2009年3月21日土曜日

逮捕者のいない反省

民放ののトーク番組に出演したオバマ大統領に司会のジェイレノ氏(米国のタケシの様な存在)は、「AIGのボーナス返還もいいが、なぜ今回の危機でWS(ウォールストリート)から逮捕者が出ないのか」と迫った。そしてそれに対するオバマの返答からは、現在苦境を脱するために米国で行われている様々な試みの本質が見えた。

まずオバマは「数々のWSの判断は間違っていた。だが完全に違法として罰せられるものは少ない」との見解を述べた。その通り。だから今米国では大統領がトーク番組にまで出演して国民に彼らと同じ目線からの意識改革を促しているのである。ただ今回金融機関の過剰報酬に対して議会が取った対応策は、「税金で懲らしめる」という手法だった。確かにこの手法はAIGのボーナスをスムーズに回収する事と、法外な高級取りに警告を与える意味においては即効性がある。だが「税金で懲らしめる」手法が横行すると、最低限の成長に必要な健全な欲望までもが死滅した社会へますます傾斜する可能性がある。

だとするとバーナンケFEDが異常なペースでドル札を印刷している中では、仮にいつかは期待通りインフレの芽が出たとしても、それは資産価格の上昇はではなく、生活に必要な消費財の上昇だけになってしまう最悪のパターンもありうる。しかし残念ながら「健全な魂」を失った国家では最早理想的な改善策などはない事が今回米国の失敗の本質である。

いずれにしてもこの結果を見て一流の成熟国家が本来目指す姿が見えてきた。それは教育でも一時的な繁栄の手法の追及に埋没せず、いかに人間として「健全な魂」を維持するかが今後はより大事な課題となろう。


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