2015年1月5日月曜日

年始雑感 ハイコンテクスト社会の未来


                                 
                        世界が驚嘆する日本の高速鉄道網(エコノミスト誌)

暗記だけの歴史教育が見直されるなど、去年は教育制度に変化の兆しがあった。アメリカでは、政府の補助を受ける高校で憲法は必須。2004年の法案で、憲法を履修しないと高校の卒業ができなくなった。(IL州では暗記テストがある)

個人的にこの法案はブッシュ時代の数少ない?良い法案だと思う。アメリカは益々多様化している。なら唯一共有するのが憲法。だから皆が選挙に行く・・

では今日本では本格的な憲法の授業はあるのだろうか。記憶では中学か高校でさらっとやった程度。もし今も同じなら、憲法改正が話題になっても、日本の若者には他人事。

ずばり、若者を政治に参加させ、選挙の投票率を上げたいなら、まずは憲法と日米安保条約ぐらいは徹底的に義務教育でやるべき。ソレもせず、政治家や学者がNHKの討論番組でいろいろ言っても、あまり効果は期待できない。

そういう日本の平和な元旦、夜のNHKの番組で、タモリが「資本主義はもう無理だろう」と言っていた。

同じようなことをこのブログで、また以前コメントを提供していた長期投資のサークルでも言った。でもそもそも資本主義という表現は、後世の人が言い始めただけではないか。

17世紀、混血の極みのアングロサクソンが、株式という形態を考え出す前から、人間の社会には経済があり、投資活動があり、貧富の差があった。

よって長期投資を株式だけで語るのは本来は長期ではない。まあソレが伝わらないなら、伝える必要がないのも相場。なら後はGOOD ON  YOU。

いずれにしても、資本主義に限界が来たと感じるのは、今の社会が自分には冷たくなったと感じる裏返し。中間層が希薄化する中、その崩落に巻き込まれる恐怖を現している。

そして金銭的にその側に立つことは考えにくいタモリが、この言葉を口にするのは、一流の世相観察眼で、次の主流がそちら側に移っていくのを予見しているのだろう。

そんな中、2015年のアベノミクスにもいろんな意見がある。株絡みの仕事をしている人は、一方的な理屈で応援している。でも結局は自分の仕事が儲かって欲しいだけなのは否めない。

個人的にはアベノミクス1.0は、あの時のあの日本には必要だったし、大成功だったと考えている。だが、2.0が単なるその延長では、今度は相対的に上手くいかないと思う。

ただそれでもそこが安倍さんの終わりではない。長期政権への条件は整った。本番は寧ろそこから。2015年は、逆風の中、安倍さんがどう目標に近づくか。興味はその一点。

価値観が多様なアメリカでは、定期的に政権が入れ替わりバランスを取ってきた。一方日本はアメリカほどは価値観が多様化してはいない。なら二大政党でなくともよいはずだ。

ただし、ならばこそ日本の長期政権は、状況に応じて政策が変わるべき。政敵に変節を叩かれるのを怖がるべきではない。それが可能なのが本来は日本のすばらしいところ。そこを勘違いしないほうがよい。

諸刃の剣としてハイコンテクスト(high context) な日本社会では、これまでは一度失敗すると、その経験が活かされにくいという弱点があった。安倍さんはその慣例を破って復活した特異な人だ。

世界史ではこのような人が、良い意味でも悪い意味でも重要。安倍さんにはまだ世間が知らない隠された柔軟性があることを、良い意味で期待している。(もちろんその逆もある)

そして日本がこれからアメリカとどう付き合うか。このテーマに立ち向かうのは、戦後そのアメリカの恩恵を受けた我々戦後世代の責任。しかし、多くは現状の延長(アメリカ一辺倒)が、平和の延長だと思い込んでいる。

世界史は時代にも既得権益世代があることを証明している。なら今の世代が歴史を客観的に観ず、自分が真面目にがんばってきたという経験だけで、未来の平和まで語るのは寧ろ危険だ。

タモリが発言した冒頭のNHK番組で、半藤一利氏が「鬼畜米英」のスローガンを叩き込まれる前の日米関係は、今と同じような良好なものだったと言っていた。

日本が日米戦争へ突き進んだのは、冷静に考えて軍部とマスコミの煽動だけでは無理。どこかで良好だった一般国民の米英への感情が変わる基点があったはずだ。

1924年の外国人排斥法案では、当初クーリッジ大統領は日本は対象外言っていた。ところが、中西部より西の優秀な日本人移民に対するイタリヤ・アイリッシュなどの白人後発組の反発には逆らえず、結果的にワシントンは日本との約束を守らなかった。

それどころか、カリフォルニアの中国人などが政治力を使い、(中国に侵攻したので当然だが)どちらかというと日本人を対象とするような酷い法案になってしまった。

恐らくこの時日本人は米国に裏切られたと思っただろう。でもアメリカの民主主義はこういうもの。アメリカが悪いのではなく、アメリカの本質を知らなかった日本の方が悪い。

同じようなことが第一世界大戦後のドイツにもあり、ソレが第二次世界大戦にもつなったが、ワシントンやNYからの情報だけを鵜呑みしているような報道は、今もあまり変わっていない・・

いずれにしても、未来を決めるのはメデイアの影響力。アメリカでは先の上院選では総票で2000万票も共和党を上回った民主党は惨敗した。

            民主党は2000万票上回ったのに・・
   

http://www.huffingtonpost.com/2015/01/03/the-senates-46-democrats-_n_6410894.html

民主主義のシステムはどこも完璧ではなく、正義など、どこも自分勝手な論理。それならメディアはその現実とどう向き合うのか。

もともとアメリカは完璧な世界など最初から求めていない。しかし日本は日本人が同じ島にずっと暮らしてきた国家。繊細で緻密で融和的な完璧を求めるがゆえに、メデイアの役割はアメリカより重要でずっと致命的。

がんばれニッポンだが、そのためには、皆が少しずつ変わる必要があると思う・・



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