2008年9月19日金曜日

<右肩下がりの救済>

1年程前、視点で「田舎で暮らそう」を書いた頃、東大生などの日本のエリートの卵たちがゴールドマンサックスやモルガンスタンレーといった外資系証券を目指す現象が重なった。相場のベテランなら誰でもその時が転換点である事は感じたはずだ。そのモルガンスタンレーとゴールドマンの会長は共同でSEC(証券取引監視機構)に違法な空売りのコントロールを願い出た。ただ市場は冷徹。完全に次の次のシナリオまで織り込みつつある。

ところで、政府の救済についての基準で思い出すのはクライスラーである。当事あれほどの大事件となり、その後も近年に至るまで政府による民間企業救済の代名詞だったクライスラーの救済において、政府が注入した優先株はわずか1.2B(1200億円)だった事が本日のNY TIMESで知った(社債は除く)。有名なアイアコッカの活躍や、そして何よりもまだ時代が右肩上がりだった事で政府のこの直接投資は十分なリターンだった事が改めて確認された。

では今の時代の救済はどうか。個人的にはまず米国自身が右肩上がりとは考えられない。よってAIGが2年で収益を回復するとは全く思えない。その場合は政府発表とは違い、税金に欠損が発生する。そこで「右肩下がり」の中、常識に沿って救済の基準を考えると、クライスラーは車の性能はともかく、物を作り、人を雇い、経済を裾野で支えたのは事実だ。では救済されなかった証券会社のリーマンはどうか。そしてモルガンやゴールドマンはどうなる。金融は世の中を豊かにする為には必要だ。しかし、どこまでが必要な金融でどこからが博打になるのか。米系の大手5証券会社の1年間のボーナスが2兆円だったのは昨年の事。この数字は何を語るだろうか・・。

0 件のコメント: