2007年6月28日木曜日

独立記念日

以前NHKで吉田茂と日本の戦後を決めたサンフランシスコ講和条約を特集した番組があった。今でもこの特集はNHKの最高傑作だったと確信しているが、今一度ここで内容を紹介しておきたい。吉田茂が舵を取った当時の日本は、最悪、連合国群による6分割占領の可能性を米国に恭順を示す事で回避、一方で新憲法制定などの新国家としての骨組は全て米国が決める単独占領を受け入れた。

ただその米国が台頭する共産主義の中でトルーマンドクトリンに傾斜。その結果、日本統治の綱領にも混乱が発生する。混乱とは予定通り日本を非武装にしたい勢力と、朝鮮戦争が発生する中でその基本線を大転換して再び米国の意向として軍事国家に戻したい勢力との間で足並みが乱れたのである。

吉田茂はその米国の足並みに乱れを上手く利用した。再軍事化案は警察予備隊で留め、一方で米国の盾の後ろに立ちながら日本が国際政治の一員として復帰する為の禊ぎである「サンフランシスコ講和条約」の締結を急いだのである。

米国は国内の意見は割れながらも日本を出来るだけそのままにし、ソ連 中国の共産主義の防波堤と、朝鮮戦争への軍事拠点として活用する案を優先した。サンフランシスコ講和条約では旧連合国側の大半が「倍賞金と本土割譲なし」の寛大な処置に異を唱えたが、米国がこの不満を強引に説き伏せたのである。

一方当事国でありながら米国の意向で開催地であるサンフランシスコに招待されなかった中国とソ連は米国に反発。ソ連は強引に会場にグロムイコ外相を送り込むが、日本に占領されていたフィリピンが米国案に妥協した事を切欠に。大勢は米国/吉田連合の平和国家宣言を承認する方向に傾いた。

そしてついにサンフランシスコ講和条約が宣言され、日本の独立と戦後が正式にスタートした・・。以上NHKから

考えてみればドイツは大戦に負ける度に領土割譲と巨額な倍賞金支払いをしてきたが、日本は中国と朝鮮に倍賞金を払っていない。 日本はユーラシアと中国での共産勢力台頭と言う神風の中で、米国の庇護の元奇跡と言われた戦後の復興を果たした。では敗戦時にドイツの様な巨額賠償金を払っていたらこの奇跡は起きただろうか。

少なくとも朝鮮民族はそう考えていないだろう。そして中国も・・。実はサンフランシスコ講和条約こそが現在のアジア外交障壁の遠因であり、また日本が米国から真の意味で独立する機会を失った去勢記念日でもあったのである・・。

個人的にこの歴史的背景からの日本の脱却、日米関係の前向きな転換の機会を願ってきたが、昨日遂にその機会はやってきた。マイク本田と言う日系議員が中国系米国人の旗頭として慰安婦問題を取り上げたのである。

民主党はやはり愚かだ。こんなバカげた法案をこの米国自身が大変な時に通すなど、全く利害計算が働いていない。日本はさっさと謝ってしまえばよい。そして場合によっては倍賞金でもなんでも払ってやれ。、戦後直後の倍賞金は辛いが、日本が豊かになり、また現在の流動性過多の時代今ほどお金が安い時代はない。そして中国と韓国がこれ以上この問題に入る隙を閉じると同時に、米国の利益に便乗する事で得た繁栄の代償、即ち失われた日本人のプライドと魂を取り戻せばよいのである。

ただ共和党が盤石ならこんな法案は通らない。なぜなら共和党は合理的に去勢された日本を使う方法を心得ているからだ。日本はブッシュ親父からクリントンの民主党に政権が変わった90年代に色んな事を学んだはずだが、2008年ブッシュ政権が終わるからといって恐れる必要はない。ナチュラルな成長が終焉した米国はヘッジファンド国家として生きていくためにも以前に増して日本を必要としている。

もしそれを無視してこんな法案に勢力を注ぐ民主党主導の米国に変わるなら、まずは日銀は金利を上げて米国金利へのキャリートレードを止めればよい。或は会計制度は変えても実質で3角持ち合いを防げばよい。米国は干上がる。ただそれには日本自身がモラトリアムから脱却する覚悟がいる。この覚悟があればインフレ(成長)は日本国内で必ず起こるだろう。

最早他国はその時代に向けて動き始めている。今金融市場で見える値動きは極論すればEX-BUSH時代への対応に過ぎない。今クレジットモノの饗宴が終わる理由はないが、他国の主導でこの国の金利も上がった。

またそもそもプライベートエクイテイーは故あって“プライベート”と言っていたにもかかわらず急いで上場した。ここに答えがある・・。いずれにしても、米国は独立記念日を迎えるが、日本も本当意味で真の独立記念日を迎える事が出来るだろうか・・。

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