2014年3月19日水曜日

ゲームオブスローンズ 軍師の役割




           ゲームオブスローンの悲哀の小人 ティリオン(HBOから)


          NHK大河ドラマ黒田官兵衛の荒木村重 

       

そもそも今年の大河ドラマ「黒田官兵衛」の魅力は、播磨の特殊な位置と(織田と毛利に挟まれ、京都に近い)、権謀術数の戦国後半、人間がどのような価値観で行動するかだと思う。

それが、結果的に人生の勝利にどう結びつくか。官兵衛はそこが魅力・・。ある意味、その状況は今の日本そのものだ。

まず水面下では分裂に向かう単独覇権国家の米国。(極度の貧富の差をこのままにし、資本主義に必要な修正期間を避けた場合・・。過去米国は、この調整をきちっと行っている・・ )

一方で長い眠りから覚め、再び台頭する中国と、ソ連の復活を目指すプーチンロシア。それらの超大国に、しぶとく対峙していかなければならない性善説国家の日本・・・

ところが、今年の大河は、脇キャラ(信長や秀吉)の偉業が大きく、脚本がスポラディック。ただNHKは、時より驚くほどの時代感覚を披露する。

今年の大河では、これまで戦国物で脚光があたらなかった荒木村重を、それなりに扱っている。
荒木村重は、官兵衛とは好対照の素材だ。

官兵衛は常に勝ち組(信長・秀吉 家康の英雄側)を選ぶ慧眼を見せた。一方で村重は、人質に出した女房を無残に殺され、自分は裏切りを繰り返しながら、時代をしぶとく生き抜いた。

凡人にすぎない自分、あるいは企業に勤める多くのサラリーマンには、天才肌の官兵衛より、本当は村重の能力が参考になると思う。ただそのために村重は何を捨てたか。NHKはこの重要なパートを描けるだろうか・・。

そして、複線として現代の金融市場を見る上でも重要なのは、この時代の「茶の湯」や宗教。

この時代は、誰に仕えるべきか、誰が真の友か。誰も確証のない時代だった。まさに「ゲームオブスローンズ」。しかしソレとは別の次元で「ゼウス」や「利休」がいた。

「利休の十哲」のメンバーを見れば、どのみち秀吉は利休を殺さなければならなかった理由は想像できる。また、信長が松永を「つくもなす」で許した背景も・・。

今の時代、中央銀行が惜しげもなく繰り出すフィアットマネーのヘッジとして、なぜゴールド以外にビトコインが生まれたのか。そして為政者はなぜソレを恐れ潰すのか。

戦国時代、名だたる武将が利休にも傾斜した茶の湯は、漠然としたヒントだと思う・・。

そんな中、米国のケーブルTV番組として、次々に新記録を打ち立てるHBOの「ゲームオブスローン」。そのスケールは過去のTV'番組の常識を超えた存在。オバマ大統領もファンなのは当然だろう。

ただ昨年放送された第三部の最終、日本では絶対にありえない展開があった。

元々実話ではない。第一部から第三部まで、物語の中心的で、あふれる正義感で忠義の父を殺した狂王と、その帝国に復習を誓った主役が、無残にもだまし討ちで殺されてしまった。

そのシーンは残酷そのものだった。それと同時に、この予想外の物語の展開に、日頃性善説ではないアメリカ人にも衝撃を残した。

それでもアメリカ人がこの番組を見る理由は、まずは大人も楽しめるファンタジー。また日本のNHK大河ドラマではありえないエロとグロの刺激(恐らく)。そして何よりも、権謀術数の時代を生き抜く「人間の条件」が明確になってる点だと思う。

まさにここが苦手?かもしれないないオバマ大統領には絶好の教材だ・・

そしてここでは、弱い人間は当然、優しすぎる人間、決断のできない人間は必ず死ぬ。そんな人物がリーダーになった国は滅ぶルールがある。結果、人間として悲哀をマネジ出来たキャラクターのみが生き残っている・・。(1,2,3,と、4THターニングでの人間の歴史の決定的違い)

リーマンショック以来ずっと言っている「4THターニング」の到来が誰の目にも明らかになっている今、実話ではないが、HBOの「ゲームオブスローンズ」を本当は日本人にも勧めたい。だが刺激があまりにも強すぎる。耐えられる人は少ないだろう。ならば、変わりに大河ドラマで荒木村重を・・・・

いずれにせよ、今は好調の安倍さんも、いずれかならず退場する。
よって今の日本に必要なのは、3傑ではなく(信長、秀吉、家康)黒田官兵衛。なぜなら、恐らく、その時までに、米国を軸とした中国やロシアの「ゲームオブスローンの勝者」は決まっていないからだ。

(だから、市場でも、長く持っているだけでも、成長の結果、それなりのリターンがあった長期投資の時代は終わったとした。これは第二と第三のターン、概ね40年間で有効)



個人的に、米系大手金融機関の社員を辞めてから、ずっと「ストラテジスト」のタイトルを使っている。「ストラテジスト」は日本語では「軍師」。「軍師」は先を読まなければならない。

でも誰も先の事はわからない。そして先の事は学校で教えてくれない。それでも先のことを助言するのが軍師。其処が「アナリスト」や「エコノミスト」の解説のプロや、相場の語り人とは違う点。

ただ人間としては、荒木村重や、「ゲームオブスローンズ」での悲哀の小人の策略家、
ティリオン ラニスターが魅力的だと思う・・。



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