本日もWSJの一面トップは長文の力作。内容はデトロイト地区の住宅市場の惨憺たる状況の詳細である。だが絶対に読まなければならない程の内容ではない。従ってここではその記事の内容はテーマにしない。ただ注目したいのはこの地区に永年住んでいるという記事に登場する市行政職の女性の視点である。この女性は嘗ては白人の中間層が住んでいて、その後黒人を含めた上昇志向の強い移民が徐々に支配していった街の一角の庭のタンポポが最近は一番気になるという・・なぜか。
庭のタンポポが目立つという事は何を意味するか。彼女の眼にはズバリそれは中間層の崩壊とアメリカンドリームの消滅である。自分の経験も踏まえると、こちらで夢にまで見た一戸建てを購入した家族が先ずする事は何か。それはHOME DEPOTに行き、必要な物をそろえる事である。女性なら室内をより豪華に見せる様々な小物。男性なら庭の芝生の手入れと大工道具が中心だろう。以前シカゴへの出張者をHOMEDEPOTに案内した事を紹介した。確かに其処には資材を物色するプロのBUILDERに混じって、アメリカンドリームを体感しているそんな庶民の幸せの断片が垣間見えたのである・・。
しかしこの地区のHOME DEPOTには最早そんなささやかな幸せの色は残っていないだろう。ここでは2003年から2007年までの住宅ローン全体の60%がサブプライム。庶民のアメリカンドリームの橋渡しをしたそのサブプライムは今逆襲を開始した。WSJによると、現在全米では240万世帯がFORECLOSURE(ローン支配の不履行による強制立ち退き)この危機らしいが、この地区のブロカーの言葉を借りれば、「デトロイトには最早通常の住宅の市場はなく、FORE CLOSUREの市場」という状況らし。結局サブプライムは持ち家の比率を一時的には引き上げたが、今は周りの資産価格までも押し下げ、それ以上を剥ぎ取り始めたという・・。(WSJから)
いずれにしてもアメリカンドリームの崩壊した家の庭は哀れだ。住人はまだ住んでいても既に庭の手入れにかけるお金も気力もない。そして其処の芝生には無惨にタンポポが咲き誇る・・。今デトロイトにはこのタンポポが咲き誇っているのだろう。ただ今日のテーマこの女性の視点。相場でも一歩先を感じる為にも重要な感覚である。
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