2012年9月29日土曜日

ライダーカップという本番(真マネー原理プロから)

ところで、今日のシカゴは晴天。本来ならライダーカップを見に行きたいところ。舞台となるマダイナは中西部を代表する王道コースである。ライダーカップが他の大会と異なるのは、本来は個人競技のゴルフがナショナリズムに包まれる点だ。まさに時流にふさわしい。しかしそう考えと、欧州問題はこのあとはどんな協調があるのか。協調は達成したはずだ

2年前、ギリシャに端を発した危機の本質は、最終的に中央銀行に無制限救済(FED)というPUTを得るため、政治的協調までの紆余曲折だったと考えている。欧州ではドイツの協調をどう引き出すかをずっとやってきたわけで,そのコンセンサスまでの道程が相場だった。そして、前回のドラギでとりあえずの目標に達した。ならばその後で起きる暴動はどうするのか。

政治的処方箋が定まったにもかかわらず、暴動が起こるのは、その処方箋を待てず、我慢できないという暴動である。こうなると、政治ではなく軍隊の出番。そう、世界はいろんなところで実力行使の段階に入りつつある。

人間社会は周期的に破壊が必要かどうか。その答えはまだ早い。ただ平和になれたゲーム感覚世代の先進国がここからの局面にどう行動するのか。(例えばアルゴリズムのなど)

世界史は、理性は感情に負け、そしてその後は実力(武力)が答えだったことを否定しない。平和思想や人間の幸福を説く知恵は紀元前から存在する。だが、その後何が起こってきたかをみれば明らかである。

そんな中、アメリカではオバマはオハイオとフロリダで10%以上のリード広げた。本来ならこれで決まり。ただ直接の討論をきっかけに、似たような劣勢から一ヶ月でカーターを大逆転したのがレーガンだ。

レーガンは決して討論が上手かったわけではない。だが重苦しい雰囲気の当時、米国人に厳格な正論を押し付けたカーターに対し、レーガンは未来への希望をクリックした。そしてそのメッセージ能力(演技力)はその後の世界全体のピクチャまで変えてしまった。

こんな世紀の大逆転を今のロムニーに期待するのは無理。なぜならオバマもロムニーも同じ方向性の能力で、それも互角だからだ。個人的な関心はもはや米国内の反オバマ勢力が、オバマのもう4年が決まったあとでどうなるか。とても平和的とは思えない。

アメリカでも、金持ちも貧乏も我慢の限界が来ている。この点に関し全く織り込みはされていないが、一つ目に浮かぶのは、米国内が分裂したあと、誰も責任持たなくなったこの国のソブリンを最後まで抱えているのが誰かということである・・。

本当の本番へ準備するときか近づいている・・。

2012年9月28日金曜日

商工農士国家の窮地




当然といえば当然。経団連が「領土問題は存在しない」一辺倒では、問題解決にならないといい始めた。これで国民も傾くだろう。やはり尖閣は共同管理か。一方中国は手を緩めない。今日のNYTIMESには、これまで見たこともない大広告が「中国日報」によって打たれた(添付)。

そもそも今週の国連の主役はネタニヤフとアフマネネジャド(イスラエルとイラン)であって野田首相ではない。そして、第二位の資金負担国の日本にいまだに国連では「敵国条項」が適用されるなか、米国本でも中国は先手先手で攻め立てる。

戦後の日本には、おとなしくしていれば時間が解決した「周回遅れの妙」が多々あった。だが平時における駆け引きの鍛錬を怠ったつけは、米国が日本の庇護を躊躇するようになった今日本に重くのしかかる。

昨日のNHKニュースでは、アーミテージに「米国はどちらの味方」なのかと尋ねた記者が、「日米は同盟関係だが、だからといって日本が勝手なことをしていいというわけではない」といわれてしまった。NHKは数年前、アーミテージから「同盟とはお互いに血を流すこと」といわれた事からすれば、青天の霹靂だろう。

それよりも、今の米国を問うのになぜアーミテージなのか。NHKではマイケルグリーンなどという人物が日米関係でしゃべっている。この二人はいつ来るかわからないブッシュ時代のような共和党支配に向けて必死で自己を大げさに見せているだけのレベル。ここではそんな人物より、パックンの話を聞いたほうが言いとずっといってきた。このごに及んで今の米国で無価値の知日派に意見を聞くのはナンセンス・・。

戦争は起きないが、この情勢で日本は目を避けている時ではない。危機対応として、中国に負けずに次次に手を打たなければならない。ただその前に、今の日中間系は、今の日米関係の結果でもあるという本質を考える必要がある。個人的には、日本が独立し米軍が日本から出て行くのが決まれば、オスプレイはいらないし、何よりも中国の日本への態度が変わると考えている。

しかし、米国の庇護に頼り、中国からも利益を得ようとしてきたことに違和感を感じなくなった小作人根性では益々日本は追い込まれる。国家として、ポスト吉田茂 ポスト サンフランシスコ講和条約への指針を示す時が来ている。時代は士農工商へ。それが日本の商が生き残る道。

 

2012年9月27日木曜日

銀行員審判

一昨日NFLで世紀の大誤審をしてしまったランス イーズレイさんの本業は銀行員だった。評判はまじめなクリスチャン。

これまで高校レベルのフットボールとバスケットボールをふいていたという。NFLはストライキに入ったままのオフィシャル審判団の補充に、国内からイーズレイさんのようなセミプロを集め、短期の特訓後公式の試合を吹かせている。

その試合に1.5ビリオンの賭け?。何かがおかしいとして、一番の被害者は実はイーズレイさんかもしれない・・。

2012年9月26日水曜日

究極の誤審


http://www.businessinsider.com/why-seahawks-packers-call-was-wrong-2012-9#ooid=k0cXJ5NTrlv-7BFGgBCSgTq1qG2ExnQ1



アメリカから正義を学んだ立場として、この国で最初に直面したビザー(奇異))はOJシンプソンの判決だった、次があの権威ある大統領執務室でアシスタントと性行為に及んだことがばれたクリントンが大統領職を全うしたこと。そしてブッシュがゴアから大統領を掠め取ったこと。さらに、第二世界世界大戦後も様々な無駄な戦争を繰り返したこの国が、あのデタラメなイラクの大量殺戮説を前提に、ほぼ満場一致で議会はブッシュに戦争宣言を許したこ事など。

重要性では比較にならないが、昨日ラストプレイで、シアトルがグリーンベイから勝利を奪い取ったあのジャッジも同じくらいビザーだった。審判のミスは多々ある。しかし早くにビデオ判定を取り入れ、抗議を認め、恐らく世界中のあらゆるスポーツの中で、民主的でフェアであるべき姿を追い求めたアメリカンプロフットボールでこんな判定が下るのは驚き。一体どうしたのか。

結果、ラスベガスでは$1.5ビリオンの変動があったという。CNBCによれば、パッカーズ勝利にかけた個人が150ミリオンを失い、NFLを訴える準備に入ったという。これは昔なら命に関わる話。ここで何度か取り上げた1920年代の狂乱を描いたHBOのブロードウォークエンパイアが最終シリーズを迎えたが、癒着する共和党支配のなか、実在したNJのトレジャラー ナッキートンプソンがつかまるまでが描かれる。これは1920年代を学ぶ上で必見(日本でもWOWWOWでみれる)。

トレジャラーという公職の立場でありながら、東海岸の密造酒を支配し、事実上後に米国のギャングの元締めになっていくルチアーノやカポネを小僧のように使う彼には様々な有力者が集まる。殺人など朝飯前。彼は最後は有罪になるが、パートナーだったのがブラックソックス事件のロスタインである。事件は、ロスタインが実力的に優位にあったホワイトソックスの選手に八百長させ、わざと負けさせることで巨額の利益を得た事件。(フィールドオブドリームがいい)ロスタインはその後殺される。この事件の主役、シューレスジョージャクソンは世間から去るが、結果彼のサインは今あまりにも希少なため、サインの価値はベーブルースも及ばないメジャーリーグで最高である・・。

今はこの国では国民の半分が年収3万ドル以下で暮らし。そして彼らはの銀行預金は100ドルにもみたない。(参考添付資料)その一方でこれだけ派手な話が存在する。何から何まで徹底的にアメリカらしい・・。

2012年9月25日火曜日

日中戦争とアメリカ


さて添付は今週のエコノミスト誌の表紙。タイトルには「Could China and Japan really go to war over these?」とあり、実物の表紙では亀が「sadlly yes」とささやいている。(日中は尖閣で戦争までいくの?残念だがそうなるじゃない・・とカメがささやく)

今は日本人の殆どがそうは思ってはいないだろう。そして頼みの米国では、記事の中で、パネッタ長官が、形式的には尖閣が日米安全保障条約の対象であるといいながら、匿名の米軍高官の話として、「アメリカはあんな岩のために戦争はしない」とワシントンポスト紙に洩らした事を指摘している。中国はそれを承知で日本を攻めたてている。

歴史の浅い米国でも、人間社会は同じ歴史を単純に繰り返すことはないが韻を踏む。という有名な格言がある。今年のテーマにした「4THターニング」で、欧州危機の構図も、基本はドイツ対欧州大陸に米英が絡む戦前と同じ構図ではないかとした。

同じように、極東は米中が協調して、実は日本がプレッシャーを受けるタイミングになっていたのかもしれない。しかしまだ多くの日本人はどんな時も米国は日本の味方だと考えている。自民党の石原幹事長は、この期に及んで日米同盟が基本だといっている。(林氏のことはしらないが、どうやら最も米国の実態を知り、国際情勢を知っている様子)。

もしロムニーが勝てばその通りだが、オバマ政権が続けば、米政権は中国を飛び越えて日本の味方はしない。

これまでもアメリカが国家として国際関係で豹変することは何度も紹介してきた。日本では1930年代の米国には、チャーチルよりもドイツを支持する人がそれなりにいたことは教えない。(ヒトラーを支持したわけではないが、)

また第一次世界大戦後、国際連盟を造った立役者の米国と当時のウイルソン大統領が、米国内の中間選挙の敗北で、米国自身が国際連盟に参加しないという珍事を残したこともあまり知られていない。

ここが常々米国の大統領選挙は血を流さない内戦であり、また大統領選挙より世界に影響を与える事象はないとずっと言ってきた所以だ。

いずれにしても、日本のためにはオバマは再選を果たし欲しい。そうすると、日本が米国に抱く甘えは幻想であり、自立しなければならないことが明確になる。

日本人が覚醒し、更にオバマが再選を果たすことによって、世界は益々社会主義化し、資本主義の終末が明確になる。それにより逆に資本主義の良さが回顧され、そのために必要な規律の回復に繋がる事を個人的には期待している・・。
 

2012年9月22日土曜日

感情とビジネス


アップルに関し、フェイスブックの上場では事前に真贋をつくレポートを書いたヘンリーブロジェットが面白いレポートをした。専門家がみれば今回のアイポーンはキャッチアップの改良型であり、初代のようなイノベーションモデルではないという。そして現象として、ここのまで消費者を独占した以上、スティーブジョブズの本質であったアンダードックの挑戦」完全に終わったと考えるべきだという。

たしかにマックを出した80年代初頭、そして復活ののろしとなったアイポットの頃のアップルにはメジャーでない優位性があった。ブロジェット氏はそれを、商品の独自性に加えた「消費者の判官びいき」といっていた。ただこれからは強すぎるアップルへのライバルの提携が起こるという。 

個人的にはこのリスクに加え、感情が主役のカントリーリスクも脅威になるとみる。(フランスを見るまでもなく、収益を支えたグローバルな利益の仕組み)

そこで「感情とビジネス」を考えた。海外で商品がヒットする云々の前に、そもそも日本人は平和を錯覚していないだろうか。平和は平和を唱えることで達成された例はない。自分が平和的なら相手も平和的だと考え、企業利益と国家利益は完全にイコールだと考えているとしたら、そこには感情に対するリスク感覚が見当たらない。

実際世界の平和は武力で維持されている。しかし戦後にその役割を剥奪され、そのうちソレが常識になってしまった日本。だが戦後も中国はソ連と国境線で戦闘を繰り返し、アメリカもずっと戦争をしている。イギリスでさえフォークランド紛争を起こした。ならば今こそメデイアは日本常識が世界の常識と完全にイコールではないことを伝える必要があるだろう。


2012年9月18日火曜日

義和団の乱について

今日のニューヨークタイムスには、今の中国が、清朝末期の「義和団の乱」の時に似ているという中国人知識人のコメントがあった。(匿名)

義和団の乱は、19世紀末、当時中国国内に深く侵攻したキリスト文化を快く思わない勢力と、
欧米や日本に国内を蹂躙された清朝末期の内部分裂が交じり合い、あの西太后がそそのかした集団(英語ではボクサー)と清軍が、外国人勢力に反旗を翻した事件。

反乱は直ぐに欧米と日本軍に鎮圧されたが、西太后が彼らを国賊にして自らの保身を図ったことで、国民の反感をかい清朝は破滅した。つまりこの匿名中国人は、共産党政権の行く末に懐疑的ということだ。
 
個人的には、共産党政権の抱えるリスクについては同感だが、当時の中国人と、自信を回復した今の若い中国人は別物だと考える。自民党の総裁候補は、これは「外交問題」だと演説しているが、個人的には中国国民の感情問題の様相が強いとみている。だから厄介なのだ。

折りしも今NHKでは「吉田茂」をやっている。日本の領土問題は、敗戦処理のサンフランシスコ講和条約を抜きには考えられないが、この会議には中国とソ連は参加せず、韓国は戦争突入時に既に日本に併合されていたので参加する権利さえなかったことを日本人は思い出す必要がある。

会議を強引に推し進めた米国のプライオリティー(反共)に吉田日本が上手く便乗した。NHKのドラマではそんな場面が紹介されるだろうが、一方で国家元首が誰なのかわからないまま、今の経済発展があったわけだが、ソレが今の日本人にどう影響したか(失った真の国際感覚)を日本が自問自答する時だ。
 
敗戦時の領土解決は、当時の米国の威を借りたものであるのは否めない。ではもし今の領土問題に米国がコミットしなかったら日本はどうなる。ここはオバマが勝つか、ロムニーが勝つかで大きく変わるが、米国を知る立場から、そのイメージを日本は持つ必要があると強く感じる・・。
 

2012年9月15日土曜日

世界史の中の日本史


オバマ政権は、GOOGLEに、反米アラブ動乱の原因となったYOUTUBEの配信停止を要請した。しかし同社は拒否した。GOOGLEはブッシュ政権とも中国政府とも安易に妥協しなかった。そのあたりはアイビーリーグではないスタンフォード的反骨心を感じるが、オバマ政権はフェイスブックに肩入れした一方GOOGLEへはこれまで目だったスタンスはなかった。しかしオバマは国益に危機が発生した際、全てのインターネットを支配する大統領令を出している。そろそろ発動だろうか。

一方で中国の反日デモやアラブの反米暴動は神の存在をうかがわせる偶然性だ。アメリカ中心になってしまった今の日本は、過去中国から受けた恩を忘れ、勃興してきた今になって中国経済の勢いだけを取り入れようとした。尖閣は領土問題だが、中国人の中にそんな日本と日本人への怒りがある危険性への準備を怠ってきた。日本のマスコミの中国を新興国扱いするセンスの無さを再三触れたが、そのつけをこれから日本は払うだろう。

米国も一方的にイスラエルに肩入れしながら身勝手な民主化をかかげてイスラムに関わってきた。「正義とは強者の自己利益」は常識として、本来は米国内統一の目的だったマニュフェストデスティニーを、第二次戦世界大戦後に世界で推し進めた反動がそろそろ逆流するタイミングになっている。アラブが民主化を叫びながら不満は最後アメリカに向かうのは判っていたはずだ。

今はネットという新しい媒介で「整合性のないうねり」が生まれる。こうなると、後世で歴史上の出来事として記される何かが起こると覚悟したほうがいい。「整合性のないうねり」を説得や性善説で説き伏せるのは可能かどうか。残念ながら歴史はそんな夢物語を認めないが、その感応度で日本が異質なのは、学校教育で日本史と世界史が分かれていることが一因だと考える。

ずばり、国際感覚を養成するなら、日本史と世界史は一つの教科として学ぶ必要がある。なぜなら歴史は一つだからだ。世界史は教科書で学ぶと概ね4大文明から欧州へ展開されアジアは後回し。それぞれを時系列で学ばされる。しかし教科書にはあまり書いてない秦や前漢とローマ帝国の関係や、鄭和と大航海時代の欧州を比較することで探究心は生まれるわけで、世界史の中で日本史を考えることは国際人は必須だろう。

外交官を目指す優秀な人はそんなことは知っているとして、もともと独自の文化をここまで誇った日本国民が、これからもそのよさを守るためには最低限の国際感覚が必要になる。世界史の観点で日本がここまでこれたのはなぜか。その延長でこれから日本はどうすべきか。そんな基本を、リテラシーの高い日本人がやらないのはあまりにももったいない・・。

2012年9月12日水曜日

悪事のご褒美

2008年、スイス大手銀行のUBS社は、同行のスイスに口座を持つ米国内の金持ちたちに、脱税の指導したという理由で米国当局から告発された。

結果的にUBSは700ミリオンの罰金で刑事告発を免れたが、元UBS社員で、脱税のスキームに関わった張本人に、本日IRS(米国税務局)から100ミリオン(78億円)の小切手が渡された。
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この社員は自ら有罪を認め服役したのだが、彼の内部告発でIRSは口座を持つ米国の金持ちから5ビリオンダラー(4000億円弱)の追徴課税をぶんどることができた。元社員への小切手はそのご褒美である。

米国は2006年からから、内部告発者には、本人が罪に関わっていたとしても、ご褒美を回収金の10%を上限に払うことにした。ただこの制度があまり有効でなかったという批判から、今回これほど思い切ったことをしたらしい。

それにしても、日本人の感覚からは内部告発者に対しては、悪事へのご褒美。しかし結果的にIRSの金庫は4.9ビリオンの入超になった上、これで懲りた金持ちはこれからきちんと税金を払うかもしれない。

まあどう思うかは人それぞれだろう・・。

2012年9月8日土曜日

今の時代を考える・・


いよいよNFLが始まる。サンフランシスコ49sの名前の由来は、1849年のゴールドラッシュで一年でサンフランシスコの人口が20倍になったことに由来する。同じように、今年はノースダコタのオイル産業が大勢の新規労働者を集めた。しかしまだプロフットボールチームを作るまではいかないようだ。

さて、数ある経済指標の中で、最も重要なものが今日発表さた雇用統計。これで株や債券は大きく変動する。(好調だと金利が上がり、ドル高になる)またオイルや穀物の先物価格も大きく動かす。つまり、実体経済に関わるビジネス全般のコストに非常に影響する。
 
その中で注目は農業分野以外の新規雇用者数と失業率。米国経済が順調に成長するには平均で毎月18万程度の新規雇用が必要とされるが、オバマ政権になってその実績は遠く及まない。

共和党はこの責任をオバマ政権に押し付け、選挙戦を戦っている。しかし米国の失業率が下がらないのは、オバマ政権の景気対策だけが原因ではない。

そもそも資本主義とは、安い労働力を使って会社が利潤を出す仕組み。第一産業革命で効率のよい生産ラインを得た英国は、世界の工場といわれた。この時おこっていたのが「インクロジャー」であぶりだされた農民の工場労働力への転換。
 
英国は、エリザベス一世以降、中央集権が進み封建制度が崩れていったが、その過程で貴
族の荘園で代々暮らしていた農奴たちはあぶりだされ都会で暮らすようになった。世界の工場を支えたのは実はこの格差でもあった。
 
この頃から英国政治も資本家と労働者を代表する二大政党制の色合いが強くなる。そして、独立した米国も二大政党制を引き継いだ。米国では、19世紀末までに、ロックフェラー(オイル)カーネギー(鉄鋼)バンダービュルド(鉄道)ハリマン(鉄道)フォード(車) ベル(通信) エジソン(家電)、デュポン(科学)、JPモルガン(金融)ライト兄弟(航空)などが登場した。

そして南北戦争が終わった1865年ごろから、彼らの産業基盤と共和党は大躍進を遂げる。
この50年間、民主党の大統領はただ一人だけだった(クリーブランド)。

この頃を第二次産業革命と言うようだが、この産業革命後、拡大した貧富の差は縮小する方向に動いた。1912年に民主党のウイルソン大統領が登場すると、戦後を含め、米国は民主党全盛の時代になる。例外は1920年代。この間は、G.W.ブッシュの2000年~2008年に酷似している。

ただ第二次産業革命までは、労働者と資本家は、反目しながらも国益上はバランスが取れていた。たとえばヘンリーフォードのおかげで庶民も車が買えるようになり、組み立てラインの発明で大勢の労働者が必要になった。

その需要はこのシカゴを含め、ミシガン湖の周りの工業地帯(RUSTBELT)に向かい、南部の黒人の大移動を起こす。その過程で生まれたのがジャズやブルース。また車社会になると、アイゼンハワー大統領は米国に高速道路網を作った。この大事業には、戦争が終わった退役軍人が参加した。

アイゼンハワーは結果的に共和党から立候補したが、実際は民主党との間で迷ったとされるほど
民主党的な共和党の大統領だった。ちなみに、リンカーンからの共和党全盛(1863~1912)の反動で、フルランクリンルーズべルトからとニクソンまで民主党の全盛が続いた(1933~1969)では今はどうか。

そもそも不満の何もかもを、リーマンショックからの金融危機と、欧州の衰退のせいにするのは無理がある。そこで、エコノミスト誌が現在の大きな潮流として紹介した第三次産業革命について触れる。
 
2年前、499ドルで売り出された初代 ipadのコストは実は33ドルだったという。そのうち、組み立て地の中国に落とした経費はわずか8ドルアップルはこの利潤を itax と揶揄される特殊な手法で米国本社に戻していた。

その仕組みると、アップルの本社はカリフォルニアだが、アップルはグループ全体の資金管理会社をネバタ州に持っている。カリフォルニアは法人税がかかるが、ネバタは法人税がゼロだ。
 
また、アップルは物流過程で発生する利益をを抑え、知的所有権で利益が出るようにした。その結果、欧州を経由してケイマンの非課税地区に一旦利益を集約し、そこから米国内に戻すことで、最終的に純利益に対して米国に落とす税率を9%まで削減した。(エコノミスト誌)

こうなると、オバマとロムニーの選挙戦の争点でもある法人税は、実際は25%でも35%でもあまり意味はない。

これがアップルの莫大な利益の仕組みだが、itaxをふくめ、同社の米国益の貢献は非常に微妙だ。まず労働者はいらない。続いてせっかく本社があっても、財政に苦しむカリフォルニアへの貢献は少ない。

ならばどうするか。米国がアップルの利益をを国益にするには、つまるところ国民がアップルの株を買って儲けることしかない。市場を見る立場から、これを戦略的にやっているのが米国のすごいところだ。
 
しかしこれを第三次産業革命というなら、我々もその仕組みを知り、積極的に参加するのか、あるいは、何も知らずにアップルの商品を買っているだけかで大きく変わる。ここでは大きな格差が生まれるだろう。

そんななか、先日、世界最大のファンド’運用会社PIMCO社のトニークレセンジ氏がこんなことを言った。

「 400年前、中国と欧州の庶民の平均収入は同水準だった。 しかし過去200年間、産業革命もあり、欧米では資本主義が発展した。結果、豊かさで欧米は中国を大きく引き離した。だが欧米の中を見ると、人口の15%だけが資本主義のメリットを受け、残りの85%は貧困に追いやられていた。そしてそれが全体の豊かさとして還元されたのは、1950年代に入ってからである・・」

そういわれると、なんとなくそんな気がする。たまたま我々はよい時代に生まれ、よい時代にビジネスをはじめただけなのかもしれない。しかし時代としてはまだ資本主義が生んだ格差の修正期にあり、リーマンショックも、欧州危機も、その過程の出来事として、今後の展開を予想する感覚がビジネスにも必要になる。

そして第三次産業革命の主戦場である知的所有権の現場では先日アップルとサムソンがぶつかった。韓国には失礼ながら、米国ではこれは本質的に「アップル対グーグル」の戦いの前哨戦としか見られていない。

結果は一勝一敗。しかしアップルは「利潤の本質」である特許の裁判において、陪審制度のある米国と、裁判官が判断する(日本型)の違いまで考慮し、告訴状を出す地域を分けてその戦略を練っているといわる(NYTIMES)。このあたり、日本は何年遅れているだろう

いずれにしても、いい物を作れば勝てるという日本のものづくり精神と、第三次産業革命下といわれる現在のビジネスのしのぎはどうやら別物。日本企業も奮起が期待される・・。

2012年9月6日木曜日

アフリカに象のいない世界


衝撃的な特集があった。今アフリカで象がバタバタと殺されている。象牙を狙った密漁は今に始まった話ではない。だが今は昔のような牧歌的密漁ではなく、組織的かつ大胆。密猟者はグループでヘリコプターから群れを襲う(乱射)。そして瞬く間に象牙だけを切り取って去っていく。

関係各国は軍を導入し密漁者と対峙するが、軍関係者が密猟者グループと関わっているケースも多い。そこで繰り広げられる人間同士の銃撃戦は冷血そのものだ。

一匹の象から取れる象牙は、彼らの年間平均所得の10倍になるらしい。国際社会は密漁カルテルの中心いる人物まで割りでしているが、彼は捕まらない(ジョセフコーニー添付写真)

ならば需要を抑え、価格を下げたらどうか。そうすれば象を殺す理由はない。ところが、世界の象牙重要の80%をしめる中国人の需要はとどまるところ知らない。彼らにとって象牙を日常品として所有することが豊かさの証明になるらしい。

世界が世界経済の牽引車として、中国に期待すればするほど象は死んでいく・・。

この構造をメキシコからの麻薬流入に悩む米国と重ねることも出来る。主な市場は米国。麻薬王グスマンはつかまらない。

彼を捕まえる警察関係者、同じ商売の仇敵、三つ巴の殺戮の結果、首のない死体は動物の死骸のようにあちこちに転がっている。アフリカの密猟者と取り締まる側の兵隊の関係も同じ。先に相手を見つけたほうが乱射する。悠長な言葉のやりとりはない・・・。

18世紀中旬、入植が始まった中西部では、豊かになっていく東海岸に向けてバッファローの皮や肉が開通した鉄道によって大量に運ばれた。

正確な数字は誰もわからないが、専門家によれば6000万頭はいたとされるバッファローは100頭前後まで減ったという。個人的に、アフリカ象がいない地球は想像できない。

2012年9月4日火曜日

草食時代





北京で大使の乗った車から日の丸が奪われた事件。その後の中国政府の対応は比較的に日本に対し真摯である。

そもそも竹島と尖閣の問題に対する専門家の解説は概ね同じ。だがあの毒入りギョーザ事件でも反日の世論に遠慮して実行犯をうやむやにした中国政府が、なぜ今回はシリアスなのか。

この事件で思いだしたのは「アロー号事件」。当時は清末期、今の中国人が自国の屈辱と考えているはわからないが、反英国の感情むき出しにした中国人が、イギリス船籍の船から英国国旗を奪ったことに対し、英国は大軍を派遣し北京まで迫った。これで中国の屈辱が完成した。

今の日本人は国旗を奪われたぐらいでは怒らない。だが帝国主義全盛の当時は十分な開戦理由である。中国ではよく「日の丸」は燃やされてる。ただ傍若無人な国民が、相手から直接国旗を奪い取るという行為は別だ。中国政府にすれば、嫌な過去を思い出すには十分。

相手が日本でよかった。

ところで、「平清盛」は最後まで視聴率が上がりそうもない。戦国時代や幕末のような派手な命のやり取りはあまりなく、まったりとしてたあの雰囲気はどこか現代の平和ボケに類似している。だからドラマとしては面白さにかける。

おまけに平家は草食男子。壇ノ浦で滅びるにしても、武士ならもっと勇ましく最後を迎えるべきだった。一族もろとも入水自殺とは。切腹の作法が無かったとはいえ、やや情けないだろう。

考えてみると、当時は中国もめずらしい草食時代?。宋は武力を好まず、敵国に献金して平和を維持した。だが宋は結局モンゴルに滅ぼされた。

結局弱ければ最後は同じ。それは平和維持とは違う次元の話だろう・・。