2008年9月27日土曜日

<今日の視点>糖尿病の死体に群がる輩

共和党保守派を語る前に、ポールソン財務長官の一連の歴史的処置で著名な市場参加者がどのように関わったを触れておく。まずPIMCOファンドのBグロス氏は先のGSE救済法案の必要性をCNBCにて主張。呼応するかのように翌日財務省は救済案を発表してGSE債は急騰した。NY TIMESによれば、PIMCOがこの処置で得た値上がり益は発表当日のGSE債だけで1.7Bに達したとの事(NYTIMES)・・。

またバフェット氏は政府が救済案を出す事を前提にGSへの大型投資を発表。翌日の上院公聴会ではバーナンケを含めた救済案を推進する政府関係者が「あのバフェット氏でさえ救済案を前提に投資をしている・・」と法案推進の材料にバフェットの投資行動を用いた。ただよく考えるとこの論理は中立のはず政府とバフェットが互いに握り合って公的資金の出し手としての納税者を後から市場に参加させている事になる。そしてビルグロスはポールソン案が実行される場合において、PIMCOと自分自身が無給のアドバイザーとして政府に協力する事を申し出た。(NYTIMESは実現の可能性に否定的である)

そしてポールソンはGSEと今回の法案に外部のモルガンスタンレーにその原案設立に関与をさせたが(CNBCゲスパリーノ氏 )要するに、共和党保守派が法案に反対する背景には、Bグロスやバフェットといった著名な投資家の投資行動と、ブッシュ政権の政策とのINTEREST CONFLICT(利益競合)への怒りがあるである。よって今回彼らが唐突に持ち出した代替案は著名な大学の学者が考えた物がベースにあるという。

ところで、どの案が出たとしても個人的に米国は未だ問題の本質を理解していないと感じる。本質は簡単、糖尿病である。そして糖尿病は難病である。遺伝を除けば代表例は飽食が正常な神経機能をマヒさせ、結果今度は必要な栄養が末端にいかなくなるという飽食が原因の飢餓。難病の理由はそのジレンマである。

そしてこの栄養を資金の流動性に置き換えれば今の金融市場の状況がもっとも解り易い。そもそもは中央銀行による過剰な流動性(栄養)が原因でバブルが起き、逆流(神経系の不調)が始まると一気に資金が流動しなくなる。(適切な栄養が細胞に到達せず尿にとして出る))結果、中央銀行は緊急処置を連発(インシュリン投与)。ただし根本的な解決にはならない・・。

いずれにしても、この難病になると食事制限とインシュリンで時間を稼ぐ。ただ一番大事な事は、米国自身が体質を変えるための苦痛を受け入れる事。しかし選挙を前にして誰も国民に苦痛を我慢しろとは言わない。よってこの米国ではこの難病が治る可能性は低い。そして「死」という敗北を迎える時、全てを失うのは弱者である。

なぜなら国家が敗北して仕組みが変わる時が最大のチャンスである事を少数の勝ち組の強者は知っているからだ。共産主義が敗北した直後のソ連にオルガリッチが生まれた様に市場原理が敗北した米国にも触手が伸びるはず。その意味ではこの米国の敗北はビルグロスやバフェット、またソロスにもチャンスである。ただ政府案にロングのバフェットに対して、ソロスはショートで臨む様子がコメントからは窺われるのが興味深い・・

2008年9月24日水曜日

<今日の視点>米国の懺悔。誰が懺悔すべきか

財務省が提示した救済法案の議会審議において、何人かの上院議員は国民の税金から700Bを投資する前提に、この事態を引き起こした責任と、救済法案の実務責任の所在を明確にする必要を強調している。その前に、普通の米国人で今の財務長官が誰であるかを答えられるのは米国全体ではせいぜい6~7割だと考えている。その中でポールソン財務長官がGSという証券会社の会長だった事を認知している国民は全体の4割程度ではないか。まずこの程度の構造の中で公聴会が進んでいる事を認識しなければならない。

そして議員はこの救済案によって救済される金融機関が懺悔も無しに救済を超えて再び大きな利益を得てしまう事のリスクを感じている。特にこの救済案の提案がGS出身のポールソンから出された事にどうしても懐疑的にならざるをえない様子である。

確かにCNBCのゲスパリーノ氏によれば、前回のGSE法案とこの法案には財務省内の職員というより、ポールソンが指名した外部のモルガンスタンレーのTASK-FORCE(特別チーム)が深くかかわっているという。その噂も議員に多少は影響しているかもしれない。ただ結論からすると議員に勝ち目はない。なぜなら同じ論理上ではまず懺悔しなければならないのは上院議員だからである。

そもそもポールソンは望んで財務長官になってはいない。ブッシュに請われてなったまでだ。その際にポールソンはGSが上場してから有していたGS株の売却益900M(1000億円)の内600Mを寄付している。

