2013年1月21日月曜日

危機突破時代、社会科科目の実用性

日本では大学入試のシーズンを迎えたが、世界でいろいろなことが起こる中、これまで当たり前だったことが疑問になった。単純比較だが、米国の高校生が受ける共通学力テストには日本の「社会科」科目はない。あるのは「地理」だけだという。

理由は、地理以外の「公民」の価値観、「政治」の態勢、それぞれの「歴史」や「経済」モデルの有効性の答えは一つではないないことを、米国は受け入れざるをえないからだろう。

これは世界を相手にする日本にとっても重要なポイントだ。入試で社会科の試験がないアメリカだが、現実の政治経済の実務では柔軟性を持つ。一方で正解を決め付ける日本は、自分の正論でアメリカを見ることが多い。そしてアメリカをわかったつもりでいる人もいる。

そんな中でアルジェリアで悲惨な事件がおきてしまった。日本政府と日揮にとっては政府軍がこんなにも早く強攻策に出たのは予想外だったと思う。施設にはいろんな国の関係者がいたが、日本人の被害が一番大きい可能性が出てきた。

こちらの記事では、米国は特殊部隊と無人飛行機をマリまで派遣したことが伝わっている。英国は事前にアルジェリア政府に特殊部隊の派遣を問い合わせたようだ。当事国の一人のフランスは自国の人質が少ないことは早くから知っていたらしいがそれ以外の情報はない。

ではもしアルジェリアが欧米の干渉を嫌って強攻策に出たなら、この場合は英国ではなく米国の素早い行動が仇となったことになる。これで思い出したのが世界史の観点での日米関係の始まりである。

そもそも日本人は明治維新を日本人として語る。最近の英雄は坂本竜馬だ。個人的にはずっと佐久間象山の扱われ方に不満を持っていたので、今年の大河ドラマには期待している。それはそれとして、江戸末期の日本にはアメリカ人よりも先に欧州商人が入り込んでいた。彼らにとって黒船の来航は迷惑だったと思う。

当時のアメリカは建国の魂を引き継いだジェファーソンージャクソンの民主党支配が終り、東部重商主義者のホイグ党から大統領が出ていた。ペリーを日本に遣したフィルモアは、植民地支配で欧州に遅れているアメリカに焦っていた。

一方植民地支配は経験済みの英国は大国の清朝で現地商人を通してアヘンを売り始めていた。欧州はまず商人が静かに入り込み政権に取り付く。そして政権が欧州の意図に気付いたときには手遅れ。もし軍事行動でも起こせば武力で圧倒的にな欧州には絶好のチャンス。内戦になれば両方に味方して儲ければよかった・・。

一方アメリカはそんな遠回りはせず、いきなり黒船で現れ日本人の目を覚ました。今から考えると日本はアメリカに起こしてもらって ラッキーだったと思う。このショックがなければ日本は老獪な英国かフランスの餌食になっていたのではないか。いずれにしてもそれで明治維新へのインセンテイブが生まれた。日本にとって、明治維新はこの後のドラマをいう。

しかし今回のアルジェリアの悲劇は、オバマ政権がビンラデイン殺害以降誇ってきた危機突破の成功率が、ベンガジで暗転してしまったことと無関係ではないかもしれない。ヒラリーはベンガジの不手際を責められる公聴会を仮病を使って避けたとえいわれるが、財政でワシントンが難題を抱える中、英国に比べてアフリカは得意ではないアメリカの素早い行動は日本にとって仇となったのではないか。つまり黒船のような刺激が逆効果だったという事である。

ただし時代はこのような危機がこれからもあちこちで起こる可能性がある。ならば日本人は入試の社会科科目の正解を一度忘れるべき時が来ているのかもしれない。教えられた公民の概念、経済の仕組み、社会人としての常識は、日本の社会を守るためには大事なことだが、ソレを前提に海を渡ってはならない・・。



1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Hello. And Bye.