2013年4月30日火曜日

風が吹けば誰が儲かる (4月25日、真マネー原理プロから)



http://www.nytimes.com/2013/04/25/world/asia/japanese-scientist-blames-china-for-yakushimas-dying-trees.html?pagewanted=all&_r=0

今日のNYTIMESの国際面の一面は屋久島の記事。科学者は、屋久島で頻発する土砂災害の原因は中国の大気汚染だいうのだ。運ばれた大気汚染で木が枯れ、そして土砂災害が起きるというのである。

なるほど。そういえば高村薫の小説に中国の兄弟の話があった。争いが嫌いで貧弱な兄は山に登り、屈強な弟は敵を倒し平野を支配した。しかし最後に
国を治めたのは、水の流れを支配した兄だったという話だ。

同じ意味で、地球という母体で、日本に対し風上を支配する中国を前に日本は勝ち目はない。ならばどう対応する。 そもそも押し寄せる大気汚染の前にどうやって鳥インフルエンザを防ぐか。こちらの方が北朝鮮より怖いとしたご承知の通り。


個人的には、日本の家電業界は、これ以上テレビの画像に金をつぎ込むのは止めて、次世代の空気正常器に注力すべきだと思う。どんな汚い空気が日本を襲っても、家の中では安心して深呼吸が出きる・・。(笑い話ではなく)

先日NHKのクローズアップ現代で、大手が空気清浄機の市場規模を軽視する中、空気正常器に舵を切った家電業者の特集があった。その会社はアイリスオーヤマ。一方円安で一息ついたとはいえ、斬新な発想ができないようでは日本の家電大手は大丈夫か。

既に我々はメーカーでははないと宣言したアップル。今は株価は下がっている。ただし商機があるなら何でも創ると思う。風が吹けば誰が儲かるか。そろそろ真剣に考えよう・・。

 

2013年4月25日木曜日

ゲームのルールと大会のルール(4・11、マネー原理プロから)


このところずっと戦争の話をしてきたが、最後にルールの話をしたい。ポーカーと日本人の関係は過去何度か取り上げた。アベノミクスをめぐる戦争のルールも、ポーカーゲームだと思う。ただそれは二つの意味がある。ゲームのルール大会のルールだ。

ポーカーゲームのルールに関してはもう取り上げない。過去ここで「ポーカーをしないポーカーフェイス」などいろいろ書いた。ここは大会のルールの話。実はポーカーの本質はこちらだと思う。アメリカのポーカー大会は、ラストマンスタンディング ルールである。

普通トーナメントといえば勝ち抜き戦をイメージする。高校野球の甲子園や欽ちゃんのスター誕生など。だがラストマンスタンディングルールは、生き残り戦のことを言う。勝つのではなく負けないこと。それをやり遂げた者が勝者。そのためにゲームでは、ルールで許されたありとあらゆる手段を使う。

具体的には、ファーストラウンドで5人がテーブルについたとしよう。皆同じ金額のチップを持つ。そしてチップを失くした人から去っていく。個々のゲームでは、自分のカードにに勝ち目がないと思えば、一定のコストを払ってゲームに参加しないのも重要な判断だ。

ならば、TPPに臨む日本の代表も、まずはラストマンスタンデイングルールの大会でトレーニングをしてほしいところ。個別交渉(ゲームのルール)に固執しすぎ、大会のルール(最終的に負けない)で負けるようなことにならないようにしてもらいたい。

ところで、ヘッジファンドの世界では、負けなかったという意味では勝負が付いているのかもしれない。この20年間、負けなかった代表はブリッジウオーター。スターヘッジファンドの変遷は観てきた。一時は圧倒しても、ずっとやっていれば必ずどこかで弾にあたる。その意味で、ソロスとバフェットも別格だと思う。

厳しい人生経験を通し、どんな時代にもある人間社会の矛盾にアービトラージをかけるソロス。一方で、いい時にいい所で生まれただけと、さらりと言ってのけるバフェット。人生感と相場でのベクトルは逆だが、二人は米国が支配する大会(現代社会)のルールを熟知している。


