏がCITI帝国を造るために最後の懸案だったグラススチーガル法も、その廃案を審議した議会も、最後にサインしたクリントン大統領も廃案を前提にその剛腕でどんどん物事を進めたワイル氏に前には何の障害にもならなかった事実を運命的に表現している。(以上NY TIMES参考)

ところで、グラスステイーガル法は20年代のGILT時代の後に生まれた当時のバブル現象と、その背景の行き過ぎた金融規制緩和が大恐慌を呼んだ事を反省して1933年に制定された。しか法案がワイル氏の剛腕で消滅、WSは新たな時代に入った訳だが、ただその後に起こった事象は今回のサブプライムファンド話も含めて当時の再現の可能性がある。また、記事が指摘するように、僅な資産家が圧倒的な富を握る現在の超格差は丁度ギルト時代直後のバブル時代とも重なっている。

そんな中、ワイル氏以外にもビルゲイツやバフェット、そしてソロスなども取りあえずは過去のパトロンの事例に沿ったフィランソロフィーをしようとしている。だが今の勝ち組の中には、彼らとも違い、その昔に物を作って世の中を豊かにしたたギルト達とも違うゲーム時代の勝者がいる。そして中にはストックオプションのインチキ組もいる。個人的にはここに今のバブルの本質を感じる。

いずれにしても歴史が繰り返されるかどうかはわからないが、何かの衝撃を経てこの時代の後に労働者への回帰時代が始まれば、それは歴史は繰り返された事になろう・・。

2007年7月16日月曜日

インフレの芽、あだ花

今日のWSJの記事で重要なのは生活面にあった蜂に関するな記事。パリなどの洒落たヨーロッパの街では、自宅のベランダで蜜蜂を飼いならし、自分で飲むレモネードや、TEAに入れる程度の蜂蜜を作っている粋な人がいる。記事は米国でもそんなヨーロッパの都会人を真似るべく趣味の世界を紹介した記事なのだが、実はそんな悠長な話ではないリスクが潜んでいる・・。
まず、昨年から米国で起こっている怪現象はしばしばNEWSになっている。怪現象とは米国本土から蜜蜂がいなくなっている話。ご存知の様に蜜蜂は野生品種より業者が飼っているケースが圧倒的だ。しかしその蜂蜜業者が窮地に陥ったのは昨年から。突然蜜蜂が消滅してしまう現象が全米で発生したのである。既にその被害は蜜蜂業者の30%から場所によっては50%を超える事態になっているという。

WSJは全米で消費される全食料の内、元を辿るとその30%は蜜蜂などの昆虫に授粉の役割を頼っていると言う農務省の公式見解を紹介している。 そして、その食糧の元となる全ての授粉の80%は蜜蜂に頼っているというのである。これを聞いてゾッとした。その蜜蜂の半分が何らかの理由で死滅しているとしたらいったいどうなるのか。蜜蜂がいなくなればその分に代わりの蜂や他の虫が活躍すればいい訳だが、個人的には不安だ。そう言えばここまでは順調に成長してきた裏庭の桃太郎(トマト)も、今黄色い花がちょうど咲き始めている。しかし確かに今年は蜂の姿が少ない様な気がする。学者によれば温暖化や都会化などの環境の変化によって蜜蜂は死んだ可能性が高いらしい。ところで、「あだ花」の語源は実をつけない花の事らしい。いずれにしても食糧インフレの芽はこれ以上いらない。そろそろオレンジジュースの先物でも仕込んだ方がいいかもしれない。

2007年7月14日土曜日

株式新時代は可能か。

そういえば先日国家の焦点で日本の独立宣言をしたのだが、今日の米株を見ていると米国から独立すのは容易ではない事が改めて確認できる。まず今日の株には明確なテーマがある。新時代に向けて今後は次の様なストーリーで株を買っていこうとする意思表示でもある。米国が先導し世界に種をまいてきた「米国型資本主義」が芽を出して刈り取りのタイミングに入っている。米国にとっては中国やインドの成長は彼らの為でもあるが、米国のモノでもある。従って、米株としては輸出関連銘柄、海外に資産を持つ会社を徹底的に買えばよい。住宅と国内消費関連以外にも、 そんな会社はまだまだいっぱいある・・。