そして上院議員が懺悔しなければならない理由は、上院がその義務を果たさなかった事である。まず下院にはなく、上院にある権限(責任)は国家公務員の承認権だ。ブッシュがWSからではなく、それもGS出身のポールソンではなく、清廉潔白でクリーンな印象の財務長官を選んでいればこの審議も簡単だったかもしれない。ただ暗黙にポールソンの出身が問題になるなら、彼の就任を問題視しなかった上院は当時の自身の機能停止を認めるべきだろう。そして全員が過去の失敗を水に流しこの危機に対峙する覚悟があるなら、WSの懺悔を要求する前に議会が国民に懺悔するのが先だ。

ところで、今日の審議ではポールソン財務長官の隣にいたバーナンケFED議長が非常に面白かった。 彼は終始苦渋の表情だったポールソンの隣でどこか他人事の様な表情でいつもの淡々とした学者の様な解説をしていた。面白かったと表現したのはバーナンケの表情が退任した福田前首相に類似していたからだ。

実はこの二人には共通点がある。それは自分に役が回ってきた時点であふれ出した難問はその大半が前任者以前の時代に起因している事だ。そしてある程度その困難が自分に降りかかる事を覚悟して大役を引き受けた点だ。その意味では今の事態の責任を一方的に押し付けらるのはアンフェアーかもしれない。特に民間の証券会社の会長として1000億も貰ったポールソンと同じ土俵で批判されるのは大学の学者だったバーナンケには納得がいかないはず。

いずれにしても、人はこの様な状況に追い込まれた時、直面する困難を他人事のような表現をする事で自分の宿命をごまかすのかもしれない。福田前首相とバーナンケはどこか似ていた・・。

2008年9月23日火曜日

<今日の視点>米国のパラリンピック

先週、株の安値は混乱の乱高下の中では生まれず、寧ろ規制が強化された後の静かなマーケットで付けるだろうと予想した。ところでFED(中央銀行)の発表を額面通り受け取れば、本日は長いWSの歴史が終わった日である。FEDが本気で規制を強化するなら、ゴールドマンとモルガンスタンレーが銀行になるという事は両者を支えた優秀な人材は恐らくはプライベートエクイテイーなどに流れ、残った会社にはこれまでの利益水準を稼げる人はいなくなるという事に等しい。

それはポールソン財務長官の救済案についても同様だ。民主党の重鎮とマケインは政府が税金で不良債権を買い取るにあたって対象となる金融機関のトップの給料に上限を設けるべきという点を頑固に主張している。マケインは選挙対策もあり40万ドルという具体的な数字を出している。ただこれまで40M(億)を取っていたCEOが40万ドル(4千万円)ではプログラムへのインセンテイブ(参加意欲)が薄れるとポールソンは反対している・・。

いずれにしても、米国は暫くは「見えざる手」を失う事になるだろう。そんな中での注目はロシアと中国。そして別の意味で日本が評価されてもいい。理由は北京オリンピックとその後に続いたパラリンピックを見れば一目瞭然だ。まずパラリンピック競技を米国は殆ど報道しなかった。オリンピックであれ程マイケルフェルプス一辺倒だっただったNBCは、いくら金にならないとはいえ、MEDIAとしての品格が疑われる様な温度差である。そしてきちんと報道していたNHKでは、前回との対比で閑散とした4年前のアテネのオリンピックスタジアムが映し出されていた。そもそも米国がパラリンピックの報道に興味がないのは判る。ただ日頃は人権や人道を叫んでも、それぞれが勝手に動きだしたユーロ圏の求心力のなさの本質がこんなところでも覗えた・・。

その点中国は違った。オリンピックに続きパラリンピックにも満杯の観客が入っていた。それが政府主導の結果かどうかはわからない。ただその求心力と日本の報道の姿勢はそれぞれの観点で次の時代への光明を感じた。また旧ソ連の流れをくむロシア圏の国々は、競技の結果に対して覚悟を決めていた。禁止薬品に対しても他の先進国の躊躇とは対照的なしつこさだ。彼らにはモラルという言葉は通じない、ただそれはそれで限界で戦っている証拠だろう・・。

ところで嘗ての米国には健全な体に健全な魂が宿っていたはずだ。ただその時代が終わり、皆が金と消費の世界観にどっぷりと漬かってしまった。そして金融もスポーツもステロイドが蔓延、ついに米国は転でしまった。ステロイドの時代の継続が不可能になった今、米国は暫く彷徨うのではないか。なぜなら今の米国は、転んで起き上がってみるとこれまでの成長を支えた欲望への「見えざる手」が意図せずに折れてしまった危険を感じる。この姿が私には米国自身のパラリンピックがこれから始まろうとしている様にも見える・・。