アベノミクスは非常手段によって支えられている。今ゲームでは日本の一人勝ちに見える先で、大会のルールでの大負けを喰らわないようにしたいところである・・




2013年4月20日土曜日

ケプラーに日の丸を立てよ。


ボストンのテロ事件直後、オバマの第一声は「こんな日こそ、共和党も民主党も関係なく、我々は皆アメリカ人であることを共有しよう」だった。

やはり米国の大統領は、大なり小なり同じ宿命を背負っている。大恐慌後のルーズベルト。9・11後のブッシュ。景気が悪くなり、支持率が下がると、民主主義は機能せず、国が分裂する危機を迎える。こんな時、国内が団結するような敵が現れるかどうかは重要だ。

パールハーバーや9・11の陰謀説は今も盛ん。だが究極は大統領としての宿命だと思う。ルーズベルトまでは、大統領はワシントンの慣例に従い3選を戦わなかった。その慣例をルーズベルトが破ったので、今は大統領の3選は憲法で禁止された。

だからオバマはもう選挙を意識する必要はない。だが年末に57%あったオバマの支持率は今は46%だ。彼を支えるスタッフには絶頂期だったクリントンの2期目のお手本がある。ここまでは同じ道程。寧ろ株は今のオバマの方が好調だ。ではなぜ支持率がこんな下がるのか。

結論はやはり米国は絶頂期が過ぎたからだろう。中国が今の段階なら、相対的な米国の優位は変化していない。だが本当の絶頂は2000年前後。最後の登りがクリントンの二期目なら、ブッシュからは下りになっていたと思う。

ところが、何とかしたいブッシュ政権は、イラク戦争で外に敵を作り、国内が手薄になる中で規制を外してしまった。殆どの人は、ソレが正しいと考えた。

そしてその過ちの後始末から始まったオバマ政権は、中央銀行の原理原則を変える荒療治で今はこの国を持たせている。しかし足元を見ると、国民の二極化に限界が来ているのだ。

このままいったら大変。民主党のため庶民を重視すれば、保守派と金持ちは反発する。テキサスが独立は絵空事ではない。(ちなみに州別GDPではカリフォルニアが圧倒的首位で、2位がテキサス)

つまり階段を降りる国を背負うオバマは、国民にソレを悟らせず、尚且つ国内を団結させる要因が必要なのだ。ならボストンのテロはそんな要因になるのだろうか。

まあ無理だろう。そしてチェチェン移民という犯人像はストーリーを複雑にした。アラブならもっと簡単だった。まずシリアに圧力をかけ、その延長でイランを仕掛ければよかった。ところが米国は東欧移民に比較的門戸を開いていたといわれる。

現在上院の法案審議のテーマは移民法と武器について。移民法を厳しくするのは、どちらの党にもリスクが大きすぎる。

ところで経済でもリフレと反リフレの議論が終わっていない。ただ勝負はついている。その結果がゴールドの暴落。反リフレ派が煽ったゴールドへの逃避は一端は敗北した。(将来的にはまだ勝負は解らない)

途中イライラしていたのがクルグマン氏だった。躊躇する米国に対し、彼は、もし宇宙人がせめて来れば、誰も財政規律などと言わないとずっといっていた。これは外に敵を作る政治と同じ。

結局、財政拡大、リフレ重視(つまり中央銀行による国債引き受け)派が勝利した。当然だ。今は戦争中だ。ただ面白いのは、G20 では誰もその真実を言わない。

こちらには「皆が一緒に嘘をつけば、ソレは嘘ではない」という言い回しがある。やさしさと弱さの区別が苦手な我々戦後世代は、こういうごまかしが得意だ。本当の事をいうと変人にされる。

ただこんなことをしていると、いずれバブルではなくバベルの塔の崩壊が起こる。核戦争の終局が人類の破滅なら、この通貨戦争の終局は、ペーパーマネーが価値を失った映画「The Road]の世界だ。

ところがそういう悲観を一変させる発見があった。なんと1200光年先に人類は第二の地球を見つけたという。それがケプラー62.

