2011年5月18日水曜日

俳優の力





今から来週月曜日公開のHBOのオリジナル映画が話題になっている(写真)。タイトルは「TOO BIG  TO FAIL」。日本でも原書は翻訳されたが、2008年の金融危機の主役達を全員揃えている。特に主役どころのポールソン役のウイリアムハートやバーナンケ役のポールジアマッティは完全にハマっている。脇役もケーブルのオリジナル映画としては異例の一流どころばかり。いかにこのドラマに俳優が出たがったかが判る・・。

そういえば、この国では近代で最も評価された大統領が俳優だった。まあ民主主義ではリーダーの演技力は重要。ならば本来政治には俳優は向いていおり、その力を侮ってならないという事だ。その意味で日本では俳優が政治家になった例があまりない。「芸能人」という言葉はどこか差別的だが、日本人は実務を知る官僚出身の政治家に安心を求め、一方で既存の政治家の演出力に不満を言っている矛盾を感じる。

そして今の米国俳優の多くは民主党系。ただ共和党系でも現職の間は「隠し子を隠し通した」シュワルツネッガー然り、クリントイーストウッドの手腕も評価が高かった。そんな中、前回オバマを応援した有力な30~40代の俳優の「オバマ離れ」が激しい。その筆頭はマットデーモン。彼はイラクの大量破壊兵器をでっち上げたCIAと米国政府を現場の兵隊の立場で追及した「グリーンゾーン」でも主張を見せた。そして今、彼はウォール街の言いなりになってしまったオバマを強く批判している。

ただこの国において映画の本当の意味は自浄作用を演出することかもしれない。ウォーターゲートでの大統領の陰謀や、ケネデイー暗殺の真相においては副大統領まで犯人扱いする演出は、米国社会の矛盾を自分から曝け出す勇気を感じた。だが、冷静に考えると、「国家としての間違い」も映画にしてしまう事で、実は社会のガス抜きの効果がある事も忘れてはならない。その意味でこのHBOがどんな効果になるか。ウォール街を正すのか、あるいはこのまま許してしまうのか。注目したい。


http://www.hbo.com/movies/too-big-to-fail/index.html

http://www.hbo.com/movies/too-big-to-fail/index.html#/movies/too-big-to-fail/cast-and-crew/index.html







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