2008年9月19日金曜日

<今日の視点>アンクルサムとは誰だ

アンクルサムとは誰だ。最近はこの疑問がよぎる。通常「アンクルサム」は、米国人が米国自体を擬人的に指す時に使うが、昨日のABC NEWSのインターネット版には「それでは一体誰がアンクルサムをBAILOUT(救済)するのか?」という論文があった。真にその通り。サブプライム危機の表面化以来、昨日時点でFED(中央銀行)は900B(90兆円)を市場に供給した。そして一方財務省は どういう状況にあるかというと、1997年/5.95T(兆ドル) 2002年/6.4T 2003年/7.38T 2004年/8.18T 2006年/8.97T 2007年/9.81Tと、ブッシュ政権は1941年に法制化された国債総発行額の上限額を毎年の様に引き上げてきた。そして下のWEBサイトクリックすると、今時点の発行額がライブで見れる(9.64T)。http://www.concordcoalition.org/learn/debt/national-debt

現行法の上限が9.81Tなので、財務省はこの上限を超える歳出を本来救済策に盛り込む事は出来ない。そこで前回の住宅ローン救済法案を通す前、政府は事前に今年度の上限を10.06Tまで引き上げる事を打診。議会の内諾を得て救済法案をぎりぎりの予算で叩き出した。だからGSE(政府系住宅ローン会社)に200Bをつぎ込んだ後は2010年からはGSEのバランスシートを毎年20%落とすという実現性が疑われる内容でお茶を濁したのである。

そして誰が見てもアナウンス効果を狙っただけとしか思えないGSE救済案に加え、今回は新RTC機構の構築に追われている。この新RTCは前回の模倣ではなく、大恐慌後に発令されたHome Owners Loan Corporation型になるとも言われるが、いずれにしても現在の発行額と、議会が内諾した新上限までの余力は960Bしかない。ここからGSEに200B出て行くとして、残った余力で一体なにが出来るのか。何も出来ない。だから再び上限が上がるはずだ。今は誰も止められない。要するに破産しているのはベアでもリーマンでもGSEでもなく、本当は米国である。

ただそんな米国に対して最大のインチキ会社である格付け機関は米国債の格下げを行わない。そして最大の本質は、米国は「アンクルサム」とは都合が悪くなると自分の事ではなく、別の分身のように扱う事である。借金を背負って破産寸前なのはアンクルサムであって、彼はその状況でも困った自分を助けに来ててくれる。アンクルサムとはそういう存在である。そしてそのアンクルサムを周りの世界は信じてこれまで助けてきた。ただアンクルサムが今回は本当に危ないとして、その彼をBAILOUT(救済)するのは誰になるのだろうか・・。

<右肩下がりの救済>

1年程前、視点で「田舎で暮らそう」を書いた頃、東大生などの日本のエリートの卵たちがゴールドマンサックスやモルガンスタンレーといった外資系証券を目指す現象が重なった。相場のベテランなら誰でもその時が転換点である事は感じたはずだ。そのモルガンスタンレーとゴールドマンの会長は共同でSEC(証券取引監視機構)に違法な空売りのコントロールを願い出た。ただ市場は冷徹。完全に次の次のシナリオまで織り込みつつある。

ところで、政府の救済についての基準で思い出すのはクライスラーである。当事あれほどの大事件となり、その後も近年に至るまで政府による民間企業救済の代名詞だったクライスラーの救済において、政府が注入した優先株はわずか1.2B(1200億円)だった事が本日のNY TIMESで知った(社債は除く)。有名なアイアコッカの活躍や、そして何よりもまだ時代が右肩上がりだった事で政府のこの直接投資は十分なリターンだった事が改めて確認された。

では今の時代の救済はどうか。個人的にはまず米国自身が右肩上がりとは考えられない。よってAIGが2年で収益を回復するとは全く思えない。その場合は政府発表とは違い、税金に欠損が発生する。そこで「右肩下がり」の中、常識に沿って救済の基準を考えると、クライスラーは車の性能はともかく、物を作り、人を雇い、経済を裾野で支えたのは事実だ。では救済されなかった証券会社のリーマンはどうか。そしてモルガンやゴールドマンはどうなる。金融は世の中を豊かにする為には必要だ。しかし、どこまでが必要な金融でどこからが博打になるのか。米系の大手5証券会社の1年間のボーナスが2兆円だったのは昨年の事。この数字は何を語るだろうか・・。

2008年9月17日水曜日

<今日の視点>米国の一番長い日

少し前にNHKではポツダム宣言受諾を昭和天皇が国民に向けてラジオ放送した8月15日の「終戦記念日」から、実際にポツダム宣言にサインをした9月2日の「敗戦記念日」にかけての日本の混乱を特集していた。今週の米国の姿からはその昔、岡本喜八監督の「日本の一番長い日」を見た時の記憶が蘇る。

今の米国は敗北しているにもかかわらず、それをどう国民に判らせるかをめぐって当事者たちが混乱している。終戦の際の日本も敗北を認めない者や、敗北を知った際の兵隊や国民の動揺がどんな更なる混乱を齎すか判らない恐怖に慄く指導者達がいた。「日本の一番長い日」は最後三船演じる阿南陸相の壮絶な切腹シーンで終わる。今のこの国には切腹する人はいない。よって混乱は収まらないだろう・・。