こんな凄いニュースが出た以上日本はアベノミクスの議論などしている場合ではない。科学技術を結集し、真っ先にこの星に日の丸を立てるべき。ただその前に、クルグマン博士の願望が先に実現するかもしれないが・・。


http://www.nytimes.com/2013/04/19/science/space/2-new-planets-are-most-earth-like-yet-scientists-say.html?pagewanted=all

2013年4月16日火曜日

サッチャー女史について、(4・8のマネー原理プロから)

 

コストと犠牲を考える時がきている

サッチャリズムと同時進行したレーガノミックスと日本のバブル。この時日米では英国のような格差は生まれていなかった。やはりシティ(ロンドンの金融街)のビッグバーンで景気を回復した英国は、日米の先を歩いていたことになる。それが金融による景気回復の特徴だ。

その後米国は、ブッシュ政策でバブル景気のなかで格差が開いた。そして金融危機後、米国はバーナンキの超緩和金融政策で異次元の開きを迎えつつある。バーナンキはこの格差をコストと呼ぶ。

そしてアベノミクス。そろそろ負の影響が出そうな日本は、コレをコストと割り切れるだろうか。朝日新聞など、はコストとは言わず、犠牲というだろう。コストと犠牲。ずいぶん響きが違う。

それを踏まえ、添付写真を観て欲しい。全て今日のNYTIMESから(4・08)。女性はアフガニスタンで殺された若い米国の外交官。その横は、同じ週に米軍の無人爆撃機の空爆で死んだアフガンの子供たちだ。

彼女はイリノイ出身。非常に優秀な成績でジョンポプキンス大を卒業。女性外交官として異例の抜擢を受けて赴任したばかりで自爆テロに遭遇した。

一方、オバマ政権になって無人攻撃機によるターゲットKILLINGが3000人を超えた事が今日の同紙で報道されている。その中にこの子供たちがカウントされているのかわからない。子供はターゲットではないのでカウントされていないだろう。

オバマ政権の攻め手に欠く共和党は、ブッシュ政権時に比べ、極端に増加した無人爆撃機によるターゲットKILLINGが非人道的だと言っている。バカバカしい批判だ。だが感情的には納得してしまう。

オバマ政権は、デタラメな言いがかりで戦争を始め、10万人のイラク人を殺し、6000人の米兵を殺したブッシュ政権に代わってイラクから完全撤退を完了した。またアフガニスタンではビンらディンを仕留めた。

結果、双方の犠牲者は劇的に減った。だが無人爆撃機による子供たちの犠牲は避けられず、CIAや特殊部隊に頼る一方、外交官の犠牲も彼女だけではない。

どうしようもない世の中の犠牲。コレは平和のコストなのか。彼女は地元の学校に援助資金で購入した文具を届ける道中に殺された。日本はこのグローバルポリティカルマクロの峻厳の中で、相対的に優先順位をつけていく覚悟ができているのだろうか・・


< 痰壺を持ち込んだ会議 >

そのサッチャーが亡くなった。尖閣にからんでいずれ紹介しようと思った話がある。1982年、まず日本に寄ったサッチャーは、多忙なスケジュールをこなし北京に入った。待ち受けたのは趙紫陽

サッチャーはフォークランド紛争に勝利し、意気揚々と中国に入った。ところが、晩餐会では趙紫陽だけが出席。リーダーの鄧小平はなんと同じ迎賓館の別の部屋で行われた金日成の歓迎パーティーに出席していた。今では考えられないスケジュールの鉢合わせである。

当時、鄧小平が大英帝国より共産主義の同胞を優先したのは当然。ただそれはイデオロギーだけではなく、サッチャー訪中の本題、香港返還に向けた初会合にむけ先制パンチを狙ったといわれている。

当時の中国の国力は今とは違う。一方サッチャーは国内景気と戦いながら、フォークランド紛争では鉄の女の本領を発揮したばかり。彼女は100年前に香港返還を約束した条約は、当時の清政権が存在しない以上無効と考えていた。

そして後に結ばれた二つの条約を前提に、領土の返還はしても、香港の人々の民意を優先し、(ほとんどが英国にとどまることを支持)期限が来ても統治の変換はしないというが英国のボトムラインだった。

ところが、翌日サッチャーと会談した鄧小平は更に衝撃を与えた。まず紳士淑女の英国のマナーに慣れた彼女に対し、タンつぼを横に置き全くのマイペース。そして彼女が変換を渋ると、ならソ連国境を警備する軍隊を動かすと脅した。(香港に向けて)

その後、外交的な交渉が繰り返されたが、最終的に全面譲歩したのは英国である。これはまだ国力が弱かった頃に英国を屈服させた中国の話。よって今の中国が尖閣を奪いにくるのは当然。だから英国のエコノミスト誌は、日中は必ず戦争になるとのカバーページを出したのだろう・・。


