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2012年3月1日木曜日
リスクとクライシスの違い(真マネー原理プロから)
ところで、AIJは設立当初からもうかっていなかったという。自分自身は63年に証券会社に入ったが、正直自分より前の世代の証券マンが設立した投資顧問には親の資金は絶対に入れない。
なぜならその前の時代は日本は上がる相場しかなかった。ましてや野村のカリスマ営業マンが始めたファンドなどは、一番危ないのは当然である。
一方その後は下がるだけの時代が続いている。これはこれで魅力ない。だが、だからと言ってあり得ない利回りを信じるのは、マネーを扱う年金担当者としてはプロとしてはあまりにお粗末。老人が振り込めサギにひっかるのと同じレベルと言わざるを得ない。
まあこれも平和ボケの日本の宿命。昨日の続きだが、相変わらずNHKは独立機関が提出した原発後の官邸の対応を報道している。そこで重要なテーマを一つ。
もし危機管理を話題にするなら、まずリスク管理と危機管理を分けて考えるべき。報道を聞くと、事が起こる前のリスク管理と、事が起こった後の危機管理が同次元で使われている。このこと自体が危機管理になっていない。
この違いは現代の市場関係者は知っている。ポートフォリオマネジメントでは、通常リスク管理に最大のケアを払う。そのために情報を収集し、組織なら活発に会議を行いシナリオをイメージする。
そして何も起こらなければOK。通常はこの繰り返し。だが一旦事が起こるとそこからは危機対応。ただし危機対応は既にダメージコントロールの段階である。
ダメージコントロールで雌雄を決するのはマニュアルより担当者個人資質。日露戦争ではたまたま秋山真之や児玉源太郎という天才が作戦参謀にいて、それを実行する東郷や乃木などがいた奇跡に過ぎない。
ただ残念ながら今の日本の政治家や官僚にはこの実践経験がある人は少ない。一方米国の政権には、ゴールドマンサックス出身者など、単にポーカーのルールを知っているだけでなく、リスク管理と危機管理の組み合わせで全体のボラティリティをマネジしてきた経験者がつらなる。
もし今の日本にこの種のスキルがあるとすれば、それは銀行のポートフォリオマネージャーあたりか。前述の証券マンでもない。ならば心意気のある金融マンは、金融組織にとどまらず、国家を舞台にもっと大きな仕事をしたらどうだろうか・・。