さて今日はモルスタが材料だという。最早何でもよい。FEAR(恐怖)に混じって「火事場泥棒」がこんなにいるとは今更ながら驚きだ。今人類は増えすぎたMONEYの怖さをまざまざと味わっている。やはりグリーンスパンの責任は重いかもしれない。彼には「あの映画」を見せてやりたい・・。

米国市場と原爆投下。本日の市況から 

傍から見る分には勝負事は面白い。直近、世界情勢の緊張とペイリン効果で共和党は盛り返したが、今回の金融危機は明らかに民主党に追い風となった。そして昨日の二人の大統領候補の声明を聞くと、ここにきて政権がWストリートを救済をしないと言明している理由の一端が明らかだった。まず昨日はCNBCにナンシーペローシ下院議長が登場。そもそも彼女が経済専門のCNBCに出るのは珍しい。

彼女はそこで今回の金融危機を招いた共和党の失政を批判した。一方マケインは今回の危機の原因はWSの非常識な強欲の結果であると反発。そしてオバマはブッシュ政権が金持ちの強欲の実現の為にその他一般が犠牲になり、ここにきてその救済にまた弱者が犠牲になろうとしているとの声明を発表した。個人的にはマケインに同意。ただ今は共和党に分が悪い・・。

政府はGSE(政府系住宅ローン買取会社)を救済した以上、民間の個々の危機には出動しないと発表。その一貫性を強調している。しかしベアとリーマンとは状況が違う(ともに消滅した証券会社)という説明はまやかしだ。ソレはリーマンが亡くなり、その処理に追われている金融関係者が一番知っている。

ただ選挙戦が深まる上で、この後誰が助けてもらえて誰が助けてもらえないないか。その予想は選挙の観点で考えるのが一番いいだろう。個人的には「市場」は保護されない一方で、地銀ではない規模の巨大な商業銀行の場合は預金者保護は優先されるとみる。その場合、話題のはワコービアはどちらに入るのか微妙である。尚、AIGは救済に$400B(40兆円)かかるという。


ところで仮に選挙が悪影響となり、「市場を救わないで預金を救う」という行為がこの後も起こり続けるとしたらどうなるか。元々米国の金持ちはSAVING(普通預金口座)には最低金額を預け、大半は資産運用をしている。そしてSAVINGにしかお金がない庶民と、SAVINGにも金がない大多数の庶民は仮に救われても米国の富における比率は微々たるモノである。だとすると市場を救わず預金を救う行為は自殺行為に等しい。急落しているGSの株価。そして渦中のAIG社の中興の祖で大株主のグリーンバーグ氏個人はこの2週間で6B(6千億円)を失ったというスピードとそのマグニーチュードは当に金融市場に原爆が投下された様なものである・・。

2008年9月16日火曜日

<今日の視点>敗戦の法則の宿命

今月の文芸春秋には面面と終戦時の指導者たちの失敗の分析がのっている。所変わって米国。ここもWS 経営者の失敗の分析で忙しい。ともに今更何を言っても遅いのだが、各論終始の専門家の分析を超え、私には歴史の磁力がそれぞれの結末を導いたようにしか思えない。いずれにしてもこの金融崩壊は私の知る限り米国の近代史で初めての敗北である。米国はベトナム戦争というイデオロギーでの局地戦は勝てなかったが、最終的にソ連を崩壊させた事で米国の大義は勝利した。よってニクソンによるドルショックを基点にレーガン以降米国が標榜した市場原理がここに敗北したのは米国史にとっての敗北である。

ところでグリーンスパンは週末の番組で今回の金融危機を「100年に一回あるかないか」と表現した。だが直後に景気についての質問で「リッセション」への可能性は5割以上との不可思議なコメントもしている。これはグリーンスパンがおかしいのではなく、国民の代表としての聞き手が「100年に一回」の出来事の最中に未だに「リセッションか否」かの質問をしなければならない程に米国人の感覚は退化してしまった事を表す。これではグリーンスパンに答えの選択はない。その点日本人はバブル崩壊の苦しみを十分経験した。従って冬への準備は米国より出来ている。しかし我々にも退化してしまった部分がある。ソレは昨今のNEWSを見る限り国民の政治を見る眼力が退化した様に思える。ただこれもしかたない。日本は経済では苦難をを経験したが、日本の戦後政治は本当の苦難を経験しただろうか。そんな中で文言春秋の分析とWSの失敗をみて個人的に発見した法則がある。WSに関しては以前サブプライムに関してAIGとメリルそしてCITIの失敗の共通点を述べた。(5/18 老人の遺産参照)では日本がこれからするであろう失敗の法則は何だろうか。