2013年4月11日木曜日

本当のアベノミクスの生みの親


 
 
米国では第一四半期の株式ETFへの資金流入は、史上最高の65ビリオンダラーだったらしい。(6兆5000億円)。債券から流れた事実はなく、殆どが10T(1000兆円)といわれた待機資金(M2)から移動した。

65Bは10Tの0.65%。10Tの全てが株に流れることはありえないが、それでもいかにマネーの分母がいかに大きいかがわかる。日本の経済規模は米国の1/3。その日本がマネーの分母は米国と同等か、それ以上を目指すという。それがアベノミクスだ。

そのマネーが米国のように株式相場に流れる仕組みができればどうなるか。考えるまでもない。日経平均の2万円、3万円の復活の話。論理的には絵空事ではない。

ところでこのマネーの分母(ここではM0~M2)は The lender of last resort(最後の貸し手)という称号を持つ中央銀行の特権だ。ただ金融が物々交換の手段から信用創造へ変貌してからは、この秩序を守ることは覇権国家の中央銀行の責任でもあった。

だから中央銀行は相応のゴールドを保有し、システムを担保した。逆に言うと、覇権国家の中央銀行が相応のゴールドを維持できなくなった時、役割を次の覇権国家に渡すことが必然だった。

これをひっくり返したのがニクソン。彼は米国と中国・台湾の関係をひっくり返し、ソ連との冷戦では自分がソ連に出向き、緊張を和らげ、ベトナムからも手を引いた。(こうみると、誰が米国の覇権維持に貢献したかは明白である)

ちょうどこの頃、現在世界最大のヘッジファンドブリッジウォーターの創設者のレイダリオは、地元のカレッジを卒業し、ニューヨーク証券取引所で丁稚奉公(フロアーアシスタント)をしていた。

そしてニクソンショックで先輩が暴落を心配するなか、実際は4日間の大暴騰となり、その時初めて株の本質に触れたと回顧している。(ALL WEATHER LETTER)

こうみると現在の金融政策起点はニクソンだと思う。ただし金本位を止めた後も、FEDは最後の貸し手として金融の秩序の維持に最大の重点を置いていた。だからボルカーはあそこまで批難されても、インフレ退治を優先した。

このボルカーとグリーンスパン時代、我々は市場と金融の基礎を経験した。そのため金融危機後の5年間のあまりのFED変貌ぶりに、一部はゴールドへの回帰を叫ぶようになった。これが5年間のゴールドブーム。

しかし変貌が肯定化されると恐怖心はやわらぐ。それどころか、今この中央銀行の変貌は新しいルネサンスだという。

特にバーナンキしか知らない世代は、今がルネサンスだと聞いてわくわくしている。ただソレを信じられない人も多い。ゴールドはこの心理戦に直面している。だから株式と相反するのだ。

このまま中央銀行が緩和策に突き進んでも、国力の相対関係で米国の優位性は変らないので、アップダウンはあっても株は順繰りで上昇する。直ぐに構造が崩壊するイメージはない。ただ残った悪いシナリオは二つ。

まず中央銀行が緊縮へ回帰すること。オバマ政権は二期目の安定期に入った。どうやらバーナンキの次はイエレンの可能性が高い。それは超緩和策の禅定を意味する。ただ何らかの理由でFEDが緊縮へ戻れば今の護送船団は崩壊する。

我々甘やかされた戦後世代が自分から苦難の道を選ぶとは思えない。よってFEDが緊縮へ回帰することは想定していない。では別の悪いシナリオとはなんだ。ヒントは旧約聖書だと思う。

旧約聖書では、アダムから数えて数々の苦難の道を歩んだ人間は、ゆとりができると酒池肉林の世界に落ちた。神は人間を懲らしめるため大洪水を起こした。謙虚だったノア一族は助かったが大勢が死んだ。これを日本の土地バブル崩壊、アメリカの住宅バブル崩壊としよう。

そして旧約聖書では、時がたつと、人間は大洪水の反省を忘れ、今度は神に挑戦するようになったという。人間は考えた。もし人間が神と同等の力を持てばもう怖い物はない。そこで人間は神のところまで達する塔を造り始めた。

