2009年3月24日火曜日

右肩下がりの民主主義

WBC で決勝に到達したのは日韓だった。そして、今回この2チームが残った理由は明確である。それは若くて良いピッチャーが大会に向けて準備したからだ。昨日日本はオズワルドを打ち崩した。ただ本来彼はもっと速い球を投げる(98マイルぐらい)。以前紹介した様に、今回米国チームに入った選手はそれなりにスピリットがある選手ばかり。だから決してオズワルドがいい加減な投球をした訳ではない。それは打たれた後の彼の表情を見れば一目瞭然だ。ただ彼もそれなりの歳。この時期での準備には限界があった。また米国以外のカリブ諸国は良い選手を入れたがお国柄か米国よりも体が鈍っていた。その点でジーターが批評した通り、若くて良いピッチャーが自主的に準備をしたアジアの2強は短期決戦で重要な投手力で抜きんでていた。

ところで良い選手がいても選手の体調が悪く本来の力が機能しないチームの監督は気の毒だ。なぜなら批判は監督が背負う。その昔、米国チームのジョンソン監督が王と前後して巨人のクリーンアップを打っていた姿を覚えている人がどれほどいるかはわからない。彼は巨人時代にデットボールに対して日本人ではありえない爆発をみせた。恐らく大リーガーとして盛り過ぎた自覚の中、当時はまだ弱小だった日本のプロ野球から死球を受ける屈辱が交錯したのだろう。しかしその彼も我儘な大リーガーの監督を長く経験する事で人相が変わり、また体も痩せた。そして今、究極のわがままをマネッジする立場なのはオバマ政権である。

個人的にはガイトナーは辞任の前に体を壊すのではないかと心配するが、そのガイトナーとオバマへの米国人の批判は衰えない。そして驚いたのは昨日の60ミニッツだ。インタビュアーとなったCBSのSTEVE KROFTは個人的に余程オバマが嫌いなのだろうか、ジャーナリストとは思えない個人的感情を隠さない質問の仕方だった。そして質問に微笑みながら淡々と答えるオバマに対して「あなたは国家がこんな時に大統領として笑っているのはパンチドランカーなのか」とまで言ったのである。今のところこの発言に対して視聴者の反応について聞いてはいない。だが自国の大統領に対しジャーナリストが面と向かって「貴方はパンチドランカー」か言い寄るのは異常だ。印象では理性が欠如していたのは明らかにKROFT氏の方だった。彼は自分がNEW YORKERである事を明確にし、金融機関に厳しいオバマの政策がNY の地盤沈下に影響しているとのバイアスの中で質問しているのは明確だった。

いずれにせよ今の米国はジャーナリストでさえこのバイアスである。そして国家全体は反金融機関へ傾斜する中でガイトナーとオバマはその両方から即効性のある政策を打ち出せと迫られている。そんな事はそもそも無理だ。そして今回も堂々巡りはまた同じ処に辿り着いた。銀行救済案は公的資金と民間資金で不良資産を買う計画だが、価格が高すぎると血税が欠損し、安すぎると金融機関は参加しない矛盾は残ったまま。そもそも収入も何もない不法労働者にさえ偽りの書類を業者が作成して支えたが住宅バブルだ。その中で生まれた商品に本来「適正価格」などがあるはずはない。

さて、その意味では今回WBCには参加しなかったが、旧ソ連や北京五輪を支えたスポーツ強制システムをそのカルチャーの中に持つロシアと中国は侮れない。この強制力を彼らが市場原理が崩壊した今の世界経済の枠組みで発揮するとどうなるか。実はBRICS台頭はこれからが本番の可能性を残す中、逆に金の魔力に嘗ての魂を抜き取られた今の米国のデモクラシーは我儘集団の足の引っ張り合いの様相である・・。

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