明治維新は世界史上の奇跡である事は世界が認めている。そしてあの敗戦は軍部台頭を止められなかった事実を含め、明治維新の主役の2世並びに3世が昭和天皇の周りで殆ど意味を成さなかった事も一因ではないか。そして戦後の復興も世界ではまた奇跡と言われた。しかし今新聞を賑わしている日本の政治家の大半はその時代のツワモノの2世か3世が大半ではないか。これはまさに同じパターン。「彼ら」が意味をなさなかった事は失敗の後で始めて認識される。日本人の政治への眼力が退化した今、この法則は今回も起こる可能性を感じる。ただこれも日本の宿命だろう・・。

2008年9月13日土曜日

<今日の視点>アイクの鉄槌

ハリケーンアイクについて一言。以前メールとDVDで「WHY WE  FIGHT(2005年 ドキュメンタリー映画、我々はなぜ戦うか)」を紹介した。あのドキュメンタリーの冒頭に登場するのはアイゼンハワーだ。

WWⅡ でマッカーサーがアジア太平洋の連合軍司令長官だったのに対し、彼はヨーロッパ戦線の司令長官だった。マッカーサーが大統領への野心を隠さなかったのに対し、政治的に中道だったアイゼンハワーは当時の民主党、共和党の両方から大統領候補としてラブコールを受けたが自分は軍人だとして最初は固辞した。しかし最後は共和党として立候補、圧倒的勝利で大統領になった人物だ。そして大統領としては、冷戦でソ連に押されたものの、戦後の米国が民主主義の象徴として、尊敬と繁栄を収めた立役者として常に大統領の人気投票のベスト5に名を連ねるのが彼だ。彼は8年の任期が満了した最後の演説で、「過去50年、人類はWWⅠⅡと朝鮮戦争という悲惨な経験をした。そして今、表面的にはささやかな平和と繁栄が齎されたが、一方近い将来において、人類は軍産複合体の台頭をどう制御するかという新しい試練に直面するだろう」と警告し大統領執務室を去っていった。

現在米国では「アイク」といえば通常尊敬こめてアイゼンハワー大統領の事を指す。彼の威厳が米国をここまでおかしくした大統領一派と軍産複合体、更にOIL産業の本拠地に鉄槌を加える。それがハリケーン「アイク」である。

ご参考、「WHY WE FIGHT」日本語訳のサイト。(右クリック、新しいウインドウで開くで鑑賞できます)
http://video.google.com/videoplay?docid=-7811849785377576023&hl=en

http://video.google.com/videoplay?docid=109335542947033481&hl=en

http://video.google.com/videoplay?docid=-9019855767735162568&hl=en

http://video.google.com/videoplay?docid=-1634713197237898484&hl=en

2008年9月12日金曜日

テロ記念日の1日

一つだけ確信しているのは昨日からリーマンを材料に株の売りを煽った勢力と、本日の大引けに株を買い戻した勢力は同じだという事。これは長年株のリズムを見ていれば判る。ただリーマンの普通株と優先株の値動きのスプレッドからも、この種の輩もそろそろ潮時と見ているだろう・・。

さて、懸念されたテロ記念日は無事に終わった。専門誌によると、次にテロが起こる可能性が高いのは、オーストラリアやカリフォルニア等の乾燥地帯での放火テロらしい。事実だとすると危ないのは寧ろ大都市郊外の住宅地。ところでNYTIMESの先週末の特集はタリバーン特集だった。そこには現地に入った写真家によるテロリスト達の日常の紹介があった。以前よりタリバーンを含めたアフガン/パキスタンのテロリスト達が一番怖いといっている。その理由は彼らの目である。彼らの目は一点の曇りもなく透き通っている。この目には金や肉体の欲望も通じないだろう。これほど怖い物はない。

一方米国ではオイル市場関係者の酒池肉林があからさまになった(WSJ)。予想された事ではあるが、日本のパターンと酷似している事に人間社会の限界を感じる。日本で大蔵官僚がノーパン喫茶で接待された事が社会的に問題になったのは98年。そこから粛清が始まり、その後金融機関はがんじがらめになった。そして復活は遅れた。バフェットが「右へOBした後、左にOBするのがゴルフ」と言ったのはこの事だ。彼は今回オバマを支持しているが、既に市場の停滞には準備しているはず。

要するにバブルがはじけ、サークルが崩れると綻びが露になる。そこで政治と当局が動く。そして粛清を経て一定期間活動は停滞する。問題は株価が最安値をつけるのはバブル崩壊の結果ではなく、実はその後に待っている停滞の結果である事だ。日本ではバブルが崩壊して5年で悪癖が糾弾され、更にそれから5年かかってやっと株価が底値を確認した。個人的経験から米国ではこのサイクルが日本の1/3の時間程度になると予想する。ただバブルの程度が同じだったとしても、時間を短縮する分だけ崩落の衝撃は3倍になるだろう。よって米国人は1/3しかサバイバルできないと言っているのはこのロジック(論理)である。では米国にとってこの想定を避ける方法はあるのか。歴史的には一つだけある。最早説明する必要もない・・。