順調に高くなる塔。人間は神に近づいたとまた浮かれた。そしてその様子を見ていた神は人間にある物を与えた。言葉だという。すると、塔はあっけなく崩れた・・。

今市場ではバーナンキ議長は神のように崇められている。では今の中央銀行主導の株式相場は新しい金融ルネッサンスの始まりか。それとも、旧約聖書で人間がノア大洪水と、バベルの塔崩壊までの間に味わったユーホリアか。

そういえばイタリアでルネッサンスが起きた理由は、東西南北の文化が融合したコンスタンチノープル抜きには語れない。ただその時、中国から欧州にもたらされたもの中にペスト菌があった。ルネサンス期の人間社会は実は悲惨なことが多かったのだ。

個人的には、北朝鮮のミサイルより、中国のインフルエンザや公害のほうが怖い・・





2013年4月8日月曜日

一流ブロガーの二流評論

最近これはという評論を聞かなくなった。自分も含め、素人がブログをやるようになり、真の評論とブログの区別がつかなくなったからだろうか。

そもそもブログは共感が生命線。フェイスブックのいいねも似ている。ただそれでは一流ブロガーが語る二流の評論で、衆愚政治が加速するという恐れもある。

一方で 評論は共感がベースではない。まあ自分と同じ目線の話が一流の評論であろうはずがない。そのぐらいの謙虚さが読者の我々にもあるべきだ。

一流の評論は、その時価値観に合わなくても後になって理解できるもの、或はその示唆が現実になればなおさら。そういう評論は果たして今あるのだろうか。或は、そういう評論家が今の時代に健在なのだろうか。

日本にいた93年までの経験から、小室直樹氏には改めて驚嘆するし、思い出すと、バブルを煽りながら、崩壊すると批判にまわったオジサン(今はお爺さん)だらけの中、日下公人氏がバブル崩壊直後、なぜバブルが悪いのかと噛み付いたのを思い出す。

そして逆の現象がアベノミクスを語るブログに散見される。安倍さんの「日銀総裁の首を切っても」発言直後は批判していた人が、自民党が圧勝し株の上昇が本物になると違うことを言い始めている。

昨年11月、ここでもそれまでの主張を変えた。長い間日本の株を見ていなかったが、大手家電五社の合計時価総額価が、サムソンの半分にもならないことを知った。その時に日本の敗戦が迫っていると確信した。

リーマンショック後、米国はFEDの教義を変え、超金融緩和によるドル安で輸出促進 大企業のドルベース収益拡大、国内の資産インフレを狙った。米国はずっと守ってきた金融の秩序を自らひっくり返し、資本主義とはいえない政策で、痛みをとるために何でもするようになった。

まるでドラックで一度死にかけた患者が、ドラック抜きの復活に耐えかね、さらに強いドラックで痛みをとってもらうやりかた。個人的にはこのバーナンキの試みは失敗に終わる。だから米国に迎合しない日銀の白川さんのスタンスは正しいと考えた。

その考えは今も同じ。ただ日本のデフレによる凍死と、いまだに薬に頼る欧米の来るべき突然死の順番を間違えた。先に日本が円高とデフレで死んでしまったら終わり。その時戦争は始まっていることを改めて認識した。

結局アベノミクスに対する賛否は、今が戦争状態かどうかを感じるかどうかだと思う。今が戦争ではないと思っている人は、経済の処方箋でも平時の理論である~主義とか、ケインズ云々をいまだベースに議論している。

武器で人を殺すだけが戦争ではない。戦争とは、指導者が国益のためどんな手段を使ってでもと言った瞬間から始まっている。もし日本にその認識がないとすれば、この戦争もまた負けるだろう。

そしてWHATEVER IT  TAKESを最初に宣言したのは米国。FEDの関係者がそれぞれ役割を分担しながら徐々に宣言していった。だから仕掛けたのは米国である。次に参戦宣言したのがECBのドラギ。そして最後宣言したのが安倍・黒田の日本だ。

勿論戦争はいいことではない。だが避けられない時もある。今回は仕掛けたのは米国。ならば勝つとは言わないまでも、相手が自滅するまで負けない戦をすべきである。欧米は既にドラックを打ちすぎている。ドラックの効果は短くなり、さらにどんどん強くするしかない。

