2007年11月8日木曜日

ニュー「ニューディール政策」

最近ブッシュ政権の首脳の動向があまり話題に上らない。チェイニー副大統領等は殆どTVで見かけないが、先週のハロウィンの際にはブッシュ大統領から「彼はハロウィンでダースベイダーの仮面をかぶっていた・・」などを言われ、記者団の笑いを誘っていた。

そんな中で金融市場は金融機関を中心に荒れている。ただまだまだ株式インデックスでは5%以上の年率上昇率を維持しており、所詮はポールソン以外金融には疎いテキサス人々にとって、今の市場からのシグナルは緊急事態には程遠いのかもしれない。

そんな中今日のGMの決算は驚きだった。本業の車以外の収益源のGMACはいまどうなっているのか。決算でははっきりしない。因みに我が家の住宅ローンはGMACがアンダーライターである。今のところ金利はきちんと払っている。よって我が家のローンはサブプライムではない。だが、今後の世の動向次第でいつサブプライムになるかわからない。

その意味では、今市場はサブプライムとして組成されたモーゲージの把握にやっきになっているが、この後の問題は、今はサブプライムでない人々の債権が、今後サブプライムになってしまうかどうかである。しかしながら、このリスクに政府の関心が薄い様に感じるのは、自分自身の心配が過度なのだろうか。

そもそもこの政権ほど市場原理主義とマネタリズムを断行した政権はない。よって今起こっている事も所謂「BAD APPLE」現象であり、最後には駆逐されるべきAPPLEは市場の原理で駆逐されるので、安易に政府が手を出すべきではないというレーガン以降の共和党大原則が働いている様にも見える。

だがそこまで「市場」の機能は万能か。また人間はそれを完璧に使いこなせる程有能なのか。端的に言って今の米国の住宅市場は市場の原理にまかせたままでは絶対に救えないと個人的には考えている。痛みを伴いながらも市場原理が最後にWORKする大前提は、その主体の環境が生命で言うなら成長過程にある事が大原則ではないか。

米国自身が歴史の市場の原則に従いいずれは滅亡する事をも否定しない覚悟であれば別。だが本人が意識していないだけで、既に米国がピークを越えて長期下降トレンドに入っているならば、そこで市場原理を徹底する事は私には自殺行為に映る。

ある専門家は米国の住宅市場は史上初めて「住宅のコモディティ化」を経験したと断言する。子供の頃から「株には手を出しても小豆には手を出すな」と言われて育った。何の因果で今CBOTにいるか判らないが、大豆、コーン、小麦を横目でみながら、その値動きの激しさに観念としてこの教訓は忘れた事はない。だからこそ米国の住宅がその小豆の様な存在になった後の後始末に直面し、市場原理などと言う聞こえの良い言葉はリスクであると感じる・・。

やはり米国は今一度大恐慌の後のニューデイール政策を必要としているのではないか。しかしながら問題はその政策を断行した当時のルーズベルト政権は今はなく、その基盤となったケインズなどは死語に近い事である。

そしてその政策が必要なのは、市場原理が牙をむく前の正に今であるはず。だがブッシュ共和党政権は「政策の損切り」は容易にしないだろう。選挙対策として「イラク撤退」のカードはどこかで切られると考えるが、それよりも優先度が低くまた気付きにくいこの経済の原則論は英断の足を引っ張るだろう。

ただ、仮に来年が大統領選挙の年として、現政権が何もしないで終わったら、次の政権がFDRの様な民主党政権になったとしてもその時点で住宅市場は既に手おくれになっている事だろう・・。GOING BACK 1933・・

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