2008年9月11日木曜日

<今日の視点>最後?の市況メール

今週の相場で今も全く判らないのがVIX(変動先物指数:市場不安を表す先物指数)。先週まではGSE株が急落した日も無反応だった。そのVIXが昨日から急騰している理由がどうしてもわからない。では何だ。繰り返すが、今金融市場に出回るリーマンと似たような話はずっと継続しており、過去ソレには反応しなかったVIXが今反応する理由を搾り出すと答えは一つしかない。実はそれは金融不安とは無関係の話ではないか。

今年は選挙の年。そして苦戦するはずの共和党がここで盛り返したのはペイリンの口紅だけが要因ではない。年初に立てた「8月のオリンピック前後から世界が政情不安になり、それは11月に向かって激しさを増す」というシナリオは現実味を帯びているが、当然この状況は共和党に有利である。そしてこの予想は特別なものではなく、意識していた人々は世界中にそれなりにいる。

無論何も記念日にテロを計画する必要はない。ただ個人的に以前から今度テロがある場合はNYではなく、金融市場の中心でもあり、昨今は巨悪の象徴にもなった先物市場のメッカ、シカゴは格好のターゲットであると心の何処かで考えていた。万が一に備え、明日は緊急の休業にする事も思案した。しかし不思議な事にVIPの来客が2件も入ってしまった。いつもの様に私がCBOTを案内しなければならないが、VIP来客が2件重なる事は15年の経験で今回が初めてだ。いずれにせよ明日が何もなく過ぎれば、VIXと債券は沈下していくだろう。さもなくばこれが最後のメールとなるかもしれない・・。

2008年9月9日火曜日

<今日の視点>アメフトの魅力と米国の魅力

今週からいよいよNFLが始まった。実は私はアメフトを在米期間の最初の10年では殆ど見なかった。なぜなら93年にシカゴに着任すると、そこはあのマイケルジョーダン率いるブルズの全盛時代。自分自身バスケットボールをやっていた事もあり、弱かったシカゴベアーズに興味が沸かなかった。ただ理由はそれだけではない。ラグビーやサッカーと比べ、アメフトのルールの複雑さや直ぐにプレイが途切る展開がどうしても面白いとは思えなかった。しかし今は違う。

今アメフトをみると、米国はよくここまで面白いスポーツを開発したという素直な気持ちと、混沌とした時代、衰退して行く米国でも、どこかで再び建国の父達が打ち立てた米国人らしさをいつか取り戻すのではないかという期待感をこのスポーツは一番感じさせてくれる。その理由は単純だ。ラグビーやサッカーでは試合結果は多分に審判に左右される。しかしアメフトはその「誤り」を極力無くす事を他のスポーツに先駆けて取り組んできた。同じ米国スポーツでもバスケットや野球が遅れた事に比べNFLは徹底していた。審判の判定に不服なら監督は「チャンレンジ」が許され、VIDEOで確認される問題のシーンは観客やTV視聴者にも平等に視聴できる点も非常に民主的なプロセスだ。

非常に単純だが、あくまでも正しい真実を追いかけようとするこの米国人の文化は最近の日常の中では埋もれている。そして単純が故に昨今は政治経済の舵取りは右や左への大揺れを繰り返している。ただこの姿勢が何処かに反映されている限り、米国の魅力は何処かで生きていると感じる。それが私がアメフトから感じる一番の魅力である。

2008年9月6日土曜日

<今日の視点>ポールソンの白旗

終に米国は市場原理に白旗を揚げる時が来た。これで暫く上がるのは株、下がるのは国債で、そして場合によってはドルも下がる。結果商品も復活するかもしれない。いずれにしても具体的に救済案の内容を見る必要があるが、予定通りなら現在のGSEの株主は責任を問われ、一方リーマンを含めてGSE以外の全ての金融銘柄や住宅関連銘柄は大暴騰となる。ただその株もいずれ下がる時が来よう。その時はダウは8000を割るはずだ。ただソレはオバマによる弱者救済政策の結果か或いはマケイン政権による戦争経済の限界の結果なのか。まあどちらでもよい。まず準備すべきはドル安を避けるために世界中で火の手が上がる事態。ただ最早そんな事に一喜一憂している場合ではない。市場はBUMPY、HANG ONできない人は振り落とされて終わるだけだ・・。

2008年9月4日木曜日

<今日の視点>最大のミステリー、国家元首不在国家

そういえば小泉政権の末期には「劇場型政治」を批判する声があった。しかし米国政治のショービジネスの度合いに比べれば、日本の政治の劇場のレベルはハリウッドと学芸会程の差がある。その意味でも今晩共和党の党大会のステージに立つ主役は、会場にいる観客はもとよりTVを通していかに全米の視聴者を魅了できるか。ハリウッドスターと同じ輝きが必要だ。一方日本の政治は劇場とは程遠い人が総理を勤めてきた。私の人生でも発言を記憶している歴代の総理は田中角栄と中曽根。そして既に米国に住んでいたが小泉だけだ。ただそれでも日本の政治は平和的に回ってきたのだ。