一方で国内はやや限界が来た。安易に薬を飲み過ぎた事も反省している。ただサブプライム問題は乳癌か膀胱癌のようなものだ。癌宣告は確かにショック、完治しないかもしれない。だがそれで直ぐに死ぬわけではない。無理な手術は避け、他の臓器に移転しないように気をつけながら、長く付き合っていく事が大事だ。時間を稼げれば、先に行って新しい方策も出よう・・。そしてアジアの時代と言われる今、米国は自分たちも実はアジアだった事を思い出した。なぜなら日本はアジアである。ただこの新しい戦略に乗って新たな株式上昇時代を狙う米国が絶対に阻止しなければならない事がある。それはその日本の独立(その時は円高とドルの一人負け時代の始まり)と、政府とワシントンを労働者の利益為だけの場所にしない事である。日本の非独立政策は容易だが、最後のワシントンの条件は非常に危なくなっている・・・。

2007年7月13日金曜日

伝説の日本人

昨日のオールスターゲームはいろんな意味で面白かった。イチローが圧巻だったのは言うまでもないが、Bボンズも、外野まで運んだ自分の打球が失速する姿を物悲しく見ているその目には何ともいえぬ寂しさが漂っていた。

そう言えばどことなしに彼の体形も変わっている。2000年頃の全盛期は、ライトに運べば殆どがスタンドを超えてそのまま海へ。当時の彼の胸部はゴムまりが入っている様に膨らんでいたが、昨日の姿を見る限り膨らんでいるのは下っ腹だった。ステロイドと言うのもはここまで変える力があるものなのか。しかしそれが無くなった時の哀れさも悲惨だ。

今のボンズを通してそんな事を想像すると、正にステロイドだった過剰流動性が止まった後の米国はどうなってしまうのか。FEDはそれをしないまでも政治的ミスハンドリングでそんな事態になった後の米国市場の姿を想像すると寒気がする。まあ今から心配しても仕方がないので、警戒しながらそうならない事を前提にポジションの方向で考えていくしかないのだが・・。

さて昨日のオールスターゲームはFOXが独占したが、そのCMには各社のアイデアが結集していた。そこで自分の目を疑ったのはクワーズビールのCMである。スーパーボールには及ばないものの、アカデミーショーやこの球宴等の単発イベントのCMのスロットも高額。そこでのCMには各社はそれなりのスターを擁し凝った構成で視聴者にインパクトを与えようとする。そして何とそのクワーズCMの主役に抜擢されたのはあの「伝説の日本人」だった。だがそれはイチローではない。

以前ここで「伝説の日本人」として紹介した事があるその彼は、CMでは皆がビールを飲んでいるスポーツバーに突然現れる。その場に緊張が走り、皆が彼を意識すると、店のオーナーがそそくさとバーカウンターの黒板に書いてあったその日のメニューから「食べ放題」の文句を消す。そして伝説の彼は、ニタっと笑いながら、Vサインをしてクワーズを格好良く飲むのである・・。

世界の黒沢も、ハリウッドで中堅までになった渡辺謙も、またイチローですら達成した事がない米国メディアのプレミアムスロットのCMの主役を恐らく初めて務めた日本人とは誰か。それはあの伝説の小林尊氏だった・。何でもよい。この国では衝撃を与えれるほど突出していれば、それは間違いなくヒーローである・・。

真の王者

朝方のS&Pに続いて午後にはMOODYSもサブプライム関連の格下げを発表した模様だ。「持ち上げておいて」市場から催促されて格付けを変えるというこのぶざまな事態に対して、格付け機関はいったいどんな説明をするのか。トヨタをダウングレードした際に動じなかったトヨタがいま一番輝いている事に合わせて説明を聞いてみたい。

さてそんな中で一昨日のシカゴトリビューン紙の取組みには目を引いた。まずその紙面を見た時驚いたのは記事の主人公である日本の王監督の写真大きさ。過去これ程大きく日本人個人の写真が大きく掲載された米国の新聞記事を見た事がない。そして見出しは“真のホームランキング”である。

これまで普通の米国人にとって王監督の名前はマイナーであった。一部のオールドファンが知っている程度で、イチローや松坂と比べては比較にならなかった。一昨年日本が勝ったワールドシリーズ直後にも監督だった王監督を少しだけ紹介した記事があったが、今回と比べれば小さな扱いだった。だが今回改めて王監督が取り上げられたのには別の訳があった。それはステロイド問題である。渦中のボンズは今回オールスターに選ばれたが、記事はこれまでの陰湿なボンズへの個人攻撃から、その様な「虚の世界」を造りだした米国社界の風潮への警鐘をリベラル系のシカゴトリビューンが始めて取り組んだモノ(記事)だった。

