2008年6月11日水曜日

ナイキを履いたアベベ

オリンピックでローマの街中を裸足で走ったアベべのマラソン世界記録は2時間15分16秒。それから48年。詳しくは知らないが、今男子マラソンの世界記録は2時間5分前後と記憶する。 50年も時が過ぎると同じスポーツでもその前後で誰が一番かを判断するのは難しい。ただあくまでも主観だがマラソンだけは別だ。

スポーツ医学が発展し、殆どのスポーツが科学で解析されるようになった。記録は極端に伸びた。そこに器具の改良が加わり、近年は薬までが常識である。 仮に今、アベべが科学の粋を集めたマラソンシューズで走ればどうなるか。2時間以内で走るかどうかは別だが、彼が近代史上一番強いマラソン選手である事に疑いを持っているスポーツ専門家は少ない。

それに比べれば、今のスポーツはその記録そのものにどれだけの価値があるのか。スピード社の水着はまるで魔法の水着。五輪は人間の体力技術の限界と同時に「性能」の限界を争う場になった。早速日本はスピード社の水着をそれまでの国内メーカーとの契約を反故にしてまで解禁にするという。一方NHKの報道では、ドイツでは水泳連盟が選手の反発を承知で国内メーカー(アデイダス?)との契約を優先。英国スピード社の水着はドイツ選手に解禁しない方針との事だ。

記録やパフォーマンス優先か、「契約」という約束やルールへのコミットが優先か。そういえば金融市場ではこれまで成長を優先した中央銀行が一斉にインフレ退治へのコミットに回帰しようとする現象が見える。ECB然り、またドイツの水泳連盟然り。この議論に正論はない。あるのは歴史としてのトレンドである・・。

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