2007年8月9日木曜日

ボンズと朝青龍

ボンズが終にホームラン記録を更新した。人種差別的とも感じた誹謗中傷の後、今の米国は静かに彼を称えている。ただスポーツ番組も特集を組まず、話題としても其の日だけだったのは物悲しい。しかしこれも今の状況からはしかたがない。ブッシュがコメントした様に、全ては歴史が後から評価すると言う事だろう。一方でそんな悠長な事を言っていられないもう一つのステロイドが存在する。 ここからはその話である。

個人的にここで米国経済をステロイド経済と名づけてから5年程が経つ。そしてここ数年のいわゆる過剰流動性経済になってからは、その流動性を皿回しの皿に例える事にしてきた。ではそれだけの巨大な大皿を回してきた軸棒の動力は何だったのか。当たり前だが動力は欲望から生まれた。そもそも皿が安定的に回り続ける為には皿の大きさと動力エネルギーに絶妙なバランスが必要だ。ただ止めどなく拡大する一方と思われた皿の大きさと動力エネルギーの増幅は、投資家にリスクの再認識が起こった段階から皿の大きさはそのままに動力に問題が生じている。

結果、巨大な皿はバランスを崩して彎曲を始めているが、どうしたら元の安定的な巡航回転に戻せるのか。米国はその難局の入り口に立っている。そもそもFEDや政府関係者が現状を90年代の危機と比べてPLAY DOWNしているのは、関係者が批判するような彼等が現状認識を怠っているからではない。寧ろ逆。其のリスクを十分に警戒してきた中で、一旦バランスが崩れた以上次の利下げがどういう結果を齎すのか確信がないだけではないか。

そんな中でCNBCで利下げを高々叫んでいる人には共通の危うさを感じる。彼等は世界の中で米国がどう見られているか。イラク問題などの所業の後これからどう見られていくかと言う客観的視野には全く興味がないようだ。

この50年がそうであった様に、例えばドルの水準も米国が他国に対してエッジを握った上で水準だけを自分の都合に合わせて変動させるという単独超大国の特権が永遠に続く事に警戒心はない。何度も言うが、米国で生理的老化が始まったと時に生まれたブッシュ政権の政策履行は好い意味でも悪い意味でも凄かった。しかし最後には万物の原理には勝てない。

其の反動が始まろうとしている今、前向きではあるものの他からすれば傍若無人とも言えたこの米国の姿勢、その強気がの維持が可能かどうかが最大の焦点である。

個人的にはその結論はまだ見えないが、傍若無人が牽引した自信ほど脆いモノはない例を最近感じた。それは若貴ブームが終った後大相撲を牽引した朝青龍のあの強さと脆さの対比に似ている。仮に米国の自信が朝青龍なら、大皿の落下を防ぐ事は困難、逆にボンズの様に、静かにステロイドの使用を認めた上で批判に耐えながらも目標を完遂できれば活路は開けるのではないか・・。

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