トリビューン紙はこの記事を書くために態々特派員を日本に派遣し、スポーツ欄とは言え3面全部を使って王監督の自伝と彼の野球に対する厳格な姿勢を紹介している。そして王監督に対しての日本人の尊敬の念と、日本人の価値観全体のまで踏み込んでいる。また、王監督の大記録の事は知っていても、これまでは球場の大きさや日米の野球ルールの違いからバカにしていた米国人ファンにも、ボンズとアーロン、そして現役時代の王監督のAT BATの記録の詳細を客観的に対比する事で誰が一番偉大だったかを印象ずける構図にしていた・・。

結論として記者はアーロンと王監督のどちらが凄いかの断言は避けている。ただ、「元来ホームランは打てる人と打てない人がいる。自分は打てる。私は常にそう考えてきた。」また「ホームランの数ならベーブルースだが、自分の誇りは現役時代も監督としても休まず厳格に野球に取り組んだ事。その意味ではルーゲーリックの方が好きだ・・。」等と言う王監督の言葉を紹介して人間性をも評価している。

そして記者は最後に、今米国では誰が真のホームラン王かで議論になっている。しかし、もしかしたら真のホームランキングは実はこの国はいないかもしれない・・・と結んでいた。

2007年7月12日木曜日

FLY  TO コモデティー

CNBCに登場した某ヘッジファンドマネージャーが面白い事を言っていた。「今はFLY  TO クオリティーではなく、FLY  TOコモデティーの時代である・・。」
これを今風に言うとCOMMODITY=QUALITYの時代になったという事。そしてそれは、恐らく明日のバーナンケへの質問で必ず聞かれるであろうコアからヘッドラインへの変遷の本質である。ただこの傾向が続くとFLY TO QUALTYに慣れた債券投資家は暫くはSHAKE HEADを覚悟しなければならない・・。なぜならこれまで同りFLY TO QUALITYで安全な国債を買っても、ヘッジファンドが同じ理由でCOMMODITYを買うと、インフレになってしまうからだ・・。

さて、世界がフラットになったと言われる中でも金儲けを続けてきた人は続けきた。しかし金儲けには絶対にスプレっドは必要。ではどこにそのスプレッドがあったのか。実はクロスボーダーのスプレッドが減少して世界がフラットになると、今度は元々はフラットだった平地に傾斜が生まれた。言うまでもなくそれは中産階級のCASHフローである。ここには嘗てはなかった資産格差という新たな金儲けのスプレッド(必然の誘因)が生まれていたのである。

資産格差というスプレッドは金持ちには必要である。なぜなら勝組は勝ちを維持するためには永遠に負組を作らなければならない。また其のゲームに引きずり込まなければならない。そしてその本質が地球環境と言うコップの中のゲームである以上、流動性がカードとなる金融市場のゲームでは取引所の存在がより絶対的になった。そん中で恩恵を受けたのはシカゴの二つの先物取引所だ。元来此処にはコモディティーとデリバテイブという二つの金の成る木があったのである。その意味でこの10年のCMEの会員権(株価)の変遷はここ10年の世界の本質の変遷を見ている様だ。CMEは世界のライバルに先駆けて会員組織を株式会社に転換。その後のM&Aの流れでも常に主導権を持っていた。そして本日、そのCMEは長年のライバルでもあり、シカゴ復権の象徴にもなる予定のCBOTの買収を完成させる・・。

ところで権威主義だったCBOTは90年代以降の改革の全てがCMEに比べて遅れていた。結果CMEの後塵を拝したが、ここにきて神風が吹いた。クリーンエネルギーや食糧危機の抜本的解決とは関係ないが、その価格ゲームではCBOTの穀物市場における存在感が再び脚光を浴びたのである。よって勝者のCMEでさえ態度を改め、同胞としてCBOTを迎え入れようとした。ところが其処に突然ブームの中で生まれた新興取引所のICEが札束を掲げて飛び込んできた・・。

あまり知られていないが、実はこの急成長のICE(INTER CONTINETAL EXCHANGE)の後ろにはWSがいる。ICEの大株主はGSとMSである。特にはGSは言うまでもなく、誰よりも早く商品相場という成長産業を押さえ、また華麗な人脈で世界の取引所の代表格であるNYSEの実権とその復権となる多数のM&Aを主導してきた。そのGSの息がかかったICEがCBOTの買収を巡ってCMEにチャレンジしてきたのは、ある意味でシカゴ対WS構図の縮図である。

まあ個人的にはどうでもよい話だ。なぜならこれ程の富のダイナミズムを身近で観察しながら、結局自分で何も出来ていない。偉そうな事をここで書いても批評ばかりでは何にもならない典型的な失敗例・・。だが今度は恥を忍んでこの構図の近未来のリスクを考察したい・・

2007年6月29日金曜日

宮沢氏の残した戒め

宮沢喜一氏が亡くなって思いだす事がある。彼は政治家としてのピーク時(80年代後半から首相になるころか)既にどちらかと言うとサッチャリズムやレーガノミックスが先進国の主流になりかけた頃も、自身はケインジアンであると言い続けていた。

この15年の米国の変遷を見ても、ここまで浸透したフリードマン主義の背景には冷戦終結と言う政治的大転換が大きかった事が判る。逆にいうと、少なくとも冷戦時代という緊張関係の社会の中ではフリードマン主義にはまだ縛りがあったという事。その後世界がフラットになり、緊張感が無くなると、新しく始まったゲーム感覚社会ではケインズは骨董扱いとなった。そして更に実体経済から金融経済に移行する過程でフリードマンは世界のバイブルとなったが、ご承知の様に彼は昨年亡くなった。

ただ今、ある意味でフリードマン主義の象徴といえるクレジットの世界のシステム上の不安に、市場が始めて直面している。本質として、この「桃源郷」を支えた環境は、ケインズだフリードマンだのと言う理論の優劣ではなく、地球環境と政治模様だった事が窺える。逆に言えば、仮に世界に緊張が戻ると、個人的にはフリードマン主義は再び縛りを受けると考える。

平和なゲーム社会の中で養った感覚の優劣だけで歴史や宇宙物理の原理までも測ろうとする人が世の中のたし多数を占めた時、恐らく「其の事」は起こる。宮沢氏の死はそのタイミングを測る上で私自身には戒めとなった・・。

2007年6月28日木曜日

独立記念日

以前NHKで吉田茂と日本の戦後を決めたサンフランシスコ講和条約を特集した番組があった。今でもこの特集はNHKの最高傑作だったと確信しているが、今一度ここで内容を紹介しておきたい。吉田茂が舵を取った当時の日本は、最悪、連合国群による6分割占領の可能性を米国に恭順を示す事で回避、一方で新憲法制定などの新国家としての骨組は全て米国が決める単独占領を受け入れた。

ただその米国が台頭する共産主義の中でトルーマンドクトリンに傾斜。その結果、日本統治の綱領にも混乱が発生する。混乱とは予定通り日本を非武装にしたい勢力と、朝鮮戦争が発生する中でその基本線を大転換して再び米国の意向として軍事国家に戻したい勢力との間で足並みが乱れたのである。

吉田茂はその米国の足並みに乱れを上手く利用した。再軍事化案は警察予備隊で留め、一方で米国の盾の後ろに立ちながら日本が国際政治の一員として復帰する為の禊ぎである「サンフランシスコ講和条約」の締結を急いだのである。

米国は国内の意見は割れながらも日本を出来るだけそのままにし、ソ連 中国の共産主義の防波堤と、朝鮮戦争への軍事拠点として活用する案を優先した。サンフランシスコ講和条約では旧連合国側の大半が「倍賞金と本土割譲なし」の寛大な処置に異を唱えたが、米国がこの不満を強引に説き伏せたのである。

一方当事国でありながら米国の意向で開催地であるサンフランシスコに招待されなかった中国とソ連は米国に反発。ソ連は強引に会場にグロムイコ外相を送り込むが、日本に占領されていたフィリピンが米国案に妥協した事を切欠に。大勢は米国/吉田連合の平和国家宣言を承認する方向に傾いた。

そしてついにサンフランシスコ講和条約が宣言され、日本の独立と戦後が正式にスタートした・・。以上NHKから

考えてみればドイツは大戦に負ける度に領土割譲と巨額な倍賞金支払いをしてきたが、日本は中国と朝鮮に倍賞金を払っていない。 日本はユーラシアと中国での共産勢力台頭と言う神風の中で、米国の庇護の元奇跡と言われた戦後の復興を果たした。では敗戦時にドイツの様な巨額賠償金を払っていたらこの奇跡は起きただろうか。

