本日は金融機関のトップがホワイトハウスでオバマと会合を持つ。そこでは新しい規制についてとTARP資金(政府資金援助)の使途について、再確認がされる予定という。一方で株式は急に明るさを取り戻したかのようだが、どうやら結果そのムードは金融機関のトップを再び以前の強気姿勢に戻し始めている。
政府の資金が入っている間の報酬規制を嫌い、GSはTARPファンドを早く返したいと以前より表明しているが、先週はバンカメのケンルイス会長まで同じ事を言い始めた。そもそもGSでさえ政府保証で起債をしている身である。給料規制が厭でTARP資金を返すなら本来政府保証を起債から外すのが道理だ。またバンカメのルイス会長に至っては相変わらず信じられない。なぜなら今の状態は量的緩和を含めたFEDによる多種多様の援助で保たれているだけだ。そしてバンカメの様な銀行がGSの様な証券と同じ姿勢になった事がここまで批判されたにもかわらず、彼は特有の強気発言を取り戻した様だ。
だが政府とFEDが行った数々の救済案が、世界が米国一極支配から距離を置き始めた国際情勢の中で最後米国に何をもたらすかは全く未定である。そんな国家が背負ったリスクを無視した金融機関のトップの姿勢にオバマとガイトナーそしてバーナンケがどう対応するが見物である。ただJPのダイモン会長とバンカメのルイス会長の発言のトーンが違っている様に、これからは「慢心」が重要なファクターになろう。
ところで、一時的にせよ市場の危機感が和らいだ米国では、政治モードが金融危機からアフガニスタン、そして緊急課題としてメキシコの麻薬組織との対決になった。米国はアフガニスタンについては世界中を巻き込んだ総絵巻を練っている。本日は政権内の強硬派が誤爆が多すぎる空爆を止め、地上軍の大幅増派で対応すべきとの発言が飛び出している。オバマは政治スケジュールからも本日よりアフガニスタンについて国民に覚悟を決めさせる作業に入ると言われている。そこで彼が本気で大量の米兵をあの魔境地帯に送り込む覚悟があるか改めて注目される。
そしてより緊急なのがメキシコの麻薬組織との対決だ。これは最早や国家として対応せざるを得ない状況まで来てしまった。今の状態は昨年1年でメキシコ国内で7000人が警察及び麻薬組織との抗争で死亡。そして先週は6人のメキシコ人捜査官が殺された。またアリゾナやテキサス州のメキシコとの州境では麻薬組織の流入にからんで米国内でも誘拐や強盗が頻発し始めたという。これを受けて米国は250人の米国人特別捜査官チームを組織しメキシコに送り込んだ。だが昨日その一人が処刑スタイルで殺された。これは映画の話ではない。ヒラリーが急遽メキシコに飛んだのはそんな理由があったからである。
ただこの様な米国らしい活劇的話題が出てきたという事は、暗黒の雰囲気に支配され凍りついたこの半年と比べれば米国の血流が活発になってきた証拠ともいえる。ただ株式市場は時に不思議な動きをする。3・10日前後にこのままではダウは本当に1500になってしまうかもしれないとその当時の雰囲気を述べた。しかし相場はそこから反転した。一方で本日は凍りついていた米国が解凍した雰囲気が漂っている。よって逆に株式相場は大幅下落の可能性を秘めると個人的には考えている・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