2013年8月15日木曜日

ロマンとソロバン (マネー原理プロから一部抜粋)



ところで、このメールの読者の大半が銀行関係者であることを承知で聞きたいのだが、今の銀行マンは、この「半沢直樹」のドラマをどう思っているのだろう。
 
ドラマとしては面白い。池井戸さんの小説はどれもドラマにすると更に面白くなると思う。ただ「下町ロケット」と違い、原作者が三菱銀行出身なら、ドラマを見た若い人は、銀行は本当にああいう世界なのかと思うのではないか。ソレは本当に銀行にとって有益なのか。銀行関係者がどう思っているのか興味深いところ・・。

そもそも今の融資業務にロマンはあるのか。世の中がデジタル化され、シリコンバレーでは新ビジネスを始めた20代の若者に数百億の投資が集まることは珍しくない。一方で組織の稟議を通らなければならない間接金融の融資の対象とは何だ。そこにどれだけのリスクが許されるのか。

アメリカでは良くも悪くも投資はロマン。映画やテレビの格好の題材だ。だが融資がロマンとして描かれた記憶はない。恐らくそんなドラマをやっても、退屈で誰も見ない。ただその結果が今のJPなら、日本では退屈な仕事も重要というドラマも必要。(黒澤明の「生きる」がいい)

JPモルガンはこの2年間で26件のぺナルテイーを食らい、7000億円の罰金を払った。儲かりそうなメタルや穀物商品は買占めた。一方でゴールドは本来紙幣を扱う銀行としてキープしておくべき在庫まで売った噂でもちきりだ。それでもJP株が上がれば経営責任を問わない株主・・。

ゴールドマンも同じ事をやっている。だが彼らのDNAは投資銀行だ。元来米国の投資銀行は自己資本のプライベートだった。それが90年代に上場され、2000年以降は銀行と証券の業際がなくなり、リーマンショック後はゴールドマンにも銀行免許を与えている情況。ただコレはGSの問題というより、許している議会と当局の問題だ。

アメリカの議会は時に脱線する。だが次は逆に脱線してバランスを取ってきた。リーマンショック後の方向から、今の米国徐々には逆へ向かい始めているが、そんな中、一部からジェイミーダイモンは大統領選に出るべきだという声まで上がっている。

行き過ぎにブレーキがかからず脱線。予兆は関係者の底知れぬ自惚れ。その昔籍をおいた米系大手にモンゴル帝国を感じた。同じ確信的崩壊パターンを感じる。
 
そういえば春山満氏が大阪人らしい名言を言っていた。人生は「右手にロマン、左手にソロバン」が重要らしい・・。

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