アンクルサムとは誰だ。最近はこの疑問がよぎる。通常「アンクルサム」は、米国人が米国自体を擬人的に指す時に使うが、昨日のABC NEWSのインターネット版には「それでは一体誰がアンクルサムをBAILOUT(救済)するのか?」という論文があった。真にその通り。サブプライム危機の表面化以来、昨日時点でFED(中央銀行)は900B(90兆円)を市場に供給した。そして一方財務省は どういう状況にあるかというと、1997年/5.95T(兆ドル) 2002年/6.4T 2003年/7.38T 2004年/8.18T 2006年/8.97T 2007年/9.81Tと、ブッシュ政権は1941年に法制化された国債総発行額の上限額を毎年の様に引き上げてきた。そして下のWEBサイトクリックすると、今時点の発行額がライブで見れる(9.64T)。http://www.concordcoalition.org/learn/debt/national-debt
現行法の上限が9.81Tなので、財務省はこの上限を超える歳出を本来救済策に盛り込む事は出来ない。そこで前回の住宅ローン救済法案を通す前、政府は事前に今年度の上限を10.06Tまで引き上げる事を打診。議会の内諾を得て救済法案をぎりぎりの予算で叩き出した。だからGSE(政府系住宅ローン会社)に200Bをつぎ込んだ後は2010年からはGSEのバランスシートを毎年20%落とすという実現性が疑われる内容でお茶を濁したのである。
そして誰が見てもアナウンス効果を狙っただけとしか思えないGSE救済案に加え、今回は新RTC機構の構築に追われている。この新RTCは前回の模倣ではなく、大恐慌後に発令されたHome Owners Loan Corporation型になるとも言われるが、いずれにしても現在の発行額と、議会が内諾した新上限までの余力は960Bしかない。ここからGSEに200B出て行くとして、残った余力で一体なにが出来るのか。何も出来ない。だから再び上限が上がるはずだ。今は誰も止められない。要するに破産しているのはベアでもリーマンでもGSEでもなく、本当は米国である。
ただそんな米国に対して最大のインチキ会社である格付け機関は米国債の格下げを行わない。そして最大の本質は、米国は「アンクルサム」とは都合が悪くなると自分の事ではなく、別の分身のように扱う事である。借金を背負って破産寸前なのはアンクルサムであって、彼はその状況でも困った自分を助けに来ててくれる。アンクルサムとはそういう存在である。そしてそのアンクルサムを周りの世界は信じてこれまで助けてきた。ただアンクルサムが今回は本当に危ないとして、その彼をBAILOUT(救済)するのは誰になるのだろうか・・。
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