少なくとも朝鮮民族はそう考えていないだろう。そして中国も・・。実はサンフランシスコ講和条約こそが現在のアジア外交障壁の遠因であり、また日本が米国から真の意味で独立する機会を失った去勢記念日でもあったのである・・。

個人的にこの歴史的背景からの日本の脱却、日米関係の前向きな転換の機会を願ってきたが、昨日遂にその機会はやってきた。マイク本田と言う日系議員が中国系米国人の旗頭として慰安婦問題を取り上げたのである。

民主党はやはり愚かだ。こんなバカげた法案をこの米国自身が大変な時に通すなど、全く利害計算が働いていない。日本はさっさと謝ってしまえばよい。そして場合によっては倍賞金でもなんでも払ってやれ。、戦後直後の倍賞金は辛いが、日本が豊かになり、また現在の流動性過多の時代今ほどお金が安い時代はない。そして中国と韓国がこれ以上この問題に入る隙を閉じると同時に、米国の利益に便乗する事で得た繁栄の代償、即ち失われた日本人のプライドと魂を取り戻せばよいのである。

ただ共和党が盤石ならこんな法案は通らない。なぜなら共和党は合理的に去勢された日本を使う方法を心得ているからだ。日本はブッシュ親父からクリントンの民主党に政権が変わった90年代に色んな事を学んだはずだが、2008年ブッシュ政権が終わるからといって恐れる必要はない。ナチュラルな成長が終焉した米国はヘッジファンド国家として生きていくためにも以前に増して日本を必要としている。

もしそれを無視してこんな法案に勢力を注ぐ民主党主導の米国に変わるなら、まずは日銀は金利を上げて米国金利へのキャリートレードを止めればよい。或は会計制度は変えても実質で3角持ち合いを防げばよい。米国は干上がる。ただそれには日本自身がモラトリアムから脱却する覚悟がいる。この覚悟があればインフレ(成長)は日本国内で必ず起こるだろう。

最早他国はその時代に向けて動き始めている。今金融市場で見える値動きは極論すればEX-BUSH時代への対応に過ぎない。今クレジットモノの饗宴が終わる理由はないが、他国の主導でこの国の金利も上がった。

またそもそもプライベートエクイテイーは故あって“プライベート”と言っていたにもかかわらず急いで上場した。ここに答えがある・・。いずれにしても、米国は独立記念日を迎えるが、日本も本当意味で真の独立記念日を迎える事が出来るだろうか・・。

2007年6月26日火曜日

始点か終点か。バーナンケの真価

ブラックストーンの上場は、一昨年のGOOGLEの上場をはるかに凌ぐ注目度で皆が見守った。年初、GSのアナリストが、「米国は最早ヘッジファンド国家になった」との表現を用いたのが、米国がこれから「ヘッジファンド国家」として驀進するのであれば、このブラックストーンの上場は終点ではなく始点。いずれにしても今日の雰囲気は、個人的経験では80年代のNTT上場時の様なエネルギーを米国の関係者の熱気からは感じる。

このエネルギーがプラスになるのかマイナスになるのか。答えはまだ解らない。ただ共和党政権の時間切れも見据え、ここでは終点の危険性を絶えず意識してきたが、始点になる可能性が無くなったわけではない。今は流動性を背景に膨張した第三の世界、「クレジット」が初めての揺さぶりを経験している。実はこの案件に対する国家としてハンドリングが、ここが終点なるか、或いは新時代の始点なのかの分かれ目ではないか。

もし新時代にしたいなら、「フェアリー」バリューを維持する事である。この場合フェアリーは「FAIR」ではない。「FAIRY VALUE」と書く。この場合の「FFAIRY」は、日本書紀や古事記に書かれている神話や寓話、或いは「迷信」の意味。つまりそこではFAIR VALUEではなく、桃源郷としてのFAIRY VALUEが重要という皮肉である。ただそれは本来その価値を精査すべき格付け機関も参加者全体が与している仮想の世界だ。ならばそんな紳士協定の第三世界がいつまでも続くだろうか。