そこで黒田さんが異次元の緩和策を持ち出したのは衝撃だろう。欧米が日本を批判するとしたら日本の優位性を恐れての事だ。禁欲していた日本はドラックの効果は大きい。一方先にドラックに浸っていた欧米が日本に対抗するには、さらに強い薬を打つしかない。

この戦争を続けていればどちらが先に倒れるか。欧米のヘッジファンドが何を言おうが先に倒れるのは彼らだと思う。ソレを信じ、負けないようにすれば日本の勝ち。そして戦争が終わったら、また平和な金融論や経済論をすればよいではないか・・

2013年4月7日日曜日

契約バブル

 
 
バーランダー投手
クレイトンカーショー投手
 
 
先日のダルビッシュの投球は圧巻だった。これで実力ナンバー1のデトロイトタイガースのジャスティンバーランダーも、ダルビッシュをライバルと考えるはず。

そのバーランダーが2月に結んだ長期契約は7年180ミリオン。この金額をもっても、いまだに前回のバブルの頂点、2007年にヤンキースがAロッドと結んだ10年275ミリオンを上回らない。そしてAロッドの契約が異常だったのは、全体に加え保障部分が多い事。昨年、あの程度の活躍だった彼の給料は30ミリオンである。

ではなぜヤンキースがこんな契約をしたのか。まず健在だったオーナーのスタインブレナーと当時の米国の雰囲気が挙げられる。そして最近明らかになった事実は、ゴールドマンサックス。通常スポーツ選手の個人契約にウォール街の証券会社がビジネスとして絡むことはないらしい。

ところが、この時はAロッドの代理人が、知り合いのGS関係者を通し、スタインブレナーに近く、球団としてのヤンキースにアドバイスをしていた別のGS関係者に話を振ったという。結局この3人が契約全体に影響を与えたというのだ。

今から思えば米国でもバブルが崩壊する前夜はいろんなところに兆候があったのかもしれない。なら今年契約が切れるLAドジャースの左腕クレイトンカーショーに、バーランダーを上回る金額を提示すると息巻いている新オーナーのマジックジョンソンは、何かの兆候かもしれない・・。




2013年4月3日水曜日

女性力の新風

英国初の女性商業主席判事のグロスターさん 
 
一票の格差を違憲にとどめず、選挙を無効にした広島高裁の筏津順子裁判長
 
           ケネデイー家のオーラをひきつぐキャロラインさん

世の中には女性にしかできないことがたくさんあるが、世界的に、歴史的にも男性優位の法曹界で、最近特に目立った二人の女性判事の存在は時流を変えるインパクトを持つと思う。

まず英国初の商業主席裁判官として、ロシアの政商ペレゾフスキー氏の訴えを退けたグロスター判事。彼女は原告べレゾウスキーの証言を信用できないと断罪する一方、被告のアブラモビッチ氏の証言は信用した。

裁判に負けたベレゾフスキー氏は、自分の裁判費用に加え、アブラモビッチ氏の裁判費用の560億円を支払うはめに。二人のロシアの政商の喧嘩でちゃっかり儲けたのはさすが英国だ。

失意のペレゾウスキーは、裁判の2年前は3000億円はあったされる資産を失い、自殺直前は故郷のロシアに帰るための旅費5000ドルも古い知り合いに無心するしかなかったという。


また日本では、一票の格差は違憲だけど、選挙は無効ではないというなんとも日本的判断を続けてきた法曹界に、選挙無効という踏み込んだ新風を吹き込んだ広島高裁の筏津順子裁判長。


そして最後はキャロライン ケネデイーさん。


そもそもTPPで環太平洋の成長を取り込もうと言う最中、NYタイムス東京支局長の目には、日本は中国を恐れるあまり。自から太平洋国家を捨てアメリカとくっつきたがっていると映るらしい。
 

その日本に対し、オバマ政権はキャロライン ケネディーさんを新しい大使にすることを決めたという。
 
オバマ政権誕生から彼女の言動を注目してきたが、米国化を加速する日本の大使にここで持ってくるとは。さすが米国。この機微は恐ろしいくらいだ。

多くの日本人にケネデイーの響きは既に過去の伝説。彼女はこの名前が発するオーラに負けないようにずっとがんばった人だと思う。今は日本人が好む品格もあり、米国の国益にとってはこれ以上の人選はない・・。