2013年5月31日金曜日

本当の国際人

 
日本の国際化とはいったい何だろう。日本の国益のための国際化か、外国の国益のための日本の国際化か。そこで今日のCNBCから二つクリップを抜粋した。

まずSONYの平井社長。平井さんは帰国子女と聞いたが、完璧な英語は其れを物語る。そして儲からない家電部門なぜ切り離さないのかと、CNBCのキャスターに何度も質問されても、携帯電話の新商品を紹介し、最後は技術力がSONYを救うと譲らない平井さん・・。

いまさらSONYがアップルのようなキャッシューフローゲームに出たり、サムソンのようなコストの優位性で勝負して勝てるのか。アップルが凄かったのは、製品の技術力だったのか、あるいはイノベーションだったのか。

イノベーションが大切だというのは簡単。だがそれは雲をつかむような話。ならば技術に拘るのは立派な戦術だと思う。安易に「相手のルールに乗らない・・」これは本当の国際人しかわからないゲームのルール。平井社長を応援するしかない。

http://video.cnbc.com/gallery/?play=1&video=3000172282

 
そして、このそうそうたるメンバーにボコボコこされる日銀と日本市場。日本市場は、株は外人に支配され、債券はメガバンクなどの国内組みに支配され、結局どちらも柔軟性に欠けると攻め込まれている。

この分析は正しい。ならどうする。慌てるのか。怖くなるのか。アベノミクスを止めるのか・・。
相手のルールをぶつけられ、揺さぶられているのは平井さんと同じ。もしアベノミクスがリフレだけだったというなら其れまでだろう。其れは単にFEDのマネしただけだ。

本当の知恵を出すのはここから。ただ金融はSONYのような技術という特異性はない。覚悟してかかるしかない。では何の覚悟か。其れはマネー戦争の覚悟である・・。

http://video.cnbc.com/gallery/?play=1&video=3000172261 

2013年5月22日水曜日

株主総会と国会

参議院戦を前に、憲法改正を視野にしている自民党を阻止すべき野党の足並みが乱れている。まあこれも今の日本の定めなのだろう。

そもそも政党名からして、「維新の会」と「みんなの党」の協調が上手くいくはずがない。維新の会は明治維新を前提にしているのだろうが、言うまでもなく維新は中堅の武士によって達成された。

彼らの特徴は強い意志と理念。殺しさえ厭わない彼らに民主的な多数決の理論は似合わない。ところがみんなの党は「みんな」という名前をつけている。主役は国民だと言いたいのだろう。

では倒幕の際、町人や百姓など、武士以外の「みんな」は武士の討幕を支持したのだろうか。自分の日本史の知識ではその事実はない。幕藩体制に満足していたかどうかわわからないが、普通「みんな」(大衆)は自分では行動しない。そして異質を嫌い平穏を望むことが多い。

日本の「みんなの党」は、そんな「みんな」ではなく、どちらかというと、知識水準の高い層を対象にしているようだ。なら本来党名を変えたほうがいい。さもないと、いずれここも瓦解するだろう。

いずれにしても、形の上では政治に民主的なシステムが導入された今の日本で、野党がこんな足の引っ張り合いをしている間にも淡々と自民党の一局支配は築かれている。

安倍さんは久しぶり登場した人気政権。ここでは以前、初めは連戦連勝で支持率が70%を超えた東条内閣と比較したことがあるが、連戦連勝の雰囲気はどうやら同じ。もう反対派はいないのか。(個人的に改憲賛成なので結構だが)

ところで東條内閣はその誕生のプロセスが民主的だったか疑問だが、ドイツのワイマール憲法では大統領や内閣の分権を定めていたにもかかわらず、ヒトラーを生み出した。

彼らの場合は理想が高すぎたのだと思う。ざっと米国の憲法と比べても、大統領に権限がありすぎた。マックスウェーバーなど、相当に頭の良い人が集まり、ドイツ人の特性を理解した上で、最後は知的誠実性が機能すると期待したフシがある。しかし結果は大統領が死ぬと、ヒトラーを誰も抑えられなくなった。(首相だったヒトラーは大統領の権限も兼務)

そんな中、今日米国ではJPモルガンの株主総会があった。そこでジェイミーダイモン会長のCEOと会長職の兼務継続が決まった。大株主のカルパース(CA州教職員年金組合)やエクソンなどの社外役員の一部が、ガバナンスの観点で兼務の廃止を要求、株主による決議があった。

JPモルガンの役職員は一丸となって兼務を訴えた。ダイモン会長は、もし会長職を剥奪されたら俺は会社を辞めると脅した。アナリストは、ダイモン会長が辞めればJPの株は10%は下がると予想した。

結果、バフェットをなど著名な金融市場関係者が兼務を支持した。あのロンドンの鯨事件も、もしダイモン会長でなければ、損失はもっと大きかったかもしれないと弁護した。異常な光景だった。

そもそもドイツ人ほど偏差値が高くない?雑多な人種が集まった米国では、システムに知的誠実性を求めるのは無理だと思う。ハーバードでマクロ経済での麻薬の効用を教える時代、性善説ではなく、政治の二大政党制と経済の市場原理がこの国のシートベルトだった。

米国は時には大きく道を外れ、大事故も経験した。だが死なずに戻ってきたのはこのシートベルトのおかげだった。しかし経済ではシートベルトを外した状態が恒常的になりつつある。

恐らくこれは米国では初めてのことだろう。結果としてTBTF(TOO BIG TO FAIL)大銀行にヒトラーのような権力者が生まれ、多くが彼を支持して会社の未来を疑っていない・・。








2013年5月16日木曜日

現実もディズニーワールド(真マネー原理プロから)

好調なディズニーの決算で95年頃を思いだした。当時CBOTのフロアーで、米国金利のビジネスをしていたが、後ろのアメリカ人が、誇らしげにディズニー株を持っていることを自慢してきた。

そこ頃ディズニーはヒットを連発。極め付きはライオンキングからの収入だった。しかし日本人からすると、あのストーリーはどう見てもジャングル大帝レオのパクリ。著作権に敏感なアメリカがここまで露骨な盗作をしたということは、日本がどれほどなめられているかがあらわなって腹がたった

そこで「これは盗作だ。必ず問題になる」と脅したところ、彼は利食いを出したらしい。丁度その後、グリーンスパンの「根拠なき熱狂」発言が出て株は一時的に下落した。意図せず彼から感謝された・・。

実は今は当時のリーインカーネーションの状態。グリーンスパンのように、本日あのルービニ教授が、ダウが15000を達成したことを受け、「大暴落が近い」宣言した。

さらに週末のアイロンマン3の収益が史上最高を更新。今のディズニー映画は、ミッキーマウスやライオンキングを卒業し、3Dの時代だ。あのアベンジャーズのキャラクターを全部持っている。(アイロンマン スパイダーマン 超人ハルク、サー、キャプテンアメリカなどなど)

映画として、これらの単体キャラクターで数百億円を稼ぎ、そして定期的に彼らを全部出してアベンジャーズシリーズを創ればしばらくは数千億円の収益が稼げる。そして極め付きはそこにスターウォーズが加わること・・。

こう考えると、現実社会で始まっている喧騒とは裏腹に、娯楽のパラレルワールドでは、若年層から大人までディズニーの支配が進んでいる。バブルの世界はディズニーワールド・・

その初期が始まっていた96年当時、ラインキングの盗作論について、手塚事務所の代表(確か息子さん)が「個人的には盗作だと思うが、世界に手塚治虫の世界が広がるのは好ましい・・」との発表があり、日米間の著作権問題にはならなかった記憶がある。

今から思えばなんと日本的だったか。この当時の日米関係と今のTPP交渉ははたして違うのか。淡々と日本からデイズニー株を買うとワークする気がする。(注、これは推奨ではありません。投資は自己責任で)
 

2013年5月12日日曜日

アメリカでの日韓の国力

アメリカにはミツワ(旧ヤオハン)と呼ばれる大型の日系スーパーが、NY シカゴ LAの3箇所にあり、昔から日系社会の中継点になっていた。しかし近年、シカゴのミツワの主力顧客層は日本人ではない。裕福になった韓国人中国人が、上品な日本食を求めて来店するようになり、逆にこちらでもデフレの影響を受ける日本人は、安さを求めて韓国食材店に行くようになった。

そうはいっても、彼らのハングリー精神に衰えはない。170万といわれる米国に暮らす韓国人の多くが戦後が本国を逃れた移民であるの対し、米国に暮らす日本人50万の中、半分以上がハワイとCAに暮らす戦前からの移民(第一世代のみ。米国人世代を入れると130万前後)のこりは駐在員だ。このあたり精神力の違いは米国ではより顕著になる。

日頃、個人的にも韓国系移民との接点は多い。女性はともかく、男性はほぼ全員日本人が大嫌いだ。正直、彼らの反日感情はどうしようもない。ただし上手くやっていく方法はある。心から仲良くなる必要はない。日本も韓国には過大な希望を持たず、現実路線でいくしかないと思う。(中国には、そういうわけにいかないと思うが・・)

