共和党保守派を語る前に、ポールソン財務長官の一連の歴史的処置で著名な市場参加者がどのように関わったを触れておく。まずPIMCOファンドのBグロス氏は先のGSE救済法案の必要性をCNBCにて主張。呼応するかのように翌日財務省は救済案を発表してGSE債は急騰した。NY TIMESによれば、PIMCOがこの処置で得た値上がり益は発表当日のGSE債だけで1.7Bに達したとの事(NYTIMES)・・。
またバフェット氏は政府が救済案を出す事を前提にGSへの大型投資を発表。翌日の上院公聴会ではバーナンケを含めた救済案を推進する政府関係者が「あのバフェット氏でさえ救済案を前提に投資をしている・・」と法案推進の材料にバフェットの投資行動を用いた。ただよく考えるとこの論理は中立のはず政府とバフェットが互いに握り合って公的資金の出し手としての納税者を後から市場に参加させている事になる。そしてビルグロスはポールソン案が実行される場合において、PIMCOと自分自身が無給のアドバイザーとして政府に協力する事を申し出た。(NYTIMESは実現の可能性に否定的である)
そしてポールソンはGSEと今回の法案に外部のモルガンスタンレーにその原案設立に関与をさせたが(CNBCゲスパリーノ氏 )要するに、共和党保守派が法案に反対する背景には、Bグロスやバフェットといった著名な投資家の投資行動と、ブッシュ政権の政策とのINTEREST CONFLICT(利益競合)への怒りがあるである。よって今回彼らが唐突に持ち出した代替案は著名な大学の学者が考えた物がベースにあるという。
ところで、どの案が出たとしても個人的に米国は未だ問題の本質を理解していないと感じる。本質は簡単、糖尿病である。そして糖尿病は難病である。遺伝を除けば代表例は飽食が正常な神経機能をマヒさせ、結果今度は必要な栄養が末端にいかなくなるという飽食が原因の飢餓。難病の理由はそのジレンマである。
そしてこの栄養を資金の流動性に置き換えれば今の金融市場の状況がもっとも解り易い。そもそもは中央銀行による過剰な流動性(栄養)が原因でバブルが起き、逆流(神経系の不調)が始まると一気に資金が流動しなくなる。(適切な栄養が細胞に到達せず尿にとして出る))結果、中央銀行は緊急処置を連発(インシュリン投与)。ただし根本的な解決にはならない・・。
いずれにしても、この難病になると食事制限とインシュリンで時間を稼ぐ。ただ一番大事な事は、米国自身が体質を変えるための苦痛を受け入れる事。しかし選挙を前にして誰も国民に苦痛を我慢しろとは言わない。よってこの米国ではこの難病が治る可能性は低い。そして「死」という敗北を迎える時、全てを失うのは弱者である。
なぜなら国家が敗北して仕組みが変わる時が最大のチャンスである事を少数の勝ち組の強者は知っているからだ。共産主義が敗北した直後のソ連にオルガリッチが生まれた様に市場原理が敗北した米国にも触手が伸びるはず。その意味ではこの米国の敗北はビルグロスやバフェット、またソロスにもチャンスである。ただ政府案にロングのバフェットに対して、ソロスはショートで臨む様子がコメントからは窺われるのが興味深い・・
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