もう一度TOOBIGTOFAILを見ると、一回目は気ずかなかった点があった。まずリーマンのファルド会長は、他のウォール街のトップとは異質な点が一つあった。それは彼はリーマン一筋だったこと。コレは人材の移動が激しいウォール街では異例。彼は30年以上にわたり、リーマンの花形コースを歩んだ。そのせいか、彼はリーマンの現実を受け入れるが遅れた。
JPモルガンのダイモン会長は、CITIを非情な形で辞めさせられてから浪人し、その後にシカゴのバンクワンで出番をまった。またカミソリの異名をとったジョンマック会長も、一度モルガンスタンレーディー-ンウィッターを追われた。ブランクファイン氏に至っては、勤めていたゴールド専門の商品会社がGSに買収され、その後頭角を現してGSへのトップにまでなった人だ。この事から、会社の現実を受けいるには、挫折や会社の外にいる(いた)経験が大事ということになる。
そして意外にヒーロー扱いだったのがジョンマック氏。ガイトナーNY連銀総裁(現財務長官)に「JPと合併せよ」と脅されたが、合併するなら「株は1ドル。従業員は60%解雇」と冷たくダイモン会長に言われると、血眼になって別の合併先を探す。そして彼は三菱を引っ張ってきた事で二万人の雇用を守ったヒーローになっていた。
金融をやっている以上この国の若い金融マンがこの人たちに憧れるのは判る。だが個人的にTOOBIGTOFAILで感動する場面はなかった。それよりも感動なら「仁」だ。前シリーズに登場した緒方洪庵の言葉を先ごろNHKが紹介していた。洪庵はこの心得をドイツから学んだらしいが、「仁術」という言葉は彼のオリジナルだろう。「仁術」。この言葉がこの仕事に必要ないのが空しい・・。
医の道は己のためにあらず
人のためのみ
出世や名誉を顧みず
自分を捨て
ただ人を救うことのみを
願いなさい
不治の病の患者に対しても
苦しみを和らげ
一日でも長くその命を保つことに努めなさい
たとえ救う事が出来ない病であっても
患者の心を癒すのが 仁術というものです
学術に励むだけでなく
患者から信頼されるように
ならねばなりません
人々から
命をゆだねられるに値する
誠実で温かい人間となりなさい
緒方洪庵
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