2008年1月10日木曜日

日本の覚醒

昨日のNH(ニューハンプシャー州)での予備戦の結果、このIL(イリノイ州)では面白い現象が起きている。ILはオバマとヒラリーの地元だが、2/4のIL州予備選に向け、今まで選挙に興味がなかった人々が早々と登録を開始したという。NHではヒラリーの涙が起死回生となった事は間違いないが、今回ILで新たな階層を含めた老若男女を選挙に駆り立てている背景は何か。それは変革に希望を見い出したい若者と、ブッシュからの変化は望むもののリタイアを控え、オバマまでの変化には不安を感じる中高年と、そして純粋にヒラリーを応援したい女性層が覚醒したからだ。いずれにしてもこの覚醒エネルギーの動向を予想する事は誰にもできないだろう・・。

ところで年始のNHKクローズアップ現代は非常に良く出来ていた。ここでプロ向けに数年もかけて解説したグローバルマネーの潮流変化を一般向けに非常に解り易く紹介していた。ゲストとして榊原氏と三菱の水野氏が招かれていたが、彼らは共に米国の衰退と年後半からの中国のスローダウンの可能性は日本にとって禍という意見で共通していた。だが私はその意見に同意できない。

そもそも現象面の解説と次に起こりそうな事象を予想するのが評論家やアナリストの仕事だ。ただ彼らの言う事を聞いているだけでは必要な変化は起きない。米国の渾沌とそれに伴う世界の流動化は本当は日本の覚醒の為のチャンスと考えるべきである。

まずどの時代も口では変化を唱えながら実際にはソレを望まない層と、本当に爆発する力を持つ層と分かれる。例えば明治維新。維新は薩長が主役が定説。しかし両藩の中でも幕府の衰退を感じ倒幕を叫びながらも実は変化を望まなかった層と、実際に維新の起爆になっていった者達を本来一緒にすべきでない。物語の趣旨は違えどその辺りは今年の宮尾登美子の大河ドラマが参考になろう。個人的歴史観では後に元勲と言われた西郷や桂はどちらかと言うと前者で、彼らは途中から圧倒的な変革のエネルギーに迎合していったと感じる。

それに対して初期の段階でバカな挑戦をした代表は高杉だ。端に位置した長州と薩摩が最初に外国の力に遭遇、結果討幕に傾いたのは必然。しかし高杉がまだ保守的だった長州藩の守旧を打破らなければ維新そのものが始まっていなかったはず。それ程農民の兵力化は当時としてはバカな挑戦だった。その意味でこの時代最大の英雄は元勲でも竜馬でもない。竜馬ファンには異論があろうが、個人的には彼は変化の可能性をがなければサッサと日本を捨てていたタイプとみている・・。

では必要な変化を日本で興すにはどうしたらよいか。そもそも必要な変化が何であるかの認識も定まっていない。MEDIAをみてもNHKは明らかに米国型市場原理から離れようとしているのに対し、日経は欧米型の市場ルールの徹底と完成が最重要と見ている様だ。前者は総論を、後者は各論を言っているだけのようだが、そんな中で一番重要なのは、米国がどうなろうとも日本までが自信を失う必要はないという事。今の日本は自分で自分を信じいてない感すらあるが、そんな国が他にあるのか。

この変化に必要なのは外国の諸事に明るい人ではなく、日本を誇れる人だろう。政治家はまずその点に気づき国民を導く必要がある。しかしこの日本の覚醒は戦後一貫して米国が避けてきた事。よってこれまでは実現が難しかった。しかし米国自体が渾沌とした今、実はチャンスが到来したのである。このチャンスに陰気な法律家や経済評論家は不要。ましてや米国が傾いて狼狽している政治家などは愚の骨頂だ。

ズバリお金を使おう。特に嘗て「新人類」と言われた世代は今はバカになってお金を使うべきだ。お金を持っているのは今からリタイヤする団塊の人々だろう。だがこの世代は米国支配の影響を一番受けた人々でもある。一方新人類よりも若い世代は日本が勝ち組だった時代を全く経験していない。デフレしか知らないこの世代に期待するのは酷だ。よって責任は勝手世代と揶揄された新人類世代である。

私を含めこの新人類に今どれ程消費力が残されているか判らない。しかしこの世代が立ち上がらなくてどうする。米国の選挙は非常に面白い展開だが、新人類よ、目覚める人を見て自分達が目覚めよ。

0 件のコメント: