2013年2月21日木曜日

株が終わる日 (マネー原理プロから)

元々かなりのあまのじゃくだが、日本ではこれから株が復活すというのに、今ほど「株が終わる日」について考えることはない。先週はその昔、株と実態経済の乖離を根拠なき熱狂といって警鐘したのグリーンスパンが、衰えた姿をCNBCに晒し「今の経済は株が全て」と認めていた。

その通り。だが皆がこの本末転倒に違和感を覚えなくなった瞬間からそのエンデイングは始まる。その原則は変らない。~~主義のどうでもいい議論でごまかし、一番重要な市場原理から逃げた現代へのペナルティー(調整)は必ず来るからだ。

ただそのクライマックスはいつか。相場ではそこがすべて。なら注意すべきは雰囲気。今世界がやっていることは、中央銀行を使ったポンジースキームと為替誘導。にもかかわらず誰も公式には認めようとしない。

つまり皆がいいことではないことを知ってごまかしている。現代人はここまで弱くなった。最大の理由はアメリカがそうしているからだ。そのアメリカはもう原理主義が復活する可能性はないのではないか。その最大要因はヒスパニック

オバマが再選されたのは、ヒスパニック戦略のおかげだった。昨日オバマ政権は、8年以上米国に住む1100万人の不法労働者にも永住権を与える可能性を示唆した。(勿論実現まではハードルが高い。だが共和党でさえも次はキューバ難民の英雄のマークルビオでいくご時勢・・)

これも民主党の選挙政策。それも仕方がない。2040年までには白人を抜いて最大の勢力になるヒスパニックの勢力は凄い。先日祖父母が米国に渡り、孫の世代が子供生むようになったら、その一族が200人の膨れ上がったメキシコ人が話題になっていた。

中絶どころか避妊さえあまりしないカソリック系ヒスパニックの人口増殖率は脅威。これが続けば、共和党とTEA PARTYは死滅し、この国はカソリック的救済国家になり、その昔マックスウエーバーが評価した、倹約と勤労を重視したカルバニスト(プロテスタント)による資本主義の繁栄は化石の話になる。つまりギリシャ イタリア スペインの南欧と同じ。(ソレが悪いとは言わないが)

一方でテクニカルな話をすると、今日はヘッジファンドのアイホーンとアップルが裁判所で優先株をめぐって証言する日だ。アイホーンは460ビリオンの時価総額のアップルに、既存の株主に対し、総額500ビリオン、4%の配当の優先株発行を求めている。

NYTIMESによれば、アイホーンは社債は会社の価値を減損するが、4%配当の優先株500ビリオンの発行は、20ビリオンの棄損にすぎず、むしろ会社の価値を増やすと主張しているらしい。彼の試算ではその場合の会社の価値は800ビリオンに増加するというのだ。

アイホーンの主張はこうだ。アップルは無借金の上に135ビリオンのCASHを持つ。しかしCASHの大半は海外にあり、米国に戻すと巨額な税金が発生する。それなら優先株を使い、投資家の期待値をEQUITY増加につなげるほうがいいと言うこと。

WORKするかどうかやってみなければわからないが、会計の専門家は疑問を呈している。ただアイホーンに抵抗するアップルCEOクック氏でさえ、先々週のゴールドマンサックス主催のハイテクサミットで「アップルは最早物づくりの会社ではない」という主張した。このような人々の集まるダボスに稲盛さんが行ってもがっかりするのは当然だろう。

そして税金でもアメリカは踏み出そうとしている。抜け道が多い所得への課税ではなくアセットの上昇に税金をかける方向に動き出している。カナダは既にそうなっているが、米国内の州では既にその動きは始まっている。

格付けが最低のイリノイ州では、自宅があるCOOK COUNTYは2012年末に家の価値が10%上がったと通知をよこした。冗談ではない。実勢価格は上昇していない。そんな値段で売れないのに固定資産税を増収をしたいのだ。

こんなことをすれば皆が町を出ていく。これが国家レベルで始まればどうなるか。(その前にテキサスなどは合衆国を離脱するだろう。)

このように、株をめぐる国家の環境は激変している。しかし指数インデックスだけは淡々と上がる。それは過去の救済で生み出してしまったマネーが行き場を求めているからだ。

VIXを使えばヘッジができていると錯覚しながらインデックスETFやETPに入り続けるマネー。ただ何かをきっかけに一斉にUNWINDしたらどうなるのか。

次に何か起こるときは1929年の大恐慌でも2008年の金融危機でもない。「株の終わり」である。その時は日本は独自の道を行けばよい。それが日本の本当の復活に繋がる・・。

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