2008年9月4日木曜日

<今日の視点>最大のミステリー、国家元首不在国家

そういえば小泉政権の末期には「劇場型政治」を批判する声があった。しかし米国政治のショービジネスの度合いに比べれば、日本の政治の劇場のレベルはハリウッドと学芸会程の差がある。その意味でも今晩共和党の党大会のステージに立つ主役は、会場にいる観客はもとよりTVを通していかに全米の視聴者を魅了できるか。ハリウッドスターと同じ輝きが必要だ。一方日本の政治は劇場とは程遠い人が総理を勤めてきた。私の人生でも発言を記憶している歴代の総理は田中角栄と中曽根。そして既に米国に住んでいたが小泉だけだ。ただそれでも日本の政治は平和的に回ってきたのだ。

ところで外国からは行政の長の総理大臣がコロコロ変わっても、日本が混乱している様には見えない。考えるとこれも不思議な事だ。ただこの結果外国人にも日本を支配しているのは総理大臣ではない事が判る。別にソレでもよい。では誰が支配しているのだ。政党か官僚か或いは黒幕がいるか。そこで日本の国家元首は誰だろうと改めて考えた。一般常識や他国の要人を迎えた際の慣行から日本の国家元首は天皇陛下だと普通の人は考えているはずだ。私も其の一人だ。しかし本日改めて日本異質性を再認識したのは、現在の日本国憲法には国家元首についての規定がない事実と、その事実への国民の取り組み方だ。憲法に誰が国家元首かの明記がない国に我々は無意識で平和的に生きている。この異質性が恐らく海外から客観的にみて日本最大のミステリーである・・。

では一体この憲法を作ったのは誰だ。憲法第9条を論ずる前に、日本の国家元首が誰なのか、まずはソレを決めるべきではないのか。実はこの部分を明確に定めないで国体が崩壊しないという日本の異質性を一番有効に利用しているは米国である。米国がそこまで意識して憲法の原案を作ったかはわからない。しかしこの日本の民族的安定性は、日本ではなく米国にとって必須。逆にこの本質を議論せず、首相が辞任する度に適当に盛り上がってはガス抜きが終われば忘れてしまう今の日本人の習性をマスコミは取り上げない・・。

この現状から実質的に日本を支配しているのは政治家というより官僚であるという意見には賛成だ。別に政治家や官僚を知っているわけではないが、外国ら見ても日本の政治家のレベルは見える。だとしたら良いも悪いも官僚が重要という事になる。よって日本が悪くなったとしたらソレは官僚のレベルが落ちたからだと私は考える。では本当に官僚のレベルは墜ちたのか。その判断を客観的にする上で話題の一人でもある佐藤優氏を引き合いに出そう。

彼の主張や本の内容を一方的に賛成するつもりはない。だが彼が他と違い、また注目されている最大の理由はモスクワ大学に通った実績だと私は考える。ロシア語の重要性もさることながら、主流の英米大学(特に米国)ではないところで学んだ視野が今の彼の武器になっている。言い換えると米国は日本の実質的支配者層の若い官僚を自国の有名大学で学ばせて日本に返す事で日本人が意識しないまま米国が日本の実質国家元首である状態を作り出してきたと考える事もできる。皆がソレに慣れてしまった時、佐藤氏が登場した。そして米国のシステムの限界を感じ始めた今多くが佐藤氏の意見に新鮮さを感じている。

だとしたら簡単な事である。官僚によって国家を良くする方を今後も模索するなら、官僚の留学先を世界中に広げればよい。レベルの高い政治家の登場を待つより日本人の気質にはその方があっているはずだ。そして日本人が価値観の多様性を真に理解したその時、その時初めて国家元首の制定への必然を我々は感じ始めるだろう・・。、

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