2013年6月21日金曜日

ザショット 6・17 マネー原理プロから





 
 
米国のスポーツ史でザ ショット(世紀の一打)といわれるものはいくつかある。自分自身もテレビでしびれたが、近年では、引退を覚悟したマイケルジョーダンが、最後の優勝を決めたユタジャズとの試合、残り時間10秒で放ったロングシュートなどが有名だ。

だが専門家の間では、今回USオープンの舞台となったメリオンゴルフクラブで、63年前、同じくUSオープン最終日の最終ホール、ベン・ホーガンが放ったセカンドショットこそが、米国スポーツ史上最高のザ ショットだとの意見がある。

当然ながら、そんな昔話は殆どの人は知らない。YOUTUBEでもアップはなかった。だがその逸話を知ると、確かにホーガンが、米国スポーツ史上の最高のザ ショットだと考え直した。そこでその話を紹介したい。

ホーガンは寡黙な人だったという。19歳でプロデビュー、直ぐにトッププレーヤーになったが、ラウンド中は殆どどしゃべらず、愛嬌も振りまかないので、人気は無かったという。そして彼の時代が始まろうとした矢先、大事故に巻き込まれた。

車を運転中に大型バスと正面衝突。助手席の奥さんをかばったので、奇跡的に自分の命も助かったが、スポーツ選手として致命的な骨盤を骨折した。(実際は全身を複雑骨折)さらには慢性血栓の後遺症まで患うことになった。

医者からは命が助かっただけでもラッキーだったと言われる中、2ヶ月の入院後、彼はトレーニングを再開した。そして半年後、USオープンの舞台に戻ってきた。ただラウンド中は足を引きずる状態、最終日は36ホールの長丁場、途中うずくまるシーンも何度もあったという。

こうなると、事故の前はホーガンが嫌いだったファンも彼の味方。ファンの声援に助けれらながら、最終18番ホールまでたどり着いたホーガンのティーショットはフェアウエイに残った。ただまだ距離は200ヤード以上が残っていた。この時ホーガンが手にしたのは1番アイアンだった

ゴルフ経験者なら一番アイアンがどういうクラブかわかるはず。美しく振りぬかれたショット(添付写真)。ボールはグリーンを捕らえた。翌日、休養した彼は難なくプレーオフを制した。その後、後遺症で試合数が限定される中、彼はメジャーで6勝を飾った。

ホーガン、二クラウス、タイガーの3人を知るオールドファンのなかには、ゴルフ史上最強の選手はホーガンだという意見が根強い。子供の頃に二クラウスを見た。実際にゴルフをするようになってからはタイガーに魅了された。だがこの逸話を聞いて、ベンホーガンが最も偉大だったという話にも納得している・・。

余談だが、20代でゴルフを始めた際、和合と桑名カントリーでハンディー0だった顧客から譲り受けたクラブはホーガンのデケイドだった。軟鉄鍛造の名器。芯に当ることは殆どなかったが、それでもどうせ下手ならと、あの柔らかい打感が忘れられず、その後買い換えたクラブは全部ホーガンだった。

現在PGAのツアープロで、1番アイアンを入れている選手は4人しかいないという。彼らも使うとしたらティーショット。地べたの上のボールで使う意図はないらしい。(NBCUSオープンドキュメンタリーから)
  
それほどまでに難しい1番アイアン。後にホーガンは、練習で完璧な自信を持つまで極めたスイング以外をゲームで使うことは無いといっている。相場の仕事においてもこの意味は深い。

今回USオープンのコース設定はタフだった。最終日に67を出した松山は大健闘である。そもそも全米シニアに勝った井戸木選手ももっと騒がれるべきだ。だが実力と人気のアンバランスのサッカーの前にはなかなかニュースで時間を割いてもらえない。

では距離も長くなり、タフな設定になった一方で、器具やボールが進化した近代のゴルフのスーパースターのタイガーと、あの時代に1番アイアンを使いこなしたホーガンのどちらが凄いのだろうか。

タイガーは2000年以降、マイケルジョーダンに代わり米国スポーツのシンボルとなった彼の隆盛は米国の株式市場と同じだった。2008年に崩れたものの復活、今年タイガーがランキングでナンバー1に戻った頃、米国株も新高値を更新した。

ところが3週間前、タイガーは突如崩れた。過去5回優勝している最も得意だったコースでハーフ46。プロになって最悪のスコアを叩いた。すると株も崩れた。今回のUSオープンには期するものがあったはずだ。だが結果は13オーバーだった・・。

現代のスーパースターのタイガー。一方グレートジェネレーションのホーガン。どちらが凄いのかは難しい問題。だが、中央銀行からマネーをジャブジャブに供給されている今の相場を相手にする我々も、どこかで心に留めておくテーマだと思う・・。

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