ベアスターンのヘッジファンド失敗を切欠に焙りだされたこの世界では、この先バーナンケの真価が問われる

2007年6月18日月曜日

市況ファイナルから

地球人口の60%のアジアが豊かになると最初に起きる事は食糧不足。そんな事は誰でも分かっている。従って食糧インフレは可能性の問題でなく、時間の問題。そんな中で未だにインフレのコアがどうのこうのというFEDのセリフに振り回されている人は最早愚かだ。なぜならFEDが世界を救うわけではない。そんな時代自らを救うのは自分自身。どうすれば良いかというと、理論的にはインフレを上回るキャッシュフローを生めばよい。だから株を買うのである。

株は金利全体が上昇しても、FEDが利下げポーズを取直すか(その場合は200日線割れ程度の下げが誘因)、或いは長期が十分売られカーブSTEEPしたら必ず買い戻されると言ってきた。だがこんなに早くPLAYERが動くのは、皆がインフレ時代対応するために必死だからだろう。住宅の下落が止まらない中(これは最早止まらないだろう)株を上げるのは絶対的国策。そもそもこの本質を見極め、ぶれない事が米国におけるインベストの基本だが、少なくとも共和党が元気な中は大丈夫である。一方でデイトレは映画マトリックス3で人間を襲う電子虫と格闘するようなもの。でもこれはこれでスリリング。自信があれば止める必要はない。ただ両方を混同して考えない事・・。

2007年6月9日土曜日

ダブルスタンダードの勧善懲悪

米国在住14年の後半の7年間、憩いだったソプラノス(TV番組)が今週末で終わる。以前、この番組の事をここで紹介した。日本ではまだやらないこの番組の事を、確か、コッポラの「ゴットファーザー」と、橋田須賀子の「渡る世間に鬼はない」を足して2で割った様な番組と評した。要するに主役は悪人である。ニュージャージーのイタリアンマフィアの親分が主役である。彼はそのダーティービジネスで敵対者は殺し、裏切者は躊躇せず抹殺する。だが家庭では恐妻家、出来の悪い息子に悩む父親の姿は所謂橋田番組が始まる・・。

ドラマでは、先週までに対立するマフィアに仲間の大半を殺された。家族を避難させた彼が今週末の最終回でどうなるのか。死ぬのか生き残るのか。WSでも人気のこの番組の結末に対して既に全米ではNYを中心に賭けが始まった。その話題は今日CNBCでも特集になっており、今のところ2:1で生き残る確立が優勢のようだ。いずれにしても番組の結末は来週報告する。

ところで、本日はパリスヒルトンが健康を理由に刑務所を5日で出所した事も話題。そういえばサミットが締めくくられたドイツでは、最終日にブッシュが重要な会議を欠席したが、ともに好き勝手に生きている印象を周りに与える。パリスヒルトンにはヒルトン財閥の金があり、ブッシュには米国の大統領としての権力がある。

米国が世界平和を牽引する指導者としての立場を捨て、利益重視、実利主義に転換した頃からTV番組だった「SOPRANOS」は社会現象になった。そもそも米国は大岡越前の様な清廉潔白のキャラは好まず、弱い人間が敬虔なクリスチャンなる事や、隠れて精神科に通院しながら大統領やギャングの親分という特殊な職務を全うする姿に親しみを感じる。

だが言い換えればこれらは人間の甘さを逆手に取ったダブルスタンダードである。米国は法律の適用ではダブルスタンダードを嫌うが、人間のモラルにおいてのダブルスタンダードには寛容である。それも特に金と権力の保持者にそ傾向が強くなった。そんな風潮の中で自分も含めて視聴者はソプラノスに親しみを感じるようになった・・。

ところで、米国が大統領のモラルの低さを容認し始めた起点はどこだったのか。知られていないが米国が超大国になる以前は、男色家もいれば女癖が手に負えない人もいた。だが転換点はクリントンだった。

彼はワシントンやリンカーン、ルーズベルトといったMtラシュモアの顔の主役が築き上げた米国大統領の執務室の権威の象徴の中で破廉恥行為に及び、そしてバレてしまうと開き直った。しかしここで重要な事は彼個人のモラルではなく、繁栄のピークを迎える過程で米国人はそのクリントンを許してしまった事だ。

個人的にはバブルの本当の定義はここにあるとみる。裏を返せば、マネーの過剰流動性も時代が変われば過剰が取れている可能性があるが(バブル崩壊)、本当のバブルは人間のモラルの低下の中にあるのではないか。

