2007年10月11日木曜日

脱臼社会

日本でタモリの「笑っていいとも」がまだ続いているかしらないが、同じような番組として、米国にはNBCのナイトショーとCBSのレイトショーがある。NBCはジェイレノ、CBSはデービットレターマンを擁して同じ時間帯に同じ様なショー番組で競っている。

この番組のゲストには、芸能人に混じり時よりビジネスマンや政治家も登場する。最近では有力な共和党の大統領候補者に躍り出たトンプソン氏が実質の立候補宣言をこのナイトショーでした事が話題だった。そんな中、昨晩のレイトショーに登場したのはグリーンスパン前FED議長だった。一瞬ウッディーアレンが突然老けたのかと錯覚したが、やはりグリーンスパンだった。

市場に関する話ではなかった。FED議長職を茶化した突っ込みをするレターマンに対し、その昔、議長職を「ピーナッツを食べる様なモノだ」と表現した彼が、今ではその茶化しに便乗して視聴者の笑いを誘っていたいた事には驚いた・・。

どうしてだろうか。いつの頃からかこの米国でこれはシリアスだと感じるような局面に出会わなくなった。同時多発テロ直後は緊張感があったが、その時は重苦さより、困難を乗り切ろうとする躍動感の方が今では印象に残っている。

そんな中、サブプライムに端を発した今回の住宅市場下落の話は久しぶりに重苦しい話題になるかと思われた。しかしMEDIAの扱いは、意図してか、或いはこれが自然体なのか判らないが、警告を発しているはずの前FED議長でさえエンターテイメント番組楽しんでいは違和感だ・・。

これは歓迎すべきかそうではないのか。毎日が自問自答である。だからと言って昔の様にダウをショートする元気は最早ない。一方で中間層からは悲鳴が聞こえるのに、株のインデックスが上がる表面的現象を眺めると、全体がラスベガス化したような雰囲気の中、いつか社会全体がDISLOCATIONの状態になる恐れを抱かざるをえない。

政治では民主党大統領候補者として独走態勢?との評価もあるヒラリーも、候補者として最初に打って出たメディア戦略は振り返るとやや異常だった。彼女の選挙戦は、直前に番組が終了したあの「SOPRANOS」のラストの場面を茶化したモノ。そのシーンを夫のクリントンと演じる事から始まった。自分がその番組のファンだったとは言え、次期米国大統領の候補が、マフィア番組を題材に自分を売り込む手法は、それはリベラルな民主党とはいえどこかおかしい。

カルト的な共和党ブッシュ政権も異常なら、弱者の味方を装いながら、一方で世の中を茶化しすぎる感もあるこの民主党の雰囲気はなんだ。

いずれにしても、社会の振り子が大きく振れると其処にはどうしてもDISLOCATION(脱臼)のリスクが生まれる。そう言えば、最近金融市場でもこの脱臼を使って状況解説をする人がいる。便利な言葉だ。ズバリ、今の米国の最大のリスクを端的に現わしている・。

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