アメリカにきた頃、アイリッシュを英国人と区別せず、とてつもない大顰蹙をかった。この経験はその後、世界史の重要性を学ぶ上で原点になった。アイリッシュと韓国は似ていると思う。しかし英国と日本は似ているようで似ていない。とくにアメリカを客観的に見極める力で・・

そんな中、先日のNHKのNC9は良かった。韓国の反日ロビー活動の実態かよく出ていた。そしてそれに反応する米国も。これでいざという時にアメリカを頼っているのが間違いだと気付いて、日本は精神的な自立へ進むのか。それともまんまと韓国側の思惑通り、日本は更に凹むのか。アベノミクスとアベノリスクを天秤にかけ始めたアメリカが見えた。                                                

あたりまえだが、アメリカはバカではない。政権と議会は違う。いざとなったら、韓国と日本のどちらの国力が米国にとって大切か。そんなことは言うまでもない。ただし日本は精神的に独立するそぶりを見せないと、韓国の戦略に負けるだろうし、アメリカにとっても、真の同盟を考える存在にならず、「アジアでの国益のヘッジ国」の扱いのまま終わる・・。

2013年5月8日水曜日

アベノミクスがアベノリスクへ変る時

ところで、予定通りシリア情勢は厳しくなってきた。ボストンのテロ直後、すぐさまシリア攻撃の話が出た。ここまでその通りになると、最早、怒りよりもバカバカしい。

自国の統治力が弱ってくると外に敵を作る・・。こういうパターンをみると、日本はアジアでの地位を固めたほうが無難だと思う。

もちろん今の中国も同じことをする危険性はある。ただし中国の歴史は、新しい強者が弱った王朝を倒してきたが、これまでは海洋への野心はなかった。

それはコロンブスよりもはるかに早くインド洋を渡ってアフリカに行ったにもかかわらず、侵略をしていないことからもうかがえる。(鄭和がイスラム教だったことが大きいが、イスラム教の彼を用いた明の懐の深さ)

しかし、今の中国が清朝以後の屈辱の反動で覇権主義に傾いているのは確か。その心理を使い、体制を維持したい共産党は米国と変らない。しかし世話になった隣国でありながら、日本が中国の歴史に敬意を払っていないのも事実だ。

 そのタイミングで出た麻生さんの発言「日中とは上手くいったためしがない」は久しぶりに彼の教養の世界を露呈した。

一方中国発の大気汚染は結果的に日中韓の共通の敵になったと思う。ここは日本は大人になり、この「共通の敵」を上手く国益に使うべきだろう(日中韓の協力)。

まあそうは言っても、中国のプレッシャーを感じない米国から何を言っても無駄なのは承知している。更に、アメリカ支配の中で培われた世代の親米反中の感情はどうしようもない。その世代を代表するスーパースターが長島さんだったのではないか。

昭和39年生まれの自分は、長島さんが現役だったころはうっすらとした記憶しかない。そして恐らく我々の世代がバブルをエンジョイした最後の時代。(自分より若い人は、バブル時は社会人ではない)という事は、長島さんを知らない人はバブルをしらないということだ

バブルを知らない世代に、オジサン世代がどれほど長島さんを崇めたてても、知らないものは知らない。そこはどうしようもない。彼らはメデイアの長島フィーバーをどう感じたのだろう。

そもそも日本ではバブルもデフレもあまりにも一方方向だった。この責任は若い世代ではなく、我々オジサン世代ににある。その背景が何だったのか。一ついえるのは、バブルの発生も崩壊も、アメリカが許し、そしてアメリカが許さなかったこと。

ならば一方方向の背景は、サンフランシスコ講和条約の中、経済と引き換えに、独立国として独自のイマジネーション力を失くした結果だと思う。(仕方がないが)

一方で、長島、松井の両氏の国民栄誉賞を決めたとされる今の安倍さんは自信に溢れている。日本の首相が今の安倍さんのよう自信に溢れているように見えたのは過去記憶がない。

注目は、アラブに対し、原子力発電を売り込んだ際のセールストークが、「日本は大震災で原子力発電でこっぴどい目にあった。だから、その経験を活かし、世界に貢献できる・・」