その意味で最終回のトニーソプラノスはどんな運命が待っているか。やはり彼は悪人、死ななければいけない。それがこの国の底に流れる清流と信じる。

マネーと酸素

科学の知識はないのだが、個人的に心配になる事の一つに将来この地球で“M”と“O”の量が逆転してしまうのではないかという思いがある。言うまでもなく、Mはマネー、そしてOは酸素である・・。この話題に絡んで、昨日の出来事からの二つの話題に触れておきたい・・。

昨日決算発表した会社にあのランパートが君臨するシアーズがある。シアーズの株価は現在180ドル。最早シアーズは小売の体はなしていないと指摘したが、やはり小売りとしての売り上げは惨憺たる現状である。それでも株価が下がらないのは、第二のバフェットとして期待されるランパート個人に対する投資家の期待があげられる。

一方で売上金額だけをとれば米国のGDPの3%を1社でたたき出すウォルマート。グローバル経済の最終消費地としての米国消費に支えられ、数年前まではある意味で世界最強の会社だった。しかしマネジメントの内紛から労働争議に対する対処に綻びが発生。会社のイメージが悪化する中で更に悪い事が起きつつある。

その悪い事とは何か。これも以前触れているが同社では原材料から完成品までその70%が中国生まれである。ここにきての中国製品に対する消費者の困惑は、同社の全商品にまで拡がる恐れがある。「安かろう、悪かろう」笑いごとでは済まない。

今地球では昔の様な世界大戦がない。よって消費力がパワーである。そして有り余るお金がそのゲームを囲む。本題に入ると、昨日ブッシュは恥も外聞もなく、ポリシーを変えてしまった。それは地球温暖化への米国の主導権宣言である。これでは地道この問題に取り組んできたゴアは腹が立つだろう。また、京都議定書を承認した国々も本来は米国の身勝手さを怒らなければならない。彼は2012年に期限が来る議定書の「次」において、今度は米国主導で地球温暖化への取り組みするつもりなのである・・。

まじめにこの問題を考えてきた人々にとっては「ブッシュよ、ふざけるな」であろう。強引にイラクへ進攻し、石油の利権にまみれた彼らと共和党がそんな事を言うのは、先週「仮にイラクが望むなら撤退してもいい」などと漏らして歴史的無責任を露呈したい恥の上塗り。

それでも誰も米国を糾弾できない。ドルが基軸である以上、主要国は米国が主導する天下布金政策に迎合しているからだ。そしてこの米国の大転換の先に見えるのはクリーンエネルギーに向けて新たな覇権主義。

中国もインドも議定書を批准していない。米国が豹変して環境保全のリーダーになれば、人口を背景に消費と生産に万進しているはずのインド中国の両国に対してエッジを握れる。また年内に世界最大の石油産出国となるロシアのペトロ経済にも影響を持てるのである。

いずれにしても、ランパート氏等のヘッジファンドはゲームの先取りをし、地球に膨張した資金(M)をつぎ込む。しかし酸素とマネーが逆転した地球環境でいったいどんな人が生きていけるというのか・・。個人的には素朴な疑問が残る。

2007年6月6日水曜日

殺人狂時代

“YOU CAUSED ME TO DO THIS・・(お前たちが悪い)”恐ろしい話だが、自分の中にも4月に殺人鬼となっしまった韓国人青年が感じていた米国社会に対する怒りを感じる事がある。彼は10歳前後の頃に米国に来た。撃たれた人は全員が複数の弾傷を抱えていたという事から、最後の瞬間まで彼の心を支配した深い闇がこれまでのどの事件とも異質の残酷さを残す・・。

慣れない英語圏での生活の中、懸命に近所づきあいを通して米国に溶け込もうとした親の苦労を見ながら彼は育ったはず。同時に「裕福な子供に対する怒り」、「不作法な米国文化に対する怒り」をその心の内面に育てていったのだろう(CNN)。精神科に通院した経歴を持つ彼が残した怒りのメモは、冒頭の言葉とともに辛辣な長文の批判で埋められていたという(ABC)。切欠は女性関係かもしれないが、彼はいつか必ず爆発するタイプだったはず。周りがもう少し注意を払う事で事件が防げる可能性はなかったのだろうか。

ところで、自分の場合は米国社会に対して怒り感じた時は、ダウ先物を売り向かう事で怒りを解消してきた。結果その瞬間怒りは解消できたが、見返りにバランスシートは常に深い傷を負った。彼の様にいつか爆発して大量の米株の空売りをしけたい心境は消える事はない。だがそれはまだもうすこし先の事としよう・・。

最後に有名な映画の有名なシーンを一つ紹介したい。全く普通だった人間が突然金の為に平気で次々に恋人を殺す鬼畜に変身する。しかし破産と共に彼は我に返る。そしてその時に自分を駆り立てたモノが本当は金への欲望ではなく、欺瞞に満ちた社会に対する怒りだった事に気づく。そして絞首刑になる直前、神へ捧げる言葉はあるかと聞かれた彼はこう答える。“これまでも神とは仲良くやってきた、仲良くできなかったのは人間社会に対してだ・・。私は確かに死刑に値するだろう。だが欺瞞の中で大勢人を殺した人間は時に英雄あつかいされるている・・ばかばかしい世の中だ・・。(チャップリンの殺人狂時代から)

チャップリン映画を見る人が少なくなった今、彼を紹介した次の様な面白い記述があったからだ。著名なドイツ人の舞台監督曰く、「チャップリンが今の時代にいないのは芸術家としては残念だ。だが、チャップリンの映画が頻繁に見られるような時代(必要な時代)が再び来る事はもっと残念である・・」

2007年6月4日月曜日

美人投票

日本人が優勝したミスユニバース。はからずしもケインズが言った「株式投資とは美人投票の結果を当てるようなモノ・・」という有名なセリフは今年は特別な意味を持つ。以下のWEBサイトでは各国の美女達を拝見できるが、興味深いのは今年は特にアジア系の黒髪と東洋系の顔立ちの美女が多いという事。優勝した日本人女性も化粧した表情は和風と言うよりアジア系だが、米国代表を筆頭に、北欧のノルウェー代表までアジア系の顔立ちである。20~25年程前JALのキャッチフレーズに確かLOOK EASTというのがあった。今風に言うならばプレストウィッツの「東西逆転」だろうが、今世の中は全てアジアを向いている。その意味では今回のミスユニバース選考は既定路線だったのかもしれない・・。
http://www.missuniverse.com/index2.html

2007年6月1日金曜日

今日の視点追記 哀れなタンポポ

本日もWSJの一面トップは長文の力作。内容はデトロイト地区の住宅市場の惨憺たる状況の詳細である。だが絶対に読まなければならない程の内容ではない。従ってここではその記事の内容はテーマにしない。ただ注目したいのはこの地区に永年住んでいるという記事に登場する市行政職の女性の視点である。この女性は嘗ては白人の中間層が住んでいて、その後黒人を含めた上昇志向の強い移民が徐々に支配していった街の一角の庭のタンポポが最近は一番気になるという・・なぜか。

庭のタンポポが目立つという事は何を意味するか。彼女の眼にはズバリそれは中間層の崩壊とアメリカンドリームの消滅である。自分の経験も踏まえると、こちらで夢にまで見た一戸建てを購入した家族が先ずする事は何か。それはHOME DEPOTに行き、必要な物をそろえる事である。女性なら室内をより豪華に見せる様々な小物。男性なら庭の芝生の手入れと大工道具が中心だろう。以前シカゴへの出張者をHOMEDEPOTに案内した事を紹介した。確かに其処には資材を物色するプロのBUILDERに混じって、アメリカンドリームを体感しているそんな庶民の幸せの断片が垣間見えたのである・・。

しかしこの地区のHOME DEPOTには最早そんなささやかな幸せの色は残っていないだろう。ここでは2003年から2007年までの住宅ローン全体の60%がサブプライム。庶民のアメリカンドリームの橋渡しをしたそのサブプライムは今逆襲を開始した。WSJによると、現在全米では240万世帯がFORECLOSURE(ローン支配の不履行による強制立ち退き)この危機らしいが、この地区のブロカーの言葉を借りれば、「デトロイトには最早通常の住宅の市場はなく、FORE CLOSUREの市場」という状況らし。結局サブプライムは持ち家の比率を一時的には引き上げたが、今は周りの資産価格までも押し下げ、それ以上を剥ぎ取り始めたという・・。(WSJから)

いずれにしてもアメリカンドリームの崩壊した家の庭は哀れだ。住人はまだ住んでいても既に庭の手入れにかけるお金も気力もない。そして其処の芝生には無惨にタンポポが咲き誇る・・。今デトロイトにはこのタンポポが咲き誇っているのだろう。ただ今日のテーマこの女性の視点。相場でも一歩先を感じる為にも重要な感覚である。