ところで外国からは行政の長の総理大臣がコロコロ変わっても、日本が混乱している様には見えない。考えるとこれも不思議な事だ。ただこの結果外国人にも日本を支配しているのは総理大臣ではない事が判る。別にソレでもよい。では誰が支配しているのだ。政党か官僚か或いは黒幕がいるか。そこで日本の国家元首は誰だろうと改めて考えた。一般常識や他国の要人を迎えた際の慣行から日本の国家元首は天皇陛下だと普通の人は考えているはずだ。私も其の一人だ。しかし本日改めて日本異質性を再認識したのは、現在の日本国憲法には国家元首についての規定がない事実と、その事実への国民の取り組み方だ。憲法に誰が国家元首かの明記がない国に我々は無意識で平和的に生きている。この異質性が恐らく海外から客観的にみて日本最大のミステリーである・・。

では一体この憲法を作ったのは誰だ。憲法第9条を論ずる前に、日本の国家元首が誰なのか、まずはソレを決めるべきではないのか。実はこの部分を明確に定めないで国体が崩壊しないという日本の異質性を一番有効に利用しているは米国である。米国がそこまで意識して憲法の原案を作ったかはわからない。しかしこの日本の民族的安定性は、日本ではなく米国にとって必須。逆にこの本質を議論せず、首相が辞任する度に適当に盛り上がってはガス抜きが終われば忘れてしまう今の日本人の習性をマスコミは取り上げない・・。

この現状から実質的に日本を支配しているのは政治家というより官僚であるという意見には賛成だ。別に政治家や官僚を知っているわけではないが、外国ら見ても日本の政治家のレベルは見える。だとしたら良いも悪いも官僚が重要という事になる。よって日本が悪くなったとしたらソレは官僚のレベルが落ちたからだと私は考える。では本当に官僚のレベルは墜ちたのか。その判断を客観的にする上で話題の一人でもある佐藤優氏を引き合いに出そう。

彼の主張や本の内容を一方的に賛成するつもりはない。だが彼が他と違い、また注目されている最大の理由はモスクワ大学に通った実績だと私は考える。ロシア語の重要性もさることながら、主流の英米大学(特に米国)ではないところで学んだ視野が今の彼の武器になっている。言い換えると米国は日本の実質的支配者層の若い官僚を自国の有名大学で学ばせて日本に返す事で日本人が意識しないまま米国が日本の実質国家元首である状態を作り出してきたと考える事もできる。皆がソレに慣れてしまった時、佐藤氏が登場した。そして米国のシステムの限界を感じ始めた今多くが佐藤氏の意見に新鮮さを感じている。

だとしたら簡単な事である。官僚によって国家を良くする方を今後も模索するなら、官僚の留学先を世界中に広げればよい。レベルの高い政治家の登場を待つより日本人の気質にはその方があっているはずだ。そして日本人が価値観の多様性を真に理解したその時、その時初めて国家元首の制定への必然を我々は感じ始めるだろう・・。、

2008年9月3日水曜日

<今日の視点>新ノア伝説、天候と国力地図。

緊急寄稿 OPEN WATER

さて世界的見地からみて3連休の最大のNEWSはグスタフでも、共和党の副大統領候補の長女が妊娠していた事でも、ましてや福田首相の辞任でもない。恐らくは土曜日にINDEPENDENT紙が報じたブレーメン大学の調査では、先週衛星から撮影された写真から判断して人類史上を超え地球史でも12万5千年ぶりとなる北極点の東西の氷海の溶解「OPEN WATER」が確認されたという話である。早速ドイツの海運会社は調査船を出す事を決めたらしいが、同大学の分析では既に北極圏の氷解は自滅サイクルに入っており、これまでの予想を50年早め2013年ごろからは夏季において北極圏新航路が生まれると予想している。

これが事実になると早急に新しい国際条約が必要になる。北極は誰のものでもないが、両政府はまだ公式には何も認めていないにもかかわらず、ロシアとカナダの間では既に権益についてのつばぜり合いが始まっている。そしてこれは国際政治の表裏を認識する上で象徴的な話だが、話題のペイリン女史も「科学者が警告する地球温暖化は根拠がない」という共和党保守派の立場を継承している様に、共和党政権は年初に「白熊を助ける」と公約するまでは全く温暖化リスクを無視していた。それにもかかわらず、北極圏航路の新しい利権、ビジネスの話になると早速カナダとロシアの主導権には横やりをいれたのである。要するに究極的には災害も温暖化もそして戦争もビジネス即ち利権である。この発想の弱い人と強い人の分かれ道が債券と株の分かれ道だが、国際政治もヘッドラインの把握だけで終わってしまと金融市場での勝者になる事は難しいだろう。