その通りなのだが、このような「失敗を活かす」発想は、これまでの日本の組織社会文化では育った例はあまりないと思う。

再三アベノミクスの本質は失敗者を活かす発想にあるとしているが、日本がこの大原則に気付くととんでもない可能性を秘める。ただしソレはそれで警戒が必要だ。

安倍さんが凄くなりすぎると、中国には脅威であるとともに、その中国に本当は強く出れない米国にも邪魔。またデフレ社会の頂点であぐらをかいていた老害組織の老害人からも邪魔。更に反戦オンリー人、反原発の若者まで敵にまわす。

読売新聞がどれだけ偽りを誇張しようが、今の米国が対中政策で二枚舌なのは日本は知るべき事実。現国防長官のヘーゲル氏は元々生粋の共和党であり、尖閣に対して日本を優先して中国を牽制する気持ちに偽りはないと思う。

しかし事が悪い方へ進んだ場合、最終決断をするのはオバマ大統領と周りのシカゴ派の側近。つまり国防省ではなくホワイトハウスのウエストウイング。

これまでのずっと彼の動向を見てきたが、彼らが日本を中国より優先することは、彼らさえ予期しない突発事故でもない限りありえないと思う。

安倍さんが転べば相場は転ぶ・・。強すぎる安倍さんをみていると、アベノミクスアベノリスクになる危険性もどこかで感じ始めている・・。

2013年5月4日土曜日

日本と世界史の関係、東京の価値とイスタンブールの価値(真マネー原理プロから)

古い読者は、このレターは、サンフランシスコ講和条約を今の日本の起点にしている事は周知のはず。ただ日本でそんな話は殆ど聞かれなかった。ところが安倍さんが触れた。どうやら安倍さんは小泉さんとも違う。もしかしたら彼は本当に日本を変えるのかもしれない。

民主主義下の強いリーダーは同じパターンを持つ。まず経済で国民を見方にする次に敵に対し、強い姿勢を示す。前者が成功し、成り立つ手法。最大の成功者はヒトラーだが、チャーチルもルーズベルトもそれなりに同じ事をした。ソ連は民主国家ではなかったが、スターリンも最初にソ連の生産力を飛躍的に拡大させた。

ならば、久々に日本を変える可能性がある安倍さんが、現在世界最強の指導者のプーチンと会談した意味は大きい。恐らくオバマ大統領との日米会談より重要な会議である。今のプーチンなら北方領土の半分返還の可能性はある。達成すれば、安倍さんは歴史に名前を残せる・・。

< 世界史と日本史の関係 >

歴史は全く同じではないが、韻を踏む・・。」欧州と比べ、歴史に造詣があるとは思えない米国人のマークトウェインもそう考えた。では再びの4THターニングの現在はどんな利害関係になるのか。今週はその韻を確認する上で重要な週だと思う。

そもそも成長期が終わり、デフレを悪魔と考えた英米に対し、デフレを悪魔と考えない日本とインフレを悪魔と考えたドイツが、英米に妥協しなかった状態がリーマンショックから欧州危機まで。ところが今は日本(日銀)が英米に加わり、欧州もドイツ経済がスローダウンすれば参加する手はずだ。それが今週の経済スケジュールだと思う。

前回の4THターニングでは日独が敵になってしまった。だが今回はまだ敵が見えない。資本主義の痛みを避けた先進国は、信用主義の麻薬効果でユーフォリアの初期。暫は続くだろうが、いずれ行き詰る。その時は誰かが敵にされているだろう。日本はこのゲームで再び負けることは許されない・・。

< 東京の価値とイスタンブールの価値>

ところがやや不安な話があった。オリンピック招致でイスタンブールをライバルと観る猪瀬知事は、前職からも日本史に関してはプロのはずだ。しかしNYタイムスの報道を信じるなら、彼の知識は世界史では役に立たない。テーマが何であれ、世界史の知識なくグローバルコンペティションに出ても勝機は少ないと思う。

以前、日本では世界史と日本史を別の科目とするが、世界史の観点のない日本史は意味がないとした。こちらの歴史に詳しい人からすれば、イスタンブールはアメリカを含めた西洋人にとっては大変な都市である。東ローマ帝国のコンスタンテイノープルがイスラムのイスタンブールになったことで、東西南北の世界の流通の中枢を失ったスペインが、野心家のイタリア人のコロンブスを雇い海洋に活路を求めた。このことがなければ、西欧がアメリカ大陸を支配するのはかなり遅れたはずだ。もしかしたら、今でさえ先に大陸に入植したと主張する中国人のモノになっていたかもしれない。

普通に見れば、世界史の価値で、東京はイスタンブールには及ばない