傍から見る分には勝負事は面白い。直近、世界情勢の緊張とペイリン効果で共和党は盛り返したが、今回の金融危機は明らかに民主党に追い風となった。そして昨日の二人の大統領候補の声明を聞くと、ここにきて政権がWストリートを救済をしないと言明している理由の一端が明らかだった。まず昨日はCNBCにナンシーペローシ下院議長が登場。そもそも彼女が経済専門のCNBCに出るのは珍しい。
彼女はそこで今回の金融危機を招いた共和党の失政を批判した。一方マケインは今回の危機の原因はWSの非常識な強欲の結果であると反発。そしてオバマはブッシュ政権が金持ちの強欲の実現の為にその他一般が犠牲になり、ここにきてその救済にまた弱者が犠牲になろうとしているとの声明を発表した。個人的にはマケインに同意。ただ今は共和党に分が悪い・・。
政府はGSE(政府系住宅ローン買取会社)を救済した以上、民間の個々の危機には出動しないと発表。その一貫性を強調している。しかしベアとリーマンとは状況が違う(ともに消滅した証券会社)という説明はまやかしだ。ソレはリーマンが亡くなり、その処理に追われている金融関係者が一番知っている。
ただ選挙戦が深まる上で、この後誰が助けてもらえて誰が助けてもらえないないか。その予想は選挙の観点で考えるのが一番いいだろう。個人的には「市場」は保護されない一方で、地銀ではない規模の巨大な商業銀行の場合は預金者保護は優先されるとみる。その場合、話題のはワコービアはどちらに入るのか微妙である。尚、AIGは救済に$400B(40兆円)かかるという。
ところで仮に選挙が悪影響となり、「市場を救わないで預金を救う」という行為がこの後も起こり続けるとしたらどうなるか。元々米国の金持ちはSAVING(普通預金口座)には最低金額を預け、大半は資産運用をしている。そしてSAVINGにしかお金がない庶民と、SAVINGにも金がない大多数の庶民は仮に救われても米国の富における比率は微々たるモノである。だとすると市場を救わず預金を救う行為は自殺行為に等しい。急落しているGSの株価。そして渦中のAIG社の中興の祖で大株主のグリーンバーグ氏個人はこの2週間で6B(6千億円)を失ったというスピードとそのマグニーチュードは当に金融市場に原爆が投下された様なものである・・。
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