2012年3月23日金曜日

キムチとスシと美酒





バブルの頃、サントリーがホテルオークラの25周年に、ホテルの顧客限定で「The Okura25」という限定ボトルを販売した。同社として初めて著名陶芸家にボトル制作を依頼し、中身は当時のサントリーの最高峰の「ザ ウイスキー」をベースに、実はマスターの称号を持っていた佐治敬三社長本人が直々ブレンドしたものだった。

1本25万円。100本はすぐに完売した。幸運にもそのウイスキーを一口試飲した。その後ウイスキーはずいぶん試したが、今も感動を覚えている。サントリーでは18年と30年のシングルモルトの「山崎」、そして3年連続で世界1になったブレンデッドの「響き」は、日本が世界に誇る逸品である。

そのサントリーが、有田焼の人間国宝、酒井田柿右衛門のボトルで、35年の「響き」をブレンドした限定ボトルを150本売り出す。1本100万円。サントリーは2007年4月にも九谷焼のボトルで35年モノの「響き」のブレンドを100万円で販売した。その100本は完売したが、今回は150本の販売。更に強気だ。

日本にいたら買いたい。投資としても魅力。サントリーウイスキーの実力は、日本よりヨーロッパや豪州の本物志向家は知っている。(ウイスキー文化が貧弱な米国人は知らない)。そこに海外で評価が高い有田焼のボトル。日本人が買わずとも、150本は海外の業者が買ってしまうだろう。

ならば、残りの人生が何年あるかわからないなら、個人的にはまず中身を飲み干し、しばらくは人間国宝の有田焼きに市販の「響き」を入れチビチビやる。そして、金がなくなったらボトルを売る。

ところで、必然か否か、どうやらサントリーはバブルを知っている。「The Okura 25」の頃、日経平均は3万を目指し勢いを増していた。そして2007年4月に九谷焼「響き」の100万が発売されたのは、この10年で日経平均が一番高かった頃だ。(18000前後)。

つまりサントリーが超高級限定ウイスキーを出す頃がその時代のピーク。ではこの有田焼の新商品は、今回の戻り相場のピークの象徴だろうか。目先は米株の影響を受けよう。だが本質的には楽観している。

そこで聞こえてきたのが「キムチ売り・スシ買い」のコメント。ジェフリーのエコノミストによれば、家電も車も、円高で日本が苦しむ中で韓国が勢いを増した流れが転換するという。エルピーダの倒産は相場ではよくある「最後の投げ」の雰囲気を感じた。個人的にもこの意見に同意する。

ただそのためには民主党政権はぶっ壊れた方がいい。米国を追随しているだけの政権はいらない。政局が起こり、日本がマヒしている間に、世界情勢が変わっている予感がする(大統領選も含め)。その後、勝利の美酒を飲みたいものだ・・。