さてこのOPEN WATERを踏まえると、温暖化が100年前でなくて日本は助かった。なぜなら仮に100年前に始まっていたら日本はロシア領になっていたかもしれないからだ。理由は司馬遼太郎に言わせれば明確。当時の大日本帝国海軍とロシア帝国の所有艦船数には2倍の格差があった。そして三井物産のロシア支店による世紀の第一報でバルチック艦隊がインド洋に向けて出向した事を知った日本はまずロシアの別働艦隊である旅順艦隊の撲滅を図った。まずはこれを殲滅し、戦艦数で五分の戦いに持ち込まなければ挟み撃ちにされるのは必定。その為に陸軍が旅順を砲撃できる2百3高地を落とすという大作戦だった。その日本海大戦までの軌跡は最早説明するまでもない。ただバルチック艦隊がインド洋航路ではなく北極回りで日本海に現れたらどうなっていただろう。前述のブレーメンの海運会社の試算では、ドイツがBMWを日本に輸出する際に「未来の新航路」とインド洋航路では4000マイルの違いが出るという。短縮された日数では東郷元帥と秋山真之は万全の体制で敵を迎え撃つ事は出来なかっただろう・・。

さて其の当時のロシア帝国はあの気候にもかかわらず世界最大の穀物輸出国だった事を週末のNYTIMESの特集で知った。しかしその後ロシアは革命を経てソ連の集団農場に転換されていったのはご承知の通り。そしてここからは記事の要約だが、コルホーズ体制はエリツン時代に崩壊して多くの集団農場は郷愁を引きずりながら資源や工業分野と同じく資本の原理の中で人も土地も興廃した。そして資源や工業の分野ではオルガリッチが民営化で譲渡された株券の意味がわからない工場労働者にジャガイモ袋を渡し、ジャガイモと彼らの株を交換する事で巨万の富に換えた事と同様に、崩壊した集団農場では数年前まで1ヘクタール100USドルという値段で農地所有権が売買されていた。これに目をつけたのがロシア系米国人でカーライルのロシア支店代表だった人物。彼は現在オルガリッチやヘッジファンドを巻き込み興廃した旧集団農地跡を買い漁っているという。そして、1ヘクタール100ドルだった農地が2年で1000ドルを超えてきた事実に、100ドルで所有権を手放し、其の金でズボンを買ったという農夫は憤慨しているが、今ではなす術もない・・。(NYTEIMSから)

ところで記事によるとロシアの農地の生産性はまだ低い。米国が1ヘクタール当たり6.8トンの穀物生産力を誇るのに対し、カナダは3.8トン。そして現在のロシアは1.6トンに留まる。ただ前述のカーライル出身の投資家は西側の生産システムを取り入れる事で一部の農場では1へクターの小麦収穫を3トンまで増やす事に成功しており、今後に自信を持っている。そして最大の魅力はロシアの広さである。世界最強といわれる米国のグレートプレーンズでさえ8割が既に農地化された。そして今残された世界全体の耕作可能地の7%がロシアに存在し、其の1/6に当たる3500万へクタールが荒れたままだという。英国全体の農地が600万へクタールである事と比較してもこのロシアの農地の可能性の大きさには驚かされる。だがこの数値には一旦汚れたチェルノブイリ一帯とこれまでは雪に閉ざされた広大なツンドラ地帯は含まれていない。仮にチェルノブイリがクリーンになりまた地球温暖化で耕作可能地が北へ拡大すればどうなるか。ロシアは資源だけ出なく穀物生産でも圧倒的な世界最強になる可能性が出てくる。

この体制をプーチンが目指さないはずがない。資源産業同様に、途中まで市場原理や資本の力を使い、形が出来たら強制的に謙譲させればよい。ある程度の富を残してやれば大概は黙って差し出す。例外はユーコスのコゾロコフスキーだったが、ロシア人の歴史からして彼が生きてシベリアを抜け出せる可能性は低い。そういえば最近一部欧州諸国が彼の救済を求めている。だがプーチンが健在な限り無駄だ。そもそも市場原理もご都合主義だった訳でロシアにとってはコソボ独立を容認しておきながら南オセチアの独立は認めない欧米の矛盾と同じ。ロシアは絶対に譲らないしイランなどの反米国家は益々ロシアの味方につくだろう。そしてあのソ連を瓦解させたアフガン戦争で米国がタリバーンを援助した事をロシア人は今も忘れてはいない。今度はロシアが水面下でタリバーンを応援する番である。

いずれにしても世界が国家利益を求めて策謀の時代に入った事と相反する金融市場のあまりにも単純な値動は一体何だ。ただこれは自然だ。表面的な情報に格差がない今、市場に徘徊する流動性はハリケーンの進路などというギャンブル性の高いBETに支配されている。そしていつしか人間は天候などの自然まで弄ぶようになったらしい。中国が五輪開催中に打ち続けたミサイルと日本の豪雨の関連はしらないが、自然の力や歴史の積み重ねと比べたら現代人の知識や経験などは取るに足らない。にもかかわらず、自然現象まで遊びや金儲けの対象とした人間の軽々しい不遜な態度は旧約聖書でノアの箱舟に乗らなかった愚か者たちを髣髴させる・・。